― そこは、とある場所にある大きな森。
その場所は…太陽が出ている時間でも、夜のように暗くて…周囲の村に棲む人や野生のポケモンはその森のことを

【 ダークフォレスト 】

そう呼んで、寄りつかなかったその森に一匹のポケモンが迷いこんだときのお話… ―

『確かに化け物は出そうだが…』
ぶつぶつと呟きながら、【ダークフォレスト】の入口に立っているポケモンが一匹。
ザングースが、その不気味な森への入口を覗き込みながら、不安そうな顔をしている。どうやらこのザングースは、どこからか噂を聞きつけてこの森に居ると言われる化け物と戦いに来たらしい。
『まあ、自分の目で確かめなきゃ真相は分からないってな。 仕方がない、行くとしよう…』

彼は自分に言い聞かせるようにしてそう言い放ち、火の灯ったランタンを手に持ち、森の中に歩みを進めた…
ランタンが照らす場所以外は全くの暗闇に包まれて何も見えず、ぬかるんでいる地面を彼が歩を進める度に ぐちゃ…ぐちゃ… と音を立てながら彼の足跡を残していく。
周りに生えている木もいきなり動き出して自分に襲いかかってきそうにも思えた。

そんな不気味な森に入った事を彼は後悔しつつ、あてもなく森の中をさまよっていると…

ギャァッ!ギャァッ!

バチャァッ!
『うわあっ!…ヤ、ヤミカラスか…?』
突然聞こえてきたヤミカラスに似た鳴き声に驚いて大きな音を立てながら盛大に尻餅をついて…

ガチャン! ジュッ…
何かが割れる音、それに何かが消える音。
ザングースがその音がした方を見ると手から落としたランタンの残骸があり…灯も消えてしまっている。
『あ…灯りが…!』
唯一の心の支えが無くなると、今まで抑えてきた恐怖心が一気に膨れ上がり、その場から…いや、この森から出ようと立ち上がる。
しかし、周囲は暗黒の世界。どこに行けば出られるのかさえも分からなくなっていた。
『っ…これじゃ、どっちに行って良いか…』
そう絶望的な声を出した瞬間、暗闇から

ガサッ…ガササッ…

草むらが揺れる音が辺りから木霊してくる。巨大な何かが…暗闇の中を動き回っているみたいで…その音を聞いたザングースは暗闇を凝視しながら、警戒し始める。

ガササッ…ガサ…

『…音が…止んだ…?』
突然その音が止み、ザングースはその瞬間に暗闇から此方を睨むような感覚を覚えて…
『だ、誰だ!居るなら出てこい!』
その言葉が合図となったのか、暗闇から突然何か太く生暖かい物が自分の体に巻きつき、一瞬にして拘束されてしまう。
『な、何だ…この変なのは…苦し…!』
じたばたともがき、必死に抜け出そうと試みるが締め付けが緩む兆しは全く見えるどころか強くなっていくのが分かる。
「変なのとはつれねぇなぁ…それに、お前から出てこいと言ったんだぜ…」
突然暗闇から何者かの声が聞こえてくる。
『だ、誰だっていい!とにかく姿を現しやがれ!』


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