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「玉の輿 前編(GS)」

千手必勝 (2005-01-10 11:33)


美神が何故魔族に狙われるのか、その理由を調べるため神族であるヒャクメと共に美神と横島の二人は過去へと遡った。

そこで明かされる美神の過去、現われる怨念道真。

それらの問題を解決し、怪我を負った横島の輸血のためいったん現代へ戻ろうとした美神たち。

しかしそこへアシュタロスが現われたことにより美神達は一気に窮地へと立たされた。


「時間移動か…、面白い特技を持っているのだな。
 だが諦めろ、もう私が許さん」

「ア、アシュタロス!」

「貴様らに勝ち目など無い、結晶を渡せ。
 アレは私にしか効果はない」

「この――」

メフィストはアシュタロスに向かって霊波砲を放つ。しかし、

「道真…」

アシュタロスがそう呟いたとたんメフィストに一度倒された筈の道真がそれを防いだ。

「そんな!」

「言ったはずだ、お前に使えるのは結晶に含まれる僅かな不純物のみ。吐き出せ!」

アシュタロスの威圧感のある声が響くが、メフィストはそれを良しとせず戦う姿勢を見せる。

「………わからん奴だな」

アシュタロスはそう言うと人差し指を高島の方に向ける。

そして一瞬閃光が走ったとき一筋の光が高島の頭を貫いていた。

「た……高……、あ……ああ……!!」

「なんだ、そいつが一番大切だったのか? 他の奴にすればよかったか」

メフィストの愕然とする表情にアシュタロスが残念そうに呟く。

その時

「う…うわっ!?」

横島の止血のため憑依していたヒャクメがはじき出された。

「どうしたの!?」

「わかりませんけど…前世がやられて何かが反応を……」

二人が見つめる先、横島の体が意識を取り戻した。

「俺は……? メフィスト…?」

「高島どの…! 高島どのか…!?」

「高島だよ、こいつの中でずっと眠ってた」

徐々に目の焦点が合ってきた、高島を名乗る横島はメフィストの問いに答える。

しかし次の瞬間ヒャクメの止血がなくなったことにより道真にやられた傷から血が噴出した。

「み、美神どの! その文珠くれ!!」

「え…こ、これ!?」

突然の出来事に脳が付いていかないのか、言われるまま高島に『雷』の文珠を渡す。

「ていっ!」

高島はそれを『治』の文字へ変化させ首の怪我の応急処置をした。

「横島クン、あんた……」

「横島は意識不明だよ。一時的なショックで前世の記憶ってヤツが目を覚ましちゃったのさ」

「助かる? 高島どのは生き返れるの!?」

メフィストは一縷の希望に縋り付こうとしたが、

「無理だよ…メフィスト。
 時間移動も歴史は変えられないんだってさ…、俺が死ぬのは運命だったんだな」

高島ははっきりとそれを否定した。

そしてこの時代の高島の体から光玉が浮き出てくる。

「ほら、魂が抜けていく。契約って言う『呪』に縛られてるから…ありゃおまえのもんだよ」

「こんな……、こんなもの欲しくない……!!私………」

