ハアッ・・・ハアッ・・ 手前の視界もよく分からないほどの暗闇の中、僕は走り続けた。あんな奴がこんな所にいるか?普通・・・ その暗闇の中を逃げようにも、微かに見える視界で確認できる光景は同じような木々と生い茂る草ヶだけで何がどうなのか全く分からない。 そう・・・この森は同じような風景が続き、方向感覚がすぐに狂ってしまう。 その上、今は夜。すぐに迷う事は分かりきっていた。 しかし、それを承知した上でこの森に踏み行った。 (この森は儂の庭じゃ。お主は逃げれぬ。) 「ひいっ!?」 奴とはかなり距離は開いているはず。なのにその声は耳元のすぐそばで囁かれているように聞こえたのだ。 体を大きく震わせフル活動中の両足をさらに加速させる。 大丈夫・・大丈夫だ。奴とは十分に距離がある。 絶対に捕まらない。絶対に逃げれる。 シュルッ・・ドサッ! 「あでッ!?」 何かに足を取られ派手に転んだ。 「痛てて・・・な、何だ・・これ・・蔓・・?」 足を取られた物・・それは植物の蔓だった。 右足首あたりにシュルシュルと巻き付いてくるのだ。 「っと、離れろよ!このっ・・」 その蔓をのんびり見ている暇はない。 早くしなければ奴に追いつかれる。 そう太くない蔓に手をかけて引き千切ろうとするが蔓はビクともしなかった。 ダンッ!・・・トンッ。 何かが地を蹴った。その少し後、その巨体がそこに物音一つ立てずに地に着地した。 「無駄じゃよ。その蔓はお主の力では切れぬ。」 「ぁ・・・あぁ・・・も、もう追いついたのか・・?」 背後からもう聞きたくなかった声が突きつけられた。 恐る恐る後ろを振り向いた。案の定、予想は的中。 この闇夜に完全に溶けてしまうような漆黒の黒毛。 あらゆる物を顎と共に噛み砕く牙。 あらゆる物を無慈悲に引き裂く爪。 それらに対し、妖しく獲物を見据える血のような鋭い真紅の眼。 そして・・僕、いや人間如き一口に呑み込んでしまえる巨口を持っていた。 「さて・・・儂の問いに答えてもらうからの。」 そいつ・・黒狼は僕を見据えたままその場に腰を降ろした 「ここ最近、許可なく儂の庭から薬草ばかり持っていく輩はお主かの?」 「・・・・・・・・・・」 僕は完全に威圧され、口が動かず言葉一つ紡げなかった。 「ぬぅ・・黙っておらぬで答えるのじゃよ。」 トンッとその言葉と同時に右肩に凶爪の右足が優しく乗せられた。 「右腕を切られるのは嫌じゃろう?」 口調は全く変わらない。言葉はキツい。 再びぶるっと身震いし言葉を紡いだ。 「あ、あの・・・ぼ、僕ですっ!」 「うるさいのぅ・・そのように声を出さぬとも聞こえておる・・全く・・」 「ご、ごめん・・・なさい・・」 恐怖のあまり出た声は黒狼の耳をつんざいた。 険しい表情を浮かべ、僕を小さく睨み付けた。 僕は“ひぃっ・・”と思わず漏らしてしまい、その後、謝罪の言葉を口にした。 「儂の庭の生き物は必ず儂の所に許可を得に来るというのに・・お主はそれをしなんだ・・分かるかのぅ・・・」 「し、知らなかったんだ・・・あなたのような者がいることなんて・・・」 僕はすぐに反論した。このままでは“窃盗”扱いにされてしまう。そうなれば僕の命がどうなるか分からない。 「儂の事を知っておった上で、お主は実際そうしたのかの?」 「ひっ・・・そ、それはっ・・・」 次の瞬間、黒狼の顔がすぐ目前にあった。 思わず後ずさった。