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Unending Rampage
日時: 2014/07/03 02:15
名前: C◆aUs8j9dxGcY

題名にシチュエーション記載
メンテ

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Unending Rampage 1 ( No.1 )
日時: 2014/07/03 02:16
名前: C◆aUs8j9dxGcY

 美しい自然溢れるカロス地方。その上空に黒い点が一つ。

「俺は! 今度こそ! この地方で! 活躍してやるんだ!」

 鼻息荒く羽ばたくそのポケモンは、目に強い決意を滲ませていた。

 空を飛ぶ黒い点、きょうぼうポケモンサザンドラは、決して弱いポケモンではない。きょうぼうポケモンの名にふさわしい攻撃力と、三つの頭から編み出されるずる賢く的確な判断。そしてその凶悪な見た目は、多くのポケモンを何もせずとも立ち竦ませる。
 しかし、それでもどうにもならないことはある。サザンドラは決して弱いポケモンではない。イッシュでは相手が悪すぎたのだ。自分がより活躍できる、暴れられる場を求めて移動するのは、決して逃げではなく、賢い判断であると言える。


 時を同じくして、カロス地方の高台に白、いやピンク色の点が一つ。

「あ〜あ、空から食べ物とか落ちてこないかな〜」

 だらしなく寝そべるそのポケモンは、眠たそうな目で空を眺めていた。


 サザンドラがこのピンク色の点と対峙した時、「終わりの無い暴力」が始まることとなる。
メンテ
Unending Rampage 2 ( No.2 )
日時: 2014/07/03 02:20
名前: C◆aUs8j9dxGcY

 黒く大きな翼が風を切る。かなりの高度を飛んでいるため体には冷たい空気が突き刺さるが、火照った体を冷ますのにはちょうどよかった。胸の高鳴りが喉の奥から漏れ出しそうになる。
 転進、と言ったところだろうか。イッシュ地方を飛び立ってから幾回の夜明けを迎えた。その間にも野生のポケモンを捕らえては命を奪ってきたが、そこに特別な感情は無く、ただ生きるために取るべき行動という認識しかなかった。


 腹の虫が鳴る。地方間の移動はドラゴンといえども体力を消耗する。すでにカロス地方に入り、地理関係を把握しようとしている所だったが、腹を空かせた両腕がギャーギャーと騒ぎ始める。両腕が頭への反乱を起こす前ことは避けたかった。

 新しくやってきた地方では目立ちたくないと、なるべく人目の少ないであろう場所を探す。そんじょそこらのトレーナーには負ける気はしないが、もしサザンドラがこの地方にいない種であるとしたらやっかいなことになる。「そんじょそこら」ではないトレーナーが押し寄せようものなら、自分の腕に自信があっても無事に切り抜けられるかは分からない。

 やがて、人の家もあまり無さそうな切り立った崖を見つける。思わず「これはいいな」と独り言を漏らし、目を皿のようにして注意深くこの場所を見渡す。 
 しかし不思議なことに、生き物の気配が感じられない。自分の見極めが悪かったのか、それともカロス地方にはポケモンが少ないのか。もし後者だとすれば、獲物の少ない地方で生きていくのは難しいだろうし、何より戦う相手がいなければ新天地にやってきた意味がない。

 興奮が多少の悪寒に切り替わってきた頃、高台にようやくポケモンらしきピンク色の点を見つける。大分距離があるのではっきりとは分からないが、小さい四足歩行のポケモンであることだけは分かった。自分でも悲しいぐらいに動揺していたらしい。獲物を見つけた瞬間安心し、足の先から背中を通ってむず痒い感覚が上ってきた。

「さて、どうしてやるべきか…」

 かっこよさなんていらない。獲物を仕留めさえすればいいという考えを常日頃持っているが、それは新しい地方でも変わらない。そして決まった作戦は「上空からの先制攻撃で、一撃で仕留める」。不意打ちだろうが何でもいい。見たことないポケモンを相手するかもしれないのだから、背負うリスクは少なければ少ない方がいい。

 多少待っていても獲物は動きを見せない。油断しきっているなら攻撃も当てやすいだろうと、頭を地面に向けて急降下し、体をひねりながら右腕を振りかぶる。自分の落下する速さが加わったりゅうのはどうは、主に不意打ちでしか使うことができないが、とても強力な威力を発揮する自分の必殺技だ。
 地面が近付き、獲物の輪郭がはっきりとしてくる。勢いは緩めず、りゅうのはどうをぶち込んでから地面すれすれで方向転換すればなにも問題は無い。初めて飛べるようになった頃はこの距離感が掴めずに何度も頭をぶつけたものだった。

 右腕から群青の光が溢れだす。一発、一発で決めてやる。

「3・2・1、喰らえ!」
「食べ物が落ちてきた!」

 サザンドラは聞いた。りゅうのはどうを撃つ寸前、不穏な声を。
メンテ
Unending Rampage 3 ( No.3 )
日時: 2014/07/03 02:23
名前: C◆aUs8j9dxGcY

 りゅうのはどうは確実に命中した。重力が加わった一撃は、地面をも削り取り、辺りに砂煙をまき散らした。やりすぎたかもしれないが、これぐらいしないと反撃されるリスクを背負うかもしれない。

 不意打ちは成功したように見えた。しかし、りゅうのはどうを撃つ前に聞いた言葉が耳から離れない。獲物は自分のことに気付いていた上に、俺は食べ物として認識されたのだろうか?自分自身の外見にうぬぼれているつもりは無いが、喉元にひっかかった嫌な予感が飲み込めない。
 
