そこは真っ白な空間だった……
森なのか、洞窟なのか、草原なのか分からないほど濃い霧が全てを覆っている。


ググッ!


何かが動いた霧の中で……
見間違いではない、深い霧の中でその部分だけが、
黒く大きい固まりが霧をかき分けて動いている。

ハッキリとは分からない……
黒い固まりが動くのを止めると直ぐさま霧が全てを覆い隠す。
しかし、確かにそれはそこにいた。

「……ついにきましたか。」

黒い固まりから眠そうにくぐもった声が聞こえてきた。
それはまるで子供がプレゼントを待ちわびていた様に楽しそうに紡がれる。

「フフフ、今日は実に……実に楽しい一日になりそうです。」

大きく霧をかき分け黒い固まりが動き出した。
大きさがドンドン大きくなり高さが数メートルに達すると……


バサッ!!


翼か何かで風が巻き起こされ、霧が一瞬うすく晴れていく。
姿はまだ分からない、ただ赤い何かが……
霧の中に浮かぶ二つの赤い何かがランランと輝いていた。






場面は移り変わり……

そこはまるでコロシアムのように広がる空間。
大小の2匹のポケモンがお互いに向き合っていた。

どうやら小さい方のポケモンはサンダース、
もう一方の大きなポケモンはダークルギアのようだ。

最初にサンダースが話しかける。

「もし、俺を食べるのなら……
 ふやけるぐらいもぐもぐしてから食べてほしい。
 ああ、ルギアさんあいてなら、踏みつけよりも、尻でのしかかりのほうがいいなぁ。」 


ふざけた物言いで、ある意味恐ろしいことを平然というサンダース。
それでいて、何故か恍惚としている。

それを黙って聞いていたダークルギアは
翼を手のように使い、口元に当てて口を開いた。

「けど何もなしにやるのはちょっと納得いきませんな」


……このコロシアムはここに訪れた者が、捕食者と戦い、
負けると丸呑みされてしまうという……すさまじく変わった場所なのだ。
訪れたものが勝ったとしても……その後、どうするのかは捕食者の気分次第である。
もちろんただ丸呑みされるだけでなく、
何か条件が付いたり……相当な苦痛を受けて丸呑みされることもある。

とても恐ろしい場所なのに……何の噂も広がらず……
たまにこうして誰かに選ばれた様に迷い込んだ生き物がやってくるのだ。
そして、迷い込んだ生き物は、サンダースの彼のように心のどこかで
誰かに食べられたいと言う感情を宿しているのである……

そして、今回は……


「そうですね〜私とぷよぷよ勝負であなたが、もし負けたらいただくとしましょうか」 

「な、なにをっ!? 望むところだーっ!」
「ふふふっではいきますぞ!!」
「おうよーっ!」


パチッイン!


ダークルギアが指を鳴らすと巨大なスクリーンとコントローラが地面からせりあがってくる。
2匹はそれぞれの体にあったコントローラを持ち、

「ではショータイムです 」


2匹によるぷよぷよの戦い果たして勝負の行方は……


5分後……



そこにはゲームオーバーの文字と共に青ざめた表情のサンダースがいた。

「げ、ま……負けた……うそ…
 …………あれ? なんで俺はこんなところにいるんだ?」

呆然と立ちつくすサンダース。
その後ろに大きな影が迫り……

「フフフ……」


ドシッ!!


「ぐわあぁぁっ!」

蹴飛ばされ仰向けになったところでお腹にすさまじい衝撃を受け悲鳴を上げるサンダース。
楽しそうに笑いながらサンダースにのしかかっているのは、
最初のクールな表情は消え失せ……大きな口を開き、
そこから伸びる長い舌と口からしたたり落ちる唾液で口元を濡らし……
見るもに恐怖と威圧感を与えるダークルギアの姿だった。

「まったく相手になりませんね.....」

ダークルギアの下で苦しそうにあがいている様子を眺めながらテンポよく力を込める。 

その度にグリュッ! グリィ!とサンダースの体のきしむ音が聞こえる。

「あぐ……ぐぁ…… がぁっ……!!」
「あなたが私に勝てるとでも?!」


ドスッ!!


「げはっ……っ!! ぐ、、、うぐっ……」

サンダースの体をへし折らんばかりに力を入れ押しつぶすダークルギア。
その重圧で、サンダースの上半身がくの字に折れ曲がり、口からだらしなく唾液が少し垂れる。

ダークルギアは無言で、
そーとサンダースの口元から垂れている唾液をすくい取り、
まるで……それが味見の代わりだと思わんばかりの動作で唾液を舌で舐めとった。
ダークルギアの表情が邪悪にゆがみ口を開いた。

「では、約束を果しましょうか......」


ギュルルルル!


