Re: 『運命』の記憶 ( No.1 ) |
- 日時: 2011/05/15 14:28
- 名前: ロンギヌス
- 強化ガラスの水槽の中に収められた、一匹の黒き竜・・
体のあちこちにチューブを取り付けられ、 今はスースーと可愛らしい寝息を立てている。 毎日24時間、ずっとこの培養タンクに沈め られている彼には、まだ意識も欲望も存在していなかった・・
彼の名は、人工竜・バビロン。
ーーーーー
「今まで二人も刺客を送ったというのに…未だ目標は確保できず…か」
「ムゲン竜・レムリア。彼女が生命工学にもたらす影響は計り知れん…」
「いっそポケモンリーグごと買収、強制に解体させてはどうかね?」
「そんな大事にはしたくない…マスコミがうるさいからな」
去年…ロンギヌス邸に侵入した組織、貴重生物管理部。 それを裏で支配していたのは、彼らバイオリッ ク社の幹部らだった。生命工学の最先端を行く、 世界トップクラスの会社…いや、もはや財閥と言ってもおかしくない。
そんな栄光に輝き続けるバイオリック社の目標・・それが リーグを住処としている、ムゲン竜レムリアなのだった。
「ところで…バビロンの培養はどうなっている? もう完成したのだろう?」
「バビロン一号も二号も…全ての試験体は死んでしまった…三号機は大丈夫なのだろうな?」
「育成システムは最新のものを使用しています…今のところ問題はありません」
バイオリック社の地下で培養している人工の竜・・バビロンは、彼らの切り札だった。 まだ幹部になったばかりの社員が、そっと手を挙げる。
「あ、あの…バビロンはいったいどう使う気です?」
聞くのは愚かだとでも言うように、他の幹部らはクックッと笑いだした。
「決まっているだろう…? 目標『レムリア』の確保。そしてチャンピオンが隠し持ってる....T4メモリの設計図だよ」
「左様、我が社はガイアメモリに関しては著しく無知だ」
「だからこそ入手するのだ…例え、部下300人に代えてでも…」
企業として上を目指すあまり、とうとう犯罪にまで手を染めようと しているバイオリック社。その真実を目の当たりにした新入幹部は、ゴクッと生唾を呑んだ。
====== この物語は新SS投稿所に書いたのを持ってくる形になりますので…あっちを見た方が早いかもしれませんw
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Re: 『運命』の記憶 ( No.2 ) |
- 日時: 2011/05/16 07:09
- 名前: ネイム
- あるゲームの製薬会社「傘」社みたいな展開ですね。
あれ?レムリア様って、オリジナルキャラですか?
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Re: 『運命』の記憶 ( No.3 ) |
- 日時: 2011/05/16 21:48
- 名前: ロンギヌス
- あっ、知ってますそのゲーム!
(中3の頃やってた気がするw
レムリアは完全なるオリキャラですよ〜。 (『ムゲン竜』であり『夢竜』ですw
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Re: 『運命』の記憶 ( No.4 ) |
- 日時: 2011/05/20 22:48
- 名前: ロンギヌス
- バイオリック社から千キロ離れた…ポケモンリーグにて
(オススメBGM:ミサトさんがビール飲んでるときのアレw ========
「はーっ…..日曜日の昼過ぎほど暇なときって無いよな」
「ハハ…いつも音楽聴いてるくせに♪ 勉強しなくていーの?」
「マスターの辞書に『勉強』なんて言葉、ハイレベルすぎてありませんよ…」
カイオーガ、ラティオス、レムリアに囲まれ、だらだらと 無駄な時間を過ごすロンギヌス。聞き飽きたのかiPodも放 り投げ、コンビニで購入したおにぎりを貪っていた。レム リアがイライラを募らせ、普段より数段怖いトーンで口を開く。
「チャンピオンの仕事もせず勉強もせず….最悪ね…」
「し、失敬な!!月に四回しかない貴重な日曜日、それをエンジョイして何が悪い!?」
「別に悪くないと思うよ? ねーっ♪」
「…ね、ねー…」
ロンギヌスのぷっちょを口に放りながら、カイオーガが 助け舟を出した。当然、ロンギヌスがそれで釣っただけなのだが。
「僕はレムリアさんに賛成ですけどね….確かにだらけ過ぎです。」
「ふーん…マスター知ってる? ラティってレムリアのこと大好きなんだよ♪」
「にっ…兄さん!!!」
兄弟のプライドを賭けた鬼ごっこ。 顔を真っ赤にして兄を追うラティオスを横目に、 レムリアは可笑しそうに口を押さえていた。
「まあ頑張ってるとは言えないよな…..よし! マクドでも行くか!」
「…..そう」
「ごめんなさい調子に乗り過ぎましたすいません見捨てないでください。」
ロンギヌスは土下座でゴンゴンと床に頭を叩 きつける。レムリアに捨てられるという事は、 ここの唯一の家事係が失われる事を意味するのだ。 炊事、洗濯、掃除、…某チャンピオンよりも彼女は忙しい。
「だったらメモリの整理ぐらいしてなさい!! 散らかるから大変なのよ? あれ」
レムリアの白い指が指し示すもの… それは見事にカーペットの上にひっくり返された、 大切な(はずの)メモリトランクだった。ロンギ ヌスはダッシュでそこに向かい、言われた通り整理を開始する。
「えーっと…あ、そう言えば検査してたからお前らのメモリも預かってたっけ….おーい返すぞ!!