冷徹な眼が真っ直ぐに僕を捉えて離さない。返答に詰まった。次の言葉が見つからないのだ。 「どちらにせよ、お主には罰を受けて貰わねばなるまいて。お主が儂を知らなんだ事は認めるからのぅ・・・」 「ば・罰?・・ど、どんな・?」 「それはお主に決めてもらうかの・・そのほうが良かろうて・・じゃが・・甘い罰は駄目じゃからの・・・」 シュル・・・と足の蔓が解けた。 「あ、あれ?蔓が・・」 「それは儂の妖力で操った蔓じゃ。こうして追いついた訳じゃし、ずっと絡んでいるのも嫌じゃろ。」 「あ、ありがとうございます・・」 「礼はいらん。その蔓も処罰道具の一つじゃからの。」 「そ、そうですか・・ははは・・・」 呆れたように言う黒狼だが冗談に聞こえない。 「お主が決められぬようなら儂が決めてやってもかまわんぞ?じゃが、命の保証はできぬが・・・」 「い、いえ・・結構です・・」 ひきつった笑顔のまま両手を前にその誘いを拒否した。 (どうしよう・・・自分でっていわれてもなぁ・・) 自ら罰を決めろと言われるとどうしても妥協してしまい甘い罰しか浮かばない。 「まだかかりそうじゃの・・」 「あ、えっと・・その・・」 「まぁ・・良い。儂は少し休む。決まったら起こしてくれんか?」 「あ、はいっ!わかりました!」 黒狼は体を横にして伏せた。どうやら眠るようだ。 「お主。決して逃げるでないぞ・・・逃げたら・・お主の命の保証なしの罰を受けて貰うからの・・嫌じゃろ?」 「あ、ははは・・・・」 一瞬、心を読まれたかと思った。内心、逃げるつもりだったのだ。釘が打たれた。 またもやひきつった笑みをその顔に浮かべていた。 僕はすぐに驚いた。なんと黒狼が顔を伏せた瞬間、スースーと寝息を立てて眠ってしまったのだ。 ・・・好機。 いくらあんなような釘を刺された所で挫ける訳にはいかないのだ。大体、理不尽なんだ。 黒狼がいる事自体知らなかったのにどうして罰を受けなければいけないのか?僕は無実だ。 顎に手を当てて、考えるふりをしながら黒狼の様子を探った。結構な深い眠りに入っていた。 (大丈夫・・これなら・・逃げれる。) クルリと身を翻し、物音立てぬように慎重に歩を進める。 グッ・・・・グッ・・・ググッ・・・ 足が土を踏む音が嫌に静かな闇夜に響く。この音で黒狼が目を覚まさないか心が焦る。 (大丈夫・・僕は絶対助かるんだ!) グッ・・・グッ・・・グッ・・・ ドクン・・・ドクン・・・ドクン・・ 一歩、また一歩と歩を進める。 それに合わせ心臓が拍動する。 「・・・愚か者め。」 「!?」 グッ・・ドコォッ!! 「ぐあっ!?」 唐突に背後から低く重い黒狼の声が飛んできたと思った次には凄まじい衝撃が背中に。そのまま地面に叩きつけられた。 「やはり、逃げおったか・・人間め・・」 「な、なんで?・・何で分かったの・・?」 「儂は寝ておらぬ。全て・・嘘じゃ。」 「そ、そんな・・・」 出し抜かれた。助かるどころかむしろ逆だった。 「もう・・罰は決めておる・・」 「ひぃぃっ・・お、お願い・・助けて・・」 トンッ・・ 体を起こしながら反転させ黒狼を見上げた。 黒狼の口から死刑判決を突き付けられ、後ずさるもすぐに大木に背中が当たり、逃げ場がなくなる。 「ちょうど・・腹が減っておるからのぅ・・・お主を喰おうと思っておるんじゃが・・良いな。」 「〜〜〜〜〜〜〜」 僕は全力で首を横に振り続けた。 