男二人×ジョニィ(過去)無理矢理。18禁です。苦手な方ご注意ください。





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 夢の中で父は泣いていた。
 泣きながら何度も言葉でジョニィを呪う。いつも、目を覚ましてから夢だと気づく夢を、その日も見た。
(あんな大きなことがあったのに、またこの夢か)
 そんなことを病室でぼんやりと考える。どうやら夜が明ける前に目を覚ましてしまったようだ。
 夢の中は辛かったけど、目を覚ましても幸せというわけではない。
 冷たい部屋、知らない場所。そして、いくら力を入れても動かない下半身。今まで当たり前のように動かしていたのに、ほんの数日で力の入れ方すら朧気になってしまった。
 この足は、もうしばらくでまた動くようになるのだろうか。そんなことに思考を巡らせていると、ふと足下で何かが動く音がした。ベッドが軽い軋みを何度も繰り返す。
(何だ、誰かいるのか…? 看護人? こんな時間に)
 訝しく感じ、重い体を少し起こす。するとやはり、ベッドの足側には男が座っていた。しかし、声を掛けようとしてジョニィは驚き、上半身だけで飛びのいて思わず大声を出してしまった。
「うわ!? だ、誰だっ!」
 てっきり看護人だと思ったのに、そこにいたのは違う男だ。看護人よりも背が高く不潔そうで、目の焦点が今ひとつ定まっていない。
 ジョニィの声に男も驚いたようで、大げさな仕草で慌てて弁解する。
「しー、大きい声出すなよ。俺は、近くのベッドにいる患者で」
「さっさと退けよ!」
「そんなに怒ることないだろ? いや、その、毛布が落ちてたから、掛け直してやったんだよ」
 見ると男の服は自分と同じもので、本当に同室の入院患者らしかった。ずっと寝込んでいて周りすら見ていなかったことに今更気づく。
「ああ、それは、どうも……」
 だが、とてもそんな理由は信じられなかった。ジョニィはそんなに寝相が悪い方ではないし、今は足が動かないから寝返りもなかなか打てないのだ。
 しかし、金も何も無いので物取りでもないだろう。そうすると他に浮かぶ原因も無いので、不審に思いながらも一応礼を言う。
 だが、それで戻るかと思った男はベッドから下りない。それどころかジョニィの腰近くに手を置いてくる。何事かと男の顔を見ると、何故かニヤニヤと笑みを浮かべていた。
「何してるんだ、早く自分の場所に戻れ!」
 異常な気配を感じ、思わず声を荒げた。しかし男は少しも怯まず、言葉を続ける。
「口の利き方を知らねえ坊主だな。天才ジョッキー、ジョニィ・ジョースターの悪い噂の数々はマジだったってか」
 どうやら相手は自分を知っているらしかった。確かにジョニィはこの辺りでは有名であるし、特に病院のような狭い空間では、近くの人間の素性など簡単に知ることができるだろう。
 けれどもその言葉は明らかに露悪的だった。
 頭がカッとなり、ジョニィは加減せず男を殴る。
「いてえ!」
 鈍い音がし、男が呻く。そして胸元を押さえて体を引かせた。ジョニィは勢いよく毛布をめくると、それを相手に投げつける。毛布はバサッと音を立てぶつかった。
「さっさとあっちに行け! てめえの与太話に付き合う気はねえんだよ!」
「こ、このガキ…!」
 起き上がった男は鼻から血を流していた。そして瞳を燃え上がらせ襲ってくる。
 どうせ足が動かない自分では勝ち目がないが、どうでもいいから殴りでもしてさっさとどこかへ行け、と思う。
 ところが激昂した男は殴りかかってはこなかった。ベッドに馬乗りになると、のし掛かってくる。予想外の行動に慌てる間もなく、片手が股間に置かれる。衣服越しとは言え、あまりに常軌を逸した行為に一気に鳥肌が立った。
「離せ! 離せよテメエ! 何やってんだ!」
「あれ、逃げねえな。下半身が動かないってマジか、楽だけどあんまり楽しめねーかな。まあ、一人でやるよりゃマシか。せいぜい大人しくしてろよ」
