Re: 易すぎる依頼 ( No.1 ) |
- 日時: 2011/02/25 00:45
- 名前: ヴェラル
- 「……なんなんだよ、これ!聞いてねぇぞ!!くそっ…あの野郎、ガセネタ掴ませやがったか!」
グルルッ……ジュルッ
「っ…やめろ、来るな……こっちに来るな!だ、誰か…助けて!誰か!!助け」
バクッ
「…よし、これで完了、と」
「今日もこなしてきたのか。相変わらず働き者だな」
「そうでないとやってけないからな。んで、報酬は?」
どこにでもありそうな酒場のカウンターで狼獣人が酒場の主人らしき獅子獣人とカウンター越しに話をしてる。 狼獣人が「報酬」という言葉と同時に手を差し出す。それを見た獅子獣人はカウンターの下から小さな袋を出してきた。 それを差し出された手に乗せると、ジャラッという人が喜びそうな音がする。
「しっかり頂いたぜ。しかしマスターも大変だろ?こんなに多くの依頼を管理してるんだから」
「そうでもないぞ。金を狙ってくる輩もいると思ったりもしたが、案外そうもなくて、慣れてしまえば楽だ。スクル、お前と同じさ」
「俺がしてるのは簡単なことばかりだから、慣れるも何もないよ」
スクルと呼ばれた狼獣人が苦笑しながら手にある小袋を軽く上に投げる。受け止めるとまたジャラリと音がする。 この狼獣人…もといスクルは、賞金稼ぎ。日々いろいろな依頼を受け、それをこなして賞金を得てる。 しかしその賞金のほとんどは日常生活に費やすだけの生活費に過ぎない。実際受けてる依頼も内容自体は簡単なものが多い。 理由としては「生活するためにやってるから」。普通にどこかに勤めるという手もあるが、ここでは賞金稼ぎの方がいろいろと都合が良い。 様々な依頼が日々出てくるため仕事が尽きることもなく、ある程度の力があれば収入は安定する…と言えるだろう。
「それはそうと、何か良い話はないのか?」
「お前の言う良い話は幅が広いくせに厳しかったりするからな。とりあえずいくつか選んでみたぞ」
苦笑しながらも依頼書を数枚奥から取り出し、カウンターの上に並べる。 内容に目を軽く通すと、言った通り簡単なものばかり。大体は一般人にとっては特別なものや、人探しなど賞金稼ぎであれば誰にでも出来るような 依頼ばかりだ。 だからこそ俺は目をつけてるんだ。賞金稼ぎとしてレベルが低い奴は必然的にそういう依頼を選ぶが、ほとんどの賞金稼ぎはもっと難しいものを選ぶ。 そうなると依頼は早い者勝ち。数も少なくなってまともに依頼を受けられるかすら危うい。けれど、そうなればなるほど簡単なものを選ぶ 奴は少なくなる。最低限の金を稼ぐだけの俺としては依頼をゆっくりと吟味して、悠々とそれをこなせるってわけだ。 そんなこんなで次の依頼を探してる訳だが…今度はどんな依頼にするかなぁ。
「……そういえば、知ってるか?最近賞金稼ぎの間で噂になってる話を」
「ん?噂?俺はそういうのに興味ないから知らないが…何かあったのか?」
不意に話しかけられたので依頼書から目を離し、マスターへと向ける。 依頼をたくさん受け持つ場所あって、賞金稼ぎもたくさん集まるから情報も必然と耳に入るそうだ。
「詳しく聞いたわけではないから詳細は知らんが…なんでもここ最近、有名な賞金稼ぎの消息がわからなくなってるそうだ」
「それってつまり…賞金稼ぎが行方不明になってるってことか?」
「あぁ、そういうことだ。その話もあって依頼にも消えた身内の賞金稼ぎを探してくれという依頼もある」
「んで、その依頼はどうなったんだ?」
「受けた者はいたが、結局見つからず…それどころか、依頼を受けた者すら消えてしまったんだ」
「そいつは奇怪だな…と言っても、俺なんかに縁はないだろう。こんなちっぽけな依頼しかしない俺が有名なわけないし」
適当に聞き流すようにしてまた依頼書に目を落とす。 別に他の賞金稼ぎが消えたところで俺の依頼がどうこうってなるわけでもない。そいつらを探すわけでもない。 つまり生活に支障がないわけで…特に気にする必要もないんだよな。それはそうと依頼がどれも微妙だ…。
「そんなこと言ってると、案外バックリと消えるかもしれないぞ」
「おいおい冗談はよしてくれよ。こんな無名の俺なんか消して意味なんてあるのか?第一、なんで賞金稼ぎが消えてるのかすらわかってないんだろ?」
「私も耳に挟んだだけだから本当に詳しくは知らないんだ。と言っても事実…ここに来る常連の賞金稼ぎも少なからず名の知れてる者が来なくなってるのは私だけでなく、他の者も把握している。故に独自で探す者もいるようだから、いずれ情報が入り次第動きも変わるだろ」
「そうなればいいな…。とりあえず今日は引き上げるかな。依頼が微妙だし、また明日出直して来るよ」
カウンターの席を立ち、軽く手を振って別れの挨拶をしてから店の外で出ようと足を向ける。 そのまま店を出ようとしたところで、マスターから声がかかってきた。
「もう時間も遅いし、気をつけろよ?どんな形で消えてるかもわからないんだ、夜道で1人歩いてるところを…かもしれないぞ」
「はいはい、気をつけるよ。俺だってこんなことしてるけど、それなりに戦う力はあるんだから心配すんなよ」
軽く聞き流して店を出る。これでも一応賞金稼ぎだぜ?そこらのモンスターだって余裕で倒せるぐらいは出来るってんだ。 よほど馬鹿でかい奴でないと俺も怖気つかないさ。なーんて言っても、そんな機会すらあるはずないんだけどな。 時間もそれなりに遅くなってるから夜道は危ないけど、こんなとこで死んだりしないだろ。 もし仮にそうなったとしても、それが例の噂と関係あるならとっくの通りに判明してるっての。あるわけないって。 その日は気楽な気持ちで帰路につき、無事家に帰った。
「………そういえば、あいつに話し忘れていたが、少し気になる話を聞いたな…‥」
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Re: 易すぎる依頼 ( No.2 ) |
- 日時: 2011/02/25 01:35
- 名前: リオレイア
- お、なかなか展開が面白い話が・・・
夜道でいきなりドラゴンさんに襲われるシチュは結構好みなので期待しています。
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Re: 易すぎる依頼 ( No.3 ) |
- 日時: 2011/02/25 19:47
- 名前: U
- 今後の依頼に気付かず、次の犠牲者は自分となるのやら・・・w
今回はどんな結末になるのやら期待っ
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Re: 易すぎる依頼 ( No.4 ) |
- 日時: 2011/02/25 21:17
- 名前: ロンギヌス
- 賞金稼ぎか・・竜相手ならライバーもって相手してやる!