この黒狼に喰われる?冗談じゃない! 「ここ最近はのぅ・・人間を喰っておらぬからの・・そろそろ喰いたいと思っておったんじゃ。それに、主おに拒否権はなしじゃ。逃げた愚か者。」 「ひぃぃっ・・あふぅ・・ご、ごめんな・・ 「謝っても駄目じゃ。お主が悪いんじゃからな・・」 と、小さな笑みを口に浮かべ、僕の近くをまわり始める。 「欲を言えば・・雌の子供が良いんじゃが・・・肉は柔らかく、上品な甘さがたまらんのじゃよ・・・」 この黒狼は人間を喰った事があるようだ。でなければこんな事は言えない。ここの森を仕切っていると言うことは同時にこの森の捕食者と言うことを意味する。 「雄は硬くて、やや苦いと同胞は言うがの・・儂は雄も良いと思うがのぅ・・喰いごたえがあってのぅ。」 ベロリ・・・ 「ひうっ・・・」 黒狼がその長い舌で僕の首筋を舐める。 ゾゾゾ・・と体を悪寒が駆け巡った。 「それに・・お主はまだ若い。肉は柔らかいようじゃしの・・・」 「ひぃいっ・・・助けて・・食べないで・・・」 「恐がらなくとも良いぞ・・じっくり味わってからそのまま胃袋に入って貰うからの。安心するが良い。」 「そ、そんなっ・・・嫌だ・・嫌だっ・・」 「うるさい・・あまり暴れると喰う前に殺してしまうかもしれぬぞ・・?」 「ッ!?・・嫌・・」 「そうそう・・素直な奴じゃ・・お主。」 黒狼は器用にその足で僕の両足を押さえ付けるとおもむろに顔を近づけてくる。 「ひぅっ・・・」 「これこれ・・あまり恐がると体に良くないぞ。」 その巨口がカパッと開き、幾人もの餌を貫き通した鋭牙が顔を覗かせ・・・僕は悲鳴をあげた。 そんな僕を労るかのように舌が頬をじっくり舐め上げた。 ・・・そこから黒狼の舌の攻撃が始まった。 ベロリ・・グチャ・・ヌチュ・・ジュルルッ・・ 「ぁ・・んっ・・ふぁ・・や、やめ・・て・・」 「お主・・なかなか良い味をしておるの。」 黒狼の足と大木に逃げ場を封じられたまま僕はその舌に弄ばれた。呼吸が妨げられるほど顔を舐められ、抵抗しようにも身体についた唾液と舌に纏わりつく粘性の高い唾液のせいで滑って弾力のある黒狼の舌が押し返せない。 それに呼吸も上手くできないために力が上手く入らない。 「大人しくしておれ。あとが辛くなるだけじゃぞ。」 「あふぅ・・・ごふっ・・・けほっ・・」 そうしている内にその粘性の高い唾液をいくらか飲んでしまっていた。思わず咳き込んだ。 口のなかに不快感と獣独特の生臭さが残る。 ・・・気持ち悪い。 それは当然、舐められている身体もその生臭さに包まれていた。 「ん!?あふぅ・・だ、ダメっ・・あはっ・・」 徐ヶに身体を唾液まみれにしていく舌が衣服の中に無断で侵入を始める。まだ衣服に染み込んだ唾液に晒されていた肌に直接、黒狼の唾液が塗り込まれてゆく。 「ん・・グルルゥ・・・・グウウ・・」 「んぁっ!・・はぁ・・・あぅぅ・・・・っ!」 時には顔。抵抗する腕、手を舌で押さえ付けながら黒狼は味見を続ける。声は狼として本能が上げる声になり、味見に夢中な黒狼の息は荒くなっていった。 グチュ・・グチャ・・と生々しい水音を立てザラザラとしたその舌に与えられる嫌悪を覚える不快感に喘いでしまう 周りは獣の生臭さに包まれ、もし他人がここに入ろうものならたちまち吐き気を催すほどの臭いが漂っていた。 地面も凄まじいほどの黒狼の唾液が人間の辺りに垂れていた。