テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル


トップページ > 記事閲覧
わにドラ?【色んなジャンルを扱います】
日時: 2010/07/02 18:09
名前: ROM-Liza

 表で書いてる「わにドラ!」のエロ等版です。
 知らない方に伝えておきますが、ポケモンのサイズフェチものです。

 一応、簡単なキャラ紹介を載せときます。
 >>2


 本編とは関係のない短編集という扱いになります。


 スレタイに書いてある通り、色んなジャンルを書く予定です。詳しくは目次をご覧ください。



【目次】
・「お仕置き」【エロ(♂×♀)】…>>1>>6 (完結)
・「鬼畜オルガさん」【エロ(♂×♀)・Hard vore】…>>11,>>15 (完結)
メンテ

Page: 1 |

Re: わにドラ?【エロ/cock/Unbirt ( No.1 )
日時: 2010/07/02 18:27
名前: ROM-Liza

No.1「お仕置き」


「ハァ……、ハァ……」


 久しぶりの空気。段々冷めていく体。頭がクラクラする。


「今日もごちそうさま」


 オルガの野郎は、息絶え絶えのあたしを手に持ちながら、機嫌良くそう言った。

 “今夜も”あたしは食後に舐め回された。あいつに飼われ始めてから毎晩だ。
こういう扱いには大分慣れてきたけど、正直体力的に辛い。


「体、洗わなきゃね」


 オルガは私を持って外に出た。

 住処の外は、すぐそこを川が流れている。いつもここで体を洗う。
このままじゃ、涎の臭いと粘つきで寝られたもんじゃない。

 オルガはあたしを地上に降ろした。せめてもの願いで、体を洗うのは自分でやらせてもらっている。
近くでオルガが監視するのが条件だけど。


「あー、痛てぇ」


 首をコキコキと鳴らしながら、オルガに聞こえないように呟く。
容赦なく舌で抑えつけられたり、たまに体を牙にぶつけられたりするから、体の至る所が痛い。

 まずは左腕を水に浸ける。それだけじゃ粘っこい涎は落ちないから、右手でゴシゴシと力を入れて擦る。
同じように全身を洗っていく。これが結構面倒だ。手の届きにくい翼も洗わなくちゃいけない。

 オルガに洗ってもらえば早いのかもしれないけど、あたし一人じゃ何もさせてもらえないのは何だか苦痛だ。

 加えて、嫌らしいことをされないか不安なのもある。



 一通り体を洗い終えると、どっと疲れが襲ってきた。
これでまた明日、同じような目に遭うと思うと溜息が出る。

 全く、いつまで続くんだ、こんな生活。

 こんな目に遭うくらいだったら、まだあのヒコザルとブイゼルのガキ共に悪戯されてる方がマシ――でもないな。

 ただ、オルガに縛られてばかりの毎日じゃ、気が滅入りそうになる。自由に外を飛び回りたい。
涎塗れじゃない飯を食いたい。毎日毎日舐め回されるのも勘弁だ。

 こんな所から早く逃げ出したいとは思う。だけど、オルガは抜け目のない奴だった。
大きな体をしているくせに、小さなあたしが怪しい行動をとればすぐにそれに気付く。
お陰で脱走計画は実行する前に諦める羽目になる。


「どうにかなんないかな」


 思わず大きな声が出てしまった。慌てて後ろを振り向く。


 スゥ、スゥ


 寝ていた。オルガは胡座をかきながら、顔を下に向けている。寝息が静かだから、全然気付かなかった。

 待てよ、これは逃げ出すチャンスなんじゃないか?
あたしの羽音程度であいつは起きないだろうから、川さえ渡ればこっちのもんだ。
草むらにでも紛れ込んだら、小さなあたしのことなんか見つけられないだろう。

 そうと決まればさっさと逃げよう。あたしは躊躇いなく羽ばたいた。


「――え!?」


 すぐに間の抜けた声をあげる。空気を掻いた翼が、とても重かった。
少し前に、体中を水で洗ったのを思い出す。翼もまだしっとり塗れていた。

 上手く羽ばたくことができずに、グッと水面が近づく。


「ちょっとおおおぉぉぉ!!」


 そこを渾身の力で、空気を叩きつけるように羽ばたいて、ギリギリのところで体が上昇した。
だけど、それは気休めにもならない程度で、またすぐに落ちていく。


 パシャン


 結局あたしは川の中に落ちた。

 沈まないように、必死に足をばたつかせる。
オルガの膝より少し上くらいの浅い川だけど、あたしの体長じゃ川底に足が着かない。

 そしてあたしは全く泳げなかった。


「わぷっ、た、助けて……!」


 助けを呼ぼうとしても、水の流れる音に殆ど掻き消されて、口に水が入ってくるだけだ。
手で水を掻いても掻いても、どんどん流されていく。

 その内、疲れが限界までやって来た。足がもたついてきている。
おまけに、息継ぎが上手くいかなくて意識も朦朧としてきた。


「誰……か……」


 とうとう手足に力が入らなくなって、体が一気に沈んだ。
ゴポンと変な音が聞こえてからは、騒がしかった川の流れも、遠くの方でくぐもった音になっている。

 ヤバい、死ぬ。そう思いながらも意識はぼんやりしていて、体も動かない。
あたしの体は少しずつ暗闇に吸い込まれていく。

 その時、あたしの両側に水面から大きな何かが飛び込んできた。
魚かな、と呑気に考えていると、ふと底の方から勢い良く体が持ち上げられた。

 水面を突き破って外に出る。空気が口にどっと押し寄せてくると、思い切り咽せた。

 呼吸を整えながら状況を確かめる。さっき水中に飛び込んできたものは、あたしが今乗っているコレらしい。
大きな、水色の手のようだ。……嫌な予感がする。

 恐る恐る顔を上げる。


「何をしてるのかなぁ?」


 暗闇に黄色く光る三白眼が、あたしをギロリと睨みつけていた。



 住処に戻ると、あたしは自分で焚き火を起こしてそれにあたった。
体がまだぶるぶると震えている。


「寒そうだね。俺の口の中の方が温かいんじゃない?」

「え、遠慮しとく!」


 慌てて断る。冗談なんだろうけど、今のあたしにはそれを軽く受け流す心の余裕がなかった。

 震えてるのは、寒さだけが理由じゃない。逃げようとしたのが奴にバレないかが、心配でたまらなかった。
もしバレたら、お仕置きだと言って何をされるか分からない。


「それにしても、どうして溺れてたの?」


 ――来た。顔が引き攣りそうになるのを抑える。


「……足が滑ったんだよ。体が洗い終わったから、立ち上がろうとして」

「そうか」


 オルガが頷く。特別疑うような目はしていない。上手く誤魔化せたか。


「嘘はいけないよ」


 見透かしたような言葉にびくりと体を震わせる。
そして次の瞬間には、あたしの体は焚き火の前から攫われていた。
オルガの顔が視界一面に映る。何処か不機嫌そうに見える。


「さっき君が体を洗ってた場所を確認したけど、滑り落ちた跡はなかったよ。
地面を強く蹴ったような跡ならあったけどね」


 忽ちあたしは青くなる。


「本当は逃げようとしたんだろう?」

「……ごめんなさい」


 観念して俯く。こういう時は、素直に謝った方が身の為だ。
下手に反抗しようとすれば、余計酷い目に遭う。
“悪いこと”には厳しくしつける、それがこいつの信条らしい。

 オルガはあたしの頭を撫でた。


「素直で良い子だ。でも、始めに嘘をついちゃったのは良くないね」

「……」 

「悪いことをしたら、罰を受けなきゃいけないんだよ」

「……痛いのとか、嫌だからな」


 もう最悪だ。涙が出そうになる。


「ハハ、可愛いなあ。そんなに怯えなくて大丈夫だよ。
君に惨いことをする訳ないだろ」


 どうだか。あたしのことに飽きたら、食べ物とみなして噛み砕くかもしれない。

 だからこそ、こいつを怒らせるのはタブーだ。“ペット”として、魅力的じゃないといけない。

 その為にも、あたしは文句一つ言わずに、目の前に差し出されたオルガの手に上る。


「早速、仰向けに寝てみてくれるかな?」


 何をするのか気になるけど、とにかく言われたとおりにする。


「硬くならないで。力を抜いていいよ」


 そうは言われても、緊張してなかなか上手くいかない。


「まあいいや。じゃあ始めるよ?」


 そう言って、オルガは指を一本近付けてきた。

段々向かってくる太い指に、不安になって目を瞑る。そして――


 グッ

「あっ!?」


 思わず声を漏らす。股の間に刺激を感じた。

 見ると、指の腹であたしの恥部をぐりぐりとこねくり回している。


「うぅっ、な、何してんだ」

「何って、お仕置きだよ。気持ちいいだろ?」


 ふと押し付ける力が強くなる。それと同時に、快感が体中を突き抜けた。
口の端から、涎と一緒に微かな声が漏れる。

 あたしの恥部は刺激に敏感なようだった。
こんな体だから、今まで使わずに放っておいた所為かもしれない。


「や、やめ……あぅっ」

「だーめ。これは罰なんだから」


 にやりとしてそう言うと、今度は、指をギュッと押し付けては離す、押し付けては離すを繰り返し始めた。
刺激に強弱がついて、余計に快感が増していく。

 あたしの恥部はこんなことの為にあるんじゃない。本当なら、大切な誰かに対して使うものだ。
それなのに、こんな体で生まれてきたから――。
こんな外道にイカされるだなんて、悔しくて仕方ない。

 それでも、快感は快感だった。目から溢れ出てるのは、何の涙なんだか。

 絶頂スレスレの状態が長く続いた所為で、頭はおかしくなりかけている。
すると、オルガの指が止まった。股の周りはびしょびしょに濡れていた。


 べろんっ


 入れ替わりに、あたしの両足を外へ押しやって、大きな舌が股の間をなぞる。


「――っ!!」


 不意の仕打ちに、あたしは絶頂を迎えてしまった。
メンテ
Re: わにドラ?【エロ/cock/Unbirt ( No.2 )
日時: 2010/07/02 18:49
名前: ROM-Liza

【キャラ紹介】
・リン(リザードン♀/一人称:あたし)

 何故か小さい体で生まれてきてしまったリザードン。手の平サイズ。
 幼い頃に親に捨てられてから、一人で生きてきた。毎日が死と隣合わせレベルの苦労人。

 グラエナに食べられかけていたところを、オルガに助けてもらう。

 そして、オルガの脅しで彼に飼われることとなった。



・オルガ(オーダイル♂/一人称:俺)

 ちょいデカめのオーダイル。リンを飼っている。

 Sっ気があり、リンをいじめるのが楽しくて仕方ない。
メンテ
Re: わにドラ?【エロ/cock/Unbirth】 ( No.3 )
日時: 2010/07/02 23:53
名前: ケイル


ついに小説来ましたねっ
本編とは関係ないという前置きですが、どう見てもこっちが本編というか実際の日常な気がしますw

指先1つとほんの一舐めで、支配されてしまうとは、なんともくやしいとこですね><
あと個人的になんですが、挿入がなかった点が地味にうれしかったり。
なんでだかはわからないですが、なんかもったいない気が・・・w

そして相手がワニさんということで、スレタイから察するに、今後はあんなことされちゃうのかなw


ところで、いよいよコンテンツも揃ってきたというところなので、
正式にサイトからリンクを貼ってみようかと思います。
もし、もうちょい作品が進んでからの方がよければ、それに応じようかと思います。
どうでしょうか?
メンテ
Re: わにドラ?【エロ/cock/Unbirt ( No.4 )
日時: 2010/07/05 14:44
名前: ROM-Liza