サンダースを一瞬だけ重圧から解放すると、
すぐさまダークルギアの尻尾がからみつき、サンダースの体を持ち上げる……。
まだ、それほど力を入れていないのか何とかサンダースが口を開く。

「っく……きさま……何故俺にこんな事をする。
 それにここはどこだいつの間にこんなところに俺を連れてきた……」

自分の意志でこのコロシアムに丸呑みにされに来たはずのサンダースが、
まるで、そのことを忘れたかのような言葉を発する。
そんな様子のサンダースを見るのが楽しいのか、ダークルギアが再び恍惚の表情を浮かべる。

「フフフ……そうですね。
 あなたは、このコロシアムにあの感情と共に記憶も吸い取られたのです。
 たまに貴方のような者がいるから、私の楽しみも増えるというものです」

翼で自分の口を覆い隠し、嬉しそうに含み笑いをするダークルギア……
状況に酔っている様に見えて、尻尾の中でもがいているサンダースから目を離すことはない。
……文字通り、美味しそうな者を見る目を……

「こ、このコロシアム……は、いったい……何なんだ?」

「教えてあげましょう……と言っても私が興味があること以外は知りません。
 私が知っているのは、貴方のように誰かに食べられたい、丸呑みにされたいと思っている者と
 そして、私のように誰かを食べたい、飲んでやりたい思っている者を引き寄せると言うことです。」

「俺は別に食べられたいとも丸呑みされたいとも思ってない!
 そんな感情とは俺は無関係だ!!」


グギュ!


「かはぁっ!」

ダークルギアの尻尾が滑るように動き、今までより強くサンダースを締め上げる。
食い込む尻尾にサンダースの体が少しずつ反り始め、
それをダークルギアが話の腰を折られて不機嫌そうに見ている。

「私にとって夢のような場所なので……自分の意志でここを見つけようと何度も試しましたが
 ここを見つけ出すことはできませんでした。
 でも、時折……誰かに呼ばれるような気がする時には、どこにいてもここに来ているのです。
 残念なことですが……どうにもならない力が働いているのでしょうね……おや?」

ダークルギアが話に夢中になっている間に尻尾の中ではすでにサンダースは気絶していた。
気絶しているサンダースにダークルギアは……

(気絶してしまいましたか……どうしましょうか?
 腹が空いていますから……このまま食べてしまっても……)

少しの間、何かを堪えるかのように体を震わせるダークルギア……
しばらくして、どうするのか決めたのか、顔を上げて深呼吸をすると
少し尻尾の力を緩めてグーと頭をサンダースの方へ近づけていき、
おもむろに気を失っているサンダースに向かって口を開く……そして、大量の水を吹きだした。

(ハイドロポンプ)


バシャアアアアアア!!


上手く力加減をされた水流がサンダースに一切のダメージを与えずに降り注ぐ。

「……うっ! うう…ん。 ゲホッゲホッ!」

「気がついたようですね……話の途中で寝てしまうとは失礼ですね。
 最後に貴方が言っていたもう一つの事も教えてあげましょう。
 貴方が言っているように確かに今の貴方は、誰かに食べられたい、丸呑みにされたい 

 といった感情がないのでしょう。
 しかし、確かに私は貴方からそういった感情の片鱗を見ました。」

回りくどい言い方で、サンダースの鼻先まで再びゆっくりと顔を近づける。
少しこのダークルギアは説明好きな性格のようだ。
……もっとも、それには理由があるのだが……

「答えは簡単です。
 私や貴方の……そういった感情にコロシアムが反応するからです
 そして、その現象を発生させるためには2人で何らかの勝負をすること……
 その効果は私達捕食者達が望む何かを相手からコロシアムが吸収して代償として
 私達のこの感情を増幅してくれるのです。」

「なっ! それじゃお前が俺の記憶や感情を生け贄にしたのか。」

「現に……今の私は増幅されたこの感情に理性が負けそうになりそうです。
 何故、私がこの感情……いえ……衝動を抑えていると思いますか?
 私としては食事をする時は相手に恐怖という調味料を加えて楽しみたいからです……」 


ダークルギアはそこまで言った後、頭を戻すと人が手で顔を隠すように
翼で自分の顔を覆う……しばらくするとぼたっ ぼたっ・・・
何かが滴り落ちる音が聞こえてきて、それが小さな水たまりを作り出す。