 やがて砂煙が収まり始めるが、そこで自分は四本の足でしっかりと立つ影を見つけてしまう。

「初めまして、あなたはどちらから?」

 無傷。地面を抉り取るほどの威力を持つりゅうのはどうをぶつけても傷一つ付いていない。それどころか、余裕綽々に話しかけてくる。

「ねーえ、答えてよ」

 影が近付いてくる。まずい状況であるが、これぐらいは打破しなければならない。

「はがねか…」

 ドラゴンタイプの技が効かなかった、つまりやつは見た目に反してはがねタイプだということになる。はがねタイプに対する有効打はじめん・かくとう・そしてほのお。ほのおの技なら持っていると左腕が喚く。先ほど空中で体をひねったのとは逆の方向に体をひねり、左腕に力を集める。砂煙を切り裂いて放たれたかえんほうしゃは寸分違わぬ精度で影に命中する。

 かえんほうしゃによって開かれた視界は、サザンドラの絶望をよりはっきりとしたものにさせた。確かに体毛は一部焦げたように見えるところがある。しかし、こちらに近付いてくるしっかりとした足取りから、それが決して大きなダメージにならなかったことが分かる。

「挨拶代わりに炎を吐いてくるってさ、結構失礼なんじゃないの?」

 上空を羽ばたいて時とは別の胸の高鳴りが神経から耳まで支配する。生存本能が大慌てで警鐘を鳴らしているようだ。この場面はもう逃げるしかないと、尻尾を巻いて逃げるつもりだった。

「逃がさないよ?」

 それはまさに電光石火の一撃だった。速さと威力を兼ね備えたその攻撃は、右羽の付け根に寸分違わぬコントロールで命中した。羽ばたいて逃げようとしていた所に強烈な攻撃を受け、逃げ場を失ってしまった。この羽では上手く飛ぶことが出来ないだろうし、飛ぼうとした瞬間に今度は左羽までやられてしまう可能性がある。
 逃げられない以上、こいつに打ち勝たなくてはならないが、それが可能になる選択肢を見つけられる自信は全く無かった。
 
 砂煙は完全に消え、初めて相手の姿を認識する。体は薄いピンク色の体毛で覆われているが、耳や足の先は濃いピンク色になっていて、頭には人間のする装飾品に似た布のようなものが付いており、目は作り物と見間違えるような青さを持っていた。自分の知らないポケモンであるが、それ以前にこれはポケモンなのか?という思いが強かった。現世離れしているというか、生き物というよりは作り物に見えた。
 
「あれ?おしまい? これで? そう。じゃあ、君との出会いに感謝、感激、ありがとー!」

 作り物のような美しい造形に目を取られ、完全に判断が遅れた。よく分からない言葉とともに、自分の本体、ボディー目がけて突っ込んできたが、避ける間もなく完璧に攻撃を受けてしまう。

「おぐっ…」

 今までに味わったことのない衝撃。急所に当たった感覚は無いが、それでも戦闘不能になるには十分すぎる威力だった。腹部に喰らったはずの衝撃は、体全体を激しく揺らし、足の先から頭の先まで余すことなく駆け回った。宙に投げ飛ばされる中、この攻撃の正体だけは分かった。おんがえしだ。不意打ちを食らわせて、さらには挨拶代わりにかえんほうしゃをぶつけた「恩」だろうか。

 自分の意思と関係なく宙を舞い、そして叩きつけられる。何もできなかった。高台にポケモンがいなかった時点で気付くべきだった。ポケモンがいないのではない。こいつが倒してしまったのだ。

 耳にやつの足音が入ってくる。きっととどめを刺されるのだろう。
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Unending Rampage 4 軽度の性描写 ( No.4 )
日時: 2014/07/03 02:24
名前: C◆aUs8j9dxGcY

「やっぱり君おいしそう!」

 地面に俯せになって横たわる自分の耳に入ってきたのは、やはり自分を食べ物として見ているのは気のせいでは無かったと証明する言葉だった。顔を地面に突っ伏しているため、そいつが何をしているかは分からないが、自分の周りを取り囲む足音から、自分をどうやって食べようかと物色しているのだろうと推測できる。あの作り物のような整った顔立ちからは想像も出来ないぐらいにグロテスクな歯でも持っているのだろうか。

 足音が止まる、その瞬間が近付いてくる。しかしこのままやられたくはない。起死回生は無理でも、わるあがきぐらいはしてやりたい。最後の力を振り絞って、なんとか、ダメージを与えてやりたい。

「ほら、ちょっと顔上げなさいよ。」

 意図は分からないが、これはチャンスかもしれない。今までに放った攻撃は、右手がりゅうのはどうで、左手がかえんほうしゃ。つまり、頭から放った攻撃はまだ見せていない。今の負の感情を込めたあくのはどうなら、ダメージはあまり期待できないかもしれないが、波動の威力と意表を突いた攻撃でひるませることはできるかもしれない。顔を上げた瞬間、それがラストチャンス。

 荒い息をできる限り整え、攻撃に備える。3・2・1で顔を上げ、あくのはどうを食らわせる…はずだったのだが、意表を突かれたのは自分の方だった。顔を上げたその瞬間、やつの顔がそこにあり、そして口を塞がれた。

「んっ…… ふっ……」

 何で口を塞がれているのか最初は分からなかった。しかし何が起きているのかを認識した時、思わず目を見開き、拘束から逃れようとして腕を伸ばそうとするが上手く力が入らず、やつの頭に触れることすら叶わなかった。徐々に視界が白く濁り始め、意識も混濁し始める。最早自分でも意識があるのかどうか分からなくなってきた時、口の中にぬるぬるとした肉が入り込んでくる。それは口内をなぶり回し、口の中の物をこそげ取ってくるかのように動き回った。





「んん…… あむ…… ふん……」

 サザンドラが気を失った後もキスは続く。まるで全てを吸い尽くすかのようなそれは、
時が止まったかのように長い間続けられた。
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Unending Rampage 5 vore ( No.5 )
日時: 2014/07/03 02:28
名前: C◆aUs8j9dxGcY