>ケイル さん

 早速投稿させていただきましたー。

 表に投稿できないだけで、こちらの方が確かに本能的というか日常的な話ですねw

 オルガには普段から変態でいて欲しいです。

 自分は捕食側と被食側の絶対的な差を好むタイプなので、
リンのお仕置きにはそういう趣味がはっきり表れた気がします(^q^)


 今の場面はまだ序盤にすぎないので、もっと屈辱的なやつを書く予定です。



 リンクはどうぞ貼っちゃってください。俺の亀更新を待ってもアレですし。
メンテ
Re: わにドラ?【エロ/cock/Unbirth】 ( No.5 )
日時: 2010/07/05 21:59
名前: ケイル

作家さんの了承も得られたということで、表からリンク貼ってみました〜
さてさてどうなるかな。

そしてもっと屈辱的な内容になるとは、うーむ、色々と気になりますねw
メンテ
Re: わにドラ?【エロ/cock/Unbirt ( No.6 )
日時: 2010/07/21 18:28
名前: ROM-Liza


 一旦地上に降ろされたあたしは、ぐったり仰向けになりながら、深呼吸を続ける。
絶頂に達したときの胸の高鳴りが、なかなか治まらない。恥部もまだヒクヒクしている。

 指先一つでいいように扱われたかと思うと、悔しさが込み上げてきた。
オルガのあの“してやったり”という顔ときたら、腹が立つ。

 こんな恥ずかしい目に遭うのはもう沢山だ。


「そろそろ休憩はいいかな?」


 呼吸が整ってきたところで、オルガがそんなことを言い出した。


「は? 休憩!?」

「うん。もう終わりだと思ってた?」


 まさしくその通りですが。


「お仕置きはまだ終わってないよ。“気持ちいい”だけだなんて、罰にならないじゃないか」

「充分嫌だったんだけど」

「何か言った?」

「……何にも」


 あたしは口を尖らせる。

 どうせお仕置きなんてどうでも良くなっているんだろうな。あたしで遊ぶのが楽しいだけだ。


「良い子だ」 


 にっこり微笑んで、右手をこっちに伸ばしてきた。その時オルガのことをキッと睨みつけてやったけど、奴は構わずあたしを掴み上げた。


「今度は何?」


 ぶっきらぼうにそう言うと、手の動きが止まる。目の前には、立派に聳え立つ……まぁ、オルガの“あれ”が見えた。

 思わず息を呑む。


「今度は君に気持ちよくしてもらう番だ」

「いやムリだから」


 即断った。どう見たってオルガの“あれ”は、あたしの体よりも一回り二回りそれ以上に大きい。挿れようがない。


「大丈夫だよ。挿れるわけじゃない。“君を使って”俺が気持ち良くなるんだ」


 言ってる意味が掴めずにいると、急に体が前に動いて――


「うぐっ」


 “あれ”に体を押しつけられた。腹側が表面に引っ付いている。

 そして、背中側からオルガの手が覆い被さってきて、あたしの体は“あれ”と手の間に挟まれる。
顔が“あれ”に付くのを避けようと頑張っていたけど、敢えなく指で押さえられた。……最悪だ。


「汚ねぇんだよ! 離せ!」

「舐めてくれたら止めてあげようかなー」

「〜〜!!」


 上から降ってきた言葉に、歯を軋ませる。オルガの顔は見えないけど、余裕の表情は簡単に想像できた。どこまでも馬鹿にしやがって!

 仮にも小便や精液の出る所だ。そんな汚いモノを舐められるわけがない。


「舐めてくれないならいいよ。もっと楽しいことをしてあげる」

「は?」


 その時、体が上に持って行かれた。


 シュッシュッ


 皮の部分と一緒に、あたしの体は高速で上下する。これはもしかして、もしかするとよく言う自慰ってやつか。


「馬鹿っ、止めろ!!」


 顔を真っ赤にしながら、必死に声を挙げる。冗談じゃない。これじゃあたしが性欲処理の道具みたいだ。
これでも一応は、リザードンという種族の雌なのに――。


「や、止めろ、ってば!」

「フフ、大人しくしろよ」


 ふと、あたしを握る手の力が強まった。途端に苦しくなって、声が出にくくなる。
そしてそのまま、オルガは自慰を続けた。


 ――ニチャ


 ふと、“あれ”を扱く音に混じって、気持ち悪い音がした。あっという間に表面がヌルヌルに覆われていく。
それに加えて、鼻にツンとくる臭いが漂ってくる。涎とはまた違った、濃厚な生臭さ。何処か酸っぱさも感じる。

 どうにせよ悪臭に変わりないんだけど、鼻を手で覆うことができないから、なるべく口だけで息をするようにした。

 でも、胸を強く圧迫されているから、あんまり上手く空気を吸えない。周りが蒸してきた気もして、何だか息苦しい。

 結局口からの空気だけじゃ足りなくて、思わず鼻から空気を吸う。


「――!? うぇっ……ゲホッゲホッ」


 急に込み上げてきた、鼻の奥から喉にかけての痛みに近い刺激に、激しく咽せてしまった。勝手に涙まで出ている。漂っている悪臭が、一気に凝縮されていた。

 こんなの耐えきれない。


「オルガ、止めてよ」


 さっきよりも語気を落として、オルガに頼む。オルガの反応はない。擦れ合う音に掻き消されたのかもしれない。

 もう一度、今度はもっと大きい声で言った。


「オルガ、苦しいから、止めて!」

 シュッシュッ……


 また返事はない。これでも駄目か。

 そうこうしている内に、“あれ”は大分熱を帯びてきて、それに接しているあたしの体も熱くなる。
特に頭なんて、呼吸が出来ないのも相まって、クラクラしてきた。

 このままじゃ本当に危ないかもしれない。いよいよ怖くなってきたあたしは、力を振り絞って叫んだ。


「止めて! お願いだから!!」

 シュッシュッシュッシュッシュッシュッ……


 それでも止まなかった。今度こそは、オルガも聞こえるくらいの声だったはずだ。
ここまでくると、我を忘れるほど自慰に耽っているのか、わざと無視して反応を楽しんでいるかのどっちかだろう。

 聞こえるのは、自慰の音とオルガの荒い息遣いばかりだ。

 あたしは声を出す気力も失せて、上下の激しい揺れに身を任せることにした。大人しくしていれば、早く終わるかもしれない。

 本当に自慰の道具になった気分だった。為す術もなく、激しい上下の揺れに翻弄されるだけ。
惨めだ。屈辱でしかない。それでも今は、ひたすら耐えているしかなかった。

 すると、ドクンという鼓動が“あれ”を伝ってきた。


 ギュウウゥゥッ!!


 それと一緒に、オルガの握る力も一層強くなった。


「――――っ、く……あぁ……」


 尋常じゃない力で、体が締め付けられる。息なんて全然出来ない。全身の骨が軋む。

 痛い! 潰れる!!

 オルガの奴、絶対に加減忘れてるだろ。それを訴えたくても無理だった。叫ぼうとしても、掠れて声にならない。

 自慰が絶頂を迎えようとしているのか、扱きの速さも上がっている。鼓動の間隔も狭まっていく。

 目がかすむ。もう限界だ。本当に今度は死ぬかもしれない。

 そんなことが過ぎった瞬間、“あれ”の内側から何かが遡る音を聞いた。


 ビュルルルッ


 視線の先遠くで、白い汁のようなものが勢い良く噴き出した。その様子を、あたしは呆気に取られながら見つめる。
いつの間にか、オルガは手の力を緩めていた。

 “射精”とかいうのをしているらしい。助かった。

 空気を確保しながら、“あれ”が脈打つのを腹に感じていた。この内側じゃ、あの白い汁が送られているのか。

 呑気に感動していると、急に体が“あれ”から引っ剥がされて、地面に放られた。
何が何だか分からず、咄嗟に翼を開くことも出来なかった。

 腹から着地する。ベチョリと嫌な音が立つ。そこは丁度、オルガが精液をぶっ放した所だった。


「やっ!」


 汚さに顔を顰めていると、後ろから、角(つの)のあたりにビュッと汁を引っ掛けられた。


「何すんのよ!!」


 流石に頭にきて、目に涙を浮かべながら振り向く。その目と鼻の先に、“あれ”の噴射口が真っ直ぐセットされていた。全身がゾッと震え上がる。



 ビュクッ、ビュッ、ビュルルッ



 ――そして逃げる間もなく、白い汁が視界全体を覆った。汁の勢いで倒される。


「あっ、いやっ、ゲエッ」


 容赦なく発射される精液は、口にまで入ってきた。苦い。とっても不味い。吐きそうだ。

 怒涛の汁責めから逃れるために、あたしは体を捩って地面を這いつくばる。
降りかかる精液は、のしかかりを受けているみたいに重かった。立つことも出来ない。

 やがて白い汁は、あたしの体を完全に埋め尽くした。もうこうなると、体も動かせない。顔にかかった汁が目に入らないように、目も固く閉じる。

 ようやく射精が終わったらしく、あの喧しい発射音が止んだ。


「ご苦労様。これでお仕置きは終わりだ」


 そう言うオルガの呼吸は、まだ整ってはいなかった。


「楽しかった?」

「……楽しかねぇよ」


 全身がドロドロのべちょべちょ。雌ポケモンとして、これ以上の屈辱はない。


「怒らないでよー。俺もやり過ぎたと思ってる」

「……」


 汁が重みで垂れ下がってくる。あちこちがかぴかぴに乾いている。これは洗うのが大変そうだ。


「お詫びと言ってはなんだけど」

「うわっ」


 体がひょいと掴み上げられる。


「今回は俺が洗ってあげるよ」


 あたしは口の高さにいた。ちょっと待て。嫌な予感しかしない。

 舌なめずりが聞こえた。


「ちょうど小腹も空いたしね」

「やめてえええぇぇぇ!!」


 パクッ


 やっぱり口の中に放られた。大量の涎が待ちかまえていた。

 るろ ぐにゅ ぺちゃぁ

「うん! よく味がついてる」


 オルガが満足そうに頷く。口の中では、あたしは全身を隈無く舐め回されていた。
弄ぶと言うよりは、味わうように。股の間にも容赦はない。

 纏わりつく汁が消え去っても、暫く舐められ続けた。


* * *


 結局、また自分で体を洗う羽目になる。さっきまで快感やら恐怖やらで興奮していた分、疲れがドッと押し寄せてきた。もの凄く眠たい。

 腕をゴシゴシ洗う。あの汁はもう無いけど、洗っても洗ってもベタベタ感が残っている。

 おまけに、臭いはなかなか取れなかった。あの汁と涎の臭いがごちゃ混ぜになっていて、閉口モノだ。
こればかりは、臭いが消えるのを待つしかないのかもしれない。


「うぅっ……」


 涙がじんわりと滲み出て、零れてくる。


「何で……何であたしばっか、こんな目に遭わなくちゃ……いけないんだよぉ……ぐすっ」


 あいつの前では我慢していたけど、とうとう泣き出してしまった。今日の仕打ちを思い出すと、涙が止まらない。

 体を洗うのを一旦止めて、次から次へと流れる涙を手で拭う。右手はまだ臭いけど、仕方がない。

 怖かった。そして、悔しかった。こんなに心をズタボロにされたのは初めてだ。今日は今まで生きてきて最悪な日となった。



 散々泣いて涙を出し尽くすと、あたしはさっさと体を洗い終えた。翼の方も、何度か羽ばたいてよく水を切る。

 体の表面の水気が乾く頃には、すっかり夜も更けていた。周りには誰もいなくて、しんとしている。

 オルガの奴はと言うと、お仕置き(舐め回しを含む)が終わると、さっさと寝床に戻ってしまっていた。

 脱走犯をまた野放しにするなんて、馬鹿なんじゃないかと思う。
あんな目には遭ったけど、ここから逃げる希望はなくしていない。懲りたと思ったら大間違いだ。

 さっきは後ろで監視されてたけど、今は違う。ちゃんと翼は乾かしたし、高く飛んでしまえばあいつも捕まえられない。

 もう一度後ろを確認してから、空を見上げる。今度こそ――。

 あたしは地面を蹴った。


『や、やめ……あぅ!』

『止めて! お願いだから!!』

『――――っ、く……あぁ……』


 突然頭の中に、お仕置きの様子が蘇った。羽ばたき損ねて、地面に転がる。


「ご、ごめんなさいごめんなさい!」


 頭を抱えてうずくまった。声が、体がガクガクと震えている。一瞬のことなのに、心臓は鼓動が聞こえるほどに鳴っている。

 恐る恐る後ろを見る。――誰もいなかった。


「あぁ……」


 気分が落ち着いてから、溜息を吐く。駄目だった。あたしはしっかりと教え込まれたらしい。
逃げたら、どんなに怖い目に遭うかを。

 もしかすると、オルガはこのことを分かっていたのかもしれない。今頃、寝床で横になりながらほくそ笑んでるのかもしれない。

 そうだとしたら、あたしは完全にあいつのペットだ。あいつのための、あいつに従順なペットに近づいている。


「くそっ」


 悪態をつくと、あたしはふらふらと立ち上がって寝床に向かった。


 疲れた。早く寝よう。

 しっかり休んで、なるべく疲れは残しちゃいけない。



 明日の屈辱に耐えるためにも――。

【END】
メンテ
Re: わにドラ?【エロ/cock/Unbirt ( No.7 )
日時: 2010/07/21 21:38
名前: ROM-Liza

 書き終わりましたー。
 ……読み返すと、捕食要素がめっちゃ少ない;