……しばらく水滴だけが落ちる音だけが響いていたが、
ダークルギアの声がそれを打ち破る。

「そして……ここの秘密を知り……」

ゆっくりとダークルギアが翼を顔から退けていく、

「今の状況を理解した……あ・な・た・の・目」
「ひぃっ!……うっぁぁ……何なんだよ、お前は!」

ダークルギアの尻尾の中からサンダースが逃げだそうとジタバタと動き身をよじるが、 

その体に巻き付いた尻尾はピクリとも動かせない、抜け出せない。
そして、焦るサンダースはついに見てしまった。
……時が止まったように恐怖で濁った目で
見てしまったのだ……
翼が取り払われて、顕わになった
ダークルギアの変わり果てた顔を……

今にも食らいつこうかと言わんばかりに
目の前で開らかれた口を……
 
開いた口からだらしなく伸びた舌から首元
まで下ろした翼に大量にしたたり落ちる
唾液を……

変わらず自分を見つめる理性を感じさせない
ダークルギアの赤い目を……


そして、これから何が起こるのかを……

彼は理解してしまった。
 

「もう……私は、我慢しませんよ。 今のあなたは今まででのあなたの中で……
 一番美味しそうですから……少々痛いですがしかたないですね.... 」


グギュギュ! ギリ! ギリィリィィ!


「ぅぁっ…… うああああっ!!」

ダークルギアの尻尾が今までとは比べものにならない力で、
サンダースの体を音を立てて締め上げていく。
体が激しく反り曲がり、呼吸もできなくなっていくサンダース……

しかし、食べるために相手を弱らせていく過程が待ちきれず、
ダークルギアは唾液の滴る大きな口で、サンダースにカブリつこうと襲いかかる。

「こ、このっ……」


カプッ!


死にたくない一心にダークルギアの尻尾にかみついたサンダースだったが、
力が入らず反撃らしい反撃になっていない。
それでも牙が食い込みダークルギアは鋭い痛みに激高する。

「ック!! 何をするんですか?! 往生際の悪いポケモンですね!!」


バシィィィンッ!! ドカッ!!


ダークルギアはサンダースを尻尾で捕まえたまま振り上げる。
その振り上げた衝撃でサンダースの牙がはずれ、自分も傷つくのをかまわず全力で地面に叩きつけた。

「があぁぁあ……っ!! げほっ けほっ…… 」

「っふん。無駄な抵抗をして、
 私から逃げようなんてずいぶんと甘く見られたもんですね!

叩きつけられた衝撃で咳き込むサンダースを顔の近くに持ってきて睨みつける。
サンダースの体毛がダークルギアの鼻息で揺れる

「うぅっく……くそぅ………ぅ、くっさっ…… けほっ」
「 し、失敬な?!私の息の何がくさいですか?!」
「ぅ……;」

ダークルギアが青筋を立てて、クワッ!と目を見開きサンダースをにらみつける。
その怒気に気圧されサンダースは押し黙ってしまった。

「っと言っても、これ以上やっても時間の無駄....そろそろいただくとしますか...」

そう言ってダークルギアが口を大きく開くと大量の唾液が滴り落ちてサンダースにかかる。


でろっ……ネトォッ


「うぁぁっ…… ああっ」

サンダースは滴り落ちる唾液でベトベトになることなど気にもとめず、
身をよじり迫ってくる、ダークルギアの真っ赤な口から逃げようとする。
しかし……無情にもその大きな口が体をスッポリと包み込み閉じられた。


ガブッ!!


「ぎゃああっ!」

直に感じるダークルギアの口の中の感触に、
サンダースは奇声をあげて半狂乱になり暴れ出した。
その拍子に口の中の肉壁にサンダースの鋭い体毛が何回も突き刺さる。
それにはさすがのダークルギアも手こずり、中々サンダースを飲み込むことができない。 


「っく 暴れるな!!」
 (やはりサンダースを食べるには、このとがった毛が邪魔になりますね)
直ぐにはサンダースを食べるのが難しいと
悟ると……鋭い体毛で傷つかないよう
慎重に舌と顎を動かしてレロレルレオと
口の中をかき回していき
サンダースを唾液と絡ませる。


ビィチャァ


「うぁっく……」

不定期に襲いかかる唾液がサンダースに
絡みついて体の自由を奪っていき、
命を繋いでくれている鋭い体毛が少しずつ
その強度をなくしていく。


ヌチャッ クチャ


「うぷっ……ぅああっ!」

唾液がサンダースの口や鼻などへ浸食するたびにダークルギアの口の中から
呻き声が響き続けて、次第に殆ど抵抗らしい動きが口の中から感じなくなる。
それでも、ダークルギアは十分に時間をかけて、その体を満遍なく唾液で絡め取っていった。

どれだけの間ダークルギアのこの行為は続いたのだろか?
サンダースの呻き声が途切れ途切れになるまで、
十分に唾液を絡ませたところで初めて口の動きを止めた。
初めほど体毛の刺さる痛みが無くなっていると感じたダークルギアは、
確かめるように舌を動かすとレロッギュウゥゥ!!と長い舌が唾液をかき分け、
サンダースを強く巻き取る。


ベチャァァッ!


