~とある山で~ 今、俺は自分の趣味で山の中を探検している。 一人で行くというのが俺の主義だ、別にはっきりとした目標があるわけではない。 さっきも言ったように単なる趣味だ。 オット、紹介が遅れた。 俺の名前は "シルバ" 獣人族の出身で、狼の血をひいている。 「今日はどんな発見があるかな・・。」 とつぶやきつつ、山の奥の方まで入ってきた。 「はぁ~。少し疲れたな。」 もともと持久力がすくなく俺は、スタミナをつけるためこういうことを始めたのだ。 バッグに入っている水を少し飲みまた歩き始める。 ふと、ある物に目が止まる。 「何だ?あれ。」よく見ると山頂のほうで何かが輝いていた。 山頂まではさほど遠くはないようなので、俺はそこへ行ってみることにした。 しかし、のぼっていくと小さな崖にぶつかった。「オイオイ、マジかよ。」 「ここが一番ひくそうだな。」 周囲を散策して一番のぼりやすそうな所を見つけると、バッグからロープを取り出しフックを結びつけて崖の上へ投げた。 何度か投げるとフックはどこかに掛かり、俺は、足場を確認しながら登っていく。 上の方まで登った所でフックの掛かりがあまかったのか、枝が折れたのか、俺は崖から落ちてしまった 「・・・ッ!!」 不意の事に声が上がらない ドサッ! 「うっ!・・痛ッテェ~」 背中を強く打ち付け、息苦しくなる幸いにも、地面はやわらかい土と葉っぱがあったので、大事には至らなかった。 腰に着けているバッグもクッション代わりになったようだ。 「ふぅー」と深呼吸をし、立ち上がる。 「注意が足りなかったか・・俺としたことが・・。」 「よし!もう一度だ!」 またロープを投げる。 今度はしっかり掛かっていることを確かめる 「これで大丈夫だろう」 足場を確認しながら再び登り始める。 今度は無事登りきった。 その場で一息つき、あるきはじめる。 少し行けば、開けた場所に出た。 山頂が見える 「ここからなら見えるか・・」 首にさげたゴーグルにバッグの中のバッテリーをつなぎ、双眼鏡モードにする。 山頂付近で輝いている物を見ようと倍率を上げるが、木々などに邪魔されてはっきり確認できない。 「しょうがない、登るか」 もうしばらく歩けば到達しそうなので、自分で行って確かめようと思う。 頂上に近づくにつれて、輝きが増してくる。 そしてついにその正体をみてしまった。 「うわ~!竜だ・・でっけー!」 巨大な竜が横たわっていた。輝いていたのは竜のひたいにある宝玉のようなものだった。 俺は感動した。生まれて初めて竜をみたのだ。 ・・・もっと近くでみたい好奇心が押さえられず、近づいていった。 よく見るとすごく美しい。 体は淡い空色をしていて、ひたいの宝玉は七色に輝いている。 体長はざっと20mを越えているだろう。 そうこう思っていると、俺は見るだけでは満足できず、さわりたいという願望が脳裏をよぎる。 案の定、さわりにいった。 体表は鱗につつまれながらもかなりなめらかなさわり心地だ。 「すごい・・」 正直、そんな言葉しか出てこなかった。 俺はそろそろ危険かと思い、竜から手を離した。 その瞬間、体が動かない。 「・・・!何だっ!?」 今度は頭の中に声が響く。 『私に何のようだ・・』 「誰だ!?・・まさか・・・」声の主、考えられるのは目の前にいる竜だろう。 それにしてもきれいな声だ。そう思っていると、突然竜が頭をもちあげてこちらへ向いた。 『お前、私の眠りを邪魔しにきたのか』 「あ・・・・あ・・・」 『どうした?こたえるがよい』 「あ、いえ!決して邪魔をしにきたわけでは・・」 『ならば何だ?』 「・・・・。」 『こたえられぬのか?まぁよい』 「・・えっ?」 『私も暇だったものでな、私と少したわむれようではないか』 あやしい笑みを浮かべながら話が進む。 『そういえばお前、私の術にかかっているようだな。体がうごかぬだろ?』 「は・・はい」 『お前、私に何かしたか?』 「・・・さわりました」 『ほぅ、やはりな。この術は身を守るためにあってな、 私にさわった者や危害を加えてきた者に術がかかり、体を麻痺させる』 『解いてほしいか?』 