 起き上がろうと、上半身だけでもがくジョニィを見て男が言う。
「この野郎、何する気だ…!」
 さすがにそこまで言われれば相手の意図にも気づくが、それはとても信じられるものではない。
 抵抗を一段と強めて掴まれた腕を振りほどく。そのままその反動で殴ると顔を殴り返された。舌を噛んでしまい、口から血が出る。身を捩ると、今度は脅し程度の力で再び殴られる。鉄の味が広がった。
「うるせえガキだな! せっかく、寝てる間にやってやろうと思ったのに。どうせ抵抗したって動けやしないんだから、じっとしてなって」
 男がぞっとするようなことを言うと、他人の声がした。
「お前ら、寝てるんだからもう少し静かにやれよ」
「ホモかよ。きめえ」
 さすがに、ここまでの騒ぎで室内の人間は目を覚ましたらしかった。が、誰も止めようとはしない。質(たち)の悪い病院には質の悪い人間ばかりが集まっていて、めったに無い『娯楽』を見て楽しんでいるようだった。
「何だよお前ら! ――おい、看護人、来いよ! やめろ、とっととやめねえと殺すぞ!」
 再び大声を出すと、室内に静かな笑いが起こる。そうこうしている内に下半身の衣服が脱がされていくので、ジョニィは再び全力で男の頭を殴った。
 だが、バランスを取るため足にも力を込めようとしてしまい、うまく力が入らない。その上のし掛かられた体制は不利で、手をあっさり掴まれてしまう。
 その時、キイと病室の扉が開く音がした。さっきから騒いでいるので宿直の看護人が様子を見に来たらしく、面倒そうに注意をする。
「お前ら、さっきからギャアギャア騒ぐなよ」
「こいつを何とかしてくれ!」
 助かった。いくらいい加減な病院でも、これで何とかなるだろう。そう思ってジョニィは安心したが、看護人には男を諫める気配が無かった。
「何だよおい、ホモの痴話喧嘩か」
「な、……何を言って――」
 愕然とする。
 そしてジョニィを組み敷いたままの男は、看護人の言葉を聞いて不満そうに言った。
「ちょっと待てよ、さっきから。俺は別にホモじゃねえよ。ちょーっと溜まったところに丁度生意気なのが入ってきたから、教育してやろうと思っただけで」
 その台詞に部屋が沸く。看護人までもが一緒に笑っている。あまりに悪い空気に頭がウワンと鳴った。
「まさか放っておく気じゃないだろうな!」
 怒鳴るが、やはり相手がジョニィを救いそうな気配は無い。それどころか鼻で笑い、立ったままベッドを見下ろすと屈辱的な言葉を吐いた。
「何だよ、そんな偉そうな口利いていいのか? 天才ジョッキーの……ああ、元だったな、元。もう馬にゃ一生乗れないんだから、ははは。まあとにかく、お前の扱いをどうするかなんて俺次第なんだから、嫌な思いをしたくなけりゃ面倒ごと起こすなよ。天才ジョッキーだったジョニィ・ジョースターさん」
 数日前と似た揶揄に体が震えた。ジョニィは馬が好きだ。そして乗馬が好きだ。それはとても正気では受け取れない言葉であり、耐え難い苦痛だった。
 言葉の意味を受け止めるより先に、罵倒されたという事実に鼻がツンとする。
 けれどこの程度で泣くわけにはいかない。憤りと悔しさで浮かぶ涙を、唇を噛みしめることで堪え、看護人を睨め付ける。
 それを見ながら男が笑い、ジョニィの背中を掴み、転がす。うつ伏せの状態にさせられたまま、更に両手を片手で掴まれ、途中まで脱げた下の衣服を一気にはぎ取られた。
 このままではどうなってしまうのか。ぞっとする想像に、力を振り絞ってもがこうとする。しかしあまりに悪い体制ではどうにもならなかった。
「突っ込んでからなら暴れてもいいぜ、腰振る手間が省けるから」
 部屋の誰かが勢いよく吹き出す。男が自分の股間を探る間にジョニィはベッドをずり上がろうとした。それも簡単に押さえ込まれる。
「やめろ、やめ……う!」
 ぬちゃ、と嫌な音がする。同時に後ろから体を突き上げられ、体が前にずり上がる。体が冷える。下半身に感覚が無いので肉体的な苦痛や不快さは無かったが、ついに男が強引に性器を突っ込んできたらしかった。
