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SS-捕食と被食願望-
日時: 2008/11/23 00:26
名前: 毛無し

フフフ…起きている?
そう遠くから声が聞こえた。
体を動かす事は出来ずにただ、圧迫される感触が離れない。
ボクは何をしていたのだったか。

目を開けてみればとても暗かった。
もう一度聞くわ…起きているのかしら?
そう声は再び聞こえた。
ボクは一体どうなってしまったのか。
だけど、この声に対して何かしらの反応を見せなくてはと思い…

ボクは必死に体を動かそうと足掻いてみせた
圧迫される何かが執拗に纏わり付いて動くことは出来なかった。
やがてボクは体位を変えてみようと体を捻り一回転してみせる事に成功した。

すると…

どうやら目を覚ましたようね?
フゥ…だけどもう少しだけまってね
動くから口とか閉じておいた方が良いわよ

聞き覚えのある声が再び聞こえた。
ボクはその主が誰か考えようとしたところで…

不意に体が動かされはじめた。
どうやら、さらに奥へ導かれはじめたようだった。


しばらくして…やや広めだが相変わらずに圧迫され続ける空間へ運ばれてしまう
そしてボクは何故こんな事になったのか思い出しはじめる…

*  *  *

確か最初に出会ったあの頃、ボクはまだヒトカゲだった。
ある日、湖に溺れかけたボクを助けてくれたのが…ミロカロス。
水は苦手で暴れるボクを陸へやさしくなだめ、連れ戻してくれたのだ。

「ありがとうございます…あの………」
「どういたしまして。それでなぁに?」
大きい蛇のような体に長い髪。
彼女を見て話せば、ボクと視線の高さを合わせるかのように湖から顔だけを出す姿で返事を返してくれる。

「ゴメンなさい!暴れてひっかいちゃって…」
「そのぐらい大丈夫よ。でも貴方の方が心配だわ。尻尾の火…消えちゃってるみたいね?」
え…とあわてて尻尾を確認するも炎は依然と燃え続けていた

「ウフフ…冗談よ、まあそのぐらいの元気があれば大丈夫ね。今度から気をつけなさいよ?」
「ハイ…気をつけます…」
とは言うものの冗談とは思えなかった故に、ボクは非難の視線を向けてしまったが…
すぐさま思い直し、傷を付けてしまっただろう所を確認するがそこには傷一つ無かった。
くわえて火は消えずともに失った体力の所為でで暫く座り込んでいるのだが…
ボクの傍に居座るミロカロスさんの存在が気になってしまう。
自然と長く感じる時間の中でどうにも視線はミロカロスさんを見てしまうのだ。

「そうよ、どうしたの…?そんなに見つめられても困るわ」
「いえ…失礼かもしれないけど…見惚れてしまいました」
「そう、べつに失礼なんかじゃないわ。貴方に言われてとても…嬉しいわよ?」
ボクより大きく…美しく…
そしてボクを助けてくれた存在。
彼女と話していくうちにボクは彼女へと心惹かれて行った…

「ハイ!なんだか…その。。。触ってみてもいいです…か?」
「構わないわ、だけど…色が付いている鱗の方は触っちゃだめよ?」
「ハイ、分かりました。それじゃ…その……わぁ………」
そしてついつい彼女に触れてみたいなんて口走ってしまったが
当の本人は意に介した様子も無く自然に受け入れてくれたわけで…

「そんなにうれしい?それなら…これなんてどう?ウフフ」
「え…?わぁ!…高いですよ…その……あの。重くないですか?」
「ぜーんぜん重くないわ。ついでだから湖一周してきちゃう?」
なんてボクを乗せたまま湖へなみのりをはじめるものだから困ってしまった。
そのときのボクはただただ…

(落ちないように必死でしがみつくのが精一杯だった。)

*  *  *

あの日から日課のようにボクはミロカロスさんの住む泉へと通うようになっていた。
そしてミロカロスさんからボクは色々な事を学ぶことになった。
色々といっても彼女自身のコトとか。
ポケモンバトルのお相手をしてもらったり。
結果はいつも悲惨なものだったのは言うまでも無いけれど…
そんな事の繰り返しでボクはリザードへ進化していた訳だ。

そしてボクは…交流をかさねるうちに親しい間柄になっている事が実感できていた。
ミロカロスさんのボクを見る目は変わっているし、ボク自身もヒトカゲだった頃とは大分変わったと思う。
それに、今のボクも十分に強くなっている。さらなる進化をするのも間近。そう実感しているのだ。


そして…そんな事をいつものように話をしていたこの日…
「なら…進化する前に私の頼みを聞いてくれる?」
「なんですか?ミロカロスさん…?」
いつもどおりの穏やかな声で。
しかしいつもとは違う…何かがあった。