 “サイズフェチのエロ”と言った方が良いというか、もう完全にそっちですねw


 マジでごめんなさい。
 本当に俺得なだけなんですよ。リンいじめ楽しかったw

 ペニスに押さえつけられてそのまま自慰とか、悶えます。


 しかし、「(エロに重点を置きすぎて)捕食がおまけっぽくなる」という懸念を現実にしてしまった感じ。


 まぁ、悪い例の一つとして見てやってください。



>ケイル さん
 今更ですがリンク乙です。

 屈辱的なお仕置きについては、cockは外してみました。無駄に話のボリュームがでかくなりそうだったんで。
メンテ
Re: わにドラ?【エロ/cock/Unbirth】 ( No.8 )
日時: 2010/07/21 22:41
名前: ケイル


自慰の道具として扱われるというのは素敵ですw
普通、陵辱と言えば交尾だろってなるんですが、
あえて自慰ということで、性交相手以下の扱いってあたりがいいですよね〜
まぁこの作品の場合、交尾は難しいですがw

性器捕食がカットなのは残念ではありますが、
この小説ってサイズフェチの人からしたら、かなり垂涎モノな気がしますw

また何か創作意欲が沸きましたら、よろしくお願いしますっ
メンテ
Re: わにドラ?【エロ/cock/Unbirth】 ( No.9 )
日時: 2010/07/24 22:50
名前: g

>道具扱いがより鬼畜というか、身長差の良さが出ていた気がしますw全くオルガはド変態さがすごいなぁw
リンが可愛いですねwちょっと生意気なところと不遇さが余計に苛めたくなるっていうかw
でも個人的にはリンには幸せになって欲しいって気持ちもあったりしますw
メンテ
Re: わにドラ?【エロ/cock/Unbirt ( No.10 )
日時: 2010/07/28 18:51
名前: ROM-Liza

>ケイル さん
 物扱いは鬼畜で好きです^^
 自慰に巻き込まれながら上下に揺さぶられるとか、最高ww

 今回は断念しましたが、性器捕食もいずれ書きたいですね。やっぱりサイズフェチの最たるものですしw

 今回は自分の趣味をに走り気味で捕食っぽくなかったので、そこは気をつけないとです(`・ω・´)


>g さん
 書いてくださった絵のセリフを、話の中で勝手に使っちゃいました。すみません><

 今回みたいな扱いは、身長差と屈辱感を一緒に出せるので、書いてて楽しくて楽しくて。

 大人しく食われに行くよりは、必死に抵抗するけど食べられちゃうシチュの方が好きなので、リンの性格や言動はまさにそれの表れです。

 もちろんリンを苛めてるのは愛ゆえなのであって、たまにはリンにも安らげる時があってほしいと願いますw
メンテ
Re: わにドラ?【エロ/cock/Unbirthとか】 ( No.11 )
日時: 2011/05/09 01:10
名前: ROM-Liza

 どうもお久しぶりです。鬼畜モノを書いてみたいなと思って、こんなん書きました。

 前回は番外編みたいな話でしたが、今回は完全なるifの世界です。本編とまったく繋がりません。

 話は本編第1話の別ルートであり、ちっさい雌リザードンのリンが
グラエナに食われかけてた所を、デカいポケモンに助けられた後から始まります。

 ということで、興味のある方はドゾー



No.2「鬼畜オルガさん」


 目を覚ますとそこは知らない場所だった。起き上がって見回しても、
暗くて周りの状況も見当がつかない。もうすっかり日は暮れてしまったらしい。
ただ、川のせせらぎのような音が頻りに聞こえている。それだけが手掛かりだ。

 随分長いこと気を失っていたんだろうか。何だか頭が重い。
起き抜けで目が慣れない所為で、自分の尻尾の炎もやたらと眩しい。
ぼんやりと整理のつかない頭で、とにかくあたしは朧気な記憶を辿った。
あの小生意気なエテ公とイタチ野郎の悪戯で身動きが取れなくなって、
そこをグラエナに襲われて、それから――

「やっと目を覚ましたか」

 背中からの声にあたしはハッとする。思い出した。あたしは攫われたんだった。
多分、この声の主に。

「ひゃっ」

 急に体が締め付けられ、足が地面から離れた。鷲掴みにされたみたいだ。
 じたばたもがいていると、尻尾の炎が目の前に恐ろしい形相を照らし出した。
ギロリとこっちを睨む三白眼、あたしの体を簡単に突き破りそうな鋭く太い牙、
何でも噛み砕いてしまいそうな逞しい顎。そんな怪物を目の当たりにして、
あたしの心臓はきゅっと縮み上がった。

「心配しなくても、あのグラエナは今頃何処かで伸びてるだろうし、
ここはあの場所から大分離れているから安心だよ。ちなみに俺の住処なんだ、ここ」

 予想外に甘く優しい声を掛けられた。この怪物、見た目は野蛮な感じがするのに、
声は別人だ。でも、油断はできない。

「フフ、震えてるね。そんなに怖がらなくていいんだよ。何にもしないから。
――ほら、君、お腹空いてるだろ? これ食べなよ」

 そう言って怪物は、何処からともなく木の実を差し出してきた。
ピンク色でプニプニと軟らかいそれは、モモンの実だ。
他の木の実とは比べ物にならないほど甘くて美味しい、あたしの大好物だった。

 思い返してみれば、今日一日は飲まず食わずで散々飛び回った挙げ句、
命の危険にも遭った。お蔭で体はクタクタ、お腹はペコペコだ。思わず唾を呑む。

 いや、待てよ。これは何かの罠かもしれない。見ず知らずのあたしに
こんな施しをしてくれるような奴が、今までにいただろうか。
あたしに近付いてくる奴は、殆どが悪戯目的か獲物として追いかけてくるかだ。

 もしかしたらこいつも、あたしを太らせた後で美味しく頂こうという魂胆なのかもしれない。
簡単に誘惑に乗っちゃだめだ、とあたしの中のあたしが警告している。

 だけど空腹はとっくに限界にまで達していた。木の実一つを運ぶことさえ
重労働のあたしにとって、今のこの状況はありがたいことだ。
 それに、小さな体の所為で移動範囲が限られているから、
モモンの実なんてそう簡単に出遭える代物じゃない。

 結局あたしは誘惑に負けて、モモンの実に手を掛けた。
大きく口を開けて齧り付く。牙が皮を突き破って中の果肉に届くと、
仄かな良い香りが立ち昇ってきた。
噛んでいくと、甘さが口いっぱいに広がってきて、全身にまで沁みわたってくるような心地がした。

「……おいしい」

 空腹が満たされてくると、体がじんわりと温まってきた。
ほっとした所為か、いつの間にか目が潤んでいる。

 ふと頭を撫でられる。目を丸くして顔を上に向けると、あの怪物の指先が見えた。
怪物の顔を窺ってみると、あの厳めしい顔形からは想像しにくいほど穏やかな表情で微笑んでいた。
慰めてくれようとしているらしい。

 ごつごつとした皮膚だけど、その指使いには何だか癒されて、遂に涙を零してしまった。
流石に泣き顔を見られたくはなかったあたしは、木の実に顔を埋めるようにして、
夢中で果肉を貪った。体中がベトベトになろうがどうでも良かった。





 モモンの実を完食したあたしは、後ろの方に手を付いて、足を放り出して座っていた。
木の実一つを丸ごと食べたので、あたしの小さな腹の中はパンパンに膨れている。
だからこの姿勢が楽だった。

「お腹いっぱいになった?」

 怪物が話しかけてくる。私はそっちの方を見て、笑顔で頷いた。涙はとっくに引いていた。

「あの……ありがとう。助けてもらったり、食べ物を貰ったりしちゃって」

「いいんだよ。大したことしてないし」 

「そんなことないよ! 本当に感謝してるんだ」

 謙遜する怪物に、あたしは強く言う。あのまま誰も来なかったら、きっとグラエナに食べられていた。
それに、こんなに心休まる中で食事ができたのはかなり久し振りだった。
食べられる恐怖と隣り合わせの毎日の中で、やっと出遭えた優しさだった。

「あのさ、その……あんた、何て名前なの?」

 上目遣いであたしは訊ねる。命の恩人のことを、モノローグの中で
いつまでも怪物′トばわりするのは申し訳ない。

「ん、俺? 俺の名前はオルガっていうんだ」

「おるが?」

「そう。オーダイルのオルガ。君は?」

 オルガが訊き返してきた。ちょっと嬉しかった。オルガにしてみれば、
訊ねられたから訊ね返しただけのことなんだろう。

でも、捕食者や悪ガキ以外に相手にされないあたしにしてみれば
、誰かがあたし自身に少しでも興味を持ってくれるのはとても感動的なことだ。

「リン。リザードンのリン」

「リンか。可愛い名前だね」

「あ、ありがとう」

 照れ臭さに顔中が熱くなる。親以外の誰かに褒めてもらえることなんてこと、
生まれて初めてだ。きっと今、あたしの顔は真っ赤になっている。
顔が小さい上に、元から皮膚がオレンジ色だからあまり目立たないだろうけど。

「ねえ、リン。ちょっと提案があるんだけどいいかな」

「えぁっ!? え、な、何?」

 ふとした拍子にオルガが話しかけてきたので、照れていることを悟られまいとしていたあたしは、
必要以上にびくついてしまった。

「どうして君がそんなに小さい体なのか分からないけど、
さっきグラエナに襲われていたことからしても、君はきっと
危険な毎日を過ごしてきたんじゃないかと思うんだ」

 うんうんと頷く。全くもってその通りだ。

「そこでなんだけどさ、その、」

 オルガは少し恥ずかしそうに口元に手を当ててから、決心した様子で言った。

「……俺と一緒に暮らしてみない?」

「……え!?」

 思わず叫んでしまった。予想外の言葉だった。

「いや、君さえ良かったらでいいんだ。君が食べるものは簡単に準備してあげられるし、
俺と一緒なら他のポケモンに襲われる心配もないしさ。どうかな、って」

「いい! 凄くいい!」

 あたしは目を輝かせた。条件が良すぎて断る理由がない。

「でも、何であたしのためにそんな……」

 凄くいい提案なんだけど、あたしにはオルガがこんなに優しくしてくれる訳が分からなかった。

「何で、かあ。まず第一に、君の境遇が可哀想だったっていうのがあるんだけど」

 そう言いかけると、オルガは目を細めて、あたしに向かって手を差し伸べた。 
そして、指先であたしの頭を撫でる。

「リンは辛い目に遭いながら、一生懸命に生きてきたんだもんね。
そこが健気だなぁって思ったんだ。そしたらその健気さが可愛く思えてきて。
だから君のことを守ってあげたいんだ」

