これは横島忠夫が臨死体験後(蒼風様のレス物語で壁がぶち抜かれていましたね)に出合った様々な怪奇事件である――
あ、ちょっぴり怖い話も混じっていますので、嫌いな人は止めて置いてくださいね。特に夜読むと結構怖いですから。
筆者も調べててビビリましたし。nacky様、有難うございました!
~その1~
横島君、蝶・美人の彼女が出来てとってもホクホク。
いつも食べているカップラーメンすら1000円分くらい美味しく感じます。
…と。何故か視線を感じました。
彼は、きょろきょろと部屋を見回します。
コタツ、異常なし。
冷蔵庫、異常なし。
テレビ、異常なし。
窓、異常なし。
押入れ、異常――ありました!
横島君、思わずすくみました――見えていたのは、目だったのです。
目が、少しの隙間からこちらを覗いています!
しかも、横島から見て左側に目は見えていたのですが、見えていたのは左目!
めり込んでいるのか――!?
横島君、ただちに戦闘体制を整えますが、ここは部屋の中。転びました。
そして、押入れから白い手がのびてきて――!!
――横島君を撫でました。
へ、と横島君が見上げると、覗いていたのは小竜姫だったのです。
そう。ちょっぴりありがちですが、彼女は押入れと妙神山を繋げてしまったのです。
「はー、吃驚したっス…繋げるなら繋げるで連絡してくれれば、こっちがビビル事も――覗いてるなんて、趣味悪いっスよ?」
その言葉に、小竜姫は首を傾げました。
「え? 私はただ、いきなり開けて吃驚させようとしたら横島さんの頭がちょうどあったので撫でただけですが――?」
~その2~
横島君、ものごっついバイクを見て、しばし呆然としてから雇い主の美神令子を見ました。
「こ、これに乗るんスか・・・?」
返事は言うまでもなくYES。
今回の除霊は、バイクに乗って遠くの県のある山に行けばわかるとの事。
横島君、怪訝に思いながらも、滑らかに乗ります(実は無免許)。
今回の報酬はこのバイクらしく、横島君も取らぬ狸の皮算用をしながらも峠道を走ります。
例えば、背中に当たる彼女の胸のやっこさとか、そーゆー事を。
ブロロロロロ…
夜風が頬にあたり、ブラックアイスバーンと呼ばれるめっさ滑りやすい道ながらも、横島君ある種のランナーズハイに陥っていきます。
と。
ブロロロロロ…
後ろのほうから、同じようなエンジン音が聞こえてきました。
横島君、それでハッ、と正気に戻ります。
そのバイクの音はだんだん大きくなり、そして、横島君を抜かしました。
そして、横島君が見たモノは――首無しのライダーだったのです!!
ギュウン、とバイクは横島のバイクを追い抜きました。
途端に、タイヤがパンクしました。
横島君、色々あって文珠はたっぷりです。
慌てず、騒がず。
「[片/輪]!」
ウィリーで、横島君は走ります。
ニクイ事に、[安/定]まで使っています。
「食らえ、[追/跡][爆][弾]!!」
横島君、文珠一気に3つも使って彼(?)に攻撃を加えます。
と、ここで神や魔族の力の強さの元を話しておきましょう。
信仰心。これが鍵なんですね、大抵は。
例えば唐巣神父のような人が多ければ神は圧倒的な強さになります。
逆に36巻呪い好きサンダーロードに出てきた少年のような人が多ければ魔が強くなるわけです。
同じように、妖怪もこういう事がありえます。例えば花子さんなんか蝶強力な妖怪です。
都市伝説でも、それは起こりえるんです。
バイクはコゲ1つすらなく、それどころか中級神魔を超えるほどの力を発揮する首無しライダー。
[安/定]にヒビが入りました。
「ちっ、ちくしょーっ!!」
横島君、アクセルを思いっきり回します。
ものごっついだけあって、圧倒的出力を誇るバイクで、朝までデッドヒート。
ようやく、バイクを振り切ることが出来ました。
気付けば事務所前。
俺ってたまにすげーな、と言いつつ中に入って仕事の報告をしようとすると、小竜姫が飛び出してきたのです。泣きながら。
話を聞けば――
「じ、実は(ひくっ)昨日、よ、よごじま(ひくっ)さんが、いっだ県れ、大地震が…」
もしかして、あのバイクは俺を助けてくれたんだろうか。
そう思って空を見上げると、耳元で声。
『――死ねばよかったのに』
~その3~
横島君、GS若手仲間――ピート、雪之丞、タイガー――と一緒に、スキーに行きました。
タイガーの車と、横島のバイク、雪之丞のサイドカーにピートという布陣でした。ちなみに全員運転免許もちゃっかり(金の力で)ゲットしています。
ピート以外は、彼女を上手くリードする練習のためです。
ああ、涙ぐましすぎる努力。何とか見れるようになった頃(横島は「伊達にスキー忠ちゃんと呼ばれてたわけじゃないぜーっ!!」と叫んで滑りまくり)でした。
やっぱり彼らは、遭難してしまうのです。しかも吹雪が。
「眠るなタイガーっ!!寝たら死ぬぞー!!」
ガックンガックン首を揺さぶられるタイガー。別の意味で死にそうになっています。
横島君、形見のバイザーを使って赤外線探知とかやっています。
…お、と横島君の口が丸くなりました。
「皆!山小屋だ!」
4人は、よっしゃーとばかりに疲れも忘れ、彼らは走ったのです。
中は、外より1度くらいは暖かかったのですが、使われていないのか全く暖を取れるようなものがありません。
「横島さん、文珠は」
ピートの言葉に対する答えは、首を横に振ることでした。
最近色々在って全て使ってしまっていたのです。
「…よし。皆角に立て」
ユッキーがリーダーシップを取りました。
ここで始められるのは――そう、4人が角に立って、走っていって次の人にタッチ。
そして、5人居なければ出来ないはずのアレなのですが、寒さで思考も凍結した彼らはやってしまうのです――!!
「――と、ああ、朝だ・・・!」
4人は、窓を開けて外を見ました。
その中で、横島は後ろを向き、言いました。
「有難うな、ワンダーホーゲル」
精霊クラスの神、ワンダーホーゲルがそこに居ました。
そう、彼らは4人ではなかったのでした。
ですがやっぱり蛇足が。
「いえいえ。…ところで、私が来る前に居たもう一人の方は――?」
「「「「…え゛」」」」
~その4~
横島君、バイクを貰ってホクホクのある日のこと。
山道を走っていると、突然子鹿が飛び出して来たのです!
もちろん横島君は避けようとしたのですが間に合わず。
バイクの前部はひしゃげ、小鹿は首を異常な方向に曲げ。
横島君、必死で文珠を使って治療するのですが、まもなく小鹿は息を引き取ってしまったのです。
意気消沈しながらも小鹿を埋め、横島君はその場を去りました。
さて、一ヵ月後。
横島君、除霊帰りの暗い夜道をバイクで走っていました。
後ろを見ると、なんと首の曲がった小鹿を加えた大鹿が走ってくるではありませんか!
横島君、必死で逃げました。文珠も無い、霊力も体力もないと言う極限状況下。
そこで、バイクの燃料が切れたのです――。
横島君は、覚悟を決めました。もちろんそれにいたるまでに様々な事象を思っていますが、解りきっていると思われるので省きます。
横を、突風が駆け抜けていきます。
見れば、【鹿NET】という名の運送業のトラックだったのです。
なぁんだ、思い、安心。
ふと後ろを見て――
終。