「貴方を……一度…」
「…?」
不意に頬を一舐めされる。
彼女は困ったことがあるとボクの体を一舐めする癖があったし悪い気もしていなかったが。

「食べてみたかったのよ」
「えっ…?」
頭の中が真っ白になったと同時にボクの体の自由は奪われた。
ミロカロスさんにまきつかれたと理解するのにはそう時間は掛からなかった。
が…しかし拘束はさほどにもきつくなく今に思えば逃げようとすればすぐにでも逃げられたかもしれなかった。

「いったい…何を?」
「聞こえなかった?貴方を食べてみたかったの。だから今ここでね…ウフフ」
理解が出来なかった。
この後ボクがどうなるのか。
なんでミロカロスさんがボクを食べたがるのか。本気なのか冗談なのか…
そんな事を考えている間もなく…
ボクの返答も待たず、ミロカロスさんはボクを持ち上げたかと思えば足元から口の中へ収め始めていた


ずるり…ずるり……
ぐちゅ。ぐちゅ。。。


「ミロカロス…さん?」
返事は無い。当然だ。口がふさがれている彼女にはしゃべる事は出来ないのだから。
そうこうしている間にボクの体はどんどん奥へ…
ミロカロスさんの中へと…実感は無い…彼女が本気であり。ボクが今食べられている事ですらも…。
ただ。両腕の自由が利くボクをこうして残しておくという事は自由に抵抗をして良いという事なのだろう…
痛みも無く…丸呑みにされるていく。
ミロカロスさんの舌がボクの足を尻尾を…下半身を……そして胸までも………どんどん中へと導かれていく。
そして無意識のうちに抵抗を示していた両腕がボクを飲み込もうとしている口の端へと引っかかる。
依然と彼女の舌はせわしなく動き回りボクへ快楽を味あわせてくれていたが…
これ以上ボクを飲み込もうとする行為を中断しているのが分かった…

ここから先はボクの意志を示して欲しいのだろうか…
少し考えた後…

ボクは引っかかっていた腕を口の中へとゆっくりと収めていく…
この後どんな結果になろうか分かっていながらもあえてその選択肢を選んでしまう。
間違っている事は分かっていた…しかし呑まれてみたい…このまま快楽の虜になりたい…

じゅる…ジュルリ

ボクの意を汲んだのかゆっくりとボクの体はミロカロスさんの奥へ導かれていく。
ゆっくりと…なんの抵抗もなくボクはされるがままに舐められ奥へ…奥へ。
舌がボクの顔を一舐めにした…今更だが彼女のこの舐め方はボクに対する何か癖みたいなものなのだろう。
視界が一転する。ああ…完全に呑みこまれるんだな。
空が見えた。ボクの体は滑り落ちるように速度を増して堕ちていく…
外の世界が狭まり淡いピンク色の口内が閉じられて…

やがて視界がまっくらになる。
そしてミロカロスさんの口が閉じられたと理解したときボクの意識も闇の中へと迷い込んでしまった。

  *  *  *

何故だろう…何故ボクは抵抗をしなかったのだろう。
ボクはまだ…死にたくない…
死にたくない…のに。このままここで眠っていたい…
これはこれで…どうでも良くなってきたり…と無気力にもなってくる…
ボクは…どうしてしまったんだろうか。

そういえば…あの声は。
(ミロカロスさんの声だった。)

彼女はボクに話しかけていたんだ。
なんとか。彼女に話しかける事は出来ないものか。

ボクは必死に体を反転させ、仰向けの状態となることが出来た。
多分。ボクは胃袋のなかへ居る…
依然と圧迫感は続くものの多少楽に動けるようだ。
だけど…とても声なんて出せる状況ではない。
なにせ、狭くて息苦しくて…考えてみれば匂いもそんなに無いのは意外だったかもしれない。

そして、少々迷ったが尻尾も引き寄せ明かりを得ることにも成功した。
多少力を入れればある程度の空間を空ける事も出来ることも分かったから…

(ミロカロスさんの体の中…とっても暖かい。)
明かりを得ても見えるは肉壁だけであったが。
不思議と恐怖は無かった。
ぼんやりとでも明かりを手に入れる事ができた所為だろう。
このままボクはどうなってしまうのだろうか。
相当に時間が経ったような気がするが依然と状況は変わらない…
とても長く…永遠とこの時が過ぎていきそうな錯覚を覚えてしまう。

少し寂しくなってきた。
あれ以来ミロカロスさんの反応もない…
大分落ち着いてしまい、少しだけ安心感が生まれていた所為か、イタズラ心も芽生えてきた。

お腹を押し広げてみる。
1回…2回…
力がまるで入らない。

慣れないが今度は動かせる箇所を総動員してさらに
もう1回。さらに2回…3回…

今度は足で思いっきり!
なんてやっていたら押し返される肉壁に逆に押し戻される羽目になりヒドイ目にあった。

そんな行為を何回試した事だろう…
多少動くもののどうにも動じている気配が無い…
次に試すは…戻ることはできないのだろうか…とか。
短絡的に入ってきただろう方向へと移動を試みるものの。
入り口は塞がれているかのように進めない…
何度も何度も試みるがやはり無駄のようだ。

