インデックスに戻る(フレーム有り無し

▽レス始

「今年できる事は、今年の内に(GSと思ってください^^;)」

さとふ (2004-12-31 18:24)

正直、今の俺はかなり緊張していたりする。
みんなにとっては、鼻で笑っちゃうようなことかもしれない。
でも、それが人生の一時を決める重要な出来事になるかもしれない、緊張した時間。

確かに大龍姫さんを呼び出したのは俺だし、明らかに不自然だと彼女も感じているっぽいし。
剣が峰に立たされた状態とは、当にこのことを言うのかなと呑気に考えていたり。
駅ビルの喫茶店で取り留めの無い話を1時間ほどして、その間にチャンスらしいチャンスも来なかったので、お別れ直前まで引っ張ってしまった。
そんな自分の意気地なさに情けないやら、悔しいやら。
エレベーターの中でそんなことを考えていようとは、大龍姫さんも思ってはいないだろう。


そうこうする間に、エレベーターが1Fに到着する。扉が開いて先に彼女を降ろして、続いて俺が降りる。
いつも通りに別れる手順を踏もうとした。少し歩けば、俺が使う電車のプラットホーム。

『ここで言わなきゃ男じゃない!』

ガキの使いになりそうな自分を、在り来たりのフレーズで奮い立たせて大龍姫さんを呼び止める。

「ちょっと…いいっすか?」

エレベーター前だから当然人もたくさんいるので、俺は怪訝そうな表情をしている彼女の耳元でソッと囁く。

「今…付き合っている男性、いますか?」

その瞬間、大龍姫さんはハッとした表情を見せたが、すぐに平静な表情に戻って…

「いないぞ」

と俺の耳元で囁き返す。彼女の反応と、俺の感情と、心の中で握った拳をグッと飲み込んで…

「じゃあ…俺と付き合って下さい…」

口に出した俺の感情は、恋慕の情。今年が終わる前にケリを付けておきたいと思っていた、俺にとっての重要な事。
喉に引っかかっていた、小骨のような物。
あとは、大龍姫さんの返事を待つだけ。賽は振られ、水はお盆からひっくり返った。
後戻りはもう出来ない。YESだろうがNOだろうが、これで人生の時間配分が少し変わってくるはずだから、流石の俺も緊張しまくり。

返事はすぐに返ってきた。それを聞いて、俺は呆然とした。全く予想だにもしていなかった返事だったから…

「何を言っておる?お主とはもう付き合っていたのではないのか?」

あれ?と、その返事に一瞬どう反応していいのか判らなかった。
けど、YESであることが確認できた瞬間、俺は身体中の力が抜けきっていた。
確かに、二人きりで色んなところに遊びに行っていたけど、まさかそんな風に思ってくれているとは…
そんな俺を、彼女は不思議な物を見るような目で見つめていた。

「いや、俺一度も自分から『好きです』とも言っていなかったので、ケジメが必要じゃないですか」

自分の考えていた事を彼女に話す。そんな俺を大龍姫さんは真っ直ぐ見つめて…

「でも…」

…と言葉を継ぎ足す。

「ラブラブとか、そう言うのは苦手だから…愛が足りないとか思うかもしれない。それでも構わないのか?」

そんな彼女の表情はさっきまでの立場と全く逆転していて、俺に不安そうな表情を見せていた。
いつも凛々しい大龍姫さんが見せるその表情に、愛おしさを覚える。

「構わないです。そっちの方が安っぽくなくて、俺にはイイっす」

俺は素直に思っていることを彼女に話す。
駅のコンコースということもあって、人はたくさん歩いてはいるものの、こっちのやり取りを気にする人は誰一人としていない。
完全に二人っきりの世界だよなコレ、と大分余裕も出来てきたので、もう一言付け加えた。

「でも、もしそういう気分になった時は、即俺に言ってください。いつでも受け付けていますから」

これが効果覿面だったらしく、大龍姫さんは…

「愚か者…調子に乗るでない…」

強く言おうとして、最後は少し萎んでいく。脈アリ!!ラブラブ出来そうだぞ、こりゃ。

「今までどおりと変わらないぞ。付き合い方は。それでもいいのだな?」

瞬時にいつもの彼女自身を取り戻した。この辺りは本当、流石神様だよなぁ。

「ええ。問題無いですよ。逆に変われと言われてどうしていいのか分からないので」

これでいつも通り。ゆっくりと時間を掛けて気持ちを深めていけば良いのだから、今日はここまで。
そう踏ん切りをつけて、大龍姫さんに別れの挨拶をする。

「俺、明日実家帰ります。それの準備もしなきゃいけないんで、今日はここでお別れですね」

どこかスッキリした俺の声を聞いて、彼女は微笑みながら…

「気を付けるのだぞ?良い年をな」

柔らかく俺に言う。大龍姫さんもどこかホッとしていたのかもしれない。

「はい。大龍姫さんもどうかお元気で。良いお年を」

そう言いつつ、俺はエスカレーターに乗ってホームへと降りていく。
大龍姫さんは俺の顔が見えなくなるまで優しい微笑みを浮かべて見送ってくれた。あの笑顔を見れただけで、もう俺の心の胃袋は満腹。
来年もいい年になりそうだな、こりゃ。

そんなことをポヘ〜っと考えていたら、鼻の頭に冷たい物が…

「雪かぁ…」


そんなグッと冷え込んだ晦日のとあるカップルの、出来立てホヤホヤの暖かい出来事でしたとさ。


BGM:【雪の降る町】ユニコーン


あとがき:はじめまして。こちらでは初めての投稿となります、さとふです。
     今年もあと僅かとなって、何か一つ書こうと思い立ちました。
     1時間で仕上げた作品ですので、推敲の類は一切していません。
     間違いだらけかもしれませんが、そこは笑って許してやってください。

     では、皆様良いお年を。


△記事頭

▲記事頭

PC用眼鏡【管理人も使ってますがマジで疲れません】 解約手数料0円【あしたでんき】 Yahoo 楽天 NTT-X Store

無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 ふるさと納税 海外旅行保険が無料! 海外ホテル