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Re: わにドラ?【エロ/cock/Unbirthとか】 ( No.15 ) |
- 日時: 2011/07/17 14:12
- 名前: ROM-Liza
- 久しぶりに更新。全くグロ耐性のない方は閲覧しないことをお勧めしますが、
何しろグロに関する知識のない者が書いてますんで、Hardが専門の方は あまりご期待なさらずに。
てことでドゾー。
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あたしを見下ろす冷たい目線。この後あたしに起こることを想像すると、寒さも相まっ て震えが止まらなかった。
「可愛そうに。寒いんだね」
オルガが形だけ優しい言葉をかけてきた。こんな状態にしてくれたのは何処のどいつだ。 そんなことを言う気力もなく、あたしはぐったりと横たわっている。視界の隅にだらりと 垂れた自分の尻尾が見える。尻尾の炎は、一息吹きかけられたら消えてしまいそうなほど に頼りない。
「温めてあげるよ」 「ひぃっ」
口調とは裏腹に乱暴にあたしの体を掴み上げると、口を開いてあたしの右腕にしゃぶり ついた。生温かい息と涎が触れると、感覚を失いかけていた腕がびりびりとした。そして 中で舐め回される内に、じんわり温まっていき、うまく動かなかった指先も動かせるよう になってきた。
一頻り舐めた後、涎の糸を引かせて今度は口を左腕に移し替えると、同じように舐め回 す。続いて右足、左足、顔――最後にはあたしの顔を摘まんで、胴体を口の中に入れてし ゃぶった。気分こそ最悪だったけど、お蔭で体は大分温まった。 「うん、そろそろ大丈夫みたいだね」
あたしの胴体を吐き出して、オルガが言う。
「ところでさ、リン、ちょっとお願いがあるんだ」 「お願い……?」
あたしは身構えた。もちろん、オルガがあたしにとって喜ばしいようなことを言うだな んて全く期待していない。
「君のこと、ちょっと食べさせてくれない? 腕一本だけでいいからさ」
――だけど、流石にそこまでは予想してなかった。せっかく温まった体が、サーッと寒 気を帯びてしまった。あたしは言葉を失っていた。
「いいでしょ? 二本あるんだから、一本くらい無くなったって平気だよ」 「ふ、ふざけるな! そういう問題じゃないだろっ。あたし絶対に嫌だからな!!」 「君が嫌だとか、そういうのは関係ないんだよ。これがお仕置きなんだから」
そう言って、オルガはあたしのことを強く握った。
「もう味見だけじゃ我慢できないんだ」
オルガは唸るような低い声で呟くと、口を必要以上に大きく開いた。そして、あたしの 右腕が上顎と下顎の間にくるようにして――
バクンッ
勢いよく口を閉じた。
「い゛いいいいいいいやあああああああああああああああああ!!!」
突然のとんでもない激痛に、目をひん剥いてあたしは絶叫した。
「痛いっ!! 痛いいぃ!! オルガアアアアアァァァァァァ!!!」 がっちりと閉じられた大顎。蟻の這い出るほどの余裕もないその隙間に挟まれ、あたし の二の腕は完全に潰れていた。おびただしい量の血が流れ出ている。
腕を引っ張り出そうとするけど、オルガの大顎で完全に固定されていてびくともしない。 無理に引っ張ると千切れてしまいそうなので諦めた。
「うぅっ、ぐううううぅぅっ! オルガアァァァ!! もうやめてえぇぇ!! 痛いよおぉぉ ぉぉ!!!」
涙をボロボロと零しながら、左手でオルガの大顎を狂ったようにバンバン叩く。オルガ は口の端を吊り上がらせただけで、大顎の力を緩めなかった。やがて左手が痛くなり、大 顎にもたれ掛かって、歯を食いしばりながらひたすら痛みに耐えた。
* * *
