Sの名前を見つけて、 嫌な気分になったが、こればかりはどうしようもない。 確認だけ済ませるとその場を離れた。
気を取り直して、周りを見渡すと、 これから校庭に集まる事になるようだ。 皆が慌しく指示される場所へ向かっていく。
この時、 校庭の方から場違いのような怒声が響いてきた。 あまりの事にあっけに取られたのだが、 この中学の教師達が、 それ程ダラダラしているわけでもない生徒達に向かって、 「おら、早くしろよ!何時までも小学生気分でいるんじゃねぇえっ!!」と、 まるで親の敵のように怒鳴っていた。 なぜ怒鳴られているのか意味も分からず、足早に並んでいく生徒達。 入学式当日からこの調子だった。
もう分かると思うが、この高圧的な怒鳴り方は、 入って間もない生徒の反抗心を押さえつける為だ。 当時、こんな事しか思いつかない、くだらない教師達が、 「まずは最初が肝心だ」とでも思ってやっていたのだろう。 中学が荒れているとはいえ、 こんなのは、まともな生徒にしたら たまったものじゃない。 暴れる気などさらさら無い俺には、 物凄く不快だった。
そうこうしているうちに、 校庭での校長の挨拶や、 取り留めの無い一連の行事が終わり、自分の教室へ向かう。 廊下に規則正しく付き出された、 クラス番号を頼りに教室へと入り、 緊張しながら出席番号順に席へ着く。
周りを見渡すと、
俺の前にSが座っている。
・・・嫌な感じがした。
しばらくすると、教室へ クラスの担任になる教師が入ってきた。
竹内・・・国語の教師だった。
今でも忘れない、 俺の人生の中で最悪の教師。 あの時引き起こされた、いじめの地獄絵図は、 この教師の馬鹿さ加減の上に成り立っていたと言って良い。
これから後、 所々でこの教師の無能ぶりを書く事になるのだが、 この日は授業も無く、この教師から中学の簡単な説明を聞かされ、 今日は解散となった。