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SS 闇の旋風
日時: 2009/03/21 22:19
名前: 火星をみるひと

初めて書いたSSなんで見苦しい箇所が多いかもしれません
それに捕食描写が難しくてお粗末な表現になってしまいましたが、少しでも楽しんでいただければ幸いです
BADENDもあります





――かつてオーレ地方に悪の組織シャドーが現れた。
ダークポケモンと呼ばれる凶暴化させたポケモンを使い世界征服を企んでいたのだ。
その野望はある青年により打ち砕かれた。
彼はスナッチマシンというトレーナーのポケモンを奪う禁断の機械を用いシャドーからダークポケモンを奪い、通常のポケモンに戻して(リライブ)回り、最終的に首領を倒したのである。
オーレは平穏を取り戻したかに思えたが、数年後にシャドーは復活。真の黒幕が存在していた。
少年リュウトはスナッチマシンを託され、かつての青年と同様にダークポケモンをリライブしシャドーを倒す旅に出たのだ――
そしてついにシャドーの本拠地であるニケルダーク島に乗り込み、総帥のいる部屋まで辿り着いた。
総帥デスゴルドは上階に逃げ込んだ。誘っているのだろう。
まだ何かを隠し持っているに違いない。
リュウトは覚悟を決め円盤型のエレベーターに乗った。

到着した先はドーム状の広い空間、浮遊する椅子に腰を下ろしたデスゴルドが待ち構えていた。
「ほっほっほ。ついにここまで来てしまいましたか。
 あなたのような子供にここまで追い詰められるとは思いもよりませんでしたよ」
 笑みを崩さす余裕の表情……やはり何かがある。
「しかしわたしのダークポケモン計画は 終わってはいない。
 今から最終章に入るのです。
 ここまで来たあなたにはわたしの計画がどんなものなのかお教えしましょう。
 まずはリライブのできない永遠なるダークポケモンの創造!
 これが第一ですな。
 さらにはトレーナーなしにわたしの命令のみで独自に行動するダークポケモン部隊を作ること!
 このふたつがかなえばわずらわしい人間などひとりも使わず世界征服ができるというものです」
 冥土の土産と言わんばかりに自分の野望を嬉々として敵であるリュウトに話す。
「さて……」
 デスゴルドの背後の巨大な多数の凹凸を組んだシャッターが開かれ、そこから灰色の空が見えた
「それでは究極のダークポケモン部隊の中心となるわがしもべを紹介しましょう。
 いでよ!XD001!!」
 バサバサと巨大な羽音が近づくと大きなポケモンがドームに侵入してきた。
「これぞ最終調整の終わったコードネーム XD001ことダーク・ルギア!」
 
ルギアは海の神と呼ばれる幻のポケモンで、本来の体色は白と腹の部分が青である。
ダークポケモンは凶暴でこそあれ外見は普通のポケモンと変わらない筈だ。
だがダーク・ルギアの体色は紫色で真紅の瞳は狂暴な目つきをしていて、腹部の白色だけが本来の体色を思い出させてくれる。
リュウトのスナッチマシンと連動しモニターがスライドする。ダークポケモンを判別するためのシステムだ。
ダークポケモンは邪悪なオーラを放つ。それによって判別するのだが、ダーク・ルギアのオーラは禍々しく強大であった。邪神と形容出来る程に。
「このルギアこそリライブできぬダークポケモンの第一号となるのです」
 通常のダークポケモンとは明らかに異なるダーク・ルギアはデスゴルドの言葉を信用させるには十分だった。
「さあ!ダークポケモン計画成功の前祝にルギアのえじきとなりなさい!!」
 リュウトは二匹のポケモンを呼び出す。グラエナとデンリュウ。
エスパー・飛行タイプのルギアには相性が良い。
まずグラエナが飛び出し噛み付く。更に10万ボルトをデンリュウが浴びせる。
連続の弱点攻撃……大抵のポケモンはこれに耐えられないはずだ。
スナッチ(強奪)は野生のポケモンを捕獲するのと変わりはない。倒さず弱らせなければならない。
しかし相手は伝説のルギア、更にダーク化されてパワーアップまでしている。手加減は出来ない、全力で攻撃した。
だがダーク・ルギアはピンピンしている。
リュウトは驚愕した。
「そんなに驚かなくともいいですよ。ダメージはちゃんと受けていますから
 ただ、痛みを感じていないだけです」
ダークルギアは足に食い付いたグラエナを掴んで引き離すと、そのまま口元へ運ぶ。
「いくら戦闘マシンとして完成しても元はポケモン……腹も空かしますな。
 良いでしょう、そのまま喰らってしまいなさい」
 本能からか命令からかダークルギアはグラエナを口に放り込むと……