漸く大顎が退けられたときには、精も根も尽き果てて、ただ荒い呼吸ばかりを繰り返し ていた。気の遠くなりそうな痛みは全くと言っていいほど引かない。食いしばり続けた奥 の歯には力が入らなくなってきた。
「ねえねえリン、これ、なーんだ?」
オルガはおどけた声でそう言うと、これ見よがしに舌をこっちに向けてきた。舌の上に は何か細長い物が乗っている。
「!!?」
それが何だか気づいた瞬間、朦朧としていた意識が一瞬で醒めた。それは紛れもなく、
あたしの右腕だった。涎の溜まった窪みの中に沈んでいて、断面から流れ出た血が涎と混 ざり合おうとしている。
自分の右腕を確認する。二の腕から指先にかけて全て無くなっていた。無理矢理千切ら れた腕の断面は、大顎の力で潰れた形になっていて、折れた骨がそこから飛び出している。
信じられない。信じたくない。あたしの腕がなくなっちゃうなんて……。 途端に途轍もない不安に襲われて、心臓が騒がしく鳴り始めた。
「嫌あぁっ!! 返してよ、あたしの腕えぇ!!!」
あたしは酷く取り乱した。オルガの手に掴まれながら、必死に舌の上の右腕に手を伸ば した。オルガはその様子を満足げに眺めながら、口を閉じてあたしと右腕を隔てる。そし て――
ごきゅっ
あたしの右腕を呑み込んだ。 ピタリと騒ぐのをやめる。言葉が出なかった。
「べえ」
オルガは舌を出して、口の中をあたしに見せつける。綺麗さっぱり、何にもなかった。 大量の涎と一緒に、消えてなくなってしまった。
そんな……。
「今から取りに行けば、まだ間に合うんじゃない? ほら」
オルガは口を大きく開ける。舌を下顎にぴったりくっつけていて、喉の方へと一直線に 繋がっている。まるでこいつの腹とへ続く一本道のようだ。 取り乱してはいても、流石にこの道を通っていく気にはならなかった。たとえ腕を取り 返したところで、元通りにくっつく訳じゃない。もう、諦めるしかない。
噛み千切られた右腕をもう一度見る。大部分がすっかり無くなってしまっている。あの 右腕は、やがては完全に溶かされて、あいつの体の一部になってしまう――そう考えると 酷く悲しくなった。こんな最低な奴の所為で、あたしの腕は二度と返ってこないんだ。俯い たまま、あたしはボロボロと涙を零した。
「どうしたの? 泣いてるの?」
オルガが不意に下からあたしの顔を覗いてくる。弱さを見せまいと、あたしは泣き濡れ た顔でキッと睨んだ。当の本人は全く意に介さずに、いかにも心配しているような表情を 見せた。
「傷が痛むんだね、可哀想に。ごめんね」
口ばかりの同情を示すと、オルガはベロンとあたしの右腕を舐めた。
「い゛あ゛あ゛ああああああぁぁぁ!!!」
腕を失ったショックで痛みへの意識が薄れていたのに、今ので完全にぶり返した。
「――でも、そんな“小さな”傷なら唾でも付けとけば治るから、大丈夫だよ」
ニヤニヤと意地悪く笑いながらオルガが言う。その舌先からあたしの腕にかけて、汚い 涎が糸を引いている。 ふざけるなと思った。あたしの体が小さいから、傷自体も小さいだけだ。もしあたしが 普通の大きさだったら、地面に立派な血溜まりが出来るほどの大怪我なんだ。
どうにもならない怒りに震えるあたしをさておいて、オルガは人差し指を口元に当てな がらこう言った。 「ねえ。やっぱりもう一本食べさせてくれない?」
とんでもないオルガの頼みごと。当然あたしは全力で首を横に振る。
「一本だけって言ったじゃんか!」 「流石に一本じゃ足りないんだ。お願いだよ、リン」
そう言いながらオルガはあたしの左足に牙をひっかけた。食べていいだなんて一言も言 ってないのに、既に少しずつ少しずつ、牙の先が食い込んできている。
「まるまる一本じゃ可哀想だから、膝から下だけにしといてあげる」
そんなの全然妥協になってない。阻止するために炎を吐こうとしたけど、口を上下から オルガの指に挟まれた。呆れた表情であたしのことを横目で見る。