その身体と地面には無数に唾液が糸を引いていた。 「ハッ・・ハッ・・・主・・まだ生きておるか?」 「だ、誰か・・たす・・助けてっ・・」 「生きておったか・・良い良い・・やはりお主は味見で殺す訳にはいかぬからの・・しっかり胃袋に収まって貰わぬとの・・・」 「ごめん・・なさい・・だから・・助け・・わあっ!」 黒狼が足を咥えたかと分かった瞬間、身体は空中にあった 「えっ・・えっ?・・う、うわあああああっ!!」 重力に従い落下する。しかし、落下先には黒狼の口が目一杯に開かれていた。あそこに落ちる? それが“喰われる”ということだ。 闇夜の中でもハッキリ分かった。粘性の高いあの唾液に包まれた鮮やかなピンク色の口内。早く落ちてこいと言わんばかりに獲物を忙しく求める舌がヌチャ・・と音を立て、グニグニ蠢いていた。 あそこに落ちたら・・・僕はどうなるんだろうか? 黒狼はタイミングをしっかりとはかり・・・ ヒュッ・・・バクンッ!! その矮小な人間を口に収める。 * * * 舌だけで精一杯だったのに口内は最悪の一言だった。 あの粘性の高い唾液は常に身体に降りかかり、生臭さは外より一段と高く、何より蒸し暑い。 ここから逃げ出す事ができなければ、僕はこの黒狼にこのまま丸呑みされてしまうだろう。 だが、すでに黒狼の味見で疲弊した僕にその手段はなかった。 ドロォッ・・ニチュ・・・ヌチャッ・・・ 唾液が舌に寝そべっている僕の目前に上顎から垂れてくる さらに舌が少し動くだけで、生々しい水音が口内に響く。 「もう・・・わっ!?んん・・ん〜!」 唐突に舌が持ち上がり上顎に押しつけられる。 口と鼻が舌に埋まり、呼吸が止まる。 さらに舌がさらなる身体から味を絞り取ろうと。グリグリと身体を押し付けながら擦ってくる。 「んん〜〜!んん!」 余計に呼吸が出来なくなり苦しくなり、僕は舌を叩いた。 すると苦しいことが分かったのか舌がもとに戻った。 「ゲホゲホッ・・っはぁ・・はぁ・・」 当然、唾液を飲んでいたために咳き込んだ。 しかし、そんな余裕なく・・・ ヌチュヌチュ・・・シュルル 今度は舌が身体に巻き付いた。そして・・ グギュウウウウッ! 「!?か・・・ぁ・・・は・・・っ・・」 疲弊した身体を容赦なく絞め付けた。 散々、味見して、上顎に押し付けながら味見したにも関わらず、まだ味を絞り取ろうとでもいうのか? それは、人間を喰らう事が久しいからなのか? ジュルルゥ・・ゴプッ・・コポッ さらに唾液が異常なまでに分泌されそれらが僕を襲った。 足も身体もさらには顔までぬるぬる、ねばねばの唾液に埋まる羽目になってしまった。そうなるも・・ 数十秒と身体を締め付けられるとやっと解放された。 「ガハッゲホッ・・ゴホ・・かっ・・」 胃の方から何かがこみ上がってくるのをどうにか根性で押さえ込んだ。 グチュッ・・・ズルッ・・・ズルッ・・ 黒狼が顔を上げたようだ。口内に傾斜が付いていく。 唾液まみれの僕に摩擦は発生しない。足が身体が喉に向かって滑っていくのが分かる。 「ぁ・・・う・・・・ぁ・・」 頭がシャキッとしない。視界もぼやけもう上の空。 舌が持ち上がりさらに傾斜が付き、喉にむかって滑り落ちていく。 足が・・膝が・・・腰が・・喉、食道に呑み込まれ・・・ ・・・そして・・・ 「はっ!!」 