まずは1つ目…黄色いメモリを漁り出し、スイッチを押してみる。
キチッ・・『LUNA(幻想)!!』
「『幻想』の記憶か…これレムリアだよな?」
「….そうよ」
レムリアはむすっとした態度で、放り投げられたルナ メモリを受け取る。まだ気を許してくれないか…と 後悔まじりにため息をつき、ロンギヌスは2本目を手に取った。
キチッ・・『ETERNAL(永遠)』
「『永遠』….あいつともずっといられる訳じゃないんだよな…」
まだ弟から逃げ続けているカイオーガを見て、柄にも なくひっそりと呟く。昔あの島で手渡したこのメモリが、 未だに二人を結ぶ橋となっている事に小さく感動した。 もちろんこれを使ったところで…別れはいつか来るのだろうが…
「マスター、それパス!」
「何がパスだよあんにゃろ…」
ロンギヌスは頭を振って気を直すと、目が合ったカイオ ーガにそれを投げつけた。大きなヒレで器用にキャッチ すると、再び部屋の中を走り回る。
「さてさてラティオスのは…これか」
キチッ…『SKYPIA(大空)!!』
残る彼のメモリは、水色と白のマーブルという、何とも 異色な物だった。ロンギヌスはしっかりと狙いを付け、 冗談で馬鹿に振りかぶって投げてみた。 後で…またしても後悔するとは知らずに…
ビュッ…ゴチン!!
「いたいっ!!……僕に恨みでもありますか? マスター…」
「(し、しまったぁー…!)」
スカイピアメモリは直線を描いてラティオスの後頭部を襲っ た。カイオーガに挑発され、地味に痛い攻撃を受け、流石に 冷静な彼も怒り浸透だった。ただ口調はいつも通りなのが、 返ってロンギヌスの恐怖を煽る。
「兄さんへの報復は後回しですね…先にマスターから削除しますか…♪」
「ちょ…え、そ、それはダメ!! それだけは!!」
やっぱり土下座で床に頭を擦りつけるロンギヌス。それを頭に 『怒』マークをつけて笑うラティオスの手には、あの底無し の黒い空間が浮かんでいた。
相手を異次元世界へ落とし、ゴミのように消滅させてしまう・・ なぜここで最強技を持ち出すのかロンギヌスは理解しかねたが、 恐らくそれだけキレちゃったのだろう・・
「やめっ…カ、カイオーガHelp me!!」
「ぼく英語わかんなーい♪」
「嘘つけゴラ! じゃあ助けてくれよ早く!!」
「え〜……ぷっちょ全部くれる?」
「その『全部』をさっきお前が食い尽くしたんだろがぁああ!!!」
「んじゃヤダ♪」
くだらない漫才を繰りひろげている間にも、青い悪魔(弟Ver.)は 主人を壁際まで追い詰めていた。ペロッと舌なめずりし、 手の暗黒空間を開放させる。
「ではではマスター…死後の世界でまたいつか…♪」
「だっ…ダメダメダメダメダメダメ!!まだ早いって」
無条件に床にぽっかり穴が開き、動けないロンギヌスを引き ずり込んでいく。ラジカセもびっくりの悲鳴は無駄に終わり、 10秒もせずに肩がずっぽりと埋まる。あと頭を引き込まれれば…
「ごめんなさい天才ラティオス様許してくださいずっと崇めますからどうかお願いしますっ…!!」
「すいませんでしたねぇ、こんな気持ちの悪いドラゴンタイプ気取りを飼って頂いて…お礼にすぐ終わらせますからご安心ください?」
「ら、らべぇぇええええ!!!」
ーーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーーーーーーーー
「という脅かしは、やっぱり怖いですか?」
全てが闇に飲まれる寸前で、ロンギヌスの髪の毛一本を掴み、 グイッと体ごと引き上げるラティオス。無様にも痙攣してい る主人に顔を突きつけ、ニヤッと調教師のような顔を見せる。
「反省してくれました? マスター♪」
「はは…はい…はい…はい…はい…はい…はい…」
「(…ちょっとやり過ぎたかな…)」
かけがえの無いこの日常。 しかしそれが次の日…変えようもない運命によって 崩れ去ることは、誰も予測していなかった。
未来を本当に予知できる者など…いないのだから…
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Re: 『運命』の記憶 ( No.5 ) |
- 日時: 2011/05/20 23:21
- 名前: トマート
- ぎゃああああああ(汗)
これはマスターも命がけの日常を過ごしていますなぁ…
すれにしてもひまひまひま〜。なんかない?トメ
トメ「………(最近だらけ過ぎだ、トマートは…)」 ほら、ハイ○ュウあげるから♪
トメ「ラティオスさーん。調教師の出番ですよー」
…すべてを呑みこむ闇から逃げて見せる(キリッ)
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Re: 『運命』の記憶 ( No.6 ) |
- 日時: 2011/05/20 23:47
- 名前: ロンギヌス
- トマート様
ハイチューじゃ駄目なんです、ぷっちょなんです!! (意味もなきこだわりw
ラティ「え? 誰か呼びました?」
呼んでるよー…早くいってきなさい!
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Re: 『運命』の記憶 ( No.7 ) |
- 日時: 2011/05/21 12:40
- 名前: スイト
- おや…あの時の組織の連中か。…こりない連中め(怒)
ミレア「そういえばあたし達の小説はいつ復帰するの?」
う〜ん…今日は大丈夫だけどいつ復帰するかわからん。それとネージュ!!ちょっと来て!!
ネージュ「何よ?…あと手に持ってる白いペンキは何?」
ちょっと囮になってほしい。お前の鬼畜で凶暴な力で奴らをコテンパンに…
ゴオオオオオオオオ!!!(燃)
え、嘘です。すいま…
ドゴオオオオォォン!!!!(スイト君の周りから巨大氷柱)
どわああああ!!
ネージュ「これで逃げ場は無し。スイトを闇の空間に閉じ込めても構わないわ…」
ええええええ!?
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Re: 『運命』の記憶 ( No.8 ) |
- 日時: 2011/05/22 00:10
- 名前: ロンギヌス
- スイト様
ラティ「お手伝い感謝しますネージュさん…さっそくですが…♪」
やめぇい!! 僕の貴重な読者の一人を消し去るつもりか!?