「まったく、また火遊びなんかしようとして。もう怒ったよ」
その直後、急に顎に力を入れ始めた。
「ギャアアアアアアア!!! 痛いぃ!! い゛だいよ゛おぉ!!!」
激痛の再来にあたしは体を仰け反らせる。牙が肉の中深くまで牙が入り込んでいる。そ してとうとう骨に触れてミシミシと軋んだ音が聞こえてきた。その音は段々まるで甲高い 悲鳴のようになっていって――
ボリンッ
骨が完全に断たれてしまった。
「ぎゃああああああああああぁぁぁ!!!」
* * *
腕と脚を一本ずつ食べられて、あたしは意識が遠退きそうな痛みに耐えていた。叫びす ぎて涸れた喉から掠れた声を漏らしながら、大袈裟なくらいの呼吸を繰り返す。血が大分 流れ出てしまい、体は酷く衰弱している。
「もういいだろ……ハァ……火傷の……仕返しは……もう……ハァ……充分だろ?」
途切れ途切れにやっと言い終えると、オルガを見上げた。
「そうだね。君のことを飼う気はもうないし、解放してあげてもいいんだけどさ」
オルガは口元に指を添えて、考えるような仕草をする。
「でも、そんな姿でこれから生きていけるの?」 「……どういう……ことだよ」
思わず大声が出る。
「だってさ、腕と脚が一本ずつしかなくて、おまけに――」
言いかけて、あたしの両翼を掴む。そしてそれを思い切り後ろに引っ張った。
ビリッ 「痛っ!」 「――翼まで無くしちゃったら、何にもできないよね」
目の前を破れた翼がはらはらと墜ちていく。あたしはただ呆然とそれを眺めていた。苦労 の末に進化してやっと手に入れた翼だったのに……。
「木の実を採ることも、敵から逃げることもまともにできやしない。そもそもこんなに弱 っちゃってるし。君の命、この先長くはないだろうね」
絶望的な言葉が右から左へ頭の中を通り抜けていく。誰の所為でこうなったんだと文句を 言う気にもなれなかった。
「ここから自由になったって、どうせ何処かで野垂れ死ぬんだ。だったら俺のために死ん でみるのはどう?」 「……それって……あんたに……喰われるって……ことでしょ。最初から……逃がす…… つもりとか……無かったんじゃんか」 「そうだよ。今更気付いたの?」
嘲笑って、オルガはあたしの体を自分の頭の上に持ち上げた。あたしの腕と脚から流れ る血が、オルガの顔に滴り落ちる。口の周りに落ちたものを、オルガは舌で旨そうに舐め 取った。
喰われる。そう感じて全身が震え上がった。オルガが指を離したら最後、あたしはきっと ぐちゃぐちゃに噛み砕かれてしまう。そんなの嫌だ。生き続けることで不自由な思いをす るとしても、死ぬのは怖い。それが生き物としての本能だ。
「オ……ルガァ、お願い……食べないで……」
恐怖に胸が潰れそうになりながら、声を絞り出して頼む。
「それじゃ俺が悪者みたいじゃないか。俺は君のためを思って言ってるんだよ。ただ独り で死んで腐ってくなんて、みっともなくて、不幸な死に様だと思わない?」 「そんなのっ……あんたに……都合のいい……言い分じゃんか。あたしの……幸せを…… 勝手に……決めるな!!」
余りに身勝手な考えに反発すると、オルガは急に真面目腐った表情を作った。
「じゃあ訊くけどさ、君はその姿で幸せに生きられると思うの? 何か希望でもあるの?」
鋭い言葉つきに、何も言えなくなる。確かに今のこの姿が、生きる上でかなり不利にな ることは目に見えている。押し黙ったあたしの様子を見て、ほら見ろと言わんばかりにオ ルガの顔が綻んだ。
「君の気持ちは分かるよ。誰だって死ぬのは怖い。でもさ、長く生きられるかどうかは必 ずしも重要じゃないんだ。どんな風に死ねるかだよ。俺が君のことを食べれば、君は独り ぼっちで死ぬこともなく、腐った体が虫に集られることなく、野蛮なポケモンたちに肉を 貪られることもない。君の死を少しも無駄にはしないよ。余すところなく俺の血肉となっ て生き続けるんだ」