 ただ驚くばかりだった。こんなにあたしのことを思いやってくれるポケモンは、
今まで見たことがない。胸の中に溜まっていた重苦しいものが、
今はスッと消えてしまったような感じだ。オルガの言葉で、
今までの苦労や困難が全て報われた気がした。

「うぅっ……ふわああああああぁん!!」

「えぇっ!?」

 突然目に熱いものが込み上げてきて、耐えきれなくなったあたしは、
何とも締まりのない間抜けな声で泣き叫んだ。思い切り泣くところなんて
誰にも見られたくなかったけど、止めようがないから仕方ない。
あたしはオルガの指にしがみ付いた。すると、オルガはあたしの頭を撫でてくれた。
何度も何度も撫でてくれた。あたしはそのまま思う存分泣き続けた。





「ひうっ、……ご、ごめん。もう、大丈夫だから」
 
 漸く涙が引いてきた。いつまでもオルガの指にくっ付いているわけにもいかないので、
しゃくり上げながら離れる。

「もういいの?」

「うん。沢山泣いたらすっきりしたよ。ありがと」

 目元に残っていた涙を拭って、オルガに笑いかける。

「それは良かった」

 オルガも笑顔で返してくれた。それを見て心が和んだ。
こんなに温かい気持ちにしてくれたポケモンは、今まで誰一人だっていない。
でも、オルガの傍に居れば、これからはいつだって安心して過ごしていける。

 そう確信しかけた時だった。

「……それはそうと、リンの体、木の実の汁でベタベタだね。俺が洗ってあげようか?」

 オルガがあたしの体に指先で触れながら言う。さっきモモンの実を食べたときに、
全身がその汁で塗れてしまったので、確かにベタベタとしていた。
流石にこのままだと気持ち悪いので、そろそろ落としたいとは思っていた。

「いやぁ、何でもやってもらっちゃ悪いから。自分で洗うよ」
「いいの、いいの。すぐに済むからさ」

 断るあたしの体をオルガはひょいと摘み上げると、自分の顔の前に持ってくる。
――あれ? 何だかおかしくないか、この状況。
 ふとそう思った瞬間に、湿った大きな何かがあたしの左半身をベロンとなぞった。

「わっ!?」

 驚いてそっちを見ると、丁度オルガの舌が口の中に収められるところだった。
 今、あたしのことを舐めた? あたしは混乱した。
さっきまであんなに優しく接してくれたオルガが、何でいきなり
あたしを味わうような真似をするのか。
 もしかしたら冗談でやっているのかもしれない。でも、そうじゃなかったら……?
 忽ち不安に襲われる。

「ひゃっ」

 その内に、今度は背中を舐められた。ゆっくりと撫でるような舌先の触れ方に、
背筋がゾクゾクっと震え上がった。

 その後も、右半身、腹、腕、足、脇という風に隈なく舐めていった。
その度にくすぐったくて声を上げそうになったけど、何とか抑えた。
もし善意で舐めてくれているのだとしたらと思うと、
嫌がるような素振りを見せるのは気が引けたからだ。あたしは目を閉じて、とにかく耐えた。




「――終わったよ」

 上から声を掛けられる。それと同時に、あたしの体は地面にそっと下ろされた。
恐る恐る目を開けると、そこには相変わらずのオルガの笑顔があった。
 
「ベタベタしてるところは全部舐め取ってあげたからね」 

確かに木の実のベタベタは取れたけど、代わりに涎が纏わりついている。
体から立ち昇ってくる臭いに、鼻がヒクヒクする。

 でもオルガの笑顔からは、冗談や悪意のようなものは感じ取れない。
よく分からないけど、種族が違えばものの感じ方や考え方が違うって聞くし、
これもそういうことなのかもしれない。自分の体を舐めて綺麗にするポケモンだって見たことがある。

 あたしと違って、オルガは「舐めれば何でも綺麗になる」という考えをしているだけ。そういう風に自分を納得させた。

「あ、ありがとう」
 
 笑顔を作って、ぎこちなくもお礼を述べた。さっきよりも酷くなってきた涎の臭いに、
口の端が引き攣っている。

「もう夜も遅いことだし、そろそろ寝ようか」

「そう……だね」

 あたしが頷くとオルガはあたしを掌に載せて、寝床まで運んで行く。
待て。ということは、この臭いの中で寝ろと? 目で訴えるも、
真っ直ぐ前を向いて歩いているオルガは気付かない。仕方ないので、黙ってそのままでいた。

 住処の奥には沢山の草が敷いてあるところがあった。どうやらこれがオルガの寝床らしい。
あたしの住処にある寝床もこんな感じだ。

「これが俺の寝床なんだ」

 そう言ってオルガはあたしを地面に下ろして、寝床に寝転がった。

「今日から君も使っていいんだ。なかなか温かいんだよ、これ。
あ、尻尾の炎が燃え移らないように気を付けてね」

 オルガが手招きをする。オルガの近くに寄っていく。

「ほら、隣に寝てみて」

 言われたとおりに寝てみる。なるほど、温かいな。でも、寝床が温かいだけじゃない。
オルガの近くにいることで、オルガの体の温かさがこっちに伝わってくる。

「温かいでしょ?」

 ちらりと上を窺うと、頬杖を突きながらオルガがあたしを見下ろしていた
。優しい眼差しだ。とても心が落ち着く感じがした。
随分と昔、両親に見守られていたあの頃と同じ感じだ。
そして確信する。あたしはもう、いつやって来るか分からない敵に怯えなくていいんだ、と。

 あたしは心からの笑顔で、大きく頷いた。


 違う種族のポケモンと暮らすんだ。驚くような違いに出遭っても、
それに戸惑っていちゃいけない。これから大変なことが沢山あるだろうけど、
それをしっかり受け入れていこう。
そうすればきっと、今までよりもずっと幸せに生きていくことができるはずだ。

 そう、きっと――


 頭の中でそう自分に言い聞かせると、オルガが眠ったのを見計らって、
あたしは近くの水辺へと直行した。





 オルガと暮らし始めて暫くが経った。あたしの暮らしぶりといえば、
結構充実している。食べるものはオルガが採ってきてくれるし、
オルガと一緒に居れば他のポケモンに襲われる心配はないし、
何より独りぼっちじゃないのが嬉しい。

 だけどその分、前よりも自由が無くなった。危ないから、
あたしは勝手に外に出てはいけない、そうオルガと約束している。
だからあたしは一日中住処の小さな洞穴の中で留守番だ。

 危険を避けるためには止むを得ないことだとは思う。
だけど時々、夜中に近くの川の畔で向こう岸にある森を眺めては、
自由にあちこち飛び回っていた日々を恋しく感じる。

 それだけならまだいい。あたしのことを思ってくれてのことだと思えば、
なんてことはない。

 でももう一つ、問題があった。





「――ふぅ、ごちそうさま」

 今夜も夕食を終えると、オルガがあたしの方を見る。今夜はオボンの実だった。
果汁を被らないようには気を付けていたけど、それでも体のあちこちがベトベトしてしまう。
 今回も例のアレは避けられない。

「じゃあ始めるよ」

 そう言うとオルガはあたしの体を持ち上げ、口の前に持ってくる。
そして舌を突き出して、あたしの体を舐め始める。オルガと暮らすようになってから結構経つけど、
食事の後には未だにこの舐め回しが待っている。

 ねちゃねちゃという涎の音がする。時々オルガの生温かい息が吹き付けられる。
この感じにはなかなか慣れない。いつもはとても優しくしてくれるオルガも、
この時ばかりは別人のように思えてしまう。

体を綺麗にする≠ニいう口実で、本当はあたしのことを味わっているんじゃないか。
もしかしたらこのまま食べられてしまうんじゃないか。
そういう不安が次々と浮かんでくる。舐められている時はオルガの表情が見えないから、
その不安は尚更募る。


「終わったよ」

 舐め終わったときのオルガの満面の笑顔を見ると、この笑顔が本物なのか偽物なのか、
そんなことを考えてしまう。
そして自分が嫌になる。何かと疑ってしまうのは、今までの受難の経験から
身に沁みついてしまった癖のようなものだ。あたしみたいに他のポケモンから狙われやすい奴には、
特に必要なことだとは思う。

 だけど、この舐め回し∴ネ外に怪しいことがない中、
オルガのことを疑ってしまうのはどうなんだろう。オルガが完全な善意で
あたしを住まわせてくれているのだとしたら、養ってもらっている分際でこれほど失礼なことはない。

かと言って、何か裏があるのだとすればあたしの身が危ない。

 結局、確たる証拠もないので、あたしの心配事はいつも堂々巡りに終わってしまう。
オルガが良いポケモンなのか悪いポケモンなのか判断がつかないまま、
また同じように毎日をオルガと過ごしてきた。

 でも、もうそろそろ限界だ。疑い続けていると、気が変になりそうだ。

 覚悟を決めて唾をごくりと飲み込む。

「ねえ、オルガ」

「ん、何?」

 呼びかけられて何となしに振り向いたオルガの顔を見ると、
何だかたじろいでしまう。それでも、気を取り直してあたしは言った。

「あのさ、明日からはさ、こうやってオルガに体を綺麗にしてもらわなくてもいいかなー……
って思うんだけど」

 それを聞いたオルガはキョトンとしていた。訳が分からないといった感じだ。

「何で? どうかしたの?」

「いや、その……」

 尋ねられるとあたしは視線を泳がせる。巧い言い訳を全然考えていなかった。
流石に、本音をそのまま述べてしまうのはまずい。かと言って、
「自分のことは自分でやりたい」とかいう理由じゃ、向こうに押し切られてしまうかもしれない。

「何か気に入らないことがあるの?」

「そ、そういうことじゃなくて……」
 
 そういうことなんだけど、オルガが本当に心配げな顔をしているので、
そんなことはやっぱり口にできなかった。でもこのまま黙っていると更に心配させてしまう。
早く何か考えないと。ええと、ええと――



「なんてね」

 緊張と混乱ですっかり熱くなった頭も一気に冷めるような、
オルガの意外な一言。今度はあたしの方がキョトンとしてしまった。

「分かってるよ。本当は嫌なんでしょ、舐められるの」

「そんなことっ、あるはず……」

 まさかの急展開。あたしが遠慮して言い出せなかったことをあっさり言ってのけた。
もしかしたら舐め回されるときに、露骨に嫌な表情が出ていたんじゃないかと
あたしは慌てふためいた。

「いいんだよ、隠さなくて。俺だって君が嫌がっているのを知ってて、毎日舐め回してたんだからね」

「……え?」思わず耳を疑った。「どういう、こと?」
 
 あたしの問い掛けに、オルガはくすりと笑った。

「どうもこうもないよ。――君のことを味わっていたんだ」

 息も止まるような恐ろしい言葉。その瞬間、オルガの声色が明らかに変わっていた。
その割には表情はいつものままだ。

 これは冗談なのか、それとも本気なのか。とりあえず笑えばいいのか、
素直に怯えてしまってもいいんだろうかと迷ってしまう。
でも、それを確認するために下手に口を開くのも怖い。

