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▽レス始

「おかん横島 救出大作戦(1)(GS・砂の薔薇)」

さんぽ魔 (2005-01-09 00:02)

世界で唯一、民間の対テロ特殊部隊である『CAT』(CounterAttack Terrorism)。
その中でも人質救出にかけては最強であるマリー・ローズバンクのチームはナルニアに向かう輸送機に乗っていた。

8時間前、在ナルニアのコメリカ大使館を反政府ゲリラであるナルニア救国戦線が奇襲攻撃を行い大使館警備の海兵隊と戦闘になった。結局海兵隊との戦闘でゲリラ側は大半を失い逃亡するが、一部のゲリラは大使館隣の外国人学校を占拠籠城し、収監中のゲリラ指導者を24時間以内に解放しなければその後2時間ごとに生徒を一人ずつ殺すと宣言した。人質は生徒16人・そして民間人1人。コメリカ流の強襲作戦では多大な犠牲が予想され、生徒の親からの要請に基づき人質救出では経験豊富なCAT女性部隊のが出動し救出作戦を行うことになったためだ。

ディビジョンMの指揮官であるマリーは輸送機の中でゲリラの情報に目を通す。CAT調査部から機中のマリーに届いた調査レポートの中に、籠城中のゲリラの中に強力な呪術師がいると書かれていたことに驚いた。

死人を操ることができ、たった3人のゲリラ兵で政府軍一個中隊を全滅させたこともある。いくら銃で撃っても再び立ち上がり政府軍を襲ってくるゾンビによって。
政府軍は恐怖し、コメリカの介入を受け入れた。これが今回の悲劇の幕開けだった。

「これじゃ八方ふさがりだわ」
マリーは呟く。

人質を殺して銃を持たせかねない相手だ。呪術師を殺す前にゲリラを殺すとゾンビを増やすだけだ。呪術師はゲリラに変装していて誰だが判らない。ゲリラ全員を同時に殺すのは不可能だ。その為誰も殺さずに子供達17人を救出しなければならない。百戦錬磨の部下達でも困難だ。
だが、最愛の息子をテロで殺されたマリーは子供が殺されるのを許さない。何とかして救出したい。誰一人としてテロの犠牲者に、息子の二の舞にするわけにはいかない。

そんな中、マリーは高校時代の友人でICPOのオカルトGメン日本支部隊長をしている美神美智恵のことを思い出した。世界をおそった魔神アシュタロスに対し常に冷静に戦いを挑み、娘の美神令子とその助手の横島忠夫によりついには世界を救った親友のことを。

マリーは軍用衛星通信を東京のオカルトGメン日本支部に繋ぎ、美智恵にCATとGSの共同作戦を依頼した。
一方でCAT本部のサマンサに対しても軍用衛星通信で依頼する
「何が何でも最初の人質が処刑されるまでにGSたちをナルニアに運ぶのよ。ディビジョンMが出動する以上は子供は一人たりとも殺させないんだから。必要なら世界で一番速い飛行機を日本で待機させなさい。」


美神除霊事務所のドアがバンと開いた。
「令子いる?すぐ出てきなさい」。
美神美智恵は大声で娘を呼んだ。

「ママ、何よ。私だって忙しいのよ。」
令子は横島・おキヌ・タマモ・シロで明日の除霊の打ち合わせをしていたが、出て行かないとさらに大きな災難がくると予知したのか、素直に玄関まで出てきた。後ろから横島たちも出てくる。

美智恵は言った。
「あなたたちも居たの?ちょうどいいわ。仕事の依頼よ。」

全員で事務所の応接ソファで美智恵の話を聞いていた。美智恵の前に令子・横島・タマモ、美智恵の横にシロ、コーヒーを淹れてきたおキヌは御盆を持ったまま立って聞いている。

「ということは人質奪還が目的なの?GSの出番じゃないわ」
令子は母親に言い放つ。
「でも呪術師の発見やゾンビの除去はGSがいないと困難だわ。
 それにあなたたちは絶対行くわよ。