「目は覚めた? ねぇ?」

 行為が行為だったが、あの後確実に命を奪われるものだと思っていただけに、もう一度目を覚ますことになるとは思っていなかった。
大声で叫ばれたからか、やつの声が頭に響く。頭は痛み、体も重い。やはりおんがえしのダメージは重すぎた。

「目をあーけーなーさーい!」

 意識は戻ったが、今はこの大声だけでまた意識を飛ばしそうになってしまう。何か意思を持った大きなものに重い瞼を無理やりこじ開けられると、そこには巨大化したやつの姿があった。

 なんだこれは、と跳ね起きる。すでに自分の中には起き上がる力が残っていないと思っていたが、予想もしていなかった事態を前にして、それどころでは無くなった。

「さっきのキス、なんて技か知ってる? あれはドレインキッスって言ってね、相手の力を吸い取って自分のものにする技なの」

 自分のはちょっと特別だけどねと付け加えるが、そんなことは聞こえていなかった。最早逃げるという考えは頭の中に無く、ただ茫然とやつを見据えていることしかできなかった。
 あまりにも現実離れした展開であり、やつが巨大化したのではなく、正しくは自分が小さくなったことは些細な間違いであり、どちらでも危機に違いは無い。もしかして自分はもう死んでいるのではないかとも思い始めていた。

「おいしかったよ、君の力。とってもね。でもね、この技じゃ完全に吸収できないから、ほら、あーん。口から飲み込んで、お腹の中で溶かして、最後は体の隅から隅まで、ぜーんぶ私の体の一部にしてあげる」

 真っ赤な口が開かれるのを見た時、身の毛がよだつ思いをした。食べられる。今までは自分が食べる側にいたが、食べられる側に立つとこんなに恐ろしいものなのか。あの中に入れられたら終わり。自分の想像していたグロテスクな歯は無かったが、やつの口にすっぽりと収まってしまうような大きさの自分では、小さな軟弱な歯でも致命傷を受けるだろう。

「ん? 噛んだら駄目? 噛まずに丸呑みしたらいいのね」

 正常な判断力が失われた状況でも、頭の中が筒抜けになっていることに気付くのは早かった。完全に支配されている。どうやっても助かる道は無く、すでに自分は栄養として吸収される未来しか残っていなかった。

「それならば、自分で死んでやる! なんて思ってるでしょ。そんなことは許しません! つまんなくなっちゃうから」

 自分の体が、二本の触手のようなヒラヒラとしたものに掴まれる。いくら翼を羽ばたかせようと、腕から技を出そうともやつはひるむ様子は無い。何もできることが無いまま、ゆっくりと口が迫ってくる。やつはわざとらしく「あーん」と言いながら口を開ける。自分の体はやつ口の中に入るにはちょうどいい大きさだった。

「んっ…」

 やがて視界が一面口の中になり、自分の尻尾が舌に触れる。そこで触手からの拘束は解かれるが、代わりに口による拘束が始まる。口を閉じられた後のその中は、熱気と湿度にまみれた、地獄の一歩手前。
 
 暗い口の中でも目が見える、暗闇に慣れている自分を呪った。分厚い舌が自分目がけて伸びてくる。舌の先でつんつんと顔のあたりをつつかれる。やがて舌は獲物の位置と体勢を確認したのか、にゅっと伸びてきて下顎に押し倒してきた。背中に、下顎に溜まった唾液がねっとりとくっつく。下顎と、舌の先で体を挟まれ、押し付けられる。唾液は徐々に粘性を増し、体全体を包み込むように絡みついてくる。舌の先はざらざらしており、体に擦り付けられると痛いような痒いような、しかし確実に体を消耗させてくる。
 下顎に飽きたのか、体は成す術も無く頬の方にころころと転がされる。舌で強力に押し付けられ、頬の柔らかい肉に埋まりこんでいった。関節が軋みだし、体が悲鳴を上げる。体を舐め回され、体は唾液にまみれ、時折強い力で押し付けられ、気力も体力も奪われ、思わず声を漏らす。

「もう、やめてくれ…」
 
 舌の動きが止まり、大声では無い小さな、そして心底つまらなそうな声が耳に入ってくる。

「あ、そう。もうやめてほしいんだよね。いいよ。じゃあサヨナラだね。もう」

 世界が傾くと、体が口の奥、喉へと運ばれていく。足に浮遊感を感じる。おそらく、足はすでに喉の穴に入り始めているのだろう。体がずるずると滑り落ちていく。自分ではどうしようもない力により、体のほとんどが喉に入る。その時、一瞬喉が大きく開いて自分の体を全て飲み込む。開いた喉はすぐに閉じ、口の中に何者かがいた形跡を何一つとして残さなかった。

「はい、一名様ご案内でーす」




 こくり、と喉が少しの膨らみを見せた後、その膨らみは少し下に移動したかと思うと、すぐに見えなくなった。

「最後に。私の名前は、やつじゃなくて、ニンフィアって言います! 冥土の土産によろしくねっ!」

 喉から内臓にかけて、サザンドラが通ったであろう辺りを撫でながら、ニンフィアは囁いた。
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Unending Rampage 6 vore 若干hard ( No.6 )
日時: 2014/07/03 02:31
名前: C◆aUs8j9dxGcY

「ニンフィア… か…」

 外から聞こえた言葉を自分の中で反芻する。やはり知らないポケモンだったか。

ゆっくりと、しかし体は着実に食道を下っていく。運よく足から入り込んでいるからといって何か抵抗ができる訳では無く、狭い肉を重力に沿って掻き分けていくことしかできなかった。口の中ほどでは無いが粘液に濡れたその空間は、獲物を胃に送り込むのに十分すぎる役割を果たしていた。