生々しい話をされて吐き気がする、と同時に、激しく腹が立った。
「あんたに……あたしの……気持ちが……分かるの? ……そんな……簡単に……言わな い……でよ」
両親に捨てられた悲しみが、小さな体で食べ物を探し自分の身を守る大変さが、常に心 の何処かにあったいつ死ぬかも知れない恐怖が、こいつに分かるわけがない。捕食する側 のこいつに、弱肉強食の底辺でずっと生きてきたあたしの気持ちが分かってたまるか。
言ってやりたいことは山ほどあったけど、この弱り具合じゃ満足に話はできない。だか ら、短い言葉に精一杯の怒りを込めた。
するとオルガの表情がふっと変わって、持ち上げていたあたしを一旦自分の目線の辺り まで下ろした。少し間を置いて、オルガは神妙な面持ちで口を開く。
「そうだよね。確かに君の言う通りだ。俺とリンじゃあ属性も、体の大きさも、食べるも のも全然違う。それぞれ全く別の生き方をしてきた。俺には分からないような苦労が、君 には沢山あったのかもしれない。だから、俺に君の気持ちなんか分かるはずがないよね」
急な態度の変わり様にあたしは戸惑った。あまりに気味悪すぎて、言いようのない不安 が募る。
「そう、分かるわけがないんだ」
同じことをオルガはまた呟いた。 その途端、あたしの体は強烈に締め付けられた。
ぎゅううううううううううう!!!
「かっ……あぁっ!! ……や……やめ……」 「――だから、君が今どんなに痛くて苦しいかも分かってあげることもできない。ただ愉 しくて仕方がないんだ。ごめんねぇ?」
オルガの狂った笑い声が高らかに響く。瞳孔が開いたその瞳は、今まで見てきたどんな ポケモンよりも恐ろしかった。 オルガは全然力加減をしていないようだった。全身の骨は軋み、はらわたは潰れてしま いそうだ。全力を出してるわけじゃないにせよ、あたしが死んでも構わないというくらい の握り締め方をしている。右腕と左脚の断面からは、おびただしい量の血が絞り出される。 目からは同じように涙が溢れ出た。 手の力が緩められた時には、あたしには頭をもたげる力さえ残っていなかった。がっく りと項垂れたあたしの視界は、大分霞んでいる。血を失いすぎたのがいけないんだろう。 そんなあたしの様子を見て、オルガはフンと鼻を鳴らす。
「随分と弱っちゃったね。あれくらいで情けないなぁ」
そう言ってオルガはあたしの腹を指で弾いた。激痛に、喉の締まった声で呻く。
「もう食べちゃってもいいでしょ、君のこと。こうなっちゃった以上、生き長らえてたって 仕方ないもん。尤も、放っといたって直に死んじゃうだろうし。 リンには今までなかなか愉しませてもらったよ。感謝してる。だからこれからはゆっくりと お休みよ」
あたしの体は再び持ち上がる。今度こそ観念しなきゃいけない。食われずに済む方法な んて最初から在りもしなかったのに、そもそもこんな小さな体に生まれた時点でまともな 死に方ができるとも思っていなかったのに、この瞬間が来るのを長引かせてしまった。さ っさと食われておけば、こんなに痛くて苦しい思いをしなくて済んだのかもしれない。
オルガが口を開く。ずらりと並ぶ鋭い牙の数々。あたしにはまだこの牙に噛み砕かれる 痛みが待っている。それは今までで一番の激痛に違いない。死ぬことが現実味を帯びてく るにつれて、頭の中が恐怖で埋め尽くされていく。
嫌だ。
怖い。
誰か、助けて。
誰か――
「じゃあね」
オルガが指を離す。一瞬全てが止まったような気がした。だけどすぐに抗いようもない 力に下へと引っ張り込まれる。大きく開いたオルガの口がぐんと近づいてきて、あたしの 体がその中に収まろうというところで、口が閉じられた。
