竹内の真意を知って、愕然とする生徒達。 今まで竹内という教師を心底ナメきっていた生徒達には、 竹内の心を始めて感じた事だったろう。
竹内の吐露はそれからも続いた。 今までの荒れ放題の中で、授業をやり続ければならなかった心情や、 今まで知る事のなかった、担任としての苦悩をぶちまけていた。 それを聴いて泣き出す者も数多くいた。
この時には下校時間をとうに過ぎ、窓の外も暗くなっていた。 廊下側の窓から、うちのクラスの異変に気が付いた、ほかのクラスの生徒が 時々様子を伺うように覗き込む。 生徒の中には、塾の時間だから帰るという者や、 いや、俺は残るよ、という者もいた。
・・・こんな時間がどの位続いたのだろうか? 話に丁度、区切りが付いた瞬間、 突然廊下の扉が開き、人が入ってきた。 美術の教師だった。
この教師は廊下であらかた話を聞いていたのだろう。 入ってくるなり、それまでの話の総括と 明日までに反省文を書いて来るように約束させ、 今日は解散とさせた。
あの時の出来事は、大げさに言えば、 ドキュメンタリー学園ドラマといえるかも知れない。 その後、あれほど好き勝手やっていたうちのクラスだが、 この出来事を境に変わって行った。 3学期の最後に校内音楽会というものがあり、 それに向けて朝錬までやる事になった。 結果は2番だったのだが、最後の締めくくりの挨拶で、音楽の教師にして 「本当はうちのクラスを1番にしたいぐらいだ」と言わしめたのだから、 相当な変わり様だったのだろう。
それにしても、最後にこんな展開で締めくくられるとは、誰が予想しただろうか? あの地獄の様なクラスが、こうも変わるものなのか? ・・・馬鹿げている