 だって横島くんのお母さんが人質になっているから」

美智恵のこの言葉に事務所の全員の顔色が変わった。

「横島クンのお母さんが...」
「そんな...」
「せんせ〜のお母上が人質になっているのでござるか!」

みんな動転している。当の横島はさっきから黙って聞いている。美智恵の言葉にわずかに顔色が変わったが。

(おかんは親父をボコボコにできるほど強いし、『護』の文殊で作ったピアスもプレゼントしてあるから何とか無事だとは思うが...。)

「横島くんのお母さんは学校の交流授業に出席していて巻き込まれたようです。ゲリラ突入前に横島くんのお母さんが数人の子供達を外に逃したので学校に居ることがわかったの。」
冷静に事実だけを述べる美智恵。横島は下を向いたままだ。

「僕だけ行きます。身内のことでみんなを危険にさらすわけにはいかない。
 それに、今まで俺達は、どんな事情があろうとも人間を殺めたり、それに手を貸したりしたことはありません。手を汚すのは俺だけでいいっす。俺の手は汚れてますから」

横島は俯いたたま言う。事務所の中を静けさが支配する。


最初に静けさを破ったのは意外にもおキヌだった。

「私も行きます。ネクロマンサーが居た方が絶対有利です!」

(ゲリラさんたちを殺める責任をまた横島さんだけに負わせるわけにはいかない。
今度こそ横島さんは壊れてしまう。私にもその責任を負わして下さい)。

事務所の他の3人も同じ意見だった。

「拙者も行ってせんせ〜のお母上を救出するでござる」

「私もいくわ。前にヨコシマのお母さんが来たとき、とっても美味しいお稲荷さん作って貰ったし。」

「そうね・・・横島クン」

「はい?」
横島には美神の顔が少し曇って見える。

「世界最高のGS・美神令子が従業員だけを行かすわけないじゃない。事務所総出で行くわよ、ナルニアに。でもあのお母さんを人質に取るとはねぇ。ゲリラ無事かしら?」

そう言った令子は笑っていた。


「時間がないわ。CATが横田にSR−71を2機用意しているからこれに乗って。ナルニアまで連れてってくれるから。横田まではヘリで運ぶそうよ」

SR−71はマッハ3で巡航できる世界最速の偵察機だったが、冷戦終結と偵察衛星の発達により90年代で退役している。しかし今なお、複数の乗員を運べる飛行機としては世界最速である(ロケット機を除く)。これをどこからか調達して待機させる程、今回の作戦はGSたちが求められているのだろう。同時にCATの組織力に驚嘆した横島と令子だった。

(たしかにこの飛行機だったらナルニアまで4時間で行けるだろうけど。乗員2人だったような記憶が...。)

横島は軍事マニアのクラスメートが学校に持ってきていた軍用機の本を斜め読みしたことがあり、ちょっと訝しい顔をした。

これに気がついた美智恵が補足する。

「小さな与圧カプセルを用意したからシロタマは動物形態で乗ってね。」

ちょっと強引なようだが、人質の命もかかっているので誰も文句は言わない。

「おキヌちゃん、申し訳ないけど、おキヌちゃんは幽体で乗ってね。
あと、私も乗るから横島くんはカメラ収納庫にでも入ってて頂戴。与圧してないけど、横島くんは生身で大気圏再突入だってできるんだから何てことないわよ」

やはり強引である。

「大型のヘリがこちらに向かっています。」
天井から人工幽霊一号が言う。

ここまで聞いたとき、迎えのヘリの爆音が聞こえてきた。


二機のSR−71がナルニアの軍飛行場に着陸し、先に到着していたマリーたちが出迎えた。横島は竜神の武具(以前に美神が小竜姫から『貰った』ものだ)を装備し気圧や酸素の問題はなかったが、高々度でのマイナス十数度の寒さに全身真っ白に固まっていた。それでもバリバリと音を立てて全身の氷を払いながらマリー達に歩いてくる。

「アテンション!」
突然、ディビジョンM副官であるヘルガの凛とした声が響き渡る。
マリーが一歩前へ出て挨拶する。美智恵以外は初対面。美智恵にしてもマリーがCATに入隊してからは初めてである。