ガシッ・・ヌルッ・・ “喰われる”“呑まれる”と本能が危機を察し、反射的に腕が目の前の舌の根本を掴んだ。 奇跡的に落下が止まり、腰までが喉に呑まれるだけに留まった。だが、それは何の解決にもならない。 ただ、喰われるまでちょっとした時間稼ぎ。 「うぅ・・・誰か・・・助けてよぉ・・・」 僕の目には涙しか浮かばなかった。 反射的に掴んだ舌の根本だが、ゴクリ、ゴクンと強い蠕動を続ける喉にいとも簡単に引き込まれ・・遂には・・ ゴクンッ!! 「うわあああああぁぁぁ!!」 その食道・・喉に呑み込まれてしまった。 * * * 「ふぅ・・ご馳走さんじゃ・・」 生きたまま丸呑みした少年から絞り取った味は数年の飢えを満たすのに十分だった。 だらしなく口から垂れた舌を戻し、未だ唾液の分泌は止まらず口の端からボタボタと糸を引きながら地面に滴っていた。 ジュルリ・・・ それを綺麗に舌で舐め取る。 少年を呑み込み、喉の膨らみはズル・・ジュルリ・・とゆっくり食道を下っていく。 それを目で追い、唾液の分泌がようやく落ち着く頃には・・・ ヌチャァッ・・・ドチャッ! 獲物が胃袋に落ち込み、体が久しく得た人間に喜び震えた 「・・満腹じゃ・・」 胃袋に落ち込んだ少年は黒狼の腹も膨らませた。 今、胃袋に少年の重さを感じる。少年はまだ小柄だったがそれを喰らった黒狼は満腹だと言う。 そう、黒狼はその巨躯に対して胃袋が小さく、人間一人で一杯一杯なのだ。 「さて・・食事も済んだ事じゃし・・帰るかの・・」 今は胃の少年の重さを感じていたくて消化を遅らせるために黒狼はゆっくり歩いていくのだった・・・ * * * 「あぐっ・・・んんっ・・・っ!」 黒狼の体内・・それは光のない本当の闇。 何も見えず、感じる事が出来るのは身体にふれる肉壁・・つまり食道。グジュ・・グジュ・・と水音を纏いながら繰り返される蠕動時には強い圧迫が身体を襲い、呼吸が出来なくなる。さらにその圧迫が痛いのだ。黒狼に突き飛ばされたように。 極度の酸欠に陥り、気を失う寸前・・・ グヌチャッ・・ドチュ・・ 噴門を押し広げ、全く広くない胃袋に僕は流し込まれた。 「あぁ・・・ぁ・・・」 どうやら黒狼は大きい体に対して胃袋は小さいらしい。 食動ほどではないが身動きが出来ない。胃壁はもう身体に密着しているほどだ。 抵抗はしなかった。いや、出来なかった。身体は完全に疲弊し、どこも動く気配はない。 ここは黒狼の胃袋。あとは強力な胃液で肉も骨もドロドロに溶かされるだけ。そうして、黒狼の栄養、糧になるだけ。 ドロォッ・・チャッ・ジュワァァァ・・・ 「〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!」 激しい焼けるような痛み。声が上がらない。 遂に黒狼の胃袋が消化を始めた。胃壁が激しい蠕動を始め胃液を分泌。僕をドロドロに溶かしにかかってくる。 胃壁は密着しており、分泌と同時に肌に触れ、皮膚を溶かす。身動きは取れない。疲弊した身体。高粘性の唾液は体液と知らない内に反応して身体を固めていた。 グチュッ・・ヌチャア・・ジュウゥゥゥ・・ 胃壁に揉みほぐされ、胃液に身体が溶かされる・・ 次第に意識が遠くなってくる・・ 狭い黒狼の胃袋の中、胃液に浸かったまま・・・ 僕は・・目を閉じた・・・ “生きたいか?なら、儂の中で永遠に生きるが良いぞ・・儂は優しくお主を受け入れよう。” |