 ジョニィの視点からはベッドのシーツしか見えない。そこにグチュグチュと何かをかき回すような音が聞こえてきて、振動で上半身を揺らされている。
「う、うあ、……」
 吐き気がした。はっきりした激しい不快感が襲ってくる。感覚が無いまま強引に体を繋がれるのは気味が悪く、頭が痛んだ。気色が悪い、ホモ野郎、死ね、死ね、死ね! 最悪だ、殺してやる! そのいくつかを口にしたが、涙声のそれは男の喘ぎ声にかき消されるばかりだ。
「力入らねえんじゃユルユルかと思ったが、……っ、まあまあだな! ぐっ」
 お互いにうつぶせた姿勢のまま揺すられ続ける。古いベッドが壊れるのではないかと思うほど軋んでいた。結合部から生々しい音が、下からはシーツと服がこすれる音が、周囲からは室内にいる人間の嘲りや囃し立てる声が聞こえてくる。
 上半身に掛かる揺さぶりだけでも息が苦しいほど、男は激しく腰を突き込んでいた。
「うっ、や、止めろ……さっさと、抜け…」
 現実感の無さに、言葉に力が入らない。男は相変わらず息を荒げ、腰を何度も何度も、大きな音を立てて動かしている。
「はぁ、き、気色が悪い……」
 滲んだ涙が零れそうだ。もう抵抗の術は無いものの、黙って好きにされるわけにはいかない。ジョニィはシーツを強く握ると、できる限り声を震わせずに叫ぶ。
「粗末なもの押しつけやがって! この短小の包茎野郎!」
 口にした途端、握り拳で殴られ鼻血が流れる。そして部屋中の人間が爆笑した。その笑い声を聞いて、男は言葉にならない言葉でジョニィを罵り、今度は平手で頬を打つ。床にまで血が散った。
「ちくしょう! 黙ってやられてろ!」
 顔を真っ赤にして男が叫ぶ。幸いにして相手の性器は目にしていなかったが、どうやら当たっていたらしい。ほんの少しだけ胸がすく。
 だがそれと不快感は全く別で、のし掛かる男の重さと体温から行為を認識し続けなければならないのは変わらない。男は気持ち良さそうに喘ぎを洩らし、激しい動きを小刻みに変えていた。
 数日前にあんな目に遭ったと思えば、今は気色の悪い男にこんなことをされている。しかも、周りに何人もいる中で。当たり前だが、こんな暴力を受けるとは想像したことすら無かった。
「あ、うっ」
 揺さぶられ思わず洩れる自分の声も憎たらしい。なぜ、こんな衝撃による声も我慢できないのか。悔しかった。
 これ以上声を出したくなく、また、精神的な疲労が大きかったため、ジョニィは突かれるままベッドに突っ伏した。口と鼻から血を流しながら瞳を閉じる。しばらくそうしていれば終わるはずだ、それまでこうしていようと。
 だが近くでベルトを外す金属音がし、その考えは数秒で裏切られた。
「俺の暴れ馬も鎮めろよ」
「う……!」
 はあはあと、看護人が息を荒げながら趣味の悪い冗談を言う。そして髪をつかんで無理矢理上を向かせてきた。思わず目を開くと、目の前には勃ち上がりかけた性器があった。
「なに変なモン出してるんだよ、しまえよ!」
 動揺して思わず妙なことを言ってしまう。
 めったに目にしない他人の男性器を、しかも至近距離で目にしてしまう。半分ほど勃起したそれは歪な形をしていて気持ちが悪い。ズボンに入れていたせいか蒸れた臭いもする。嗅いだだけで吐きそうだ。
 ジョニィが思い切り顔をしかめて逸らすのを見ながら、看護人は興奮して自分の性器を数度扱いた。そしてジョニィの後頭部を手で掴んで引き寄せ、それを唇に触れされる。
 ぬるりと滑(ぬめ)る感触に、ジョニィは思い切り暴れて身を引いた。
「汚いもの押しつけるな! っあ、うく、う」
 けれど、後ろから突かれ前からも頭を掴まれると逃げられるはずもない。
「大人しくしてろよ」
「このヤロ………ぐ!」
 再び頭を強引に掴まれる。そして、罵倒に開いた口に一気に汚い性器を入れられた。口の中をいっぱいに広げられ、ぬるぬるとした気持ち悪いものを押しつけられ呼吸が苦しい。その上、7割方入れたところで頭を固定される。
