その日の午後、藍華ちゃんはアルくんに新しい髪型を見せに行きました
その背中に沢山のウキウキとドキドキを背負って
「藍華先輩、上手く行くと良いですね」
「そうだね~」
一寸大人っぽくなった藍華ちゃんを見て、アルくんは何て言うんだろう?
二人の間で交わされるであろう会話を想像して、ふと笑みが零れました
そんな私を見て、アリスちゃんもにこりと笑って
心がほんわか温かくなります
Persona pensante
そして残された私たちは藍華ちゃんに言われたとおり、練習に励むことにしました
夏の日差しでキラキラと輝く水面を滑る、アリスちゃんが漕ぐゴンドラ
少しだけ熱気を孕んだ風が頬に心地よいです
「ところで、灯里先輩。若し灯里先輩が髪型を変えたら、先輩は誰に一番見て欲しいですか?」
「え?」
アリスちゃんの唐突な質問に多少戸惑いつつも、私の頭の中に皆の顔が浮かんでは消え、また浮かんできます
アリシアさん、藍華ちゃん、アリスちゃん、晃さん、アテナさん…
若し私が、藍華ちゃんみたいに髪型を変えたら、私は誰に見せたいだろう?
何時の間にか、ゴンドラは建物の間にある細い水路を通っていて
ゆっくりと、慎重に舵を操るアリスちゃん
けれど私はそのことに全然気づかない位、自分の世界にとっぷり浸っていました
私が、一番見せたい人…
日差しが遮られているのには気づかなかったけれど、気温が低くて、少し肌寒く感じます
だから…、お日様が恋しくなってしまったからでしょうか
ふと、こんなことを思ってしまいました
若しこのもみあげ(もみあげじゃ無いですけど)が無くなったら、暁さん何て言うのかな…
惜しがるかな?
それとも、新しい髪形を「似合う」って言ってくれたりするのかな?
それに、「もみ子」じゃ無くなるから、私の名前、呼んでくれるのかな…
一寸怒ったような、照れたようなあの声で
「灯里――」
「先輩、でっかい顔が真っ赤です」
「え、えと。一寸暑いから、かな…」
気がつくと、何時の間にか細い水路を攻略したらしいアリスちゃんが目の前に立っていて、返事の無かった私の顔を不審そうに見つめていました
辺りは日の光と清らかな水の匂いに満ちていて、清々しい心地です
私は何を考えていたんだろう?
真っ赤になった頬を両手で包み、勢い良く頭を振って、先刻の考えを振り払います
…勢いがありすぎて、少しふらついてしまいましたが
揺れる視線で、ほぅ、と空を仰ぐと、真っ青な空に浮かぶ浮島が見えて
(暁さん…、今頃如何してるかな)
少し、自分の鼓動が早くなった気がしました
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