 ゴクリッ

 そのまま呑み下してしまう。
喉が大きく膨らみ、グラエナが抵抗している。感情を廃されている筈のダークルギアの顔が心做しか嬉しそうに見えた。
膨らみが腹へ収まるとダークルギアは電撃を浴びせられ続けても動じずにデンリュウを掴み、また口へ放り込む。
今度はじっくりと味わっている。まるで飴玉を舐めている様に大きな塊が口で縦横に動く。
そして塊が喉へ転がり、ダークルギアの長い首を流れて行く。
二匹の獲物が入ったことで腹は大きく膨らむ。ダークルギアはそれを一撫ですると大きくゲップを出した。

リュウトは再び二匹のポケモンを繰り出す。
相棒であるイーブイから進化したシャワーズと、初めてスナッチしたヒメグマから進化したリングマ。
タイプ相性で有利ではないが冒険の始めから苦楽を共にした二匹だ、こんな状況を打開するための精神的な支えとなってくれる。
リュウトは意気込み、二匹の得意技を出そうとしたが先手を打たれるた。
ダークルギアは大きく息を吸い込み、口から黒い竜巻を放射する。
それは二匹を直撃し、瀕死とはいかずとも大きなダメージを負わせてしまう。
ルギアの専用技エアロブラストと似ていたが、恐らくはそれのダーク技だろう。
ダーク技は普通のポケモンには全て効果抜群の凶悪な技だ。同じダークポケモンだけが効果を半減出来る。
立ち直る間も無くダークルギアはそれぞれの手で二匹を鷲掴みにすると口元に運ぶ。前の二匹を平らげても足りない様だ。
まず右手のリングマを口に収め、ゴクリと呑み込むと続けざまにシャワーズを収まる。
尻尾がはみ出すがルギアは気にも留めずにゴクリと喉を鳴らすとズルルと尻尾も引っ張られていった。
喉で二つの膨らみが組み合わさり一つの大きな塊となり揺れながら落ちていき、胃まで到達するとさらに腹を膨らませた。
 
もう後が無い。
いけっ!ボーマンダ!
残るポケモンは一匹だけ。……こいつに賭けるしかない。
ダークルギアは再びあのダーク技を放ったが、ボーマンダは踏ん張り耐え抜く。
捕まえたばかりでリライブしていないのが逆に幸いだった。
ダークルギアが息を切らして攻撃が止み、好機が来る。すかさずリュウトはボーマンダを突進させる。
勢いよくぼってりした腹を押し込み、凹ませる。中のポケモン達にも衝撃が伝わるだろうが吐き出させるにはこの方法しかない。
ダークルギアはよろけ、吐き戻しかけるが堪えて体勢を立て直す。
リュウトは一旦ボーマンダを引かせ、再び突進させるが、ダークルギアは両手でそれをどっしりと押さえ込んだ。
頭を下げ、口を広く拡げ、ボーマンダの頭を咥え込む。
ズルズルと引き込み、ダークルギアの首がおよそ二倍に広がってゆく。
尻尾まで呑み終わると頭を上げ、重力に任せ落とし込み、ゆっくりとボーマンダは落ちる。
ボーマンダは暴れるが、流れに逆らうことは出来なかった。
とうとう胃袋まで達するとはちきれんばかりに腹は膨らんだ。体積は本体より大きいだろう。
まだ暴れているのかぐにゃっと大きく歪む。
 