「私がこの作戦の指揮官でCATディビジョンMのマリー・ローズバンクです。
ナルニア政府はゲリラの要求を呑むつもりはありません。
つまり、あと3時間後に最初の子供が犠牲になります。あとは2時間おきに一人ずつ。
でもあなた達が来てくれたからには子供は誰一人死なしません。」
「真理子、久しぶりね。」
美智恵は挨拶を始める。
「こっちの子が私の娘でGSの美神令子。隣の幽霊が助手のおキヌちゃんで、死霊使いの笛を吹けます。右の犬が人狼のシロで霊波刀を使えます。その隣の狐が妖狐のタマモ、狐火と化術を使いこなせます。そして全身氷で真っ白な男の子が助手の横島忠夫くん。世界唯一の文殊使いです。そして私はICPOオカルトGメン日本支部の美神美智恵です。
マリー、そっちの隊員と特殊技能も紹介して」

マリーも隊員の紹介をする。副長のヘルガ、突撃班のアイリーンやリンたち3人、狙撃のデラ、爆発物のコリーンとジェシカを順に説明する。皆美女ぞろいで、”いつもの”横島だったら「お会いする前から好きでした〜」と言ってルパン・ダイブしかねないが、さすがに今は真面目な面持ちだ。

「早速作戦を打ち合わせましょう。」


ディビジョンMの偵察隊が入手した学校の図面と人質・ゲリラの配置をテーブルに載せ、急場の作戦会議が行われた。

冒頭、「今回は最初はゲリラも殺しません」とマリーの言葉にディビジョンMのメンバーが言葉を失う。今まで敵を殺さずにすんだことはない。余程のレベル差がある場合は兎も角、今まで相手にしてきたのは政府の特殊部隊でも苦労するような連中ばかり。相手を殺さずに戦うなんで器用なことをする余裕はない。今回も同じはずだ。

「ゲリラの中に強力な呪術師が、死人使いがいるの」美智恵が続ける。
「だから間違って呪術師を殺す前にゲリラを殺すと弾を何発撃っても倒れないゾンビができあがるだけ。しかも呪術師は他のゲリラと同じ格好・同じ装備をしていて、フツーじゃ見つけ出すのは無理ね。かといってゲリラ全員を同時に殺すことは困難」。

テントの中を重苦しい空気が占める。マリーが話を引き継ぐ。
「そこで美智恵に来て貰ったのよ。今回の作戦はGSがディビジョンMの支援を行います。まず横島くんとタマモ・リン・コリーンが文殊と化術で擬装して潜入します。GSが呪術師を見つけ出し、その後リンが呪術師を射殺するのを合図に爆薬を爆破、強襲班が突入します。万一、誰かゲリラが死んで、でも呪術師に息があった場合、ゾンビが出来上がります。その場合はおキヌちゃんのネクロマンサーの笛で動きを止めつつ、令子・シロちゃんが退治します。子供達はディビジョンMとGS全員で避難誘導します」
マリーの作戦はある程度は合理的なものだったが、ディビジョンMの連中はGS達を見て半信半疑でいる。命を預けることができる奴らだろうかと。

「(マリー)隊長、こんな子供みてーな奴らに命預けるの?」
チューインガムを膨らませながらディビジョンMの突撃隊員であるアイリーンが言う。
早口の英語だったので正確な内容は美智恵・令子しか判っていないが、何を言っているのかくらいは横島やおキヌでも見当がつく。侮辱されているらしいことはシロやタマモにも判った。

全員の顔に緊張が見えるなか、美智恵は溜息をつきながら言う。
「子供みたいって言っても、あんたんとこのリンちゃんだって一見子供みたいよね、マリー」
「そうね、アイリーン、外見で判断してはダメよ。でも納得いかないみたいだから今から5分間横島くんと全力で戦いなさい。いいわよね、美智恵」
「わかったわ」美智恵は横島に今の話を伝える。
「自分たちを信頼して貰うためよ。試合みたいなものね。あ、文珠は使用禁止ね」
「隊長、彼女ナイフ持っているんですが...。」
「何言っているの。横島くんは自前の霊波刀があるじゃない。あいこよ」