 やがて、ノイズのような音が大きく聞こえるようになる。この音が心音だと気が付く頃には食道の終着が近付いていた。

 一際強く締め付けられる体。足の先が熱気に満ちた空間へと触れる。体を締め付ける感覚は、体を押し出す感覚へと変わる。食道を完全に通過すると、ドペッという音とともに、強靭な筋肉に迎えられる。

 遂に胃袋の中へと送り込まれてしまった。自分が今いる胃袋の底から、食道へと繋がる噴門まで大分高さがある。さらに、噴門はぴっちりと閉じており、ここを通るのは不可能のように思えた。上ではなく下、正確に言えば斜め下を見ると体のさらに奥へと繋がる幽門がある。しかし、これは小さくなった自分でも通れないような小さな穴であり、通れるようになったころには、自分の体はすでに原型を留めていないだろう。

「こんなもの!」

 胃壁を思い切り叩いても何の変化もなく、波動の技も全て吸収されてしまった。
 胃壁は少しざらざらするような、粘液に覆われた襞がうねるように連なっている。今はまだ胃の活動が活発ではなく、消化液も分泌されていないため、胃の下部の隙間に、体に痛みを感じることは無い。胃袋の大きさは、少し縦長になった口の中ほどの大きさしかない。体勢を変えることすら難しい胃の中で消化されるのを待つしかなかった。

 どくんどくんと、鼓動のような音が耳を支配する中、蒸し暑さと湿気が共存するその世界に違和感を覚えた。死臭がしないのだ。無臭の胃袋。むしろ、なぜか甘い匂いがするような、外見と同様に作り物でできたような内臓。 
 だが、その違和感もすぐに打ち消される。次第に胃袋が揺れ、胃壁が蠢き始める。哀れな獲物をトロトロに溶かし、体の奥へ奥へ送り込もうとする消化運動が始まる。

 グルルと音が鳴り、じわりと消化液が分泌される。胃袋は全身が消化液にまみれるようにかき混ぜる。揺れるように、時にしごくように締め付け、とても抵抗できるものではなかった。ちっぽけな存在は動きに身を任せ、消化の手助けをすることしかできなかった。

 皮膚がちくりと痛み出す。消化液がついに体を溶かし始めた。苦しい。全身が痛みに支配される。おそらく、この痛みがどんどん強くなり、痛みに耐えきれなくなったところで意識が途絶え、そのまま溶かされて命を終えるのだろう。

 体はかき混ぜられ、消化液に犯され、自分の意識はどこで途切れるだろうかと考えている時だった。

「おっす、頑張ってる? これ、差し入れだから頑張って!」

 ニンフィアが喋ると胃の中がじんじん震えた。その直後、噴門から大量の水が流れ込んでくる。胃の中が水で満たされると、体はまるで死んでいるかのように、水によって浮かび上がる。しかし、ごぽりごぽりと波打つ胃の中は、自分にとって状況を好転させる材料が揃っていた。

 まずは1つ。消化液が薄まり、消化運動が緩やかになったこと。そして2つ。この水が俗にいう「おいしいみず」の類であったこと。サザンドラは久しぶりに体に力が戻ってくるのを感じた。

「そうだ、このままでは終われない!」

 体に力が戻ってくるのと同時に、思考能力も戻ってきた。その目は水が入ってきた噴門を真っ直ぐ見据えていた。

「考えろ。下から出るには消化液が強すぎる。脱出するには上しかない。どうやって道をこじ開ける? さっき水が入ってきた、水なら難なく食道を通れるか?」

 独り言を繰り返し呟き、この問題の最適解を探す。死が間近に迫っているという事実が頭の回転をかつてない速さにさせた。

「水を逆流させ…… 自分は胃液が逆流して吐いたことがある、じゃあ自分からこの水を逆流させればあるいは……!」

 思いっきり胃の中で暴れ始め、波乗りの真似事で水を跳ねさせる。希望の水が腸の方へと流れてしまったら今度こそ希望は無くなる。一心に暴れる中で、胃壁がせり上がり、噴門が緩むのを見逃さなかった。
 
「開け! この野郎があああ!」

 ダメージも、水も気にせずに羽ばたいて噴門に頭から突っ込む。噴門は固く閉ざされていたが、羽ばたいた勢いで無理やりこじ開けた。頭が胃から脱出すると、もうここからは気合いと言うしかない。なんとか腕まで食道に入り込むことに成功すると、そこからは腕で踏ん張り、体全体を胃袋から脱出させることができた。ぎゅうぎゅうと体を締め付けられながら、逆流する水に乗って食道をせり上がっていく。耳にこびりついていた心臓の音が徐々に離れていく。

 そして、食道の終着点、喉の入り口が見えた。あと少し、あと少しで脱出できる。腕・翼・水流の力でとうとう食道を上り詰める。久しく見ていなかった、外の明るい光が見える。先ほどまでなぶられていた口の中も通過し、外に出たと思った瞬間、体は再び見覚えのある触手に掴まれた。
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7 unbirth vore 性描写 残酷描写 ( No.7 )
日時: 2014/07/03 02:34
名前: C◆aUs8j9dxGcY

「残念でしたー」

 体外に出られたのも束の間、今度は一本の触手に巻き付かれる形になる。腕と翼と体をまとめて捕まえられてしまったため、動かせるのは頭しか残っていない。敵意を露わにして睨み付けるも、ニンフィアはまるで気にしていなかった。

「いやー、よく頑張ったね? いや良かった、出てきてくれて」

 飄々とした物言いに、体の中で苛立ちと憎悪が沸々と湧き上がってくる。ガラスのような目に映った自分の姿は、未だかつてないほど悪そうな見た目をしていた。

「もしかして、気付いてない? おいしいみずを飲んで回復させてあげて、君のことを吐き出そうとしたじゃん? 胃の中の物を出すって辛いね、まだこの辺が焼けた感じするよ」