ラティ「はぁ…別に困りませんが?」
Σ(・□・;)
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Re: 『運命』の記憶 ( No.9 ) |
- 日時: 2011/05/22 00:13
- 名前: ロンギヌス
- お勧めBGM:『Des Cordes opus 1』
※youtubeあり =====================================
ピッ…ガランゴトン…!! チャリチャリ…
午前六時・・昇り始めた太陽の光に照らされるポケモンリーグ。 その挑戦者用ロビーで、ロンギヌスは自販機の前に立っていた。 出てきた缶コーヒーと釣り銭をかき出し、大きく朝の伸びをする。
カシュッ… カパッ…
「おはようございます。珍しいですね? こっち来るなんて…」
コーヒーの蓋を開けると同時に、早起き仲間のラティオスと 遭遇した。彼は毎日ここに訪れるのは常連らしいが、ロンギ ヌスはいつも寝ぼけながら自家製を作っていたので初めてだった。
「ふわあぁ〜っ….…おはよ…」
「元気ないなぁ....朝は嫌いですか? 早起きなのに」
ラティオスも120円を自販機に押し込み、いつもの無糖を 買う。その後二人で休憩室のソファに腰を落とすと、早朝 だからか間に沈黙が流れた。
「・・・・」
「……昨日のこと…まだ、怒ってる?」
「昨日のこと?」
「ほら…メモリ投げたらお前キレたじゃん…嫌われちゃったのかな…って思って…」
「・・・・デリケートなんですね、意外と」
「…い、意外で悪かったな…」
ロンギヌスは飲み終わったコーヒー缶を、ゴミ箱目がけて 放り込む。しかし気負いのせいかそれは外れ、ゴミ箱のふ ちに当たって跳ね返ってきた。人気の無い休憩室の床を、 空き缶がカラカラと虚しい音を立てる。
「そこまで気にしないで下さいよ…大好きだから一緒に暮らしてるんです」
「そ、そうか…」
「......ただし..♪」
ぼうっとしていたロンギヌスの隙をついて押し倒し、 鋭いかぎ爪を胸に押し付けるラティオス。カイオーガ 譲りの紅い左目が、ロンギヌスを抵抗を封じ込めた。
「今度またカチンときたら…問題なく殺しちゃうかも知れませんからご注意を…♪」
「えっ…でもんむぅ…!!」
文句は受け付けないとばかりに、唇が爪に塞がれる。 かなり強い力で押さえられ、頬に跡が残りそうだった。
「OK?」
「y..yes...」
「ならいいですよ。もう水に流しましょう?」
自分の方へと転がってきたロンギヌスの缶を掴み上げ、 今度はラティオスが投げる。缶は気持ちよくゴミ箱に 吸い込まれ、ガランとやかましい音を上げた。
「そうそう、前から聞こうと思ってたんですが… ここのリーグって誰が管轄してるんです?」
「んー…? 名目上はチャンピオン…つまり俺なんだけどね。 面倒だから『クォーク』に任せてるよ」
「ク、クォーク…? 初めて聞きましたよ? そんなの…」
「あーそっか、まだ教えてなかったな。ちょっとついて来て」
彼らは朝のひと時をその休憩室で終わり、ロンギヌスはラティ オスを連れて廊下に出た。 広いロビーを抜け、あまり利用されないエレベーターの前に立つ。
「クォークっていうのは去年、アメリカ政府から買ったスーパー コンピュータだよ。最上階に設置されてて…リーグの全ての仕事を司ってる」
「なるほど…?どうりでここの就職試験、 内定率が低すぎると思いましたよ」
「全部クォークがやってるからなw …人間がやる事なんてほとんど無いよ」
エレベーターに足を踏み入れ、七階以上フロアを昇って行く。 電光板に『9』と表示されると、二人はそこで降りた。
「リーグの9階か…来たこともないです」
「まだ建設中のところもあるからな。こっち」
壁一面が真っ黒に塗られた廊下を進んで行くと、アーチ型 の扉があった。すぐ近くには高級マンションのようなパスワ ード入力の装置が取り付けてある。どうやら電気的に鍵が掛 かっているようだ。