5分後、肩で息をする2人がいた。お互い致命傷を与えられない。小竜姫とは違い実戦に基づいた戦い方をするアイリーンは横島にとって強敵だった。
アイリーンにしても、「サイキック猫だまし」という閃光を発する柏手や形状が次々変わる霊波刀を使う横島は非常に戦いにくい相手だった。

「はー、はー、結構やるじゃん」
「はー、はー、おねえさんこそ。」

パン、パン

マリーが手を鳴らす。
「アイリーン、横島くん、そしてみんな。お互いの実力判ったわよね。
じゃあ作戦開始よ」


事件発生当時、横島の母・百合子はナルニアの外国人学校に呼ばれていた。
コメリカ大使館の横の3階建ての学校は、旧宗主国やコメリカからの駐在員子弟など200人程度が通っている。学校が休日の土曜日に特に行われる社会科授業として国ごとに発表があり、今回の百合子の訪問は日本の学年で6年生にあたる20人に『日本』について教えるためであった。
気候や生活・文化・言葉を教えるこの授業、決して簡単なものではない。普通は生徒の親が先生と共に教壇に立ち教えるが、今回は予定していたこのクラスの生徒の母親(ヤドロクの部下の妻)が田舎の母の病気により一家で急遽帰国したため、百合子が代わりに教える羽目になった。

(みんな可愛ええなぁー。忠夫もこの頃までが一番良かったわ)。
「初めまして。私はユリコ・ヨコシマ、日本人です。日本は・・・」

隣に先生も控えているが、基本的には勝手に教えて良い。子供でもわかりやすいということで民族料理や民族衣装・言葉(あいさつ程度)を教える。前半で日本の場所・地理・気候・衣装の話を済ませた百合子は、昼食として持参した料理(関西風きつねうどん。なお3時のおやつにと大阪風お好み焼きも用意している)を振る舞いながら言葉の授業をする。生徒は面白がって「おはようさん」「まいど」「おおきに」などと言いあっている。

その時だった。隣のコメリカ大使館で銃声が聞こえたのは。


生徒たちが怯える。如何にナルニアが内戦中であっても首都のど真ん中で銃声が聞こえる事は無かった。
「みなさん落ち着いて、窓から離れて教室の真ん中に座って。先生が言ったらすぐ動けるように待機してて下さい」
先生が生徒たちに呼びかける。
銃声がもっと大きくなる。手榴弾らしい爆音も混じる。
先生が様子を見に廊下にでたとき、校舎内でも銃声がした。
百合子は教室の窓の外を見る。3階なので学校前の道路での撃ち合いがよく見える。
廊下側に行き、そーっとドアを開けて廊下の様子を見る。先生が倒れている。まだ銃声がするので、学校警備員かコメリカ海兵隊員が校舎内にいるのだろう。
運の悪い先生を偲びつつ、百合子はドアを閉め、机でバリケードを作り始めた。


(さて、どうしましょうかね)

バリケードを築いたあと、百合子は考える。ここは3階。下に飛び降りる事は出来ない。外のコメリカ軍兵士は校舎のあちこちに向かって銃を撃っているので、既に校舎1階はゲリラが制圧していると観るべきだろう。

(それにしても彼奴ら子供たちに当たるとは考えへんのやろか。
そもそも呼ばれてもないのに自分たちの正義を伝道しにくるからアカンのや)
百合子は教室の真ん中で怯えている子供達に目を向ける。

(ゲリラが真底恨んでるコメリカ人は・・・と。4人もおるやんか!しかもみんな女の子。あかんわ。
コメリカの兵隊が捕虜の女性ゲリラにしたのと同じことをやられるで。拙いな〜。)

百合子は授業の最初に全員と自己紹介をしていて良かったと思いつつ、まずはこの4人を逃がすのが先決と腹を決めた。
避難器具入れにあった避難ロープを上に向かって投げる。本来ベランダに引っかける側を投げるので、上手く行けば屋上のフェンスに引っかかってくれるはずだ。何度も繰り返す百合子。10数回目で漸く何かに引っかかってくれた。手が棒になったように重い。

(最近ヤドロクをシバいてないから運動不足かな〜。これからは何もなくてもシバいたろか。)