 ニンフィアはえへへと笑いながら、胸から伸びる触手で自分の喉のあたりをさすった。こみ上がってきていた負の感情が見る見るうちに消え去り、代わりにどうしようもない絶望が渦を巻き始めた。

「もしかして、全部…」
「そう、ぜーんぶ計画通り」

 体の力がしおしおと抜けていった。結局は全て手のひらの上で踊らされていただけのことだった。力を振り絞ってなんとか胃の中から脱出したが、それすら計算されていたものだと思い知らされ、もう何かを言い返すような気にもなれなかった。

「落ち込んでるところ悪いんだけどさ、ちょっと頼みごとがあってさ」

 ニンフィアはえへへ、と照れ笑いをする。ここでニンフィアは仰向けになり、サザンドラの捕まった触手は、ゆっくりとニンフィアの体の下の方へと移動していく。

「君に慰めてもらおうかなー、なんて。」

 発言の意味を理解する間もなく、触手によって体が運ばれていき、女性器の目の前で触手の動きが止まる。ぼーっとそれを見つめるが、何の感情も湧かなかった。

「君もうべとべとに濡れてるし、やっちゃうよ?」

 触手が女性器に向かって動き出し、体が触手ごとニンフィアの中へと埋められていく。ここで初めて「慰める」の意味を理解した。口の中とも胃の中とも違う、ぐにぐにとした肉が体を包み込む。むず痒さと気持ち悪さで背中に寒気が走る。本来は気持ちよくするために存在している肉襞が、今は気持ち悪くさせる要因でしかない。甘ったるい匂いが思考能力を奪い、酸っぱいものをこみ上げさせる。
 触手の動きが止まったと思いきや、勢いよく引き抜かれる。激しい動きだったため、少し口の中が酸っぱくなる。

「いい感じいい感じ。じゃあ、頑張ってね。」

 引き抜かれた時と同じか、それより速い速さで再びニンフィアの雌に潜らされたと思ったら、再び引き抜かれそしてまた潜らされる。抽送運動のたびに潜り込む肉壁は狭くなっていくように感じ、摩擦熱とニンフィアの体温によって体が燃えるように熱を帯びていった。
 あまりにも激しい一人遊び。惨めにも、自分はニンフィアのおもちゃでしかなかった。頭が激しく揺さぶられ、勢いよく吐いてしまう。体中から水分が漏れ出る。

「いいねえ、君! すごくいいよ!」

 外から聞こえる高揚した声も、次第に艶っぽくなり、限界が近くなっていくが、先に自分の限界が来てしまうだろう。

「あっ! っ〜〜〜!」

 急激に締め付けられ、体を全てすりつぶしてくるかのように肉壁が迫り、体が耐えきれなくなったところでその時はやってきた。

ぱきり

 折れてはいけないものが折れた音がして、そこで世界は途切れた。




 息が整うまで、サザンドラの亡骸はずっとニンフィアの中にいた。触手ごと取り出されると、血にまみれ、ありとあらゆる場所が潰れた生き物「だったもの」がそこにあった。

「あぁ〜 死んじゃったね。やりすぎちゃった」

 ぽいと亡骸を口に投げ込み、味わう間もなく飲み込む。抵抗のないものを消化するのは早かった。胃に入ると同時にサザンドラはとろけ、あっという間に形の無いものになってしまった。
 ニンフィアは、はて?と思案する。しばらく考え込んだのち、どこからか取り出した、とげとげとした透明の結晶を飲み込んだ。
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8 vore 体内通過 analvore 性描写 ( No.8 )
日時: 2014/07/03 02:38
名前: C◆aUs8j9dxGcY

 確かに自分は死んだはずだった。屈辱でしかない死に方で。しかし、今自分ははっきりと生きている。腕に力を込める。ボロボロにされたはずの体は、なぜか未だかつてないほど調子がいい。今なら何だってできる気がする。この肉壁を破ること以外は。

 再び目を覚ましたのはピンク色の空間、いや洞窟だった。肉襞にびっしりと覆われているが、膣の中とはまた違う。一つ一つが大きな、ぶよぶよとした肉襞にゆっくりと運ばれながら奥へと進んでいく。
 すでに脱出する手は尽くした。この内臓にいくら攻撃してもびくともせず、跳ね返されるだけだった。また、蠕動運動の他にも、ニンフィアの体の動きがそのまま内臓の揺れに繋がるらしく、まともに踏ん張ることすらできなかった。ぐるんぐるんとかき回され、さっきの抽送運動の時のように吐いてしまった。

 2匹分の心臓の音が聞こえる。今自分がどこにいるかは大体見当が付く。ここは腸だ。

 どうやって胃液や膵液を切り抜けてきたかは分からないが、確かに自分は腸の中で生きている。しかし、腸の中にいて、蠕動運動で運ばれている以上、自分がこの先どうなるかは嫌でも想像できた。敢えて言葉にしないようにしているが、その時はやがて来てしまうだろう。

 他のことを考えようとすると、どうしても一つの疑問にたどり着く。ニンフィアを初めて見た時、最初に飲み込まれた時にも感じたが、あまりにも生物感が無さすぎる。腸も、ただ粘液にまみれた甘ったるい空間であり、異臭や汚物の存在が感じられない。ありがたいことと言えばありがたいのだが、不自然な点が多すぎる。
 
 腸の中で体は回転したり、絨毛に巻き込まれたりしながらも着実に運ばれていく。諦めが出てからは、体内の肉壁に揉まれるのがそこまで不快じゃなくなってしまった自分が恐ろしい。