「ちょ、ちょっと水浴びしてくる!」

 耐えかねたあたしは、適当な理由をつけて一旦その場を離れようと考えた。
「(涎塗れの)体を洗ってくる」とは言えなかったので、水浴びにした。

 そして後ろを振り返り、地面を蹴って羽ばたいた――その直後に後ろからむんずと翼を掴まれた。

「待ってよ。何処に行こうとしてるの?」

 言葉遣いこそ穏やかだけど、酷く冷たい口調だった。
逃がすまいと、翼を掴む手には力が籠っている。このままでいると、
翼がぐしゃぐしゃになってしまいそうだ。

「何処って、すぐ近くの川に」

「嘘だね。逃げようとしたんだろ? 分かり易すぎる」

 オルガはあたしの体を自分の顔の方に向けると、小馬鹿にするような目つきで見下ろしてきた。
いつものオルガの雰囲気と全然違う。

「ねえ、今日のオルガはちょっと変だよ。冗談が過ぎるっていうか……」

「何言ってるんだ」オルガはフンと鼻で笑った。

「言っておくけど、さっきの話は冗談じゃないよ。君のことが美味しそうで堪らないんだ」

 そう言うとオルガは舌なめずりをした。どうやら本当に冗談ではない気がしてくる。

「じゃ、じゃあ、何で今まであたしのことを生かしておいたの? いつだって食べられたはずなのに」
 
――それでも、と一縷の望みをかけて問いかけた。

「まあ、君の小さな体が物珍しかったからかな。興味が湧いたから、
食べないで飼ってみようと思ったんだ。ところがいざ飼ってみると、やっぱり美味しそうでさ。
その気持ちを抑えるために、『体を綺麗にしてあげる』だなんて口実を作って、
君のことを舐め回してたんだよ。でも君に疑われるようになっちゃったみたいだから、
もう頃合いかなぁと思ってこうして本性をバラしてるわけ」

 あたしの問い掛けに淡々と答えたオルガの言葉に、あたしは奥の歯をきつく噛みしめた。
飼う≠セなんて言葉を使うあたり、やっぱり冗談で言っているんじゃないんだと感じた。
心の優しい奴なら、そんなことはきっと冗談でも言わない。

 そして、所詮その程度にしか見られていなかったんだと思うと、あたしの心は酷く傷ついた。
 
「酷い……」

 震える声でぽつりと漏らした。

「酷い? そんなことを言われる筋合いはないね。だってさ、
今日まで君に餌はちゃんとあげてたし、俺と一緒にいたお蔭で
君は他のポケモンにも襲われることもなかった。 
口から出まかせの優しい言葉にも、
随分と嬉しそうにしてたじゃないか。君としてはなかなか幸せな毎日だったんじゃない?
そのお礼だと考えれば、体を舐められるくらいどうってことないでしょ?」

 オルガは悪びれもせず、そう言い放った。確かに、こいつの言う通りかもしれない。
ここのところのあたしは、今までにないくらい恵まれた暮らしをしていた。
幸せな気分にも浸っていた。
 だけど、今までの優しい言葉も態度も何もかもが嘘だった。
そう思うと、怒りと悲しさと悔しさでいっぱいになる。

「もちろん、これからも君のことを可愛がってあげるつもりだよ?
 今すぐにでも食べちゃおうなんて気はないから、心配しないで。
その分、お礼≠ヘ弾んでもらうけどね」

 突然体が持ち上げられて、オルガの口の前で止まった。
生温かい鼻息が吹き付けてくる近さだ。嫌な予感に身震いがする。
すると上顎と下顎の間を押し広げて、ぬらりと大きな舌が現れた。
 そしてその先端が向かっていったのは――

ねちゃ……

「ひぁっ」

 股の間だった。事もあろうか雌ポケモンの死守すべき領域に、
遠慮なく押し入ってきた。そして割れ目の部分をぐりぐりと弄り始めた。

「ああっ、いや、や、やめろ!」

 今まで感じたことのない快感に抗いながら、そう叫ぶ。
相手もいないので長い間放っておかれていたあたしの恥部は、
年頃なこともあってかなり敏感になっていた。表面をなぞられただけで、
身悶えするような刺激が走る。

 当然、やめろと言われてやめるはずもなかった。

寧ろ、反抗的なあたしの態度が奴の興奮を促してしまっているようで、
ますますオルガの鼻息が荒くなった。

「どうやらこの辺りはきちんと舐め取れてなかったみたいだね。まだベトベトしてるよ」

 一瞬オルガが何を言っているのか分からなかったけど、
オルガが一旦舌を退かすとすぐに分かった。割れ目の周りに白い汁が噴き出していた。
もちろん、さっき食べたオボンの実の汁じゃない。頭では嫌だと思っていても、
体の方は逆らえなかったということだ。
 あたしが自分の出した汁を見たのを確認すると、オルガはすかさず
あたしの股の間にしゃぶりついた。

じゅるっ じゅるるっ

 強い力で汁が吸い上げられていく。舌で弄られるのとはまた違った刺激に、
あたしの割れ目からはさらに白い汁が噴き出す。それをまたオルガが吸い上げて、
あたしが出して、オルガが吸い上げて――



 汁が出てこなくなったときには、あたしはもうぐったりとしていた。
汁と一緒に体力まで吸い尽くされたような感じだ。
一方のオルガは
当然ながらぴんぴんしている。まだ何か続ける気満々の顔だ。

「汁が出てこなくなっちゃったなぁ。――そうだ、もっと奥を探れば出てくるかも」

 快感続きでうっかり意識を失いかけていたあたしは、その言葉にはっとした。
 慌てて暴れだしても、オルガの拳からはみ出したあたしの頭と足が
ジタバタ動いているだけで、何の抵抗にもならなかった。
そうしている内に、オルガは空いている方の手の指で割れ目を開いて、
そこに舌先を突っ込んだ。

「かあっ!!」

 喉の奥から思わず変な叫び声を上げてしまう。中に挿れられる刺激は、
舐められる時のものとは比べ物にならなかった。全身を快感が駆け巡って、
歯茎のあたりまでむずむずしてしまう始末だ。

「お、出てきた出てきた」

 舌先であたしの汁の味を感じ取ったらしい。それに合わせて奴の涎が
あたしの膣の中に流れてくるのを感じた。中に出されたというよりは、
不気味な生物に体内へ侵入された感じがして、気持ち悪い。

「何だかんだ嫌がってる割には、随分気持ちよさそうだね」

 あたしの表情を覗き込んだオルガが嘲笑いながら言う。ふざけるな、と思った。
正直、あたしにとっては一物より遥かに大きなものを挿入されているわけで、
そんなもので中を弄られて平然としていろというのが無理な話だ。
だけど、刺激に耐えるのに精一杯で反論はできなかった。

 かなり屈辱的だった。交尾の相手の当てがあったわけじゃないけど、
こんな奴に弄ばれるのは嫌だ。快感で自然に出てくるものとは違った涙が、頬を伝う。
 快感で可笑しくなりそうな頭で、あたしは必死に考える。
これからも食糧に不自由せず、安全に暮らすためには、こいつの許にいる他ない。
だけどそれは、毎日こんな仕打ちを受け続けなきゃいけないということだ。
果たしてそこまでして今の暮らしを守る意味があるのか――?

 ふとオルガの顔を見る。今は下の動きがあたしの股の間に集中しているお蔭で、
オルガの表情がよく見える。今まであたしのことを襲ってきたポケモンたちと同じ目をしていた。
欲に囚われた野蛮な目。正体を隠すのが巧いだけで、こいつも所詮は他の奴らと同じだった。
 そのことに気付くと無性に悔しくなった。犯されている屈辱とはまた違った、
裏切られた感じ。あたしはこいつのことを信じていた。
今思えば、こいつと一緒に暮らすようになったのも、食糧や安全とかの条件じゃなくて、
優しい言動が決め手だった。

そこで漸く悟った。あたしが欲しかったのは、何不自由ない暮らしじゃなくて、
あたしのことを想ってくれる誰かだ。あたしのことを立派な一匹のリザードンとして
見てくれる誰かだ。
オルガと出会って、やっとそのポケモンを見つけることができた――そう思ったから、
あたしはあんなに泣くほど嬉しかったんだ。……それなのにこいつは、
あたしのその思いを踏み躙った。

――畜生!!

 その瞬間あたしは、全身の血が煮えたぎるような感覚を覚えた。
 そして気付くと、オルガの指に向かってありったけの炎をぶちまけていた。

「熱ッ!」

 すぐさまオルガの顔が離れて、体も自由になった。
オルガは赤くなった指を必死に自分の水で冷やし始めた。

 今だ。隙を見てあたしは空中へと羽ばたいた。そして上へ上へと、
オルガの手が届かないように飛んでいく。

 毎日大変な思いをして木の実を運ぶ暮らしでも、毎晩捕食者の存在に怯える暮らしでもいい。
こんな最低な奴に一生飼われるなんて御免だ。あたしは自由に生きていくんだ。

 まだじゅくじゅく疼いている恥部を軽く手で押さえつつ、あたしはそう決心した。

 


 ドオオオオオオオオオン!!



 あたしの決意は、一瞬で阻まれた。突然後ろから物凄い勢いで押し流されたかと思うと、
次の瞬間には洞穴の天井に叩き付けられていた。そしてそのまま真っ逆さまに地面へと落ちた。

何が何だか分からなかったけど、体が酷く濡れていたのですぐに水でやられたのだと分かった。
もちろん誰が発射したかは言うまでもない。

「まったく、こんな仕打ちを受けるとはね。君がこんなに恩知らずだとは思わなかった」

 不機嫌そうなオルガの声。ズン、ズンとこっちに歩いてくるのが分かる。
 逃げなきゃ、と思っても体が動かない。炎は水に弱く、
更にここまで体格差があればダメージは遥かに大きかった。
あたしの体は一気に温かさを失って、体力も消耗していた。
おまけに体を天井と地面に打ち付けた所為で全身が激しく痛む。

ズンッ

仰向けに倒れているあたしの顔の前に、オルガの足が下される。
そしてその場にしゃがみ込んだ。指を咥えている。

「どうしてくれるの? 火傷しちゃったじゃないか、ほら」

 そう言うと、火傷した指を口から出して、その指であたしの顔をなぞった。
指についていた涎が塗りたくられる。

「本当に君は馬鹿だね。我慢してれば、とりあえずはまともな暮らしができたものをさ。
お蔭で君への愛情も冷めちゃったよ。恩を仇で返すような奴は大っ嫌いなんだ、俺」

 冷めた声があたしの恐怖を煽る。寒さも相まって、あたしの体はカタカタと震え始めた。

「悪いことをする子にはお仕置きだ」

「うぅっ!」

 オルガは乱暴にあたしの体を拾い上げて、鷲掴みにした。
あたしを握るその力にも怒りが感じ取れる。胴体を圧迫されて息苦しい。

 苦しむあたしを見て、オルガは不敵な笑みを浮かべた。


「さあ、どうしてやろうかな」



@ @ @

 結構長くなってしまったのでここで切ります。
 てか肝心の捕食描写があんまないw ここまでだとただの下ネタ話ですね。すみませぬ。 

 てか前半部恥ずかしゃぁ/// 後半部とのギャップを作ろうとして空回りした感満載。


 この後の展開ですがグロい感じを予定してます。鬼畜ですものね。正直まだ書いてないんですが。

 とりあえず予告すると【hard】とか【リョナ後に捕食】とかそんなんになりそうです。
いろいろパターンが浮かぶので書く気力があれば分岐モノにしたいなぁ。。。



 あと、とりあえず近況報告的なものを。本来こういうところですべきじゃないのかもしれませんが、
生憎自サイトとかを持たないもので。

 先日の地震の直後に掲示板で「明日入試なのにw」とかほざいてましたが、なんとか大学には合格しました。
 てか試験自体が震災の影響で消えたんですが;



 ということでまたぼちぼち投稿していくと思うので、よろしくお願いします。
メンテ
Re: わにドラ?【エロ/cock/Unbirthとか】 ( No.12 )
日時: 2011/05/10 23:55
名前: g

これは…どうなる次回!?
グロとかは…実は苦手だったりしますが…
でも、リンちゃんがどうなっちゃうか気になっちゃいますねーw
前半部分を見たとき、これは意外な展開!?って思ったけど、やっぱり鬼畜のオルガでしたw
続きを勝手に期待しちゃってます!

