『貴方というもうひとつの私』
                            作者 ニューラ

約束の森の祭壇に走りながら向かう、その呼吸の一つ一つに胸を躍らせながら… 

少し息切れをしながら到着した祭壇、貴方の姿を見つけた私は少し困ってしまう。 

寝てる…折角会えたのに眠ってしまっている貴方に少しむくれる、

けれどそれは私が約束の時間に遅れたことが原因だから怒るに怒れない。

少しの間モヤモヤとしたけど、寝ている貴方に寄り添うのが何よりも心地良くて一緒に寝てしまう。 

風にたなびく赤い毛並み、装飾のように彩る黒毛、私は浮き沈みする貴方のお腹へ顔を埋める。 

私はニューラという名の猫、貴方はウインディという名の大きな犬…

端から見ればその光景は異様なものと見えてしまうけれど、私は貴方だから…安らげる。 

すぅ…あぁ、貴方は起きて、私を見ているのね…、貴方の右頬から葉の香りが漂ってくるわ…

うん…分かっているわ、この香りが私と貴方の約束の証…眠気で貴方の顔が少し霞むのが困ったけど、私と貴方は…

暖かい日差しの中にいた私、そこから光が遮られるように漆黒の世界へと体が運ばれていく…

それでもこの世界は暖かい、浮き沈みし、私を弄ぶ柔舌は貴方が私に与えてくれる優しさ…

やがて、体は貴方が全てを受け入れられるように湿り、脈動する奥壁へと誘われる…

ねぇ…私、幸せよ…貴方とのこの営みが互いの全てを一つの個として成していくのだから…

少し開けた世界に水音をたてて横になる、貴方は嬉しそうにお腹をさすり、私に手を差しのべてくれる…

私は、貴方をもうひとつの私と感じ、貴方は私をもうひとつの貴方と思ってくれることが…

私の全てなのだから…

END 

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