 ダークルギアはリュウトを掴んで持ち上げ、口を大きく開ける。
手を離されたらそのまま口に収められてしまうだろう。
もうここまでかと諦めかけたその時、クレイン所長からある物を託されたのを思い出す。
マスターボール……どんなポケモンも必ずゲット出来る究極のボール。だがこのボールでさえダークルギアに効果があるのかは未知数だ。
でも悩んでいる暇は無かった。
「ほっほっほ。ここまで、ですね。
 せめて苦しまずに……ん!?」
リュウトは最後の希望、マスターボールを投げた。
光る巨大な手がダークルギアを包み込み、ボールに収める。
地面に落下したリュウトとデスゴルドは固唾を呑んで揺れ動くボールを見つめる。
ピコーン、ピコーン……カチッ!
「ルギアーー!!!」
デスゴルドの絶叫がこだまする。スナッチに成功したのだ。
すぐにボールからダークルギアを出す。すぐに吐き出させなければならない。
リュウトが命じるとダークルギアは素直に従った。
膨らみが喉を競り上がり、グラエナ、シャワーズ、デンリュウ、リングマ、そしてボーマンダと小さい順に吐き出した。
幸い、早く吐き出させたことで消化は免れている。
これでひとまず安心だ。リライブについては後でゆっくりと考えることにし、ひとまずボールに戻す。
残る敵は……
「おのれ、小僧めが!!
我がしもべダーク・ルギアをスナッチしたのか!!
かくなる上は自らの手でお前のポケモンどもを葬り去ってくれる!」
デスゴルドは椅子から勢い良く飛び降り、モンスターボールを取り出す。
ポケモン達はさっきの戦いのダメージを受けている……だが昨日の敵は今日の友、あのダークルギアが味方になった。
敵としてはかなりやっかいだったが、味方にしてこれほど頼もしいのもいないだろう。
リュウトはダークルギアの収まったマスターボールを構える。
いよいよ最終決戦だ!

END




メンテ

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BADEND ( No.1 )
日時: 2009/03/21 22:22
名前: 火星をみるひと

ピコーン、ピコーン……バシュッ!
ダークルギアは開放され、マスターボールは弾かれた。
信じられない、あのマスターボールさえ通じないなんて……
デスゴルドが不敵に微笑む。
「所詮人間が作った物、絶対などありません。限界があるんですよ。
 伝説のルギアの潜在能力を全て開放させればそんな物は通じません。
 ただ、こちらもそのためにリミッターを外してしまいましたが」
 ダークルギアは見境なく暴れ始めた。
地面や壁を崩し、ドームは崩壊してゆく。
「こうなれば私でもどうすることは出来ません。
 力尽きるまで暴れ続けるでしょう。代わりはまた作れますから。
 ここは退かせてもらいましょうかね」
 浮遊イスで外に逃れようとするデスゴルドを、ダークルギアは掴む。
眼前の鋭い瞳で睨み付けられ、デスゴルドは竦んだ。
「ひっ!やめろ、ルギア!やめろおおおぉぉ」
大きく口を開け、ダークルギアはバクっとイスごと咥えこんだ。
しばらく口の中で転がした後、イスだけを吐き出した。イスはカラコロと地面を転がる。
そしてダークルギアはデスゴルドを呑み下す。
膨らみが喉を通り抜け胃へ達し、ダークルギアは小さくゲップした。
次にお前の番だ……と言わんばかりにリュウトを睨み付ける。
さすがのリュウトも身震いした。自分も同じように食われてしまうだろう……その恐怖は幾多の困難を潜り抜けたリュウトにも耐えがたかった。
ダークルギアはリュウトを掴む。
必死に抵抗するが抜け出すことは叶わない。
先ほどより動かない大きく出っ張った腹を間近に見て、喰われたポケモンの心配をしたが、
口を開けたダークルギアの顔の前まで運ばれると他を気遣う余裕は吹き飛ばされた。
ダークルギアは舌をベロりと伸ばすとリュウトの体を絡めとり、口の中まで運んだ。
口内は湿気が充満し、舌で弄ばれることで体中に唾液が付着する。
脱出を試みるが、蠢く舌に足を取られうまく動くことが出来ない。
そして喉の奥までリュウトは追いやられる……

ゴクン

希望が潰えたことを知らせる鐘でもある嚥下音が鳴った。

END
メンテ
Re: SS 闇の旋風 ( No.2 )
日時: 2009/03/23 01:55
名前: 名無しのゴンベエ

とっても読みやすい小説ですね、GJですw
何より再現が丁寧でもあり、自分の作ったダークポケモンに食べられちゃうってシチュも素敵でしたw
メンテ
Re: SS 闇の旋風 ( No.3 )
日時: 2009/03/25 02:21
名前: 火星をみるひと

お褒めくださりありがとうございます
悪役が自分の作った物に滅ぼされてしまうというのはよくありますからねw
メンテ

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