ブズゥッ 「う゛ぇ――っええぇっ!!」
上下の牙があたしの腹を貫通して、あたしは目を最大にまで見開いた。喉を逆流した血が 口から垂れる。極太の2本の牙はあたしの心臓を外していて、あたしは奇跡的に死ねなかった。
もう一度オルガが口を開くと、貫通していた牙が抜けて、舌の動きで奥に運ばれる。大 量の涎に出迎えられると、左手首に激痛。叫ぶ間もなく今度は右太股。そして尻尾、腹と いう風にあちこちに牙が突き刺さる。
ぐしゃっ ぐしゃっ ぐぢゅっ くちゃぁっ……
容赦なくあたしの体は噛み砕かれ、切り離されていく。痛い。痛い。でも声が出ない。 いつの間にか喉元も噛み潰されていた。息ができない。苦しい。痛い。苦しい……。 巨大な舌の動きに翻弄されながら、大量の涎に塗れながら、あたしの目は切り離された 体の一部を捉えていた。何度も何度も噛み砕かれて、擂り潰されて、涎と混ざり合いなが ら、ただの肉の塊に変わっていく。オルガが毎日食べていた魚や木の実と、同じ運命を辿 っていく。あたしも所詮その程度の存在なのかと感じて、涙が出た――その直後に、オル ガの牙が頭を貫いた。頭の骨を突き破り、中にあったものがぶちまけられる。
辛うじて命を繋いでいたあたしも、そこで死んだ。
ぐちゃぁっ ぐちゃぁっ にちゃぁっ ねちゃあぁっ……
あたしが死んでもなお、口の中の動きは止まらない。オルガにとっては、あたしが死ん だかどうかなんてどうでもいい話だ。珍しい獲物の肉を充分に味わいながら、呑み込みや すくなるまで噛み砕き続ける。
やがて、口の中の動きが止む。肉の味が無くなったんだろう。あたしはもはや原形を留 めていなかった。何処が腕で、何処が脚で、何処が頭だったのか。その判別すらできない ほどに、ぐちゃぐちゃにされていた。この肉の塊を見せられて、これが元は一匹のリザー ドンだったと分かる奴は多分居ない。
オルガは口内の至る所に散らばったあたし≠舌で掻き集める。その時、牙と牙の隙 間に挟まった肉片と骨片は、取り除かれずに残ってしまった。 舌の上にほぼあたし一匹分の肉の塊が集まると、口内が後ろへと傾き始めた。とうとう 呑み込まれる時が来た。あたしの塊はずるずると舌の上を滑りながら、真っ暗闇へと引き 込まれていく。ゆっくりと真下に送られ、胃の中へと絞り出される。
べちょっ
消化液の中に落ちた。その途端にぷくぷくと小さな泡が立ち始める。これからあたしは 完全に溶かされて、オルガのものになってしまう。せめて、あたしを食ったことでオルガ が腹を壊すようなことがあればいいなと思う。それがあたしの最後の些細な反抗であり、願 いだ。 死んでしまった今となっては、溶かされる痛みや胃の中の激臭を感じることはない。あ る意味それだけが救いだ。辛うじて生きている状態で、こんな所に送り込まれなくて本当 に良かった。
泡の起こりが激しくなってきた。
後にはきっと、何も残らないんだろう。
* * *
外ではオルガが大きなゲップを一つ、足を投げ出して座りながら自分の腹を擦っていた。
「ごちそうさま、美味しかったよ」
優越感に満ちた眼差しを、腹の中のあたしに送る。 ふと脇の方に目をやったオルガは何かを見つけた。二本の指の先で摘まめるほどに小さ いものだ。最初は首を傾げたオルガも、すぐにそれが何なのかに気付いた。それはあたし の左手だった。噛み砕いている最中に、たまたま口の中から転げ落ちたんだろう。
暫くそれを眺めていたオルガは、ニヤリとして自分の腹へと視線を落とす。
「忘れ物だよ、リン」
勝ち誇ったようにそう言うと、あたしの左手を口に放り込んで、呑み込んだ。
そしてゲップ交じりの大欠伸をして、自分の寝床へドスンドスンと歩いて行った。
【END】
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