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「神月風演義−第2話(GS+月姫+(まだ秘密))」

ドンペリ (2004-12-26 21:18)

※序章、第1話は過去ログのほうを参照してください

第2話「月と蜂の円舞曲」
また所変わって関東某所。
頃合は美神たちの元に小竜姫が現れたころ。ある公園でもまた、いくつかの影が交わっては離れるを繰り返している。夜の暗闇で影でしか判別ができないため、遠くから見れば暗い中を踊っているように見えるだろう。
だが、近づけばその異様さに気づく。大きく分けて2つに分かれる。

片方は血の気のない表情と血痕の残る服、緩慢な動きで相手を捕まえるべく動いている。結構な数がいる。

もう片方はその捕まえようとする動きをすばやく避け、その手にもった得物で斬り付けている。数は…そう、3人か。どうやら女性二人に男一人といったところか。

「ちっ!」
男は学生服姿に眼鏡、どこにでもいるような少年。右手には短刀か。その短刀に触れるものを簡単に断っていく。さながら加熱した刃物でバターを切るがごとく。

「ゼロ!!トロワッ!セット!」
片方の女性は修道服を着ているようだ。襲い掛かる人影を月面宙返りでかわし、そのままその手にもっている細い小剣をお返しとばかりに投擲する。狙いたがわず人影の背中や胸などに刺さったそれから青白い炎が上がり、一瞬のうちに人影は燃えきる。

「とんでけーっ!!」
こちらは派手な動きこそは見せないものの一度の破壊力がすさまじい。十重二十重とその女性を囲んでいるが腕の一振りで当たるを幸いに次々と消し飛んでいく。その手には得物がない。その着ている白い服に返り血すら付着していない。その金色の髪と白い服で舞を踊っているかとも錯覚しやすいが、この中での物理的な力では最も優れているだろう。

少年は日課となっている夜の見回りと死徒のなりぞこないの掃討を行うために恋人である吸血鬼と学校の先輩とともに公園へとやってきた。途中、しょーもないことでケンカをはじめて
「あなたのようなあーぱー吸血鬼、今度こそ完全に滅ぼします!!」
「へへ〜ん、やってみるならやってみなさい、カレーシエル!」
とまぁ、黒鍵を両手に持って吸血鬼に凄んだりしたこともあった。あれは確か今度の春休みくらいに少し旅行に行かないかと先輩に誘われたんだっけ。その場は何とか収めたけど、会えば会うなり何かとケンカになることが多い二人とこんなことをする自分が胃に穴あくんじゃないかと心配している。
そんなこんなで公園にきたときに異変が起こった。珍しく大量の死徒が現れたのである。二人と会うきっかけになった事件から1年半、タタリのあった事件からも半年あまり。人の出入りが激しい街とはいえ、かなりの数の死徒を滅ぼしてきていたはずである。最近では何回か連続で死徒に会わなかった時機もある。一時増えたのはタタリ事件の少し後くらいだろうか。今まで楽に滅ぼした奴らが妙にしつこくなったりと倒すのに一苦労したりしていた。半月くらいでそれも収まったから彼らとしても特に気にしてはいなかったが、そのころ、妙な格好していた歩行者をたまに見かけたりしてたの気になっていたりする(いかにも托鉢っぽいお坊さんとか、一緒にいた先輩とか)。
(そのころテレビでなんかやってたみたいだったけど琥珀さんのところにしかテレビが無いから知ることもできなかったもんなー。見るとその引き換えに得体の知らない薬飲まされたりするから)
有馬の家にいたころには東京になぞの巨石落下!とかってニュースを見ていたりする少年は物騒な世の中にはなってる気はするけどそれとて周りの面子に比べればはるかに遠くの世界である。
閑話休題。しばらくでなかった死徒が大量に出たことで久々のピンチを迎えていた。ここの死徒は必ずしも強いというわけではない。ただ、1体倒すとまたどこから乾いてくるのである。混沌の存在との死闘を繰り広げたときとはまた違う苦闘である。倒しても倒しても限が無い。このまま永久に出てくるのではないか。そう、この死徒がどこからか沸ききだしているような…。

あまりの死闘の緊張と長時間の反射移動のために肉体に限界がきた。スタミナが切れたのである。
「くっ!!」
「志貴っ!!」
「遠野君!!」
二人の声が響く。常人以上の戦闘能力を持つ二人とて圧倒的な数の波状攻撃に現状以上のフォローができない。彼を助けることができないのだ。

少年…志貴の手から七夜の小刀がはじかれる。肉体の限界で思うように動かない彼の手から武器が失った。噛み付こうとする死徒を抑えようと限界を超えた腕の筋肉で必死に抑えようとするも抗しきれない。彼に死徒の牙が迫る。

その瞬間、彼の目の前が一瞬黒くなった。ああ、俺は死んだのか。そう思った。アルクェイド、どうやら責任って奴は取れないみたいだ、先輩、世話ばっかりかけてすみませんでした、秋葉、そんな顔で怒らないでくれ、翡翠、君もそんな顔で睨まないでくれ、琥珀さん、ベッドの下に隠してある雑誌はこっそり捨てておいてください、秋葉に知られたらさらに殺されそうだから。