…あと、イラリク遅れてすみませーん!!まだちょとかかるみたいです…
メンテ
Re: わにドラ?【エロ/cock/Unbirthとか】 ( No.13 )
日時: 2011/05/13 02:10
名前: ケイル

さすがオルガさんっ
持ち上げて落とすのが上手いw

>お蔭で君への愛情も冷めちゃったよ。恩を仇で返すような奴は大っ嫌いなんだ、俺」
このセリフになんだかオルガさんの性格の全てが現れているというか、
基本的に自己中だけど、表面的には優しかったりして
キャラ作りが上手いなーと思っちゃうところですw

この関係でリョナ展開はちょっと辛くなるかもですが、続き楽しみにしておりますっ
メンテ
Re: わにドラ?【エロ/cock/Unbirthとか】 ( No.14 )
日時: 2011/05/15 15:01
名前: ROM-Liza(レス返し

 感想レスありがとうございます!

>gさん
 大丈夫、俺も苦手ですからw
 その癖にグロを書こうとするのは、鬼畜ネタが最近好きだから。どうにも食指が動いちゃったわけです。

 前半部はですね、書いてて自分でも気持ち悪いくらいオルガを優しくしてみました。
 正直、前半部で相当手こずってしまって、ここまで書くのに随分かかってしまいました;

 恐らく分岐モノにするので時間はかかるでしょうが、なるべく早く書けるようにしたいです。

 あ、あとイラリクの件は大丈夫ですよー。気長にお待ちしています……と言おうとしたら、もうアップされてました。
 返信遅れてすみませんw


>ケイルさん
 是非ともオルガには他人を弄ぶような存在であってほしいのでw

 オルガの性格は、自分でも気に入ってるところであります。
 自分の欲のためにリンを飼っているに過ぎないのに、
「愛情」だとか「〜してあげている」という言葉を持ち出すあたりですねw 憎いぜ!w

 リョナ展開は頭の中で妄想するだけで、実際に形にしたことはないんですが、
とりあえず頑張ってみます。
メンテ
Re: わにドラ?【エロ/cock/Unbirthとか】 ( No.15 )
日時: 2011/07/17 14:12
名前: ROM-Liza

 久しぶりに更新。全くグロ耐性のない方は閲覧しないことをお勧めしますが、
何しろグロに関する知識のない者が書いてますんで、Hardが専門の方は
あまりご期待なさらずに。

 てことでドゾー。

=========

 あたしを見下ろす冷たい目線。この後あたしに起こることを想像すると、寒さも相まっ
て震えが止まらなかった。

「可愛そうに。寒いんだね」

 オルガが形だけ優しい言葉をかけてきた。こんな状態にしてくれたのは何処のどいつだ。
そんなことを言う気力もなく、あたしはぐったりと横たわっている。視界の隅にだらりと
垂れた自分の尻尾が見える。尻尾の炎は、一息吹きかけられたら消えてしまいそうなほど
に頼りない。

「温めてあげるよ」
「ひぃっ」

 口調とは裏腹に乱暴にあたしの体を掴み上げると、口を開いてあたしの右腕にしゃぶり
ついた。生温かい息と涎が触れると、感覚を失いかけていた腕がびりびりとした。そして
中で舐め回される内に、じんわり温まっていき、うまく動かなかった指先も動かせるよう
になってきた。

 一頻り舐めた後、涎の糸を引かせて今度は口を左腕に移し替えると、同じように舐め回
す。続いて右足、左足、顔――最後にはあたしの顔を摘まんで、胴体を口の中に入れてし
ゃぶった。気分こそ最悪だったけど、お蔭で体は大分温まった。
 
「うん、そろそろ大丈夫みたいだね」

 あたしの胴体を吐き出して、オルガが言う。

「ところでさ、リン、ちょっとお願いがあるんだ」
「お願い……?」

 あたしは身構えた。もちろん、オルガがあたしにとって喜ばしいようなことを言うだな
んて全く期待していない。

「君のこと、ちょっと食べさせてくれない? 腕一本だけでいいからさ」

 ――だけど、流石にそこまでは予想してなかった。せっかく温まった体が、サーッと寒
気を帯びてしまった。あたしは言葉を失っていた。

「いいでしょ? 二本あるんだから、一本くらい無くなったって平気だよ」
「ふ、ふざけるな! そういう問題じゃないだろっ。あたし絶対に嫌だからな!!」
「君が嫌だとか、そういうのは関係ないんだよ。これがお仕置きなんだから」

 そう言って、オルガはあたしのことを強く握った。

「もう味見だけじゃ我慢できないんだ」

 オルガは唸るような低い声で呟くと、口を必要以上に大きく開いた。そして、あたしの
右腕が上顎と下顎の間にくるようにして――

 
 バクンッ 

 勢いよく口を閉じた。

「い゛いいいいいいいやあああああああああああああああああ!!!」

 突然のとんでもない激痛に、目をひん剥いてあたしは絶叫した。

「痛いっ!! 痛いいぃ!! オルガアアアアアァァァァァァ!!!」
 
 がっちりと閉じられた大顎。蟻の這い出るほどの余裕もないその隙間に挟まれ、あたし
の二の腕は完全に潰れていた。おびただしい量の血が流れ出ている。

 腕を引っ張り出そうとするけど、オルガの大顎で完全に固定されていてびくともしない。
無理に引っ張ると千切れてしまいそうなので諦めた。

「うぅっ、ぐううううぅぅっ! オルガアァァァ!! もうやめてえぇぇ!! 痛いよおぉぉ
ぉぉ!!!」

 涙をボロボロと零しながら、左手でオルガの大顎を狂ったようにバンバン叩く。オルガ
は口の端を吊り上がらせただけで、大顎の力を緩めなかった。やがて左手が痛くなり、大
顎にもたれ掛かって、歯を食いしばりながらひたすら痛みに耐えた。

* * *

 漸く大顎が退けられたときには、精も根も尽き果てて、ただ荒い呼吸ばかりを繰り返し
ていた。気の遠くなりそうな痛みは全くと言っていいほど引かない。食いしばり続けた奥
の歯には力が入らなくなってきた。

「ねえねえリン、これ、なーんだ?」

 オルガはおどけた声でそう言うと、これ見よがしに舌をこっちに向けてきた。舌の上に
は何か細長い物が乗っている。

「!!?」

 それが何だか気づいた瞬間、朦朧としていた意識が一瞬で醒めた。それは紛れもなく、

 あたしの右腕だった。涎の溜まった窪みの中に沈んでいて、断面から流れ出た血が涎と混
ざり合おうとしている。 

 自分の右腕を確認する。二の腕から指先にかけて全て無くなっていた。無理矢理千切ら
れた腕の断面は、大顎の力で潰れた形になっていて、折れた骨がそこから飛び出している。

 信じられない。信じたくない。あたしの腕がなくなっちゃうなんて……。
 途端に途轍もない不安に襲われて、心臓が騒がしく鳴り始めた。

「嫌あぁっ!! 返してよ、あたしの腕えぇ!!!」

 あたしは酷く取り乱した。オルガの手に掴まれながら、必死に舌の上の右腕に手を伸ば
した。オルガはその様子を満足げに眺めながら、口を閉じてあたしと右腕を隔てる。そし
て――

ごきゅっ

 あたしの右腕を呑み込んだ。
 ピタリと騒ぐのをやめる。言葉が出なかった。

「べえ」

 オルガは舌を出して、口の中をあたしに見せつける。綺麗さっぱり、何にもなかった。
大量の涎と一緒に、消えてなくなってしまった。

 そんな……。

「今から取りに行けば、まだ間に合うんじゃない? ほら」

 オルガは口を大きく開ける。舌を下顎にぴったりくっつけていて、喉の方へと一直線に
繋がっている。まるでこいつの腹とへ続く一本道のようだ。
 取り乱してはいても、流石にこの道を通っていく気にはならなかった。たとえ腕を取り
返したところで、元通りにくっつく訳じゃない。もう、諦めるしかない。

 噛み千切られた右腕をもう一度見る。大部分がすっかり無くなってしまっている。あの
右腕は、やがては完全に溶かされて、あいつの体の一部になってしまう――そう考えると
酷く悲しくなった。こんな最低な奴の所為で、あたしの腕は二度と返ってこないんだ。俯い
たまま、あたしはボロボロと涙を零した。

「どうしたの? 泣いてるの?」

 オルガが不意に下からあたしの顔を覗いてくる。弱さを見せまいと、あたしは泣き濡れ
た顔でキッと睨んだ。当の本人は全く意に介さずに、いかにも心配しているような表情を
見せた。

「傷が痛むんだね、可哀想に。ごめんね」

 口ばかりの同情を示すと、オルガはベロンとあたしの右腕を舐めた。

「い゛あ゛あ゛ああああああぁぁぁ!!!」

 腕を失ったショックで痛みへの意識が薄れていたのに、今ので完全にぶり返した。

「――でも、そんな“小さな”傷なら唾でも付けとけば治るから、大丈夫だよ」

 ニヤニヤと意地悪く笑いながらオルガが言う。その舌先からあたしの腕にかけて、汚い
涎が糸を引いている。
 ふざけるなと思った。あたしの体が小さいから、傷自体も小さいだけだ。もしあたしが
普通の大きさだったら、地面に立派な血溜まりが出来るほどの大怪我なんだ。

 どうにもならない怒りに震えるあたしをさておいて、オルガは人差し指を口元に当てな
がらこう言った。
 
「ねえ。やっぱりもう一本食べさせてくれない?」

 とんでもないオルガの頼みごと。当然あたしは全力で首を横に振る。

「一本だけって言ったじゃんか!」
「流石に一本じゃ足りないんだ。お願いだよ、リン」

 そう言いながらオルガはあたしの左足に牙をひっかけた。食べていいだなんて一言も言
ってないのに、既に少しずつ少しずつ、牙の先が食い込んできている。

「まるまる一本じゃ可哀想だから、膝から下だけにしといてあげる」

 そんなの全然妥協になってない。阻止するために炎を吐こうとしたけど、口を上下から
オルガの指に挟まれた。呆れた表情であたしのことを横目で見る。

「まったく、また火遊びなんかしようとして。もう怒ったよ」

 その直後、急に顎に力を入れ始めた。

「ギャアアアアアアア!!! 痛いぃ!! い゛だいよ゛おぉ!!!」

 激痛の再来にあたしは体を仰け反らせる。牙が肉の中深くまで牙が入り込んでいる。そ
してとうとう骨に触れてミシミシと軋んだ音が聞こえてきた。その音は段々まるで甲高い
悲鳴のようになっていって――

ボリンッ

 骨が完全に断たれてしまった。

「ぎゃああああああああああぁぁぁ!!!」

* * *

 腕と脚を一本ずつ食べられて、あたしは意識が遠退きそうな痛みに耐えていた。叫びす
ぎて涸れた喉から掠れた声を漏らしながら、大袈裟なくらいの呼吸を繰り返す。血が大分
流れ出てしまい、体は酷く衰弱している。

