・・・ぼくは、ソッド。 おやまのちょうじょうに ぽっかりとあいたさみしいどうくつのなかで ひっそりと くらしている。 そう、ひっそりと・・・ どうしてそんなところで ひとりでくらしているかって? こたえは かんたん。 ぼくは、ドラゴンだから・・・。 もりのみんなは・・・このぼくを、たちあがると8めーとるくらいになる おおきなからだをもち、するどくひかるツメやキバをもつ ぼくをこわがる。 ぼくはときどき、このやまにあるおいしいみがたくさんとれるたいじゅに みをとりにいくんだけど・・・ 「う・・・うわ〜〜〜〜!!!!」 「はやく・・・にげろぅ! たべられちゃうよ〜〜!!!!」 だれかもりのいきものとであおうものなら、いつもこう。 おおごえをあげて、にげていってしまう。 みんな、ぼくのにおいをりかいしているのだろうか・・・ もりのなかをさんぽしても、だれともであわない。 きっと、みをかくしているんだ。 「ねえ・・・だれか・・・」 「ぼくのこと・・・ちゃんとみて・・・」 「いじめたりなんかしないよ・・・おねがい・・・」 もりのまんなかで、そうつぶやいたこともあった・・・。 かわのほとりで、ひとりおおごえでないたこともあった・・・。 でも、みんなにはそれが・・・ エサをおびきだす こうじょうにきこえているんだろう・・・。 おそろしいドラゴンの きょだいなほうこうにきこえるんだろう・・・。 えぐ・・・えぐ・・・ ぐすん・・・。 きょうもぼくは、おうちのなかでないた。 みんなとともだちになりたい・・・いっしょにあそびたい・・・ だれも、ぼくのほんとうのきもちを わかってくれない・・・。 まいにち かなしみだけにくれていた・・・。 あるひ、ぼくはもりのいきものたちの あるうわさばなしをきいた。 このもりややまのそとには・・・おおきなせかいがひろがっていて、 そのどこかに「にんげん」っていういきものがすんでいるんだって・・・。 そのにんげん・・・たちは、「まち」や「むら」をつくっていきていて、 「ぶんめい」っていうものをもっていて、とてもかしこいんだって。 ・・・にんげんって、かしこいいきものなんだ・・・。じゃあ、もしかしたら ぼくのきもちも、わかってもらえるかもしれない・・・。 みんなと なかよくしたいんだ・・・って。 だれもきずつけたりなんかしないんだ・・・って。 そのはなしをきいたばん、ぼくはどうくつのなかでかんがえていた。 ここをとびだして・・・にんげんたちのすみかをさがしてみよう。 ぼくのきもちをわかってもらえるだれかを さがしにいこう・・・。 どんどんけっしんがかたまっていった。 かんがえているあいだに、ねむってしまっていた。 よくあさ、ぼくは このいえをでることにした。 もりのまんなかの おいしいみのなるたいじゅと ぼくのあしあとと いくらかのなみだののこったこのどうくつに さよならをいって、ぼくはもりをとびたった。 まあるいそらと おおきなはらっぱがどこまでもひろがっていた。 このせかいのどこかにある ぼくのばしょをもとめて・・・ だいちに おおきなカゲをつくりながら・・・どこまでもとんだ。 だいちに おおきなあしあとをつけ・・・どこまでもあるいた。 |