メフィストはそれを胸の中に包み込み涙を流した。

「なるほど……、生まれ変わって時間を遡ったのか。
 そっちの女、メフィストの来世だな!?そういうことだったのか……!!」

そんなこれまでの一連の様子に全てを悟ったアシュタロスは、

「生まれ変わっても前世と同じ場所で同時に死ぬとはな!」

そういってメフィストに近づこうとしたのだが、突然ある方向に視線を向けたまま動きを止めた。

「あの娘は…」

アシュタロスの視線の先には何とか弱点などを見つけようと必死になっているヒャクメが居た。

「ひっ!!」

遠くから見据えられただけでヒャクメは恐怖で体が動かなくなる。

そして眉をしかめヒャクメを見続けるアシュタロス。。

「はあっ!!」

それを好機とみた美神は神通棍で攻撃をするが、アシュタロスには効くどころか攻撃を受けた事すら気付いていなかった。

「!」

「無駄な事をするんじゃない」

道真の霊波砲で美神を吹き飛ばす。

そして急いで立ち上がったとき見たのは、

アシュタロスに目の前に立たれた、蛇に睨まれた蛙状態のヒャクメだった。

「まずいっ!」

彼女には美神などより全く戦う力は無い。

神族といえど彼女は所詮調査官なのだから。

しかし彼女を助けようにも道真が立ちはだかり、近づく事も出来ない。

そんな中、

「お前の名前は?」

「ひゃ、ヒャクメ……」

プレッシャーに負けあっさり名乗ってしまうヒャクメ。

別に名前が知られたからどう、という事は無いのだが明らかに場に飲まれてしまっていた。

「そうか、ヒャクメ……」

アシュタロスはヒャクメの名を呟きながら顔を隠していたフードをとる。

するとなかなかに整っている魔族の顔がみてとれた。

そしてヒャクメの両手を握り締めると


「ずっと前から愛していた!!!!」


そうのたまった。(ずっと前?)

「へ!?」

「ああ、お前はなんと可憐なのだヒャクメ。
 一目見た瞬間私は悟ったのだ、何故これまで生きてきたのか!
 それはお前に逢うためだった!!!」

それは正にプロポーズだった。それも熱烈な。

そしてそれに最も驚いたのはアシュタロスの部下であった道真だった。

「あ、アシュタロス様……?」

「道真、少し黙れ。私は今ヒャクメに愛を語っているのだ!」

「はっ!」

冷酷な上司から飛び出る信じがたい言葉、しかし彼は絶対者であるが故逆らう事などありえない。

「さあ、魔界へ行こう! なに、今の私には邪魔する奴など指導者すら退けてみせよう。さあ、さあ、さあ!!」

アシュタロスの顔がどんどん近づきそのたびに海老のごとく仰け反っていく。

「ちょ、ちょっと待つのね〜。
 ええ〜っと、残念だけど私には付き合ってる人が居るから無理なのね〜」

いきなりの事に混乱してはいたが、このままでは魔界に本当に連れて行かれかねず、ヒャクメは苦し紛れにとっさの嘘をつく。

そしてそれはアシュタロスにとって、魔族として生まれて以来受けた事の無いほどの衝撃だった。

「ど、どこのどいつだ! 私のヒャクメを誑かした奴は!!