「もういいだろ……ハァ……火傷の……仕返しは……もう……ハァ……充分だろ?」

 途切れ途切れにやっと言い終えると、オルガを見上げた。

「そうだね。君のことを飼う気はもうないし、解放してあげてもいいんだけどさ」

 オルガは口元に指を添えて、考えるような仕草をする。

「でも、そんな姿でこれから生きていけるの?」
「……どういう……ことだよ」 

 思わず大声が出る。

「だってさ、腕と脚が一本ずつしかなくて、おまけに――」

 言いかけて、あたしの両翼を掴む。そしてそれを思い切り後ろに引っ張った。

ビリッ
「痛っ!」
「――翼まで無くしちゃったら、何にもできないよね」 


 目の前を破れた翼がはらはらと墜ちていく。あたしはただ呆然とそれを眺めていた。苦労
の末に進化してやっと手に入れた翼だったのに……。

「木の実を採ることも、敵から逃げることもまともにできやしない。そもそもこんなに弱
っちゃってるし。君の命、この先長くはないだろうね」

 絶望的な言葉が右から左へ頭の中を通り抜けていく。誰の所為でこうなったんだと文句を
言う気にもなれなかった。

「ここから自由になったって、どうせ何処かで野垂れ死ぬんだ。だったら俺のために死ん
でみるのはどう?」
「……それって……あんたに……喰われるって……ことでしょ。最初から……逃がす……
つもりとか……無かったんじゃんか」
「そうだよ。今更気付いたの?」

 嘲笑って、オルガはあたしの体を自分の頭の上に持ち上げた。あたしの腕と脚から流れ
る血が、オルガの顔に滴り落ちる。口の周りに落ちたものを、オルガは舌で旨そうに舐め
取った。

 喰われる。そう感じて全身が震え上がった。オルガが指を離したら最後、あたしはきっと
ぐちゃぐちゃに噛み砕かれてしまう。そんなの嫌だ。生き続けることで不自由な思いをす
るとしても、死ぬのは怖い。それが生き物としての本能だ。

「オ……ルガァ、お願い……食べないで……」

 恐怖に胸が潰れそうになりながら、声を絞り出して頼む。

「それじゃ俺が悪者みたいじゃないか。俺は君のためを思って言ってるんだよ。ただ独り
で死んで腐ってくなんて、みっともなくて、不幸な死に様だと思わない?」
「そんなのっ……あんたに……都合のいい……言い分じゃんか。あたしの……幸せを……
勝手に……決めるな!!」

 余りに身勝手な考えに反発すると、オルガは急に真面目腐った表情を作った。

「じゃあ訊くけどさ、君はその姿で幸せに生きられると思うの? 何か希望でもあるの?」

 鋭い言葉つきに、何も言えなくなる。確かに今のこの姿が、生きる上でかなり不利にな
ることは目に見えている。押し黙ったあたしの様子を見て、ほら見ろと言わんばかりにオ
ルガの顔が綻んだ。

「君の気持ちは分かるよ。誰だって死ぬのは怖い。でもさ、長く生きられるかどうかは必
ずしも重要じゃないんだ。どんな風に死ねるかだよ。俺が君のことを食べれば、君は独り
ぼっちで死ぬこともなく、腐った体が虫に集られることなく、野蛮なポケモンたちに肉を
貪られることもない。君の死を少しも無駄にはしないよ。余すところなく俺の血肉となっ
て生き続けるんだ」

 生々しい話をされて吐き気がする、と同時に、激しく腹が立った。

「あんたに……あたしの……気持ちが……分かるの? ……そんな……簡単に……言わな
い……でよ」

 両親に捨てられた悲しみが、小さな体で食べ物を探し自分の身を守る大変さが、常に心
の何処かにあったいつ死ぬかも知れない恐怖が、こいつに分かるわけがない。捕食する側
のこいつに、弱肉強食の底辺でずっと生きてきたあたしの気持ちが分かってたまるか。

 言ってやりたいことは山ほどあったけど、この弱り具合じゃ満足に話はできない。だか
ら、短い言葉に精一杯の怒りを込めた。

 するとオルガの表情がふっと変わって、持ち上げていたあたしを一旦自分の目線の辺り
まで下ろした。少し間を置いて、オルガは神妙な面持ちで口を開く。

「そうだよね。確かに君の言う通りだ。俺とリンじゃあ属性も、体の大きさも、食べるも
のも全然違う。それぞれ全く別の生き方をしてきた。俺には分からないような苦労が、君
には沢山あったのかもしれない。だから、俺に君の気持ちなんか分かるはずがないよね」

 急な態度の変わり様にあたしは戸惑った。あまりに気味悪すぎて、言いようのない不安
が募る。

「そう、分かるわけがないんだ」

 同じことをオルガはまた呟いた。
 その途端、あたしの体は強烈に締め付けられた。

ぎゅううううううううううう!!!

「かっ……あぁっ!! ……や……やめ……」 
「――だから、君が今どんなに痛くて苦しいかも分かってあげることもできない。ただ愉
しくて仕方がないんだ。ごめんねぇ?」

 オルガの狂った笑い声が高らかに響く。瞳孔が開いたその瞳は、今まで見てきたどんな
ポケモンよりも恐ろしかった。
 オルガは全然力加減をしていないようだった。全身の骨は軋み、はらわたは潰れてしま
いそうだ。全力を出してるわけじゃないにせよ、あたしが死んでも構わないというくらい
の握り締め方をしている。右腕と左脚の断面からは、おびただしい量の血が絞り出される。
目からは同じように涙が溢れ出た。
 
 手の力が緩められた時には、あたしには頭をもたげる力さえ残っていなかった。がっく
りと項垂れたあたしの視界は、大分霞んでいる。血を失いすぎたのがいけないんだろう。
 そんなあたしの様子を見て、オルガはフンと鼻を鳴らす。

「随分と弱っちゃったね。あれくらいで情けないなぁ」

 そう言ってオルガはあたしの腹を指で弾いた。激痛に、喉の締まった声で呻く。

「もう食べちゃってもいいでしょ、君のこと。こうなっちゃった以上、生き長らえてたって
仕方ないもん。尤も、放っといたって直に死んじゃうだろうし。
 リンには今までなかなか愉しませてもらったよ。感謝してる。だからこれからはゆっくりと
お休みよ」

 あたしの体は再び持ち上がる。今度こそ観念しなきゃいけない。食われずに済む方法な
んて最初から在りもしなかったのに、そもそもこんな小さな体に生まれた時点でまともな
死に方ができるとも思っていなかったのに、この瞬間が来るのを長引かせてしまった。さ
っさと食われておけば、こんなに痛くて苦しい思いをしなくて済んだのかもしれない。

 オルガが口を開く。ずらりと並ぶ鋭い牙の数々。あたしにはまだこの牙に噛み砕かれる
痛みが待っている。それは今までで一番の激痛に違いない。死ぬことが現実味を帯びてく
るにつれて、頭の中が恐怖で埋め尽くされていく。


 嫌だ。


 怖い。


 誰か、助けて。


 誰か――




「じゃあね」

 オルガが指を離す。一瞬全てが止まったような気がした。だけどすぐに抗いようもない
力に下へと引っ張り込まれる。大きく開いたオルガの口がぐんと近づいてきて、あたしの
体がその中に収まろうというところで、口が閉じられた。

ブズゥッ
「う゛ぇ――っええぇっ!!」

 上下の牙があたしの腹を貫通して、あたしは目を最大にまで見開いた。喉を逆流した血が
口から垂れる。極太の2本の牙はあたしの心臓を外していて、あたしは奇跡的に死ねなかった。

 もう一度オルガが口を開くと、貫通していた牙が抜けて、舌の動きで奥に運ばれる。大
量の涎に出迎えられると、左手首に激痛。叫ぶ間もなく今度は右太股。そして尻尾、腹と
いう風にあちこちに牙が突き刺さる。

 ぐしゃっ ぐしゃっ ぐぢゅっ くちゃぁっ……

 容赦なくあたしの体は噛み砕かれ、切り離されていく。痛い。痛い。でも声が出ない。
いつの間にか喉元も噛み潰されていた。息ができない。苦しい。痛い。苦しい……。
 巨大な舌の動きに翻弄されながら、大量の涎に塗れながら、あたしの目は切り離された
体の一部を捉えていた。何度も何度も噛み砕かれて、擂り潰されて、涎と混ざり合いなが
ら、ただの肉の塊に変わっていく。オルガが毎日食べていた魚や木の実と、同じ運命を辿
っていく。あたしも所詮その程度の存在なのかと感じて、涙が出た――その直後に、オル
ガの牙が頭を貫いた。頭の骨を突き破り、中にあったものがぶちまけられる。

 辛うじて命を繋いでいたあたしも、そこで死んだ。


 ぐちゃぁっ ぐちゃぁっ にちゃぁっ ねちゃあぁっ……

 あたしが死んでもなお、口の中の動きは止まらない。オルガにとっては、あたしが死ん
だかどうかなんてどうでもいい話だ。珍しい獲物の肉を充分に味わいながら、呑み込みや
すくなるまで噛み砕き続ける。

 やがて、口の中の動きが止む。肉の味が無くなったんだろう。あたしはもはや原形を留
めていなかった。何処が腕で、何処が脚で、何処が頭だったのか。その判別すらできない
ほどに、ぐちゃぐちゃにされていた。この肉の塊を見せられて、これが元は一匹のリザー
ドンだったと分かる奴は多分居ない。

 オルガは口内の至る所に散らばったあたし≠舌で掻き集める。その時、牙と牙の隙
間に挟まった肉片と骨片は、取り除かれずに残ってしまった。
 舌の上にほぼあたし一匹分の肉の塊が集まると、口内が後ろへと傾き始めた。とうとう
呑み込まれる時が来た。あたしの塊はずるずると舌の上を滑りながら、真っ暗闇へと引き
込まれていく。ゆっくりと真下に送られ、胃の中へと絞り出される。

べちょっ

 消化液の中に落ちた。その途端にぷくぷくと小さな泡が立ち始める。これからあたしは
完全に溶かされて、オルガのものになってしまう。せめて、あたしを食ったことでオルガ
が腹を壊すようなことがあればいいなと思う。それがあたしの最後の些細な反抗であり、願
いだ。
 死んでしまった今となっては、溶かされる痛みや胃の中の激臭を感じることはない。あ
る意味それだけが救いだ。辛うじて生きている状態で、こんな所に送り込まれなくて本当
に良かった。

 泡の起こりが激しくなってきた。

 後にはきっと、何も残らないんだろう。

* * *

 外ではオルガが大きなゲップを一つ、足を投げ出して座りながら自分の腹を擦っていた。

「ごちそうさま、美味しかったよ」

 優越感に満ちた眼差しを、腹の中のあたしに送る。
 ふと脇の方に目をやったオルガは何かを見つけた。二本の指の先で摘まめるほどに小さ
いものだ。最初は首を傾げたオルガも、すぐにそれが何なのかに気付いた。それはあたし
の左手だった。噛み砕いている最中に、たまたま口の中から転げ落ちたんだろう。

 暫くそれを眺めていたオルガは、ニヤリとして自分の腹へと視線を落とす。

「忘れ物だよ、リン」

 勝ち誇ったようにそう言うと、あたしの左手を口に放り込んで、呑み込んだ。

 そしてゲップ交じりの大欠伸をして、自分の寝床へドスンドスンと歩いて行った。

【END】
メンテ
Re: わにドラ?【色んなジャンルを扱います】 ( No.16 )
日時: 2011/07/17 17:45
名前: g

ついに完結しましたね!! 
ROM-Lizaさんの「わにドラ」、毎回勝手に楽しみにして見ていますw
なんて鬼畜なオルガ…希望を持たせておいて落とすんですねw ちょっとわかりますwww
リンの泣き叫ぶ姿や必死な抵抗が妙にエロかったですw リンかわいいなぁ…
【hard】は苦手な自分でしたが、いけない道に走っちゃいそう…ってもう既にいけない道ですがw
メンテ
Re: わにドラ?【色んなジャンルを扱います】 ( No.17 )
日時: 2011/07/17 23:14
名前: ROM-Liza(レス返し

 レスありがとうございます!

