霊能力が休眠状態の横島忠夫、彼はこれからどういう道をたどることになるのか。
安らかな休日を
「ふふふ、横島君が来てくれて助かったわ」
横島がオカルトGメンの事務仕事のためにスカウトして、はや1ヶ月もたつ。
彼には昼間は学校に行ってもらい。夕方から事務仕事とひのめの子守を頼んでいたりする。
正直、育児もあるが仕事もある。職権乱用とは思うが横島の存在はかなりありがたい。
「はぁ、そうっすかね?」
横島はあまり自覚はない。正直、美神の所に比べて事務仕事は多くはあるが、比較的楽な仕事だし、なにより危険がない。あまり役に立ってないのでは?と思っても仕方ないだろう。
「貴方がここに来て、もう1ヶ月にもなるし。そろそろ横島君とも本契約を結びたいのよ」
「はぁ、本契約っすか?」
仕事にはすぐに慣れてもらったし、実際に役に立っている。
美知恵としては離れてもらわないためにも契約をしておきたいのだ。
横島は今はバイトとしてだが、高校かまたは大学を卒業後にでも正式にオカルトGメンの人間として働いてもらいたいと思っている。
「そう、保険や税金もこれまで通りきちんとするし。国家試験も何とかする。それと社宅もつけるわ。なんと高級マンションよ」
「しゃ、社宅ですか?!しかも高級マンション!?」
言ってはなんだが、横島が住んでいるアパートはとても狭い。
トイレはあるが風呂はないし。台所はあっても冷蔵庫がないので料理もできない。
高校生が冷蔵庫を買う金なぞ当然ありはしないのだ。
「で、でもいいんすか?バイトですよ、俺は」
横島がうろたえるのも無理はない。国家試験といい、社宅といい。バイトに行うものではない。
「あのね。横島君、あなたはアシュタロスとの戦いの貢献者なのよ?」
「は、はぁ・・・」
確かにあの戦いで貢献したのは間違いないだろう。それとどう関係するというのだろうか?
「アシュタロスは魔神と呼ばれるほどの大物よ・・・それに倒した時の報酬、あなたもらってる?」
「で、でも。それはピートやタイガーも・・・」
じゃなきゃ、あれだけ餓えてないだろう。
「エミさんや、神父が預かってるわ。二人とも高校を卒業したら渡す予定だそうよ。」
「はぁ・・・」
でも、それでも餓えてるのはどういうことだろうか・・・哀れとしか思えない
「社宅だって、あなたの報酬で立てたものよ。国家試験に関しては上層部に言ってみたらあっさり通ったわ。当然、社宅の事に関してはご両親のご意見を聞いた結果よ。」
「って、マジッすか!?」
そんな話など、まったく聞いた覚えがない。当然だ、言ってないのだから。
「だって、こんな大金を未成年のあなたに聞くわけにもいかないでしょ?令子だと・・・自分の娘だから言いにくいけど・・・そこいらはちょっと、ね?」
少々、苦い虫を噛み潰したような顔をする。
「それで、ご両親と相談して購入したの。一応社宅としてだからオカルトGメンが管理するわ。成人したらあなたのものだけどね。」
「あ、あの両親は・・・」
お袋はともかく、親父は将来、浮気相手のために部屋を使いかねん。気をつけておかねばと横島は心に誓った。
「ちなみに契約もご両親は大賛成よ?逆に断ればどうなるかわかってるわね? とご両親から伝言をもらってるわ」
「・・・まぁ、俺としてもいい条件だと思うんで・・・やるっす。」
この業界に適度な距離でおいてくれた恩もあるし。と思いながら契約書をよく読んでいた。こういう時はしっかり物の横島だった。
早速だが、引越しのための準備を行おうと思った。
しかし、まずはお隣である小鳩ちゃん達に報告しようと思いながらそとにでた。
「あ、横島さん」
グッドタイミング!
