どこか別の世界。
ここは、その地下深くに建設された特別牢獄。そこで、11人の囚人たちがそれぞれ罪の判決を待っていた。
一番奥の牢獄からは、さっきから破壊する音が止まない。
その手前の牢獄では、誰かがタロット占いに興じている。
3番目の牢獄の囚人は、何か考えながら楽しそうに微笑んでいる。
4番目の牢獄の囚人は、宗教に目覚めたのか聖書を読みふけっている。
5番目の牢獄の囚人は、優雅に読書。
6番目の牢獄の囚人は、開き直ったように何かわめいている。
7番目の牢獄の囚人は、肉親の写真を眺めている。
8番目の牢獄の囚人は、これまた優雅に高級そうなワインを味わっている。
9番目の牢獄の囚人は、落ち着かないのかそわそわしている。
10番目の牢獄の囚人は、悟りきったのかしずかにそのときがくるのを待った。
そして、最後の牢獄の囚人は、壁に映る自分の影を見つめていた。
不意に光が差し込んだ。
牢獄の扉が独りでに開いた。
運命の判決がやって来たのだ。
囚人たちはゆっくりと牢獄から出て、光の放たれる扉の向こうに入っていった。
そこは、大きな鏡のほかには何もない白い空間だった。
『おい・・・こりゃ、いったいどういうことだ?』
『さぁ・・・・少なくとも無罪確定ではないだろう』
『何かのゲームじゃないかな?』
『何でもいい!!とっとと判決を下してもらおうか!!』
『あせるな・・・死刑や無期懲役ではないようだ。俺の占いは当たる』
『それじゃ、これから先の俺たちの運命を占ってくださいよ』
『ふん・・・びくびくするな。みっともない』
『姉さん・・・ごめんね・・・・』
『僕は正義のためにやったんだ!!僕は悪くない!!』
『どう思う・・・龍騎、龍牙』
『俺にもわからない。龍牙にも』
突然囚人たちの頭上から、金色に輝く羽が舞い降りてきた。その視線の先には、この世界の神とも呼ぶべき存在━オーディン━が厳かに浮かんでいた。
『これより、おまえたちに判決を下す。己が罪を省みればその判決が重いものであることは、想像に難くないだろう。では、判決を下す!!』
全員が固唾を飲んで聞き入った。
『被告全員を虚像世界追放!!ならびに、超絶武闘刑に処する!!』
この判決に囚人たちは騒然となった。
『おい・・・そりゃ、無罪と同じ判決じゃないのか?だいたい、俺みたいな奴を現実世界に出していいのかよ?!』
『どうだっていい・・・・外へ出られるなら何の文句もない』
超絶武闘刑。それは、囚人たち全員によるバトルロワイヤル。場所や時間を問わず、出会ったものたちは戦い、最後の一人を目指す。その勝者には『神にも悪魔にもなれる力』が与えられるという噂だった。
囚人たちは大鏡の前に立ち、次々と現実世界へ旅立っていった。
しかし、これに疑問を感じた二人はまだ残っていた。
龍騎とナイトそしてライア。
何かしら裏がある。我らが統治者がそんな甘い理由でこの判決を下したはずがない。
いぶかしがる三人を認めたオーディンは厳かに言った。
『なるほど。お前たち三人は少しは頭が働くらしいな』
『お褒めの言葉ありがとう。目的はいったいなんだ?』
『ただで俺たちを現実世界へ送っても何のメリットもない・・・・何かあるはず。俺の占いは当たる』
『早く答えないと龍牙と“交代”するぞ!!』
だが、オーディンは少しも動じず、不敵に答えた。
『今はまだ、知るときではない。戦え!!そうすればおのずと答えは見えてくる!!』
オーディンは答えになっていない台詞を残して、忽然と空中に消えた。
『まったく答えになってないよな・・・?』
『ああ・・・・だが、この“崩れ落ちる塔”が指し示すとおりなら、あまりいいことではない』
『ごちゃごちゃ言ってても仕方がない!!行くぞ!!現実世界で会おう』
『『おう!!』』
こうして三人も現実世界へ消えた。
すると、オーディンが再び現れた。
『知る必要はない。この虚像世界にも、現実世界にも真実はないのだから』
NEXT EPISODE・・・
次回予告
そのころ、横島忠夫はGS会場にいた!!
『お前は・・・!!』
『バトルロワイヤルの始まりだ。変身!!』
戦わなければ生き残れない!!