 やがて、一つ目の腸の終わりがやってくる。水の溜まった少し広い管に押し出されたかと思った直後、今まで通ってきた腸への道が閉ざされる。溜まったものが逆流しないようにする動きなのだろう。

 大腸は、小腸と比べて肉襞の間隔が広く、ぷよぷよとした柔らかな空間だった。汚物と異臭が無いのはせめてもの幸運か。大腸の底の肉がきゅっと閉まり、蠕動運動によって拘束された体が上へと上っていく。飛べば楽に大腸も抜けられそうなものだが、この先に待っている物を考えるとその気はしなかった。

 肉襞がやがて無くなり、肉の塊に包み込まれるようになる。身動きが取れなくなったところで体が運ばれる動きは止まった。おそらく足元には外への出口があるであろう、直腸。直腸は、どちらかというと頬の肉の感触に似ていると思ったが、肉壁の感触に詳しくなっている自分に情けなくなった。水気が大分多く、口から耳から、いろんな所に腸液が入り込んでしまう。
 直腸でうずくまりながら排出されるのを待つ今の状況は、まさに生き物のそれで、悔しさと情けなさで涙が溢れそうになる。

「んっ…」

 外で何か踏ん張るような声が聞こえた。直腸の肉が体を押し出し、頭から外へと押し出される。出口は足元にあると思っていたが、実際は頭の先にあった。従って、肛門から頭がだけが出る形となってしまう。

「情けないね〜 お尻から顔を出してるなんて。どうだった? 体内一周旅行は」
 
 めりめりと少しずつ、肛門を広げながら外へと排泄される。ニンフィアの顔は見なかった。

「ウンチになった気分は? ねえ?」

 ぽとりと地面に落ちる。ほんのりと湯気が出ていることに気が付き、まるで本物そっくりだと自嘲する。体にまとわりついていた熱が風にさらされ離れていく。

「ほら、返事は? 感想は?」

 何も言いたくなかった。それに言えることも無かった。
 伏せた頭に水の音が入る。どうやら水辺にいるらしい。今は一刻も早く体液でべとべとの体を洗い流したかった。

「無視するんならこっちにも考えがありま〜す。反省するまで、もう一度体の中に戻ってなさい」

 俯せになった体に触手が巻き付いてくる。再び体の中に戻されるのはごめんだと、かえんほうしゃで抵抗するも、触手はひるむことなく体を捕らえ、しっかりと巻き付いて空中へと持ち上げた。

「離せ!」

 触手の中で暴れても、肛門へと運ばれる動きは止まらない。ひくひくと蠢くその穴は、まるでサザンドラを欲しているかのようだった。粘液に濡れた肛門に頭から挿入され、触手はサザンドラを直腸に置き去りにしてから引き抜かれた。

「反省するまで出してあげません。 なんならそこで一生暮らしてみる?」

 きゃははと楽しそうな声が外から聞こえるが、自分にとっては何も楽しくない。再び熱と湿気が支配する空間に閉じ込められるが、このままやられっぱなしでいる訳にはいかない。

「ここから出せ!」

 直腸内のある一点への体当たり。これが大きな変化をもたらすことになる。

「きゃう!」

 中ではぐずりと粘液が溢れ、外では今まで聞いたことのない声が聞こえた。初めて一矢報いることができるかもしれないと、執拗にその一点への攻撃を続けた。体当たりからあくのはどう、考えられる攻撃を当て続けた。

「やめっ、そこっ、子宮っ、あっ、や!」

 直腸が激しく収縮するのに対し、肛門はだらしなく開く。必然的に体が外へと押し出され、にゅるりと肛門を抜けることに成功した。
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9 unbirth 胎内回帰 性描写 ( No.9 )
日時: 2014/07/03 02:41
名前: C◆aUs8j9dxGcY

 肛門からは出られたものの、何度目か分からない触手の拘束を受ける。ニンフィアも大分息が上がっているからか、拘束が弱くなっていた。しかし、それすら抜けられない自分の非力さが憎い。結局二本の触手に掴まれ、逃げる手段を失ってしまった。
 一矢を報いることには成功したが、ドレインキッスの効果は途切れない。戦闘さえ終われば能力変化は元に戻ると踏んで何とか耐え抜いてきたが、その兆しは見られない。

「君さあ、すごいよね。直腸からピンポイントで子宮を刺激するなんて。」

 ニンフィアの息はおおよそ整ったらしいが、代わりになにか別のものが込み上がってきているように見えた。日差しが毛並みに反射して、鉱物のような輝きを放っていた。
 
「私もうお腹が熱くって、しょうがないの。だから…」

 突然頭から水を掛けられる。体の粘つきは少し取れたが、代わりに寒さが襲ってくる。そして、体が再び女性器の前へと向かう。前は頭も体も疲弊していたため特に感想は無かったが、体力がある状態でのこの状況はなかなか直視しがたいものがあった。じゅくじゅくと愛液が溢れ出し、ひくひくと動くそれは、まるで獲物を今か今かと待ち望んでいるようだった。
 おそらく、自分は一度この中で押し潰されて死んでいる。前はアイテムか何かのおかげで腸の中で目を覚ましたが、二度目があるとは限らない。怖かった。膣肉に怯えるというのは何とも情けないが、そこには確かな恐怖があった。

「や、やめてくれ…」
「ごめん無理。奥まで入って」

 女性器に飲み込まれる。以前あれだけ蹂躙された肉襞をいとも簡単に掻き分け、一直線に奥へと埋まりこんでいく。頭に何か壁が当たったと思った瞬間、くぷりと音を立てて無理やり壁をこじ開けたのが分かった。

