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▽レス始

「GS的昔話〜シンデレラ〜(GS+童話)」

斧 (2004-12-31 04:30/2005-01-01 21:01)

 昔々。ヨーロッパの辺り。カオスが全盛期ちょっとすぎた辺りの頃でした。

 そこに、シンデレラと言う娘がいました。
 彼女は継母と姉たちに虐められながら日々を過ごしていました。


 そんなとある日のお話――


「シンデレラ、ここがまだ汚れていますよ!」
 と言うのは美知恵さん、シンデレラの継母です。窓枠にしゅっと指を走らせるなんて、素晴らしいまでに前時代的姑さんです。
「ハイ…」
 弱々しげに答えたのはGS1と言える清純派我らがおキヌちゃん。バケツと雑巾を持って、ボロボロの服を身に纏っています。
「私の靴も磨いておきなさいよ!」
「アタシのドレスも繕っておくワケ」
 二人の姉が、シンデレラおキヌちゃんをさらに虐めます。それぞれ令子姉さんとエミ姉さん。4人ともどう考えても日本名です。
 シンデレラおキヌちゃんは心の中で――時には実際に泣きながらも、いつかはきっと何とかなる、と信じていました。
 …信じながら、たまーに嫌がらせをしたりとかもしてましたが。


 そんなある日の事でした。


 家に一通の招待状が届きました。
 どうやら家全体――つまりは、家族全員に対する招待状らしく。
 シンデレラおキヌちゃん、とりあえず継母美知恵さんに見せに行きます。
 継母美知恵さん、それを届けたシンデレラおキヌちゃんに一瞥すらくれず、犬でも追い払うかのように部屋から追い出しました。
 後には、必死でそれを読みふける継母美知恵さんだけが残されました。

 その日の夜です。

「シンデレラ」
 継母美知恵さんが言いました。
「1週間後舞踏会があるから、ドレスを出しておいて頂戴」
「ハイ…」
 どうせ私は出られないんだろうな――諦めに似た絶望を感じながらも、彼女は頷くのでした。


 いつもより数段明るいお城。青白い月が、煌々と彼女を照らしていました。
「いいなぁ…私も舞踏会に出たいなぁ…」
 ついつい本音がこぼれます。
 お父さんお母さんが生きていた頃には、彼女にもドレスがあったのです。
 でも今は、残っていてもサイズは合わず、他は全て質で流されてしまいました。
「はぁ〜あ…」
「ふむ、どうしたのかねお嬢さん」
 大変です。空中に変態が浮かんでいました。
 具体的に言えば、土色のマント、その下にランニングにスパッツ(肌に直)、ソレでいて膝より高い位置に来る蝶長靴。ブーツではありません。長靴。そしてその手にヒノキの棒を持っています。あ、よく見ると額に肉と書いてあります。
 シンデレラおキヌちゃん、愛用の箒で彼の股間を強打しました。彼はそこを押さえて落下していきます。
 ちなみにここは3階屋根裏部屋。結構高めです――あ、色んな骨が折れた音。
 しかし変態は再び浮いてきます。
「痛いではないか」
 普通の人ならこんなリアクション起こしますよ、と言う言葉をシンデレラおキヌちゃんは飲み込みました。賢明です。
 とにかく彼、魔法使いアシュタロスは言います。
「君は舞踏会に出たいのだね?」
 シンデレラおキヌちゃんは、言っていいものか少し迷いましたが、言わないと話が進まないとばかりに言いました。
「はい」
 いつもの、ハイ…とは違い、はっきりとした口調です。目線は魔法使いから微妙にずれていましたが。さすがに直視できないのでしょう。
 それならば、と魔法使いは頷き、呪文を唱えました。
「スゲーナスゴイデガシャアアアッ!!!
 どこからともなく著作憲法違反天罰が下ります。
 魔法使いアシュタロス、地面にヒトガタにめり込みましたが、彼はめげません。
「着せ替えガメランーッ!!!」
 部下(長女)の作ったやつです。魔法使いアシュタロス、とうとう堕ちる所まで堕ちてしまったようです。せめてオリジナルの呪文くらい考えましょう。

〜簡単 着せ替えガメランの使い方 始まり〜

ジョニー:ヘイボブ!!!こいつはどうやって使うんだい?
ボブ:こいつはねジョニー。ここに服を描いた絵を入れて被写体を移すとアラ不思議!!!元着てた服が消滅して書かれた絵の服装に変わると言う機械さyhee!!
ジ:そいつはすごいなボブ!で、元着てた服はどこに行くんだい?
ボ:そいつは企業秘密さジョニー!!HAHAHAHA!!!!
ジ:HAHAHAHAHA!!!!