 心配ないぞ! どこの神族かは知らんが直ぐに始末してやるからな!」

何とも言えない短絡的思考に、彼女はさらにまずい状態に追い詰められた。

アシュタロスが本当にヒャクメを愛しているかは彼女には分からなかったが、もし適当な誰かを言ってしまうと本当に殺ってしまいそうな勢いだった。

そしてもしそれが実現してしまったら、最悪ハルマゲドン一直線となりかねない。

「そ、そこに居る横島さんなのね〜」

そしてとっさに目に付いた横島、現在は高島の意識が浮上している、を選んでしまった。

彼は人間であり、例え彼がどうなっても最悪な事態は避けられそうだった。

「横島………」

アシュタロスはゆっくりと歩き高島の前に立つと胸倉をつかみあげた。

「貴様がヒャクメを誑かしたのだな。どうやって死にたい?」

「ぐぅえええ……!」

「ちょ、ちょっと待ちなさい! 今の彼は横島クンじゃなくて高島よ。」

首が絞まり言葉を発せられ無い高島の変わりに美神が告げる。

そうでもしなければ今にも殺しかねない殺気をアシュタロスが放っているからだ。

「ふむ、それは困ったな」

「とりあえず横島君の治療のため戻らせて欲しいんだけど」

「その必要は無い。怪我など私が簡単に治せる」

そういって横島の頭に手のひらを置こうとする。しかし、

「……ま…、待っ…た。 最…期に……メフィス…トに……」

高島はそれを止めようと、締められる首で何とか声を出した。

「メフィストに言いたい事でもあるのか?」

アシュタロスは高島の途切れ途切れの言葉にそう想像し、高島は首を縦に振ることでその通りだと示す。

「そんな事は知った事で無……」

しかしそれを無常に切り捨てようとしたアシュタロスだったがふと思いとどまり、ヒャクメの方に目を向けた。

「ヒャクメ? 君は優しい男の方がやはり好みかね?」

「そ、そうね、優しい方がいいのね〜」

「うむ、そうか。高島といったな、別れの挨拶をする時間をやろう。優しいだろう?」

自分が殺しといて何言ってやがると突っ込みを入れたいがそんなこと言って気分を害されるのは溜まったものではない。

「げほっ…げほっげほっ…!」

高島はようやく首の戒めが解かれ、呼吸を整えながらメフィストの前に立つ。

「メフィスト……」

「『俺にホレろ』なんて…勝手に願っといて先に死ぬなんて!!」

メフィストが目に涙を浮かべ叱責する。

「ホレさせたんならちゃんと責任をとれ!!この! この……!」

「すまん…」

高島は泣きつくメフィストを慰めながら首を高島の同期の陰陽師である西郷の方へと向ける。

「なぁ西郷、こいつの事頼まれちゃくんねえか?」

「フン、こんな形でお前の女を貰うのはお断りだ。

 来世に決着を持ち越すとして、まぁそれまで妹として面倒見といてやるよ。」

西郷は拗ねたように後ろを向く。

アシュタロスがまだ居る事を忘れているのだろうか。

「―――つーわけだ、だからお前人間になれ。出来るんだろ?」

「アシュタロスのアジトに行ければ……」

メフィストはアシュタロスに聞かれない様高島の耳元でそう告げる。

「そうか、とにかくそれが俺の二つ目の願い事だ」

「みっつめは……?」

「……また会おうな」

今度は高島がメフィストの耳元で最期の願い事を告げる。

そして二人の話を見ていたアシュタロスが、

「ふむ、最後の挨拶は終わったようだな。さて…」

高島の顔面を鷲掴みにする。

「ちょ、ちょっと……!!」

「騒ぐな、こいつの傷を完治させるだけだ」

アシュタロスがそう言うと手が光り横島の体を包み込んだ。

そして

「………あ、あれ……真っ暗だ。ってゆうかなんだこれは?」

横島が目を覚まし、顔にくっついている生暖かい何かを剥がそうとした。

「な、なんだこりゃあ!? 外れないぃいい……おわっ!?」

自分の顔面を包む、コルセットのごとくがっしりと外れないそれが急に締め付けをなくし外れた。

そしてそれを外そうと力んでいた横島は自分の力で後方に吹き飛んだ。

「何なんだいったい…!?」

横島は頭を振り、現状を把握しようとしたが今度は何かに胸倉を掴み上げられた。

「おはよう、横島君。よく眠れたかね」

「だ、誰だ!? 何が……、いったい!?」

横島にしてみると西郷の屋敷に居たはずがいつの間にか外に居り、その上顔色の悪い見知らぬおっさんに胸倉を掴まれているのだ。

混乱しないはずが無い。

「私はアシュタロスだ。メフィストとそこに居る道真の上司だ」

「げっ!」

横島は自分を掴んでいる男が、メフィストの上司という事ならかなり強いという事に想像がついた。

基本的に神魔は力が強くなるほど上に行くためだ。そして自分の状況から死に直面している事も。

「そして先ほど私は一目で強く運命を感じる相手を見つけ、プロポーズをした!
 それがあそこに居るヒャクメだ」

アシュタロスは掴んでいる横島の角度をヒャクメの見える位置へと持っていく。

「しかしヒャクメに恋人が居る、という理由で断られたのだよ」

「はぁ」

「何をボケた面をしている! おまえのことだろう! よもや隠し通せるとでも思っていたのか!?
 おまえがヒャクメを誑かし、悪の道へと引きずり込もうとしている事は既に知っているぞ!!」