「みんな、よく聞きなさい。今から屋上に逃げます。勿論女の子が先ね。順番は...出身国のアルファベット逆順よ」

これから何があるか判らないから少しでも生徒に不公平感を感じさせないように注意しつつ言う。生徒も先生が戻ってこない以上、従うべき大人は百合子だけであり、黙って従っている。この間にも廊下からはナルニア語の男達の声が聞こえる

コメリカ人の4人が屋上に逃げたのび、タイから来た子が縄ばしごに手をかけたとき、廊下からドアに体当たりする音が聞こえた。百合子は「ごめん」と言ってその子をロープからつき離し、脱出者がいることを隠蔽するためにロープを切断した。

(これで私も逃げられなくなったな。残った16人を何とか守らなアカンな)

「みんな、よ〜く聞いて。逃げた子は今日はお休みだからね。」
その時バリケードが崩れゲリラ兵士が教室に乱入した。


「お前が教師か?」英語が聞こえた。ゲリラの幹部らしい。
「そんなもんや」百合子が答える。
「じゃあ子供たちを連れてこっちへ来い。ここはナルニア救国戦線が制圧した」
幹部らしき男が言う。
「じゃあ、みんな『百合子先生』についてきて」
なるべく生徒を不安にさせないよう落ち着いた声で言ったつもりだった。
実際にはやや声がかすれてしまったが、ついでに出欠簿をゴミ箱に捨てるのを百合子は忘れなかった。


「子供達の名前・出身国を言え」
ゲリラの幹部が給食室に集めた人質を前に百合子に言う。
家族や恋人を殺されたゲリラの復讐相手、もしくは単なる人質として、生徒を選別するために。

兵士が銃を向けている。逆らうのは得策ではない。自己紹介の時の記憶をたよりに言う。幹部は名前・出身国を言われたときの生徒の顔を見て正しいか判断するつもりのようだ。

(私かて、かつて『村枝の紅ユリ』と言われたスーパーOLや。自己紹介の内容くらい全部憶えてるわ)

スラスラと答える百合子。最後の16人目で困ったことが起きた。彼は自己紹介の時に出身国を言っていなかったが、父親が海兵隊勤務と言っていたのだ。
(あちゃ〜、まだコメリカ人が居たか。ま、この子はカナダにでもしとこう)
「…、カナダ」
他の生徒の「えっ」という表情をゲリラ幹部は見逃さなかった。

ゲリラ幹部が近くの生徒に近付き、「彼はどこから来たのかなぁ」と笑いながら言う。

(クラスメートが無事でいてほしかったら真面目に答えるんやないで!)
祈る百合子。

指名された生徒は怯えながら言う。
「あの〜、彼はオキナワから来ました」

どうやら父親の前任地を答えたようだ。

(おんどりゃ〜、午前中の授業、寝とったんかい! ま、アホな子で良かったわ)

ゲリラの幹部はコメリカ人が一人も居ないことを訝しがる。
「コメリカ人生徒は居ないのか」
「今日はおらん。みんな休みだ。コメリカ軍のパーティーに行っている筈だ。」
「…そうか、ならいい。ところでお前は何人だ?」
「台湾にいました」
(OL時代に出張で3週間程...。コメリカに無条件に追従してる国の人間と判ったら拙いだろうからな〜)
生徒達が皆驚いた顔をしている。幸い、尋問するゲリラ幹部は百合子の方を向いていて生徒の顔は見ていない。取り囲んでいる兵士も気がついていない。とりあえず最大の危機は脱したようだ。

そのとき校舎の真上でホバリングするヘリの爆音が聞こえた。反撃するゲリラの銃声が聞こえる。あれだけ撃ち返されたらさすがに校舎内には入れないだろう。となるとコメリカ人4人の救出だけか。

(とりあえずあの4人は助かりそうやなぁ)

百合子は今頃になって膝が鳴っているのに気がついた。

(つづく)
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補足 & お詫び

「砂の薔薇」は新谷かおる作で白泉社から出ています。
文中にあるような対テロ特殊部隊の物語です。ずいぶん前の作品なのに今読んでも新鮮です。私は本部のサマンサ嬢がすきです。

なお百合子の言葉が関西弁もどきになっているかもしれませんが、平にご容赦下さい>関西の方


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