 唇には看護人の陰毛が当たり、それもどうしようもなく汚らわしかった。あまりの気持ち悪さと呼吸の苦しさに喉がえずく。そこに後ろからの突き上げがあり、その揺さぶりで口に入っていなかった分も全て入ってしまう。
「んむ……!」
 喉が苦しい。今すぐにも吐いてしまいそうだ。そんなジョニィを少しも気にも留めず、看護人も好きなように動き始めた。
「無理矢理突っ込むと喉が動いて気持ちいいじゃないか、ははっ」
「こっちも、…思ってたより、……ずっといいぜ!」
 男たちは勝手なことを言いながら好きなように動いている。そして、その周りで室内の人間は囃し立てたり雑談をしたり、好きなようにしている。
「げふっ、……んっく、うう」
 ろくに呼吸もできない。酸欠になりかけ、喉が震える。だがその動きは看護人にとっては良いらしく、一人で盛り上がり、熱の篭もった短い息を吐き続ける。苦しさで、一度止まった涙がまた滲んだ。
 相変わらず体の後ろからはグチャグチャと不快な水音が聞こえてくる。腰を掴まれる手には力が篭もり痛かった。今、一体自分はどんな姿勢を取らされているのか。考えると気が遠くなりそうだった。
(早く終われ)
 そう思うことしかできない。目を開くと看護人の性器を見てしまうため必死で閉じるが、そうすると視界が無い分口の中が鋭敏になってしまう気がする。頭を揺すられるごと、唾液に性器の味が混じる。舌触りも最悪でまるで巨大な芋虫のようだった。ぬるつく大きなものが口を何度も行き来する。
 一度口内を突かれるたびにもう限界だと思うが、伝える術も止めてくれるはずもなく、延々汚いものを押しつけられ続けた。
 そして、感覚の無い後孔よりよほど苦痛だった口淫は、しばらくして唐突に終わった。
「……そろそろ出、あ」
「ぐう!? ……げは、ごほ、けはっ!」
 看護人の言葉と同時に、銜えさせられた先端から熱いものが吐き出される。丁度一度抜かれたところだったため、舌の上に液が飛び散った。途端に口全体に一気に吐き気が広がり、考えるより前に咳き込んで精液を吐いた。
 それでも耐え難い不快感は消えず、服で拭ったら拭いきれない分を舌にくっつけてしまう。べとついた液は信じられないほど苦かった。何度吐いても味が口から消えない。逆に、だんだんと味を認識してしまうようだ。
 口から萎えた性器が抜かれた。それを見て、舌にドロリと液が掛かる感覚と、先ほどまでの性器の感触をはっきりと思い出してしまう。口の中ではますます苦い液が広がっていくようで、唾液に混ぜて吐き出してもそれ以上に飲んでしまっている気がした。
 ジョニィはその味についに涙を零してしまう。
「げほ、げほ! ち、ち、ちくしょ……、っく、う、…うう」
「ああ、喉の奥で出してやろうと思ってたのに」
 後ろの男に腰を突き込まれながら、ジョニィはベッドに突っ伏し肩を震わせた。看護人はそれを見ながら残念そうに独りごちる。ここまで我慢した涙は一度零れるとすぐには止まらなかった。
「くそっ、……う…。この、野郎……うっく」
 悔しくて両手で思い切りシーツを掴む。シーツからは口から零した精液と、自分の血の臭いがしていた。こんなことの後では血の臭いの方がよほどマシだった。
 男たちはそんなジョニィを見て、好きなように言葉を口にする。
「すっきりした。じゃあな」
「あーあ、泣いちゃった、泣いちゃった」
「俺ももう少しで出ちまいそうだ!」
 一体こいつらは自分をなんだと思っているのか。何故こんな目に遭うのか。そう思うと悔しくてまた泣いてしまって、それを見て男たちは嗤う。
「泣くなよ。情けねーな!」
 ゲラゲラという下品な笑い声はどこか遠くのように響いた。
(分かってる、分かってるさ。こうして泣いて、どれだけ情けないかなんて)
 シーツに突っ伏したまま、ぐちゃぐちゃする頭でそう思った。泣くのが自分の意志であるはずがない。泣きたくなんかないに決まってる。でも、体が言うことを聞かないのだ。