しかし、その次の瞬間、その黒い影は消え去り、公園の時計が目に入った。

彼女たちの目に入ったのは最期の瞬間に死徒に襲い掛かった蜂の群れである。あれはスズメバチか。大量のスズメバチたちがそれにすがった一瞬後にはその死徒は骨になって少年の足元に落ちていた。
「どうした、アルクェイド!前にあたしに啖呵を切ったのははったりだったのかい?!」
頭上に声が響く。この声はどこかで聞いたことがあった。そう確か…あれは一年半くらい前だったか。この街にきて彼に一度殺される前だったはずだ。確か蜂を使う魔族は…そう。
「何しにきたの?!ベスパ!」
公園の時計の真上の宙に浮いている人影がある。無論、空中を静止できる人間なんぞ存在しない。その影は人間より高位の存在、魔族のものである。影に気づいた金髪の女性…アルクェイドが声をあげる。
「久しぶりに会ったら何しにきたのとはご挨拶だな。せっかく手助けしたというのに」
「アシュタロスも消滅したのにいまさら勧誘?それに、こっちはたてこんでるの…よっ!」
「あんた、久しぶりに会ったら妙に鈍くなってない?そんなことじゃいつまでたっても倒せないよ」
そういうとベスパはその立ち位置から北東と南西、両手で強いエネルギーを放つ。エネルギーはそのまま虚空を抜けていく…はずであった。だが、さほど向こうに行かないところでエネルギーは壁にぶつかったように滞留した。
「仙術の八荒の陣にやられたようだね。そこの人間二人には気づかないのはわかるけど、何であんたが気づかないのかが疑問なんだけどね」
ベスパが力を加えるとそれは3人の前でパリンと砕けた。結界術である。仙道を習うものにおいては比較的初期の時点で覚える術であり、人間界においても比較的使いやすい術符が出ているのであまりにもポピュラーである。
結界が砕けた時点でその吸血鬼はその数をを失っていた。どうやら志貴やアルクェイド、修道服の少女…シエルが倒したものの大部分が偽者だったようである。アルクェイドとシエルの前には既に死徒は存在せず、志貴に止めを差そうとした者が最後だったようである。
「大丈夫ですか、遠野…!」
声をかけようとしたシエルの目に入ったのは木に張ってあった紙である。下から既に火が出ている。反射的に黒鍵を投げつける。黒鍵は紙の中ほどから切れ、燃えていたほうを下に落とした。
「ところで、何しにきたの?アシュタロスの手下にならないかって話なら断ったはずよ」
「いつの時代の話をしているんですか、あなたは。既にアシュタロスは滅びていますよ、東京でゴーストスイーパーの手で」
切り落とした呪符を拾ってそれが何かを調べるシエル。いつのまにか眼鏡をかけている。
「これは…GSの使用している結界札とも違うわ。おもにGSが使っているのはかつてヨーロッパの魔王とも言われたドクターカオスの開発したものを基に作られているわ。でも、この札は違うわ。文字と呪力の傾向から行くとおそらくは仙道、もしくは左道の術師が作ったものね」
「じゃ、私が知らなくとも当然だわ。中国のセンニンと闘った事なんてないもーん」
「とりあえず、助けてもらったことにはお礼を言わせてもらいます。ありがとうございます。おかげで助かりました」
戦う力があるとはいえ知識をもたない事で話についていけなかった志貴。やっと御礼を言うことができた。
が、その言葉をあまり快くおもっていない人物が一人。シエルである。
「遠野君、御礼は言わなくともいいですよ。彼女は魔族なんですから」
そういうと剣呑な目つきをするシエル。いつのまにかまた黒鍵が両手に握られている。
「何のようですか、あなたは。事と次第によっては魔を滅ぼすことに支障が無いですから」
「待て、あなたも協会の狩人ならデタント条約のことくらい聞いたことは無いの?第一今日の目的は…」
シエルを静止したベスパはそのまなざしを志貴に向ける。
「遠野志貴、おまえに用があるからだ」
その言葉にアルクェイド、シエルの二人が志貴の前に立つ。
「魔族のあなたがなんで一介の人間にようがあるんです!」
「志貴は私んだからね、他の人にはやらないわよ!!」
シエル、アルクェイドのせりふにベスパが切り返す。
「別にそいつを捕まえたりしないわよ。今回は神魔両方の用件だし、それに<ただの>人間じゃないでしょ?」
台詞とともに降りてくるベスパ。
「魔物狩りの一族に生まれて天武の才を持ち、なおかつ…」
歩いて近づく。「全ての存在を根底から破壊する才能、「直死の魔眼」の持ち主。これが一介の人間の持つ能力かしら?」
「アルクェイド、先輩、心配してくれてありがとうございます。だけど大丈夫です」
前に立つアルクェイドとシエルの肩を叩く志貴。
「それで僕に用事とは何なんだ?」
「手助けをしてほしい。おまえのその能力が必要なんだ」

ベスパが説得をはじめたのを上空から眺めている人影がある。彼女の現在の上司、ワルキューレである。
「ベスパも遠野志貴と接触したか。小竜姫もあいつらと接触したようだから、あとはヒャクメが水無月に会えば下準備は整うか。こちらも早いうちにやるべきだな」
そういうとその場から姿を消した。こちらでの最後の準備のために妙神山に向かったのであった

続く…


あとがき
お久しぶりです。遅筆ぎみなドンペリです。
GS面子と共闘その1が公開されました、月姫です。ちなみに時期設定はメルブラから約半年、リ・アクトはそのうちのいつ頃かにあった事にしておいています。

ちなみに残り後一つ、ヒントは本文中に触れられています。わかった人は以下のあて先まで(をい

それでは次回をお楽しみに!!


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