SS ししょーの過去 |
- 日時： 2009/06/11 23:15
- 名前： 火星をみるひと◆nNcbLkIOSsE
- 最近はポケダン空にハマっています
ポケモンが喋る世界観はとても魅力的ですね
二次創作でもよくありますが、やはり公式であるゲームでは新鮮に感じます
ししょーの過去が気になったので想像して捕食SSにしてみました
短いのであっさりして味気ないかも知れません
*ネタバレ注意
俺の名はアーマルド。
元探検家だがある事情で暗黒の森の洞穴に暮らしている。
ある日ププリンが転がり込んで来て、あっさりと俺が今まで解けなかった宝の地図の秘密を解きやがった。
ププリンに探検家としての才能を感じた俺は、探検家に戻りププリンの"ししょー"になったんだ。
「今度の探検は長丁場だ。
食料はできるだけ多い方がいい。
なにしろ……」
話の途中で腹の音が遮った。
「アハハ♪今お腹空いちゃった」
「しょうがないな。一個だけだぞ」
バッグから一際大きなリンゴを取り出すとププリンに放り投げる。
「わーい♪セカイイチー♪」
ププリンはセカイイチという品種のリンゴを特に気に入っている様だ。
頭でそれを受け止めると器用に廻し始める。
セカイイチに夢中でちゃんと聞いているかは分からないが、とりあえず話を戻す。
「探検で一番怖いのは、空腹で倒れることだからな」
そう、俺は探検中の空腹で……
あれは俺が探検家を引退する前だった。
その頃はニドリーノという相棒がいて、コンビを組んで探検していた。
ある日、不運にも浅い階でベトベトスイッチを踏み手持ちの食料を腐らせてしまった。
探し回っても食料は見つからず、ダンジョンの終わりも一向に見えない。
そして空腹は極限に達し、一歩も歩けなくなってしまった。
もうここまでか……と諦めかけているとニドリーノは信じ難い提案をしてきた。
「このままじゃ共倒れだ。
いっそ、俺を食ってでも生き延びてくれ、アーマルド」
「そんなこと、できるはずがないだろう！
お前は大切な相棒なんだぞ！」
「へへっ、俺はお前を食ってでも生き延びたいと思ったがね
だがお前は固くてとても食えたもんじゃねえ
けど俺の肉はきっと柔らかくて美味いだろうぜ」
ニドリーノは強がりを言う。
本当は自分を食べさせるなんて恐ろしいことだろうに。
それでも俺の為に……
俺は悩んだ。しかし、じっくりと考えている余裕も無かった。
「……分かった。お前の命、無駄にしない」
そして決心した。相棒の想いを無碍にするわけにはいかない。
だがそれだけではない。認めたくはないが、"柔らかくて美味い"という言葉にも引かれていた。
「いただきます」
この言葉をこれほど重く感じた日は無い。
自分に身を捧げてくれた食物への感謝の言葉。
俺はニドリーノの両足を掴み、口へ持っていく。
そして口を大きく開けるが、それでも入りきらず無理にでも拡げる。
せめて苦しまないように丸呑みに。
ゆっくりとニドリーノの体を引きずり込む。
舌が当たり、味覚がニドリーノの味を感じ取った時、不覚にも美味いという感情が湧き上がった。
俺はそれを必死に打ち消そうとする。
俺を生かす為に自分の体を捧げた相棒を味わうなんて最低の行いだ。
だが理性が否定しても、極限状態の体と本能はそれを許してはくれない。
ニドリーノをズルズルと口に収めていき、あとは頭を残すだけだった。
俺の体は止まらず、そのまま頭も呑もうとしたその時、
「アーマルド……」
ニドリーノは喋りだし、俺の動きは止まった。
「お前は他の奴と組んでも上手くやってけるだろうからさ。
だからさ、世界を探検してくれ……俺の代わりに」
言い終わるとニドリーノは全てを受け入れるようにゆっくりと目を閉じた。
ゴクン
大きな膨らみが喉を通る。
その心地よさに俺はまた嫌悪感を覚えた。
膨らみが腹に辿り着くと、待っていたと歓喜の声の如く消化音が響く。
俺は動かない膨らんだ腹を抱き締めながら涙をこぼした。
その後、ダンジョンを脱出した俺は罪悪感からニドリーノの家族に経緯を話したが許される筈も無く、
共食いポケモンとしてお尋ね者の身になった。
「ししょー、どうしたの？」
何時の間にかププリンはセカイイチを食べ終えたようだ。
「ああ、何でもない。それよりちゃんと話を聞いていたか？」
「うん！」
こう見えても飲み込みが早く、メキメキと成長している。
俺達のような過ちを犯すこともないだろう。
「よし。じゃあ出発だ！」
ププリン、お前と出会ったおかげでニドリーノとの約束を果たせそうだ。
そしてお前を一人前の探検家に育ててやる。
お尋ね者としての罪を償う日がいつか来るだろうが、それまでには……
END
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Re: SS ししょーの過去