「あがっ……がああああっ!! ぐ、、ぐるしっ……」
(毛が唾液まみれで……とがらねぇ…… )

尻尾に巻き付かれた時とは違い、
ベチャリと唾液の滴る柔らかな舌から生臭い臭気と共に
生暖かなダークルギアの体温が直に伝わってくる。
唾液でベタ付く舌はサンダースの体を締め上げ苦しみを与え続け……解放する。

突然、サンダースは自分を締め上げていた舌から解放され舌の上でヒューヒューと空気をむさぼる。

(そろそろこの毛も痛くなくなってきましたね。)
「では。」


ダークルギアの口が動いたかと思うとガリッ!!と口の中で鈍い音がする...

「き、牙っ…… ぎゃぁああっ!!」

悲鳴と共かつて無い激痛の中でサンダースは見た。
鋭くとがり、白く輝く自分をハサミつぶしているダークルギアの牙を……

「おや?少々強すぎましたか  な!!」

再びダークルギアの口が先ほど以上の力で動く……ゴリッ!!という音ともに

「がぁぁぁあっ!! げぼっ…… か……体が……っ」

サンダースの視界が赤一色に染まり、絶叫が後を追従する。
それを聞き入り悦に浸るダークルギア。

「フフフ、良いですよあなたのその声……ふんっ…おっと…」

顎に再び力を入れようと口を動かしたとき鉄のような味が舌を刺激した。

少しの間、その味を確かめる様に舌を動かすと
紅色にそまった唾液がダークルギアの喉の奥へと落ちていく。

「少々やりすぎましたか…」

言葉は反省しているが……その表情は笑みを浮かべていた。

「ではそろそろ終わりにしましょう…」

その最後通告通りダークルギアの口の中では今まで以上に舌が波打ち、
ズルズルとサンダースの体を口の奥へ運んでいく。
その動きに抵抗する力も残されていないサンダースはついに……
「もぅ……ダメだ…… 」

サンダースはゆっくりと仰向けの体勢で、
舌の根本まで運ばれ……
喉から落ちかけるような体勢で横たわる。

うつろに開いているサンダースの目に
写るのは……

紅色の唾液が流れ落ちていく真っ暗な喉…
そして、喉の奥に開き伸びている
ダークルギアの胃袋までの……

一方通行の落とし穴だった。

それが……
サンダースの見た最後の光景になった。

ゴグクリッ....

ダークルギアは口を半開きにしたまま少し上を向き、生々しい音を立ててサンダースを嚥下した。

「ぅあああ……っ」

喉を滑り落ちるサンダース……その悲鳴を最後に意識を失った。
ダークルギアの喉を膨らませサンダースが落ちていくのが分かる。
これからサンダースはダークルギアの一部になるのだろう……

「ぱあぁ......この味くせになりますね......」

その後、ダークルギアは喉を滑り落ちるサンダースののど越しを堪能し……
胃袋の中に落ち込んだのを感じると……満面の邪悪な笑みを浮かべこう言った。

「ごちそうさまです」

胃袋に落ち込んだサンダースの重さを感じながら、
口からあふれ出た唾液をジュルリと音を立てて啜ると……
ポンポンと自分の胃袋あたりをたたく。

「フフフ……今回はこれで終わりですね。
 サンダースさん……中々手こずらされましたけど、美味しかったですよ。
 だから……生まれ変わったら、また私に食べられてくださいね」

時間が過ぎるほど……彼を突き動かしていた衝動も少しは大人しくなっていく。

「さて、帰りますか」

翼を広げコロシアムから飛び立とうとするダークルギア。
唐突にその動きが止まる。

そして、何かを探すように目を動かし……口を開いた。

「もしかして……誰か私達を見ていましたか?
 もし、本当に見ている人がいたら……ぜひ、次に私がコロシアムに呼ばれたときに来てくださいね。
 彼と同じように……美味しく食べてさしあげますから……
 それでは、今はさようならです。」

今度こそ本当にコロシアムから飛び立ちダークルギアが霧の中へ消えていく。

この不思議なコロシアム次に訪れるの幸運な者と不運な者は本当に誰なのでしょうね? 



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