一月のある日の放課後にて 「せ、先輩!ちょっと相談があるんですが…その…ここでは人に聞かれますから屋上で。」 どうしたんだろうか?いつもより不機嫌そうだ…が、思い当たる節がない。 とりあえずは言われるがままに屋上へついて行くことにした。 …ここは好きだ。高台ほどではないがこの町が見下ろせるし、放課後は部活動生の様子が見れる。 一月のちょっと冷える風が気持ちいい…のだが、直斗のほうはそうでもないようだ。 ため息をつきながら直斗が言った。 「先輩…どうして僕だけこんなに……なんでしょうか…。」 「どうした?なんか今日は機嫌悪そうだけど…なにかあったのか?」 「………身体検査です。」 あぁ、成程やっぱり、大体予想はついていた。直斗らしいかもしれない。 「その…身長が…伸びないんです。牛乳も飲むし、運動もしています。でもなぜかその、えっと…ム、ムネだけが…」 「こ、こんなこと相談できるの先輩だけしかいないので…ほら、先輩って背、高いじゃないですか?普段どんなことしてるのかなーと…」 そんなこと言われたって、TVの中入ってシャドウと戦っていたこと以外はまったく普通の生活をしていたわけだし、 いいアドバイスなんてないのだけども。身長が高かろうが低かろうが直斗のことが好きなのには変わりない。 「こんくらいのほうが直斗っぽいよ。このくらいがかわいいと思うな?」 「で、でも……先輩がよくても僕は……あっ」 その小さい体を引き寄せて、抱きしめた。ちょっと強めに。 「このくらいのほうがいいとおもうな?」 「わ、わかりましたから離してください…。」 「……あったかくて気持ちいいからこのままがいいな。」 「う…あなたがいると本当に調子が狂います…。」 直斗が恥ずかしそうに顔をうずめた。