ある日、魔鈴さんに呼ばれ彼女の経営するレストランに足を運んだ。
扉を開けると、もうすぐ閉店する筈の店の中にはまだ客の姿が見られる。
店に入ってすぐのレジの横には、毛並みの良い一匹の黒猫がちょこんと座ってお
り、こちらに気づくと「いらっしゃいませにゃ、横島さん」と挨拶をしてきた。
おっと、紹介が遅れたな。
俺の名は横島忠夫。「世界で最強のGS」と呼ばれているGSだ。
この人語を話す黒猫は、この店のオーナーにしてシェフでありGSである魔女、魔鈴
さんの使い魔だ。
少々、生意気な所もあるが愛想は良く愛嬌もあるとあってこの店のマスコット的な
存在だ。
この猫の紹介はこれ位にして俺を呼び出した人に用件を聞かなきゃな。
「よお、魔鈴さんに呼ばれて来たんだ。彼女はいる「あっ、横島さん来てくれたん
ですね」と目的の人物が厨房から姿をあらわし微笑みかけてくる。
「こちらがお呼びしたのに申し訳ありませんがお話は閉店してからという事
で...それまではこちらでお食事をどうぞ。もちろん御代は頂きません」
「良いんですか?」
「もちろんです。こちらの都合で待たせてしまうのですから」
相変わらず律儀な人だ。まあ、魔鈴さんの料理は掛け値なしに美味しいし、この際
久しぶりにご馳走になろうか。
「じゃあ、お言葉に甘えて」
「はい、こちらにどうぞ」
カウンターの席につき、料理が来るのを待つ。
程なく、目の前に料理が並び、俺はしばし極上の料理を味わう。
料理を平らげ、食後のコーヒーを飲みながら世間話をする。
だが、そろそろ本題に入らねばとこちらから切り出すことにする。
「それで魔鈴さん、俺を呼び出さねばならない程の厄介事は何ですか?」
魔鈴さんの顔も真剣なものになる。
「あなたを呼んだのはこれから行われる、ある「戦争」を止めてほしいのです」
「戦争...ですか?随分物騒ですね。って言うか俺に何をさせる気ですか?
俺はごく普通のしがないGSですよ?『戦争』を止めろだなんて無茶言わんでくださ
いよ」
苦笑しながら言う俺に魔鈴さんは首を振りながら微笑む。
「世界最強のGSである貴方が何をおっしゃいますか。それに......」
と、表情を引き締める。
「この戦争を止めねば世界に壊滅的な被害が出ます。ですから必要なのです、貴方
の力が」
おいおい、世界ってまた随分と大事みたいだな。
「いったいどういう事ですか?そもそも、その『戦争』っていったい何なんです?
神族と魔族がハルマゲドンでもおっぱじめるんですか?」
が、魔鈴さんは、首を振り
「いいえ、そういったことではありません。ですがある意味ハルマゲドンより厄介です」
と、深刻な顔で言う。
一体なんだ?この人がここまで深刻な顔をするなんてかなりの事か、って言うかそ
んな厄介な事がこれから起こるって事なのか?
で、俺がそれを止める?
辞退していいですか
「駄目です」
「......口に出してましたか?」
「いいえ♪」
「.........(汗)」
深く考えちゃ駄目だな。
「で、魔鈴さん。その戦争の名前は?それと、どんな内容なんですか?」
「はい、その戦争の名前は『聖杯戦争』場所は冬木市です。
続く
初めまして、作者の蒼 雲龍と申します。
何分、初SS&初投稿なので見苦しい点もあるかと思いますが、なにとぞよろしくお願いします。