「えーっと…パスワード何だっけ」
「…微塵も知りません」
「あー思い出した! ポチポチポチッと…」
ロンギヌスは人差し指でボタンを叩き、何とかロックを 外した。扉が左右に割れるように開き、二人を中へと導く。
「ここは・・・」
「イッシュリーグの中央制御室。 俺と関係者以外、入れないってことらしいよ」
「でも僕が入ってますけど…」
「お前ならいいよ、信用してるからな」
「……嬉しい事言ってくれるじゃないですか… どういう仕組みなんですか?このシステム」
世界に二つとない、IT技術の塊。 それを舐めるように見回しながら、ラティオスは 興味深そうに問いを投げかけた。
「全然知らないよ。簡単に使い方の講習を受けただけだからな」
「…やっぱり……」
「ただ知ってんのは…最先端のガイアメモリが 使われてるって事だけだ。たった一本だけね」
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Re: 『運命』の記憶 ( No.10 ) |
- 日時: 2011/05/22 00:18
- 名前: ロンギヌス
- お勧めBGM:『10 The beast』
=====================================
__
『緊急警戒 緊急警戒。クォーク内部に違法 ハッキングを確認。現在、逆探知を施行中。』
「ハ、ハッキング!!? クォークに!?」
久しぶりにリーグを揺るがす警報。 ロンギヌスは慌ててモニターの前に座り、キーボードを 高速で叩き回した。どうやら高性能のウイルス対策ソフトが、 一瞬で破られたらしい。
『第2防壁を突破されました。 対策ソフトの崩壊により、クォークは非常モードに切り替わります。』
「すごい速さだ…逆探知はまだか!?」
『完了しました。中央制御室内です。』
「えっ…」
ロンギヌスもラティオスも、これには言葉を失った。 …中央制御室って…ここじゃないか…
「そ、そんな馬鹿な!! 探査機のミスだろ!!」
『第3防壁突破。現在のクォークの汚染率、35%』
「嘘だろ…」
クォークの約三分の一をこんな短時間で我が物にできる輩… 恐らく人間ではない。この侵攻スピードはまるで、コンピュ ータがコンピュータを操作しているようだった。
『クォークの制御パスワードが流出、ハッカー に使用されました。汚染率は56%に上昇。』
「本格的にまずいぞ…ラティオス、この部屋に誰かいる!?」
「いませんよ…僕たちの気配しか…」
「…くっそぉ!!!」
ロンギヌスは引き出しを乱暴に開け、一本の鍵を取り出した。 モニター横にある鍵穴に、急いでそれを差し込む。
「マ…マスター何する気ですか!?」
「手動でクォークの電源切るんだよ!! 対策ソフトじゃもう無理だ!」
カチッ…ブゥゥゥゥン…
一時は全てが終わり、電源も部屋の電気も落ちたように見えた。
しかし次の瞬間、なんと消したはずの電力が復活し、 クォークが再起動してしまった。
「ど、どういう事だよ…!!」
『ハッカーによる電力の供給を確認... 汚染率70%を超えました。』
『第1から第6防壁までは崩壊。第7防壁に侵入されました。』
「親切にも程がありますね…電気くれるなんて」
「冗談言ってる場合じゃない!! クォーク乗っ取られたら全部おしまいだぞ!!」
「マスターどいて!!!」
大慌てのロンギヌスの背後から、開けっ放しの扉を越えて カイオーガが突入してきた。手にはUSBメモリを持っている。
「ど、どうしたんだよ…それ…」
「おととい暇つぶしに造ってたんだ… ボク仕様のハッカー撃退ソフト♪」
メモリを差し込み、ニヤッと余裕を見せるカイオーガ。 汚染率が90%を超えたという知らせと同時に、 大きなヒレでEnterキーを叩いた。
『・・・汚染警報解除。ウイルスの消滅を確認しました。 クォークOSの警戒体制を解除します。』