「ああ、幸せ…」

 いとも簡単に子宮に飲み込まれてしまった。双角子宮に体がV字のように折れ曲がって押し込まれる。丁度腰のあたりに自分の入ってきた入り口があるが、体勢も変えられないようではこじ開けるどころか触れることも出来ない。そこは進むことも戻ることもできない、完全に閉鎖された空間だった。
 心音と、その鼓動が直に伝わる。振動と血液による収縮が妙な心地の揺れを与える。体温がじんわりと伝わり、肉壁がぴっちりと包み込む。

「なんだ、ここは…」

 思わず呟いた。殺されると思っていたところに妙な安らぎを与えられたからなのか、冷えた体に温もりを与えられたからなのか、とても心地よい。
 随分久しぶりの眠気が襲ってくる。イッシュからの移動中と、ニンフィアに拘束されてからはまともに睡眠を取っていなかった。ここで眠ったらどうなるか分からないが、体温の暖かさとぴっちりと包み込まれる心地よさには勝てなかった。

「これでは、まるで、赤ちゃん、じゃない、か…」




 意識はここで途切れた。じわじわと溢れ出す粘液が海のようにサザンドラを包み込んでいった。
メンテ
Unending Rampage 10 ( No.10 )
日時: 2014/07/03 02:42
名前: C◆aUs8j9dxGcY

「ほら、もっと速く飛べないの?」
「…はい」

 結論から言えば、自分は生きていた。そして、なぜかそばにはニンフィアがいる。正確に言えば、尻に敷かれている。




 あの後、どうやって出られたかは「企業秘密」と言って教えてもらえなかったし、聞いても良いことは何もないような気がした。そして、再び気を失うほどの激しいドレインキッスで元の大きさに戻ることはできたが、その力関係が変わることは無かった。

 どうやら、カロス地方には新しいタイプにフェアリーというものがあるらしい。ドラゴンタイプの技が全く効かず、逆にドラゴンタイプとあくタイプに抜群を取れる。このことを知った時、頭を抱えたのは言うまでもない。
 生物感が無いのは妖精だからかと思ったが、それはこいつが特別ななのだろう。フェアリータイプが全員こんな感じではたまらない。

 自分とニンフィアの関係を、周りのポケモンは夫婦漫才と呼んでいるらしいが、夫婦ではないし、漫才と呼べるほど愉快でも無く、そんなにきれいな関係ではない。ため息をつく回数は以前より明らかに増えた。

「俺は何をやっているんだろうな…」
「えーっと、ガードマンとか?」
「ガードされてるの俺の方じゃん…」
「それ、自分で言ってて悲しくならない?」

 また一つため息をつく。頭の上できゃっきゃっとはしゃぐこいつを、いつか倒してやりたいと思ってもそれはできないことだと半ば諦めていた。

 しかし、決して諦めなかった結果、ついにチャンスが訪れた。自分ほどひどい目には遭っていないが、この地方にはフェアリータイプに虐げられているドラゴンタイプとあくタイプが多く、ニンフィアの目さえ抜けられれば簡単に情報収集ができた。得た情報を肉壁に揉まれながら頭の中で整理するのが日課となっていた。

 ドラゴンとしてのプライドを捨て、ニンフィアを倒すことだけを考えた。運が絡まなければ勝てないが、それでも希望を抱くのには十分だった。
メンテ
Unending Rampage 11 ( No.11 )
日時: 2014/07/03 02:44
名前: C◆aUs8j9dxGcY

「俺と、正々堂々とバトルしてくれ」

 「ばとるぅ?」と怪訝そうな顔で返されたが、勝った方が相手に好きなことをする、という条件で決まった。最も、ニンフィアが勝ったところでいつもと変わらないのだが。
 戦うフィールドは初めて出会った高台の、何もない平坦な草原。天気も良く、他にポケモンもおらず、何一つとしてこのバトルを妨げるものは無かった。

「ルールはどちらかが倒れるまで。いい?」
「ああ、それでいい」
「なにかっこつけちゃって。いつもはもっと情けなさそうな顔してるのに」

 挑発には乗らない。このバトル、補助技で運に頼るしかないのだから。
 
「先手どーぞ? ど〜んな技が出てくるのかな?」

 相当に舐められているが、でんこうせっかが急所に当たれば何もできずに終わる可能性だってある。息を一つ整え、かげぶんしんで大量の分身を展開させる。

「あー、そういうセッコイことするのね。マジカルシャイン!」
「なっ…!」

 分身が全体攻撃によってどんどんと消されていく。本体に攻撃が加わるのは時間の問題だろう。しかし、ここまでは想定内である。分身の一体がニンフィアに忍び寄り、でんじはを命中させようとする。

「甘いよ? そんなの簡単に…」
「アイアンテール!」

 本命はでんじはではなく、アイアンテール。ズドンと重たい一撃がニンフィアに命中し、地面に叩きつけたはずだったが、次の瞬間にはニンフィアが顔を目がけて飛んできた。でんこうせっかをまともにくらうが、ロゼルのみので何とか持ちこたえ、気合いで体勢を整える。どうやら二回目のでんこうせっかを仕掛けてきたらしいが、分身のおかげで命中しなかったらしい。残念ながらこのバトル、運だけでなく精神論にも頼らなければならない。

「でんこうせっかは見切ったぞ?」

 単なるハッタリ。本当は見切ってなんかいないし、次の一撃を食らえばどうなるかは分からない。それはニンフィアも同じように見えた。即座に反撃されたとはいえ、しっかりとダメージは通っているようだった。

 その時、突然体が痺れ始める。主に下半身が痺れ、まともに動けなくなる。まさかの事態に焦りが生まれるが、なるべく頭は平静に保つように息を整えた。

「残念ながらあれ、でんこうせっかじゃなくてのしかかりだったのよね」

 ふふふと笑いながら近づいてくる姿は、妖精と言うよりも悪魔に近かった。

「ロゼルまで用意してたみたいだけど、甘いんじゃない?」 

 ドレインキッスをかましに正面に飛び込んでくる、この時を待っていた。反応できないほど素早い動きも、予測していたのなら話は別だ。下半身が動かなくても、腕さえ動けばいい。