横島には本当にアシュタロスの言っていることが理解できず、周囲に目を配らせた。

するとヒャクメと目が合い、自分に向かって合掌してヘコヘコし始めた。

それによりようやく、アシュタロスに言い寄られたヒャクメが自分をダシに使った事が分かった。

そしてそれを急いで訂正しようと顔を上げると、そこには自分の雇い主より恐ろしい怪物が居た。

「私の目の前でヒャクメとイチャイチャするとは……いい度胸をしているな……!!」

「え……あ…う……」

ヒャクメとのアイコンタクトがアシュタロスにはそう見えたのだろう。

横島としては違うんです!!と叫びたいがアシュタロスの生まれて始めての嫉妬の渦に魔力が際限なく放出されており声が出せないでいた。


横島がアシュタロスを引き付けているころ、ヒャクメは道真の傷が完治していないのに気付いた。

「あいつ、傷が完全に塞がってない……! 美神さん! 神道真に貰った文珠……!!」

「!! 了解! あんたの分身に貰ったモノ――――受け取りな!!」

全てを言わずともヒャクメの言いたい事を察知した美神は、神道真に貰った文珠を怨念道真の体に植え付けた。

「ぬ…ぬおっ…!?
 私は……此処で何をしているのだ……!?」

「神道真の波動で一時的に正気に戻った…!?」

「そいつがあんたを操ってたのよ!」

正気に戻った道真にヒャクメはアシュタロスを指差し言った。

「おのれ……!?」

道真は下半身を帯状にし、アシュタロスを呪縛する。

「道真の怨念を見つけたとき、いい贄を見つけたと思ったので、ちと余分にパワーを与えたのだが……しくじったな」

「ぐっ!」

アシュタロスが縛られたおかげで横島はその手から逃れられた。

「だがこんな呪縛…数秒で……!」

道真の呪縛を強力な魔力で破ろうとする。

「攻撃してもこいつには効かないわ! なんか手は無いの、ヒャクメ!?」

「うまくいくかどうか分からないけど、貴方の能力をうまく使えば……!!」

ヒャクメは巨大な目玉のついた独特なカバンを取り出すと、中からコードを伸ばし美神の額に貼り付ける。

「!! 時間移動して逃げる気!? でもそれじゃ――」

ヒャクメの操作により美神の能力が発現し美神を包むが、それは一瞬で途絶え、変わりに

「これは……!!」

アシュタロスの周りに時空震が発生する。

「時空震のポイントを制御して……あいつだけを未来へ吹っ飛ばす!
 出来るだけ遠く……!」

「メフィスト!貴様!!私から結晶だけでなくヒャクメまで奪うのか!!」

「わ、私!?」

アシュタロスは何度目かわからない、既にヒャクメを自分のものにしているかのような発言をする。

彼の脳(?)内ではお花畑を仲良く手をつないで歩いているのかもしれない。

「ヤツのエネルギーが強すぎて四五百年飛ばすのが精一杯…!でも…」

アシュタロスの発言に背筋を凍らせたヒャクメはこれまでに無いほどの速度でキーを打ち込み美神の能力を発動させる。

「とりあえず十分!!」

最期のキーを打った瞬間

「!! 空間が! このままでは済まさんぞメフィスト、横島忠夫…!!
 必ず………」

アシュタロスはヒャクメの狙い通り時空震に飲まれ、捨て台詞をはきながら消えていった。


最大の脅威が去り、森が静けさを取り戻した中美神がポツリと言葉を漏らした。

「結局私が命を狙われる原因って……ヒャクメ?」

美神と横島の視線が突き刺さる中ヒャクメは視線をそらし

「ええっと…………、

 

 もてる女は辛いのね〜〜」


「「そんなんで納得できるかーーー!!!」」


二人にシバかれていた。


とりあえず前編です。
後編は今夜中にでも投稿…できるはず…です。


△記事頭

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