自動アナウンスが最後に言い放ち、その仕事を終える。 カイオーガはほっとしたのか椅子にもたれ掛かり、 脱力したため息を吐いた。
「はぁーーっ…」
「ま、マジかよ…お前そんなの造れたの…?」
「ゼクロムがこういうの得意だったからね… 色々と教えてもらったんだ♪」
占拠される危機をなんとか避け、ロンギヌスはひとまず安堵の声 を漏らした。しかし次の瞬間、身も凍るような鈍い声が、彼ら三 人を震え上がらせた。
・・よくも・・俺の身体を・・
「えっ…マスター、何か言った?」
「…いた。」
一瞬だった。 隠し持っていたライバーを腰から抜き、天井を撃ち抜く ロンギヌス。かなり硬いはずのそこがいとも容易く壊れ、 天井がガラガラと崩れ始めた。ただ…漆黒に身を覆われた 巨竜と一緒に…
「うわぁっ!!」 「こいつですね…ハッカーの正体。」
『・・人間の城はもろい。俺がすぐに侵入できる。 でもそこのカイオーガに邪魔された。クォークの入手に失敗した。』
今まで数えるのも面倒な数の竜と出会ってきた ロンギヌスには理解できた。
・・この竜は怒っている・・・
よく見ると黒ペンキに塗り潰されたような肉体は、翼だけ 煌めくブルーに変色していた。これがカイオーガのウイルス 対策ソフトのせいだと、彼は言う。
『俺はデータに変身してクォークに入った。 でもお前のせいで逆流して、体の色が変わった。』
カイオーガを蒼くなった翼で指し、作られたような怒りの顔 を浮かべる。カイオーガは生気を感じない竜の様子に、限 りなく不信感を持っていた。
「名前を聞かせてよ…泥棒さん」
『泥棒じゃない。人工竜バビロン…三号機だ。』
「マ…マスター逃げて!! こいつ知ってる…危な過ぎるよ!!!!!!」
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Re: 『運命』の記憶 ( No.11 ) |
- 日時: 2011/05/22 00:39
- 名前: トロン
- は、始めまして…トロンって言います。
いつもながらですが文章お上手ですね…敬服しますよ…
ロビーや休憩室での二人の会話、ちょっと感動しました。(音楽の効果もあってかもしれません…
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Re: 『運命』の記憶 ( No.12 ) |
- 日時: 2011/05/22 11:27
- 名前: トマート
- 曲のマッチ感といい、なんだか怖いなぁ…
しかしカイオーガがいてくれてほんと助かったものだ。いなかったら今頃…
トメ「それに人工竜ってものも少し気になるな」 あぁ…カイオーガがあんだけ驚愕したって事はなんだかやばそうだな
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Re: 『運命』の記憶 ( No.13 ) |
- 日時: 2011/05/22 12:11
- 名前: 名無しのゴンベエ
- 曲選択イイネw
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Re: 『運命』の記憶 ( No.14 ) |
- 日時: 2011/05/22 21:23
- 名前: ロンギヌス
- >トロン様
け…敬服!? そんなもったいない…(そういう言葉が相応しい人は他に大勢いまふw
カイオ「・・とか言いつつ本音は違うんだよねー♪」
…嬉しいです。
>トマート様 …ゼクロム、集合。
ゼク「よう、久しぶりだな。」
お前のお陰だあああっ!!どうもありがt…
カイオ「ひっどーい…僕は何もなし?」
バビロンは人工竜なので、人工知能によって会話しています。 ということは頭脳戦では…
>名無しのゴンベエ様 個人的にエヴァはBGMの宝庫だと思ってますw ほぼどんなシーンでも対応できるってのは便利ですねw