 今回だけじゃない。そうだ、いつだってそうだった。この体は思い通りに動かない。父さんと口論になって突き飛ばしてしまったときも、兄さんのように乗馬ができないことも、ずっとずっとそうだった。いつも僕の体は、僕は、僕自身も周囲も裏切ってきた。
 自分を好きになれない。だから、そんな自分は誰にも一生愛されない。きっと僕は一生そうなのだと思う。優しい兄が逝ってから初めてそれを知った。優しくて、優秀で、大好きだった兄さん。僕がダニーを森へ逃がしたせいで死んでしまった兄さん。どうして、いつも自分を待っていてくれた兄が、こんな時に先に逝ってしまったのだろう。僕のことも連れて行ってくれたら良かったのに。
 兄のことを思い出すとき、いつも父と口論になったあの日が記憶に蘇る。あのとき、父が言った通りだ。神様は連れて行く相手を間違えた。僕がダニーを逃がして、運命を変えてしまったから。
 不意に、これは罰なのだと思った。今こんな目に遭うのはその罰で当たり前なんだと。そう思うと、こんな行為も償いであり、自分を浄化する手段のようで、少し救われた。
 きっと僕はこれからも苦痛を味わい続けるんだろう。贖罪のために。そして最後の罰を受けるとき。運命が僕を殺すとき。自分の魂は、少しは昔に戻って、兄の元へ帰れる気がするのだ。
 そしたら兄はどんな顔をするだろう? 驚くだろうか? ううん、優しい兄さんだから、きっと笑顔で、頑張ったなって言ってくれる。そしたら、そしたら僕は、あの頃みたいに素直になって、兄さんに謝ろう。そして甘えて、また兄さんを困らせるんだ。

 男が低く呻いて体の動きを止めたとき、ジョニィはぼんやりとそんなことを考えていた。


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「よっし、ジョニィ。準備できたぜ、そろそろ寝るか」
 スロー・ダンサーとヴァルキリーの毛並みの手入れをしていてジャイロに声を掛けられた。今は寝るための準備をしていたところだ。
 簡易ベッド作りをジャイロに任せ、ジョニィは馬の毛並みを整えていた。その間に明日の旅のルートや、さっきした何気ない会話を思い出して心を弾ませていたら、すっかり時間が経っていたらしい。
「ちょっとしたら行くよ」
 振り向いて一言返事をし、ブラッシングを再開する。きりのいいところまで終わらせて二匹の頭を撫で、お休みを言い道具を片付けると、ジャイロはもう布団を被っていた。今にも寝息が聞こえてきそうだ。
 その早さに思わず軽く吹き出した後、ふと思いついて小声で問いかけてみる。
「ねえジャイロ。僕は、少しでもジャイロの役に立ってるか?」
 ジャイロはいかにも眠そうに、瞼も開けないままで言う。
「わざわざ聞くなよ、当たり前だろ」
 そしてジョニィの頭を軽く撫でると、今度こそ本当に眠りについてしまった。
 さすがにもう起こすわけにはいかないので、ジョニィも自分の布団に潜り込む。それからジャイロの寝息が聞こえてきた頃に、小さく呟いた。
「ジャイロ。僕は、君に会えて本当に良かった」
 そしてそのまま心地よい眠りについた。

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他に文も性描写含のもないんで分類に困ります。どうしよ。まあしばらくしたら何とかしよう。しばらくしたら…なんとか……
ところでスロー・ダンサーってなかなか(どころか全然)作中で名前呼ばれませんよね。「お前の馬」とかゆって。ヴァルキリーは何度も呼んでるのに酷いわ!って思います。でも、スロー・ダンサーって、名前自体がちょっともの悲しいので、作中で「お前のスロー・ダンサー」とか言われれても切ない気持ちになるだけかもしれない。


閉じてください。

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