このような状況の中、 U達とある一定の距離を保ちつつ、日々を何とか過ごしていた。 相変わらずSや I は、いじめられていたが、 その矛先が、いつまた俺に向かうか解からない情勢だ。
ここであの「K」が現れる。 Sと一緒に俺へのいじめを行なっていたKだが、 Sがいじめのターゲットになりそうな雰囲気を察して、既に関係を切っていた。 Sと関係を続けていれば、 いずれ自分にもいじめの矛先が向くのは解かりきっている。 Kも、Uとまともに付き合えるほど突き抜けていなかったし、 だからといって孤立している訳にも行かない。 当時の俺と同じような立場に立たされていた。
ある日Kが一人の生徒と釣りの話をしており、 それを見付けた俺が釣りの話を振った所、 「お前も釣りやるの?」という流れになったのを覚えている。 それをきっかけにKと付き合う事になったのだ。
それは誰もが口には出さなかったが、みんな気が付いていた事だ。 これは「友」ではなく、「身を守る術」だという事をね。
このような背景もあり、 俺とK、あともう一人で「三国同盟」を結ぶ事になった。 俺たち3人は、手に負えないUとではなく、 まだ絡み所があるYと関係を保つようになった。 Yも俺達がクラスの中で、Yを引き立てるような絡み方をしていたので 絡みがいがあったのだろう。 俺達は、ここでバランスを取る事に、一応の成功を見出していたような気がする。
中学一年で、 これ程のパワーバランスを意識しながら 過ごさなければならなかった事には改めて驚く。 まさに戦国時代を彷彿させるよ。