「あ、あの横島さん、ちょっといいですか?・・・またお米貸してもらえませんか?」
貧乏神が福の神になっても多少は借金はのこってるし、小鳩もまだ学生で収入が少ない。
それで時々、小鳩は申し訳ないと思いながらも横島からお米を借りたりする。
横島としても、かわいい後輩で、一時とはいえ夫婦になった関係だ。
多少は自分の首を絞めようが、かわいい女の子ためには火の中、水の中というのが横島である。
「ああ、いいよ・・・あの、さ・・・小鳩ちゃん」
外国米でもとてもうれしそうにしながら受け取る小鳩は、とても健気だと思う。
「はい、なんですか?」
その笑顔が目頭を熱くしそうだよ。小鳩ちゃん
「バイト・・・厳しいの?」
学生で女子である以上はできる仕事は限られてくる。
それでも母親がまだまだ病弱である以上、お家賃やその他諸々は小鳩の収入でどうにかするしかない。
それでも、常に雇われるわけでもないし、時給がいいとは限らない。
「ええ・・・お家賃もなかなか払えなくて・・・」
やはり、一番の出費は家賃だろう。
(そういえば・・・)
横島は美智恵との会話を思い出した。
「ああ、横島君。もしも知り合いとかが住みたいといったら、貴方が決めていいわよ。もちろんの家賃も」
美智恵は一応と思い。横島にそういった。
「え?社宅だから、オカルトGメンが入るんじゃ?」
美智恵は苦笑した。 確かにそう思われても仕方ないか・・・
「横島君、管理と名目上はオカルトGメンだけど。実質は貴方の物なのよ?貴方の物だから、多少はわがままやってもいいの」
できれば、オカルトGメンの社員も入れてくれたらありがたいけどね。と美知恵は後付した。
(小鳩ちゃんが困っているなら・・・)
「あ、あのね。小鳩ちゃん」
「はい?」
横島が小鳩にマンションに引っ越さないか?という話が終わり、小鳩も最初の方は渋っていたが、根気よい説得とマンションの管理とオカルトGメンの事務仕事を手伝ってもらう(当然、美智恵からは了承をもらっている)という条件でなんとか納得してもらった。
もちろん小鳩は将来、絶対に御礼はするといっている。
「うんうん、真面目な子も増えたし。益々仕事が楽になるわぁ」
美智恵はご満悦だった。これで旦那とのデートの時間が取れる。
おまけ 引越しをした後の人たちの反応
横島
「でかい冷蔵庫がある~!?」
とてもでかい冷蔵庫に思わず感激してしまう横島
「な、なんて・・・でかいテレビだ!?」
映りもいいし、新しい。しかもでかい。横島は少々気が遠くなりそうなほど感激していた。
「く、クーラーもある・・・ちょっとつけてみようかな?」
横島はボタンを押し、暖房にしてみた。
「あ~ぬくい!・・・でも、もったいないから消さねば」
しかし、彼はボタンを間違って押してしまった。
「あー!?ど、どうしたらええんや~?!」
あまりにアパートとは違いすぎて混乱している横島だった。
小鳩
「び、貧ちゃん! べ、ベッドがあるわ!?」
前のせんべい布団と違って、大きくてふかふかしたベッドだ。
「お、おちつくんや小鳩!それは噛み付いたりせえへん!」
小鳩はまるで怖い犬を触るように恐る恐る触るか触るまいか迷っている。
「で、でも・・・べ、ベッドなんて初めてで・・・」
ちなみに、横で彼女の母親はぐっすり眠っている。
「え、えい!」
小鳩は思い切って、ベッドに飛び込んだ。とても良い弾力が彼女を押し返す。
ぽよん、ぽよん・・・
「こ、小鳩?」
反応がないので、貧乏神は彼女に近づいた。
「なんや、ねとんのか・・・」
ベッドの心地よさについ、眠ってしまったんだろう。とても幸せそうな顔をしている。
「福の神が言うんもなんやけど、横島・・・あんさんは福の神やで・・・」
貧乏神は感激で少し涙ぐんだ。
あとがき
さすがに1日更新は無理でした(汗
どうも、皇月です。
今回のお話は、1話から約1ヵ月後の話です。
マンションに関しては、報酬で立てたものにしました。
アシュタロスを倒すのに貢献しましたから、これくらいはあってもいいかな?と思った結果です。
では、初めてのレス返しをば
音葛さん
この作品最初の感想ありがとうございました。
続きを期待してもらえるとは・・・がんばりたいと思います
零紫迅悟さん
神魔の特訓に関しましては外伝もかければ書きたいと思います。その時までお楽しみに
Danさん
楽しみにしていただきありがとうございます
九尾さん
熱烈なご感想ありがとうございます。
休眠ですから・・・そこまでしかいえませんね今のところは・・・後は秘密です(苦笑
柳野雫さん
軍服に眼鏡は似合いませんかね?一応、びん底ではなく。
少々、大きめの眼鏡のつもりでしたが。続きの方、期待してもらえてありがとうございます
リーマンさん
すみません、秘密です(苦笑
LINUSさん
続編希望ありがとうございます
最後に感想をくれた皆様ありがとうございました。