「…隠し球だ」

 右腕をカウンターのようにニンフィアに合わせる。隠してあったはがねのジュエルが光り輝き、強烈な一撃をぶちかます。アイアンテールは元々見せ球で、本命はこのジュエルラスターカノン。
 どさりとニンフィアが崩れ落ちる。遂に勝った。道具を2つ持つなんて、正々堂々としたバトルではない。残念ながらこうでもしないと勝てなかった。




「卑怯! 卑怯!」
「勝った方は好きなことしていいんだろ?」
「あれは勝ったって言わない!」

 ポカポカと叩かれる。オボンのみを齧らせてからはずっとこんな調子が続いている。自分でも卑怯だとは思っているが、ここで引いたら自分の身が危ないから引くわけにはいかない。

「ルールについては倒れるまでとしか言ってないから卑怯じゃない」

 ニンフィアはうぐ、と口ごもる。普段はここで言い返してくるだろうが、どうも気弱になっているらしい。

「じゃーもういいよ! 何したいの! もう殺せばいいじゃん!」

 バトルに勝った後のことは何も考えていなかった。むしろ、勝てるなんて思っていなかった。ここでニンフィアの命を奪ってしまえばこの生活ともオサラバできるだろうが、その願望があるならさっきのバトルの時にとどめを刺していただろう。
 では、何がしたいのか?

「食べたい…」
「えっ?」
「お前を…食べたい…」

 はぁ?と目を剥いて返される。思わず口走った言葉は、自分自身でも予想していなかったものだった。
メンテ
Ending hardvore 残酷描写 ( No.12 )
日時: 2014/07/03 02:47
名前: C◆aUs8j9dxGcY

「これが体力回復する奴で、これが毒を弱めるやつで、これがいざという時の…」

 せかせかときのみやら何やらを用意している姿を少し飽きれながら見ていた。旅行にでも行くのか、と聞いたら少しムッとされた。準備をしながら、どのきのみにどんな効果があるのかを説明してくれていたらしいが、音は頭の中に右から入っては左へ抜けていって全く頭に入らなかった。
 ニンフィアがふうと溜め息をつく。どうやら説明が終わったらしい。

「さあ、どこからでもきなさい!」

 震える両手でニンフィアを掴む。その瞬間、目をギュッとつむる姿に少しだけときめいてしまった。
ニンフィアを両手に抱えたものの、どうしたらいいか分からずにおろおろする。舐め回すのも趣味が悪いような気がするし、噛み切ったら痛いだろうとも思う。それに、悪そうなやつがかわいいやつを捕食するのは絵面としてすごく良くない気がした。

 ゆっくりと口に運び、そっと舌の上に乗せる。んっ、という声が口の中から聞こえる。そのままぎこちなく舐め回してみるが、どうも気分が乗らない。

 もやもやした思いを吹き飛ばしたのは、甘噛みしてみた時だった。か細い悲鳴が聞こえ、じんわりと血が滲んでくる。獲物を支配しているというこの感覚が、捕食者としての本能を呼び起こさせた。

 楽しい。命を掌握している感覚に酔いしれる。もし自分が強く一噛みすれば、獲物の体はちぎれる。もしこのまま丸呑みすれば、獲物は苦しんで苦しみ抜いて消化される。
 考えているうちに足を一本噛み千切っていた。血の味が口いっぱいに広がり、幸福感が湧き出してくる。一際大きな悲鳴が脳内を活性化させる。このまま足を全部噛み千切ってしまうのもいいが、もっと苦しんでほしい。意識を保ったまま消化されてほしい。

 口の中から「約束が違う」と聞こえるが、自分には約束なんてした覚えはない。器用に舌を動かし、噛み千切った足だけを飲み込む。喉の膨らみがゆっくりと落ち込み、腹の中に消える。自分の一部だったものが消え去り、絶望しているだろうか。いや、絶望してくれなければ楽しくない。

 頭の中と本能が一致しているからか、胃はすぐに消化を始める。その間も口の中で獲物をいたぶることは忘れない。腹が早く食べ物をよこせ、と催促してくる。
 腹の虫が鳴り出した頃で限界だと感じた。せいぜい

「じゃあな。妖精さん」

 ごくり、とわざとらしく喉を鳴らす。喉を、食道を押し広げながら獲物が胃袋へ向かっていく感触に快感と興奮を覚えた。やがて、腹がぷっくりと膨れると、きゅるるると一際大きな音が聞こえた。
 フェアリータイプにどくタイプの技がこうかばつぐんなのは知っている。おそらくは、消化液が触手から目玉まで、余すことなく消化してくれるだろう。

 どうやら腹の中で暴れているらしいが、出してやる気は無いし、きのみなどの回復アイテムを飲み込んでやるつもりもない。足掻いたところで、一欠片残さず血肉になる運命は変わらないのだから。

 腹の中から聞こえるすすり泣く声がやがて聞こえなくなり、徐々に小さくなる腹を撫でながら余韻に浸る。最高の気分だったが、消化してしまうと物足りない気分の方が強くなり、先ほどの獲物のことなどどうでもよくなった。




 腹の膨らみは無くなり、獲物を消化しきったが、まだまだ足りない。一つ大きく吠え、大空へ飛び立つ。次の獲物を探しに行くために。
メンテ
Re: Unending Rampage ( No.13 )
日時: 2014/07/23 18:25
名前: 耀輝

はじめまして。
耀輝(てるき)と言います。
サザンドラさん、自分も一呑みお願い致します!!!
メンテ

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