なんつーか。こんな状況前にもあった気がする・・・そう、ここで生活を始めた時から。

いや、全然覚悟してなかったって訳でもない。 不安はあったけど・・・まさか、本当にとはw

 

これは・・・そう、例の日に起こったお話。 ちょっとだけ、その日私が何をされたか話しましょうかしら・・・。

 

 

 

それは、もう何度目の雪の振る夜だったろうか。

『・・・クシュッ!・・・ぅ゛〜・・・風邪を引くとは・・・油断したぁ;』

と。 一人の竜人の女性(?)がベットの上でくしゃみを1つ。・・・様子からして、どうやら熱を出し寝込んでいるらしい。

(説明せずとも、大抵の読者は理解するだろうが)

 

『ぁ゛あ゛〜・・・また体温上がった・・・折角の休みなのに・・・』

と、ぼやきながら体温計らしきものを机に置くとベットに寝て、布団を乱暴に被り深い眠りに付いた。

(無論、何度も愚痴を言ったりしながらではあるが・・・。)

 

 

(同時刻、場所は変わって雪の積もる広大な野原・・・)

「・・・アソコニ・・・イルノカ・・・」

不穏な空気を漂わせ、尚竜人の居る小屋を目指している巨大な黒い影が。

彼・・・いや、彼等は、何か目的があって小屋に近付いていくようだが・・・それは、後に判るであろう。

 

舞台は戻り、小屋の中。・・・夜も更け、既にその竜人も寝静まった頃・・・

ガシャーン!・・・シュルルッ!

硝子の割れる音。それと同時に彼女の体を締め上げる《何か》。

『!?・・・ぅ・・・!』

全身に巻きつき、締め付け続ける《何か》を振り払おうと必死に抵抗するが・・・段々と苦しくなり、体の力が抜けていく。

口も塞がれており、炎を吐こうにも開くことすら出来ずに苦しく・・・意識も薄れてくる。

「テイコウスルト・・・サラニクルシクナルダケダゾ・・・」

『な・・・ガァァッ!・・・・・・・(く・・・るし・・・・・・)』

長い尻尾が力無く垂れて、暴れなくなるのを確認したその影。・・・一瞬、ピンク色の舌が口周りを舐める・・・。

(舌なめずり、とでも言うのだろう。)

カレンダーの日付は、12/24・・・

 

「おら、起きろ!」

バシャァッ!(水を掛ける音。・・・掛けられたのは、無論先程の竜人である)

『ぅ・・・(わ、私は・・・一体・・・?・・・真っ暗だし・・・)』

手を動かそうとする。 ・・・ガチャガチャッ。 脚を動かそうとする。 ・・・ガチャッ。

「お前は我らの糧となる為に連れてきた。・・・逃がすとでも思ったか?」

視界を封じられ、四肢を拘束され、そんな極限状態で聞こえてくる声。・・・必死に言い返そうと口を開いた瞬間。

 

シュルルゥッ!

 

『ングッ!?(な、何・・・コレ!?)』

口の中に何か細長い物体が侵入してきて、まるで意思でもあるかのような動きをする。

「コイツ・・・モラウ・・・サイショ・・・」

片言の声が聞こえると・・・その細長い物体が口の中を動き回る。

ピチャ・・・クチャァ・・・と唾液の音が鮮明に聞こえてきて、弱りきった精神(こころ)を支配していくかの様に数分間、その行動は続いた。

『ぅ・・・ぁ・・・(ぁ・・・ァ・・・)』

・・・そして、完全に弱りきったのを確認したかの様に舌を抜き・・・

 

カチャ・・・ジャランッ(鎖の外れる音。・・・そして)

ハグゥッ!・・・アグッ・・・・・・アム・・・ゴクン・・・

 

一瞬にして、その体はその巨体に呑み込まれていった。・・・鎖の外れた後には何も無く、その巨体の喉を通る膨らみが1つ・・・。

「ゴチソウサマ・・・」

薄れ行く意識の中、その言葉が聞こえる・・・すると、動いていた感覚が無くなり・・・周囲には生暖かい空気が漂う。

『・・・(食べられた・・・みた・・・い・・・)』

そこで、思考は止まった。・・・意識も、そこで失った。

 

 

 

『・・・ぅ・・・?(あったかい・・・)』

「起きたか。」

と、突然聞こえる声。

・・・手も動く。足も動く。・・・目を開けると、そこには小さな明かりが見える。

『・・・ここは、どこ・・・?』

そう問うと、突然視界を覆う黒い影。・・・7mはありそうな巨大なドラゴンである。

「そうだな・・・お前を喰らう為の部屋とでも言っておこう。」

直球に言われ思考が止まる。言葉に詰まる。

「おっと、餌が暴れるなよ?」

と、胴体を巨大な手で掴まれ・・・そのまま地面に押し付けられる。

『グァッ!!・・・ぅ・・・離せ・・・ぇ!』

「断る。」

そのまま掴む力を強くされ・・・更に苦痛に呻き声を上げる。

・・・視界に見える、巨大な口がニヤリと不気味な笑みを浮かべると・・・そのまま、その口が迫って来る。

『や・・・いやぁ!』

「無駄だ。」

必死に足掻くも、巨大な竜の力に敵う筈もなく・・・口が開かれ、手が持ち上がり・・・

 

・・・ひょぃっ・・・バクン!

 

と、口に投げ込まれて舌の上に落ちると口が閉じる。

『な・・・そんな、出しなさいよ・・・!』

「餌が喚くな、五月蝿くて仕方ない。」

 

クチャ・・・ピチャァ・・・ベトォッ・・・

 

突然舌が体に巻きついて、動きを封じる。・・・唾液が体力を奪っていく。・・・呼吸するとネバっとした唾液が口に入り、息を封じる。

『んぁ・・・あぶぅっ・・・!』

抵抗しようにも、暴れれば暴れるほど唾液や舌の動きに翻弄され・・・体力を消耗していく。

「力の差が分かったか。・・・さて。」

そのまま歯が見える位置に落とされ、そして・・・

 

グニィッ・・・アグゥッ・・・クニュゥ・・・

 

甘噛みが始まる。甘噛みとは言え、体格差がある為か牙が体を押して、歯型を作る。

「こんな小さい竜人でも・・・味はあるのだな。」

と、呟きながら甘噛みを続ける。・・・彼女は・・・既にされるがまま、牙に挟まれ続ける。

口の中で舐め回され、甘噛みされ、体力的に弱ってきた状態だと悟ると

「我の糧になれるのだ、光栄に思うのだな。」

と、顔を上に向けて舌の上を転がるようにゆっくりと喉奥へ誘われていく。

『・・・(また・・・?)』

抵抗する気もなく、そのままゆっくりと転がっていき・・・そして

 

ゴクン・・・

 

と、音を鳴らして呑み込まれていった。

「やはり・・・喉越しは満足できぬか・・・。」

と、竜が呟いたのが聞こえたが・・・言い返すことも出来ずに、そのまま喉を下っていった・・・。

 

 

 

 

                                    Fin

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