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Re: 『運命』の記憶 ( No.15 ) |
- 日時: 2011/05/23 14:24
- 名前: スイト
- 人工竜…お手並み拝見ですな…
これにぴったしのBGM見つけたー!! Mega Man x6 OST,T20; Gate's
一瞬ホラーを感じちゃった…(汗)
ネージュ「ハゲ頭のおっさんは気にしない方がいいわよ?」
僕的にロックマンxのBGMが色々とあっていいです
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Re: 『運命』の記憶 ( No.16 ) |
- 日時: 2011/05/25 21:53
- 名前: ロンギヌス
- >スイト様
自分で書いときながら
「…いた。」
の所が怖く見えたっていうw (気にするなと言われても気になりますよw
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Re: 『運命』の記憶 ( No.17 ) |
- 日時: 2011/05/25 21:56
- 名前: ロンギヌス
- 『Keep Your Head Above the Mayhem』
====================
「君って確か…造られたんだよね? バイオレンス社に。」
『バイオリック社だ。お前は… 俺の親を侮辱する気か!?』
カイオーガの薄れた記憶のせいで、バビロンの怒りが頂点に 達する。身体の色を変えられた上…自分の親達の名前まで間 違えられては、さすがにロンギヌスも少し納得してしまった。
「あはは…ゴメンゴメン。馬鹿にする気じゃなかったんだけど…ね♪」
『…低脳な連中に俺の誇りは分からないだろう…バイオリック社は世界で最も尊敬している‼』
「そうやってプログラムされて造られたんでしょ? 世界をまだ知らないのにね…♪」
挑発させ、我を忘れさせる…これがカイオーガの戦い方だ った。ロンギヌスもラティオスも、それは熟知している。 だがその言葉はロンギヌスの心に、バビロンを哀れむ気持ちを生まれさせた。
「(人間の思い通りか…残酷すぎるな…)」
しかしリーグチャンピオンとして…こいつらのトレーナー として、闘いを避けるのは許されない。それを覚悟した彼 の右手が、ライバーをバビロンに向けさせた。
「じゃあ人工竜…目的はなんだ? バイオリック社はいったい、何を欲しがってる?」
『それを口外するなという命令は無い…だから教えてやろう。このリーグに眠る最強のガイアメモリ…その設計図だ。そして…』
『お前達がペットにしてるらしい、ムゲン竜。』
「レムリアさんは大切な仲間です…あなたには名前も呼んで欲しくない!!」
それまでずっと黙秘していたラティオスが口を出す彼の顔に はバビロンと同じく、プライドを傷付けられたような怒りが 舞っていた。やはりカイオーガの予想通り…レムリアを想っているのか…
『ムゲン竜の遺伝子は類を見ないほど貴重だ。 だがバイオリック社はそれと同等の遺伝子を作り、 人工的にドラゴンを培養したのだ。』
「それが…お前…?」
『そう…いわば私は、ムゲン竜のコピーだ。 そしてそのオリジナルたるレムリアの確保… そのために生み出されたのだ。』
人に造られ、コンピュータの知能を埋め込まれたバビロン。 またしても目標とされたレムリアが、ロンギヌスは本当に かけがえの無い存在だったと気づかされた。 どうしても 護りたい一心で、ライバーにカードを差し込む。
『ライド___セキュリティ・ポリス(Security Police)!!』
銃口から七色の光が飛びだし、五人組のSPを呼び出した。 圧倒的に不利なバビロンに、黒スーツ姿で拳を構えている。 間髪をいれる暇もなく、SP達はバビロンに飛びかかった。
ジュル…ガシッ…!!