「あ、はい!」 『ならば私のたわむれ事につきあえ』 「わ、わかりました!解いてください!」 とにかく焦っていた俺は何でもこい!と思って術の解除をお願いした。 竜が何か言っている。よくわからない。 と、竜がいい終えると体が自由に動くようになった。 「あ、ありがとうございます」 『礼などいらぬ。さて、約束は守ってもらう。』 「何をやるんですか?」 正直言うと、かなり怖かったいったい何をやらされるんだろうと思うと逃げた方がいいのかと思ったりもする。 『私は少し腹がへっていてな、お前を少ししゃぶらせてくれんか? 心配はいらん、無事、生きて帰すぞ。 しかし・・・逃げようものなら容赦はしない、約束したからの』 「・・・・。」 黙って小さくうなずいた。 もし逃げたなら殺されるかもしれないという恐怖、今からやることへの恐怖に声が出ない・・・。 『よしよし、素直で気に入ったぞ、ほら、邪魔な荷物はおろすがいい』 俺は指示に従った。 ここはもう竜の気がすむまで耐えている方が安全だと思ったのだ。 『では、ゆくぞ・・・』 ジュルゥッ としたなめずりをすると、竜の口が開いた。 ベチャ、ボタボタ・・ 唾がだらしなく口からあふれ、地面にたれ落ちている。 長く分厚い舌が俺の足から顔までゆっくりまきついてきた。 ジュルゥ、唾液がひどい、体中が唾液まみれになった。 舌はまんべんなく俺の体をなめ回していく。 ぐちゅ、べちゃ、にちゃぁ~。 生々しい音をたてなめあげられる。 気持ちわるい・・・。 すると、舌の動きが止まった。 かと思ったら、地面から足が離れ、大きな竜の口が目の前にある。 『おいしぃ。今度は私の口に入りなさい』 そう言われると、ゆっくりと口の中に納められてしまった。 「うぁ~」ひ弱な声をあげてしまう自分が情けない。 舌が体中をなめ回し、口の中で弄ばれる。 息をする余裕もない・・ ぐちゅり、ねぱぁ~、もちゅ、にちゅ、 上顎に押しつけられたり、舌に巻き付かれて体を絞められたり、苦しくて気を失いそうになる。 『そろそろかな』 竜の言葉が聞こえた。 やっと出られる。 そう思った・・・ しかし、体は喉の方へすべっていく。 「まさか・・・」 そのまさかだった、今から呑み込まれる。 動く気力がなくなっている俺は何の抵抗もなくすべっていった。 喉の入り口が見えた。 にゅぷ、ジュブ、ぐにゅぅ、 足の方からだんだんうまっていく。 ズブズブとゆっくり。十数秒で体は食道へと沈んでしまった。 “ドクン”“ドクン”竜の鼓動が体全体に伝わってくる。 重力に従い、体は下へ下へ落ちていく。 胃の入り口に到着した。 ねぱぁっと体液の糸を引きながら生々しく開く。 てろりと体がすべり落ち、胃に収まってしまった。 スペースはあるが、胃壁がやわらかすぎて身動きがとれない。 すると突然、 『なかなかうまかったぞ』 竜はそう言うとお腹に力を入れる。 俺の体が胃から食道へ戻ったのがわかった。 ずんずん逆戻りし、口にたどり着く。 竜は口をあけ、俺を優しく吐き出した。 『ふう~。もうよいだろう』 ようやく出してくれたようだ。 俺は疲れきった体で立ち上がった。 「はあ、はあ、」 呼吸を荒くしている俺に竜は、 『楽しかったぞ。 しかし、お前、ずいぶん疲れておるの。 今宵はこの場で休んでいくがよい』 そう言った。 「は・・はい。」 バサッ。 俺は返事をしてその場に倒れた。 疲労困憊で眠ってしまったのだ・・・。 『やれやれ、だらしない』 竜は俺を寝床へ運んでくれたようだ・・・。 次の日の朝、俺は目がさめた。 竜が横でこちらをみていた。 『目がさめたか?元気になったみたいだな。』 「あ・・・」 『帰るがよい』 「いいんですか?」 『お前は約束を果たしたもうやることはない』 「はい!」これでやっと帰れる。俺はうれしかった。 荷物を持って出発するとき、竜は、 『また来るがよい。そのときは歓迎して私とたわむれようぞ』 俺は苦笑いをしながら竜に手を振り、帰っていった。 【とある山で~END~】 |
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