〜簡単 着せ替えガメランの使い方 終わり〜

「むんッ!!!」
 無駄に気合を込めて魔法使いアシュタロスシャッターを切ります。
 パッ、と変わりしは純白の美しきドレス。ガラスの靴も完備です。
「さらにッ!!!カマァアーンッ!マザコン号・影薄い号・かませGメン犬号・お鎌号ッ!!」
 パキィイン、と素晴らしく響いた指パッチン。
 小柄な目つきの悪い馬、大きな、額にVの字はあるけどなんか影薄い馬、長い鬣のなんとなくカッコいい馬、毛並みが艶々とした馬が門の前に集結します。
「そしてェエーッ!!!」
 一瞬バックに幽波紋の如く現れる宇宙処理機<コスモ・プロセッサ>。
 それは、4頭の後ろにカボチャ型の見事な馬車を生み出しました。当然ながらぐけけけけと笑っています。
「さぁ、逝きたまえッ!!!王子が君を待っているぞッ!?12時なったらそれらは宇宙意思の介入で解けてしまうっ!!それまでには帰るようにっ!!」
「…漢字が間違ってる気もしますが…有難う御座いました、変態さん!」 
 素で言っちゃうシンデレラおキヌちゃん。魔法使いアシュタロスは、サムズアップサインと凄まじくイイ笑顔のまま――落下。


「王子ピートよ…誰かと踊る気はないのか?」
 公彦王様が言いました。鉄仮面をかぶったその姿は中々アレですが、ま、その辺無視で。
 王子ピートは頷き、ありません、と言いました。
「何故なら僕は…」
 ピートの視線は、ただ一人に向けられていました。
 そう――


 ウェイター陰念に。


「ってさすがに違いますよ!その後ろ!!その後ろです!」


 貴族横島忠夫に。


「王子ピート」
「なんですか公彦王様」
「カミングアウトは止めておけ」
 結局王子ピートは熱烈な視線を送ってくる姉エミに気付きませんでした。


 さて、こちらはお城についたシンデレラおキヌちゃん。
「有難う、皆」
 4頭の馬に礼を言い、彼女は走り始めます。既に10時を回っています。もう、時間は余りありません。
「急がなくっちゃ…」
 シンデレラおキヌちゃん、長い階段をハイヒールのガラスの靴で上っていきます。
 ガラスですので、どう考えても靴擦れを起こしそうなものなのですが。

 ギィ、と大きなドアが開かれます。
 シンデレラおキヌちゃん、必死で我慢してきたおキヌちゃん。
 いよいよ、晴れ舞台でした。
 入った途端、数人の視線がこちらに向けられ。
 それにつられる様に、ほぼ全員がこちらを向いたまま動かなくなりました。無論生きてはいます。
 それほどまでに、彼女は美しかったのです。
 皆が動けぬ中。
 一人の青年が、名乗りを上げました。
「美しい美しいおキヌちゃん。俺と一緒に踊ってくれるかな?」
 貴族横島忠夫でした。
 彼女はもう夢見心地で、再開した音楽に乗って彼と踊ります。
 曲の終わりに、顔が近づき――


「と言う初夢を見ちゃって…その…」
 所長室。美神とキヌの二人だけがここに居る。
 美神はなんとなくまたかと言うような顔をしていたが、ふぅとため息をつき。
「全く、あたしは人生相談所じゃないんだけどなー…」
 どうしたものかな、と思案に暮れていた。
 まずは、相手に気付かせる事から始めるべきだろう――彼女は、言葉をまとめ始めた。


<おまけ>

 貴族横島とシンデレラおキヌちゃんは紆余曲折の末結婚しました。
 姉美神との壮絶な取り合いの末の勝利です。
 そして、神父は――


サル。


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