>gさん
 本当、ようやっとで完結しましたw 楽しみにしていただいて嬉しい反面、
この更新の糞遅さはどうにかならんもんかと。一話一話をスパスパ書けるようになりたい……。

 今回は『鬼畜オルガさん(笑)』というタイトルの下、徹底的にオルガを
エログロ向けの鬼畜にしてみました。完全に俺の好みをそのまま反映してるので、
読んでて痛々しいセリフも多いかと思われますが、そこはご容赦をw

 リンの必死さは書いててたまらんですよ。可愛さ余って、最後にはぐちゃぐちゃに……;
 てか読み直してみると、今回リンの奇声ばっかりだwww

 名目的にはHardってことになってますし、実際の状況を考えたらグロいはずですが、
中途半端なグロ耐性を持つ奴が書いてますので、表現的には柔らかめだった
(てかグロさがあんまり伝わらない)かなぁと思います。
 つまり、ソフトなハードヴォア(笑)

 自分もHard vore完全対応というわけでないので、gさんに無理矢理そっちの
道へ走らせようという気はないんですが、gさんの絵のタッチでHardを描いたら
どうなるんだろうとかちょっと想像してみたりw
メンテ
Re: わにドラ?【色んなジャンルを扱います】 ( No.18 )
日時: 2011/07/18 01:02
名前: K++

ぎゃー!想像すると身がねじ切れそうになるけど・・・。
強者の余裕というか、弱肉強食というか、そういう上下関係がはっきりしててシチュ萌えアハァでした。
ごちそうさまですm(_ _)m
メンテ
Re: わにドラ?【色んなジャンルを扱います】 ( No.19 )
日時: 2011/07/19 02:31
名前: ケイル

ぎょえー まさかのハード展開っ
生きながらに体を分解される痛みがリアルに感じられました・・・w

喰いちぎられて泣き叫んでしまう描写は、ちょっと私の好みではなかったのですが、
絶命したあとの、自分が食べられる様子を一人称で語っている部分は素敵でしたw

最後に左手を食べるシーンには
なにかブラックジョークに近いセンスを感じてしまいましたw
メンテ
Re: わにドラ?【色んなジャンルを扱います】 ( No.20 )
日時: 2011/07/20 02:29
名前: ROM-Liza(レス返し

 レスありがとうございます><

>K++さん
>>ぎゃー!想像すると身がねじ切れそうになるけど・・・。
 これ分かりますw 自身に置き換えて考えてしまうんでしょうか。グロの度合いが
キツめだと、何とも悶えたくなる感覚に襲われます。

 何はともあれ、そういう風に感じていただけたのは嬉しいです。少しはグロさを
出せたのかなと。

>>...上下関係がはっきりしててシチュ萌えアハァでした。
 大好きなんです、上下関係(^q^) わにドラでは特にそういうのを意識して書いてます。
気付けば妄想する内容には、はっきりした上下関係があることがしょっちゅうでして……
書く話がワンパターンにならないように気を付けなければと思います。

 ご賞味ありがとうございました。またどうぞーw


>ケイルさん
 Hardを書くと宣言してたものの、Hardを書いた経験がなかったものですから、苦労しました。
本当、何を書いていいか分からなかった……;
 そういうわけで、自分の腕や脚が噛み千切られるのを想像して「うぎゃああぁぁ」と悶えそう
な気分になりながら書いてましたw バカスwww

>>喰いちぎられて泣き叫んでしまう描写は、ちょっと私の好みではなかったのですが、
 ですよねー。裏掲示板とは言え、丸呑み中心のサイトですからHardはウケないかなぁと
自分もちょっとビクビクしながら投稿しました;
 何とかコメントを頂けたので、今はホッとしてます。

>>絶命したあとの、自分が食べられる様子を一人称で語っている...
 わにドラはあくまで被食者のリンの視点で書きたいなと思ってるので、変かなとは思いつつ
一人称で突き通してみたらやっぱり書きづらかったw
 でも、個人的には結構気に入っている部分だったりします。

>>最後に左手を食べるシーンには...
 最後のオルガの台詞は、この話で一番の一言のつもりですw この一言を言わせたい
がために今回のHardを書いたようなものですねー。
 あの左手は、この世に留まろうというリンの最後の抵抗みたいなイメージなので、
それさえ許さないオルガのSっ気溢れる台詞なのです。

 自作解説乙ですね;

==========
 今回の話なんですが、前半>>11がエロ中心で、後半>>15がグロ中心になっちゃいました。
途中までエロだったのに、まさかのグロへの方向転換だったわけで……はっきり言って、
グロ苦手な人への配慮が足りなかったかなぁと反省するところであります。

 てか前に分岐モノにするとかほざいてましたが、あれはやめることにしました(スミマセン
 どうもこの執筆ペースはなかなか改善しそうもないので、書きかけの他の話を完結することに
専念しようと思います。

 ただ、ある程度余裕ができたら書くかもしれません。その時には、変わり種的なのを
書いてみようかと。
メンテ
Re: わにドラ?【色んなジャンルを扱います】 ( No.21 )
日時: 2011/07/26 22:38
名前: クルス

久々に裏来たらすばらしい事になっていたでござる。

hard最高です。グロも好きなのですが、何よりもリンちゃんの絶望感の描写がたまらなく素敵です。
もうやだROM-Lizaさんまじ愛してる

リンちゃんは幸せになってほしい、と思う気持ち半分、もっといじめられてほしい、と思う気持ち半分って感じですなぁ。
メンテ
Re: わにドラ?【色んなジャンルを扱います】 ( No.22 )
日時: 2011/07/27 22:03
名前: ROM-Liza(レス返し

感想レスありがとうございます(^q^)

>クルスさん
 お褒めにあずかり、かたじけのうござる(違

>>グロも好きなのですが、何よりもリンちゃんの絶望感の描写が...
 hard初挑戦だったわけですが、正直グロ描写など全然できないので、せめて
そういうところは頑張りました。……いや、グロ描写も頑張ったんですがw

>>リンちゃんは幸せになってほしい、と思う気持ち半分...
 書いてる本人でさえも悩ましいですw 幸せを願うのも、苛めたくなっちゃうのも、
どちらも愛ゆえなんですよねー。
 それ以上に、オルガのSっぷりも書いてて楽しいわけですがw
メンテ
Re: わにドラ?【色んなジャンルを扱います】 ( No.23 )
日時: 2011/09/02 13:22
名前: わっふる

普段裏に来ないので「わにドラ!」の裏バージョンに気が付きませんでした……。なんたる不覚orz

普段裏に来ない理由として、エロやグロにあまり興味が無かったからなのですが……
私自身、最近voreというものに対して考えが色々と変わっている所がございまして、その中で気が付いたのがこういったエロやグロ、UnbirthやCock voreに対して興奮している自分がいるという(笑)
この裏バージョンの「わにドラ!」も実に楽しく読ませて頂きました!
「お仕置き」では、Sっ気溢れるオルガさんによるなんとも屈辱的なプレイ展開で(^p^
自慰の道具として使われるリンちゃんに思わず萌えてしまった……w
「鬼畜オルガさん」では、噛み砕かれるというなんとも痛々しい展開ながらも、vore好きの私としては実に美味しい展開でした……(*´ω`*
リンちゃん可哀そうだな〜とか思いつつも、そんなリンちゃんと鬼畜なオルガさんに萌えぇw
鬼畜なオルガさん最高です^ω^

……いやはや、 ROM-Lizaさんの小説を見てるとなんだか創作意欲が湧いてきます。
ROM-Lizaさんから頂いたやる気で、前々から考えていたHard表現を含めた漫画を描いてみることとしますw
楽しい小説をありがとうございました>▽<
メンテ
Re: わにドラ?【色んなジャンルを扱います】 ( No.24 )
日時: 2011/09/06 01:33
名前: ROM-Liza(レス返し

感想レスありがとうございます(^J^)

>わっふるさん
 表(=小説投稿所)にせよ裏にせよ、目に付くところに俺のスレがあること
自体少ないので、見つけていただいただけでも感謝感謝です!

 捕食というジャンルを好きになってからは結構久しいのですが、エロやグロにまで
対応してきたのは割と最近だったりします。今でこそこんな変態話を書いてますが、
ほんの数年前まではエロとかHardとかは普通に嫌いでした。
 それがあるきっかけで大好きに……人間どう転んでしまうか分からないものですねw
 供給の少ないジャンルですから、徐々に徐々に守備範囲も広がっていくんでしょうか(´・ω・`) 

「お仕置き」は、裏投稿掲示板の開設に浮かれてその勢いで書いたためか、何だか
捕食小説であるかどうかも微妙な感じになってしまいましたが、実は気に入っている
話です。だって、自慰の道具にされちゃうなんて体格差があってこそじゃないですか!(
マクロ好きにはたまらんシチュなのです。

「鬼畜オルガさん」は初めてのhard作品となりましたが、グロさがいまいち際立たなかったなぁと。
ただ、オルガの鬼畜さは書いてて楽しいですw 

 自分の作品が他の方の創作意欲を刺激したのならば、これほど嬉しいことはないです。
俺自身も色んな捕食絵師さんやSS書きさんの作品に刺激されて投稿を始めたので。
 そして今も、わっふるさんを含め沢山の方の刺激を受けています。日々妄想を
膨らませてるのですw


 というわけで、わっふるさん、さっさとHardな漫画を描く作業に戻るんだ!!
メンテ
挿入できるよ ( No.25 )
日時: 2012/02/16 06:45
名前: 俺だ  <kdanwowwq@yahoo.co.jp>

挿入できるよd(´∀`*)グッ☆ www.e29.mobi/
メンテ
Re: わにドラ?【色んなジャンルを扱います】 ( No.26 )
日時: 2012/02/18 15:30
名前: 相模

はじめまして、相模と申します。

ハードなvoreもなんかいいですね!
そしてエロもw
エロに関してはリンちゃんの反応が可愛すぎて萌えました( ̄∀ ̄)

そしてドSなオルガくんの鬼畜さにも萌えてしまいましたw
ていうか鬼畜なオルガくんが大好きすぎてたまらないですo(^-^)o
自分もあの鬼畜なオルガくんのペットになって弄ばれたり食われたりしたいななんて思っちゃいましたw

ROM-Lizaの小説すごく素敵でした♪
メンテ
Re: わにドラ?【色んなジャンルを扱います】 ( No.27 )
日時: 2012/07/11 23:29
名前: ROM-Liza@レス返し

>相模さん
 初めまして! まずは、レス返しが非常に遅れて申し訳ありませんでした。
 次に話を投稿するときに一緒に……と思っていたらこんなことに。本当にすみません!

 hardが専門というわけでは無いものの、ちょくちょくこんな妄想もしてみたりします。
 エロい妄想はしょっちゅうd(ry
 話の中でオルガにリンを苛めさせるのが楽しくて仕方がないです><

 オルガの行動は私がこんな苛め方されたいという現れです。つまり相模さんと私はナカーマ
 どっかにこんな鬼畜なでっかいオーダイルさん転がってませんかね。同棲したい。ていうか飼われたい。 
 
 感想ありがとうございました。
 長らくレスを放置するという無礼を働きましたが、もし良ければ今後の作品もご覧いただければと思います。


* * *
 ていうか、もう裏に一年も投稿してないだと……!
メンテ

Page: 1 |

題名 スレッドをトップへソート
名前
E-Mail
パスワード (記事メンテ時に使用)
コメント

   クッキー保存