あの日……私は見てしまいました……。
学校行事で帰りが遅くなってしまった時、ふと覗いた応接室の中で……。
「美神さん……本当に俺でいいんですか……?」
「ふふっ……バカね……貴方だからいいのよ……」
「でも……でも、俺はルシ――むぐっ?」
「ん……ん……んむ……はぁっ……そんな事ばっか言ってると、口塞いじゃうゾ?」
「塞いでから言わんでくださいよ……」
「うふっ……うふふふふ」
「あはっ……あはははは」
知らなかった……。
あの二人があんな関係だったなんて……。
確かにあの事件以来美神さんが横島さんにすごく優しくなったのは分かってたけど……。
私はその場から逃げるように街に出ました。
本当は祝福してあげなきゃいけないのに……。
でも……。
私は……。
女の決意
「お嬢ちゃん、そんな格好でいたら風邪ひくぜ?」
いつの間にか雨が降ってきていました。
濡れながら路地裏に座り込んでいた私に声をかけてくれたのは、体の大きな、でも優しそうな男の人。
「放っておいてください……」
「そんな訳にはいかねぇよ、ん?お嬢ちゃん、泣いてるのか?」
「…………泣いてなんかいません……。雨が……目に入ったんです……。それに……貴方には関係ないでしょう……」
「…………」
「…………」
「…………辛い事があった時は笑って吹き飛ばせ……、そう言うじゃねぇか」
「……私はそんなに強くありませんから……」
「強くなきゃあ強くなりゃあいい。そうだろ?」
私はその人を見上げました。
その人は笑っていて。
私は。
あぁ、この人は強くなれたんだ。
そう思いました。
「…………私でも強くなれますか……?」
「あぁ、なれるさ。アンタの目は……強くなれる人の目だよ」
その日から、私は決めました。
美神さんに勝てるくらい強く……。
強くなる為に……。
後日。
美神除霊事務所にて。
「ねぇ、美神さん。おキヌちゃんから連絡ありました?」
「ないわよ。ったく、どうしちゃったのかしらね。突然『私、強くなって帰ってきます!!』なぁんて言って出てっちゃって……」
「ひょっとして……俺たちの事……」
「…………かもね……」
室内に重苦しい雰囲気が漂いかけたその時であった。
「次のニュースです。本日未明、格闘家の超州利器さんが失踪しました。超州さんは失踪直前のコメントです。
『キレられてないですよ あぁ キレられてないですよ?
キレさせてからは大したもんだよ、あの青い髪の女は、ああ。
キレさせたら大したもんですよ?
でも、キレさせてからだろうな。
ん、キレられてからだろうな。
ん、そっからだったんじゃないか、試合は?
覚えてないですよ?
あぁ、キレさせたら、彼女がキレたら、もおリングで、俺生きて……生きて帰れないですよ!?
あぁ、帰れませんよ!?
死ぬかと思ったんやーーっ!!!!
怖かった……怖かったんやーーーーっ!!!! 』
などと、意味不明の発言を繰り返し……」
「…………」
「…………」
「…………青い髪の女って……まさか……」
「か、考えすぎよ、横島君!!そんな訳ないじゃない!!」
「そ、そうっスよねぇ!!あは……あはははははははははははは」
「まったく、バカなんだから、あはははははははは」
彼の勘は正しかった。
それは後日、判る事となる。
つづく。
「って、引くのかよ!?こんなネタで!?」
あぁ、続きますよ!?
「「キレんな!!」」
あとがき
おキヌちゃん誌上再強化……、もとい、史上最強化プロジェクト第1弾……?
最初の犠牲者はプロレスラーでした♪
さぁ次は誰だ!?