SP「……!!」
『丁度いい。腹ごしらえしたかった所だ…』
バビロンの細いひし形の目が、急に野生的な色を示す。そして 異常なほど粘り気の強い唾液をこぼし、SP達の自由を封じて しまった。ねとねとと絡みつく粘液に悶える彼らを捕らえ、 真っ逆さまに胃袋へと流し込む。
SP「は、離せ…あっ…ああああっ!!」
ゴクッ…ゴクッ…ングゥ…にゅぷ…
『相手にならずばただの餌…生かして喰らってやるだけ幸運と思え。』
ムクムクと膨らみを増していくバビロンの黒い腹部。最後 のSPを呑み込んだ時には、既に赤ん坊でもいるかのような 大きさだった。五人もその柔らかそうな肉袋にぎゅうぎゅう 詰めになっていると思うと、ロンギヌスは場違いながらも 少し萌えてしまった。
『俺はすぐに消化はしない…溜め込んだ方が長く 楽しめるからな。動きは鈍くなるが…』
確かに大人のSP五人を腹に収めて動き回るのは、かなり 重苦しそうに見えた。ロンギヌスはその隙をつき、今度は 逃走用のカードをライバーに入れる。
『アタックライド__クロックアップ(CLOCK UP)』
「カイオーガ、ラティオス、掴まれ!!」
すんなりバビロンの獲物になる訳にはいかない。消える ような速さで二匹の腕をひっ捕まえると、ロンギヌスはレ ムリアの居るリビングへと走り去っていった。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「ど、どういう事よ…まさかまた貴重生物管理部とかいう人じゃ…」
「話はあとだ…とにかく窓もドアも全部閉め切れ!! 立て篭もるぞ!!」
平和を謳歌するためのリビング… それが今や、彼らを護る篭城になろうとしていた。 ロンギヌスはケースから全部のメモリをフル稼働させ、全員に配りまくった。
その時、ロックしたはずの扉が爆弾を仕掛けられたかのように 吹き飛んだ。レムリアに向かって飛んできた破片を、カイオー ガがヒレで弾く。
レム「あ、ありがと…」
カイオ「今は僕達が盾になるからさ…もうどこにも行かないでよね♪」
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Re: 『運命』の記憶 ( No.18 ) |
- 日時: 2011/05/25 22:58
- 名前: スイト
- 動きが鈍くなるのは好都合
プロトタイプ……ですか…
ミレア「な、何言ってるの」
所詮は人の道具にすぎない存在…意志を持ち…進化した私達に何が出来ると!?
ネージュ「あるラスボスの口調をアレンジしたわね」
世界は変わったのです。生命が…より進化した生命にとって変わられるのは自然の設立です!!おとなしく…滅んでおしまいなさ…
パコン!!(ハリセン)
ネージュ「たく…訳わからない事言ってんじゃないの」
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Re: 『運命』の記憶 ( No.19 ) |
- 日時: 2011/05/25 23:13
- 名前: トマート
- …最強のガイアメモリはT4メモリの事か…噂には聞いていたけど本当にロンギヌスさんが所持していたとはな。
兄「…絶対にあいつらにレムリアを渡してはならない…だって」
仲間 だもんな。ロンギヌスさん達の
|