このままここに居ればボクはもう…
意外にあっさりすぎる絶望感に疲労感と相まりこのまま再び眠りについてしまいそうになる。

そんなまともに働かない意識の中でふと明かりの中
自分の爪に視線が向いた。
とても静かに…ただ一つ自分の爪だけを見据えて自然と集中力が高まっていく
もしかして…今ボクは…ミロカロスさんは…
湖の中に……そして眠ってしまっているんじゃないか?
そう考えるともう…あれから時間も結構経っているだろうから
そろそろ…胃液が溢れ出してボクは消化されて終わり…なのだろう。

もう…猶予はならない。
自分から呑まれておいてなんだけれど、どうにかして出して貰わないと!
そしてボクはなりふり構わずに爪を………

おっと…やっぱり無理だった。
身動きをとることもままならないこの状況で何をしろと。
……しかしどうにか爪を肉壁へ押し当てることには成功した。
ひっかき…突いて……効果は無いようだ。

もうどうにでもなれ…ボクは全力で爪を押し当てた。
ぐちゅ…と体液が飛び散る音に、勢いもそんなになくボクの爪は返された…

………それがきっかけだったのか
体液が溢れ出し、あっさりと全身を包み込んでしまう感覚を覚えた…
咄嗟に口は閉じたものの…こんな行為に意味は無い事などすぐに分かった。

あぁ…ミロカロスさん。。。
ボクの気持ちが分かるなら出してください!
ボクはまだアナタと………


こんな……あ…………あ……………やめ…………………
その……激しく揺すっ…………て、あれ?


ぐるぅ……ぐちゅ…………ずるり…ずるり……


上っているのか下っているのか。自分が移動しているというコトだけが分かった。
そして、視界が急に明るくなり…考えるまもなく……理解する間もなく。
バシャーン!と音が遠くに聞こえた。
あぁ…前にもこんなような事があったような…
確か、ヒトカゲの頃にも…こんな。
だからボクは…あんなに落ち着いていられたのかもしれない…
もう…全てを思い出した。
こうやって食べられたのは2度目だったんだ。

 *  *  *

その後…変わることなくやっぱりボクはミロカロスさんのもとへかよっていた。
彼女の方も悪びれた様子もなく
挙句に「また食べさせてね!」とか。

実際ボクもまたやってもらいたかったんだけど…
「今度はもう出してあげないわ!」

なんて言われるものだから食べられる訳にもいかず。
油断をすればまた口に咥えこまれるのだから困ったもの
しかし…ボクはその行為を否定しきる事が出来ない。

もう既にボクは彼女の虜となっているのだろう。
進化さえしてしまえばもう食べられる事もなくなるのだが。
逆に進化をしてしまえばもう彼女に食べられる事も出来なくなってしまう。
その思いが進化を抑制してしまっている…
ボクはもうこれ以上の進化を望むことをやめてしまっているのだ。

近いうちにボクはまた…彼女のお腹の中へ収まることになりそうだけれど…
だけど思いは煮え切らない。
きっとまたボクは呑みこまれた所で外へ出る事を望むだろう。
そしてもう次は無いのかもしれない。

ボクは進化をするべきなのだろうか。
それともこのまま……

答えは出ない。
そしてボクは今日もミロカロスさんの居る泉へと通う。
もしかして、ボクはいつ死を得られるかなんて…そういう類の緊張感を楽しんでいるのだろうか?

ならば…ボクは。
「ミロカロスさん…ボクのことを………」


もうこの後はどうなろうと…ボクはそれを望んでいるのなら…





短いですがこの辺で。
自己投影したSSなんで変な所が多いかもしれません。

しかしまぁ、こんな感じに書き手増えてくれないかなぁ。
なんて思っているけれどやっぱり早々来ないもんですね。
メンテ

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Re: SS-捕食と被食願望- ( No.1 )
日時: 2008/11/24 02:14
名前: 名無し

乙です!
食べられる側の心理や描写が細かくて、
被食者的に萌えますなw
メンテ
Re: SS-捕食と被食願望- ( No.2 )
日時: 2008/11/25 11:30
名前: 名無しのゴンベエ

いいなぁ…GJ!!
メンテ
Re: SS-捕食と被食願望- ( No.3 )
日時: 2008/11/25 17:43
名前: 名無しのゴンベエ

ひつれいですがあなたは神でしょうか
メンテ
Re: SS-捕食と被食願望- ( No.4 )
日時: 2008/11/25 19:12
名前: 毛無し

お褒めにあずかり光栄ですわ
みんなまとめて食べてあげたい!
だけど、私は神ではなくてただの毛無しでした。
ネタが沸けばそのうちまた…かもしれない
メンテ
バレンシアガ コピー ( No.5 )
日時: 2019/05/15 00:26
名前: バレンシアガ コピー  <gpkqhtm@softbank.jp>

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