(放り出して口に飛び込むけどw
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Re: 易すぎる依頼 ( No.5 ) |
- 日時: 2011/02/25 21:26
- 名前: 名無しのゴンベエ
- 謎の行方不明事件・・・ どんな竜がでてくるか楽しみです♪
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Re: 易すぎる依頼 ( No.6 ) |
- 日時: 2011/02/25 21:31
- 名前: 名無しのゴンベエ
- 謎の行方不明事件・・・一体何者なのか・・・ どんな展開になるか楽しみです♪
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Re: 易すぎる依頼 ( No.7 ) |
- 日時: 2011/02/25 21:34
- 名前: suit
- すいません、名無しはsuitです。
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Re: 易すぎる依頼 ( No.8 ) |
- 日時: 2011/02/25 23:43
- 名前: ヴェラル
- >リオレイアさん
夜道で襲われるのもなかなかですよねぇ 不意を突いてバクッといくのも個人的に好きです
>Uさん 犠牲者はどうなるのやら… 依頼に関してはまた後々話に出てきますので
>ロンギヌスさん 注意事項にもありますが、今回は竜が出ますよ 餌が増えるよ!やったね竜ちゃん!
>suitさん どんなからくりが仕組まれているのでしょうかね… ちょっとずつ明らかにしていきますよ
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Re: 易すぎる依頼 ( No.9 ) |
- 日時: 2011/02/26 21:06
- 名前: ヴェラル
易すぎる依頼
「……どういうことだ?これは……」
翌日、何事もなかったことの報告と昨日もらわなかった依頼に新しく目を通すために、昨日の酒場に来てみたんだが…。
「臨時休業って、いきなりすぎるだろ…しかも訳も書いてないし」
そう…どういうわけか店が閉まってる。扉には[臨時休業]の文字が書いてある紙が貼ってあるだけ。理由なんてそこにはなかった。 これじゃあ依頼が受けられないじゃねぇか。他にも受ける場所はあるにはあるが、俺としてはいつも通ってるここでした方がいいんだよな。 かといって理由もわからずに押し入るのもどうかと思うし…今日はどうしたものか…。
「…しょうがねぇな。今日はのんびり、一日を過ごすか…」
素直に諦める。それが一番だと思った。 グダグダするのは好きじゃないし、無理なら無理とキッパリ諦める。それもまた大事なことだ。 ついでに家のことを考えてみれば…いくつか必要なものを買わなきゃいけないってことも思いだした。 依頼が受けられないのなら今日はそういう日にすればいい。いわゆる羽休め。 まぁ…いつもしてる依頼が日常生活とそれほど変わりない俺にとっては、特別なことでもないんだが。
「とりあえず今買いに行っても時間余るし…そこら辺散歩とかしてからでいいか」
店の扉を見ながらそんなことを考え、まとまってから足を動かした。 昨日言ったと思うが、俺は生活に最低限の金しか稼がない。つまり、下手な遊びとかは禁物ってわけだ。 依頼があるにしたって、昨日や今日みたいにそれを受けること自体出来ないことだってある。それを考えると迂闊には出来ないのさ。
数時間経って、俺は近くの河原にいた。 暇な時はいつもこうしてどっかをふらついて時間を潰すことが多い。遊べないからな。 それにしても…今日はついてねーな。依頼を受けられないだけじゃなく、目当ての物を扱ってる店も定休日だってことをここに来る時に思いだした。 となれば…結論はただ1つ。暇、ということだ。一日中な。 こうも暇な日もなかなか来ないぞ。やっぱりこうやって時間潰すしかない…とは考えるが、それだけで一日を潰せる気はしないな。
「とことん暇になっちまったよ…」
ふと見上げれば、青空…。曇り一つない綺麗な青空がそこに広がってる。 普段見てる空なのに、こういう時に見ると何か違うものを感じるんだよな…と、柄にもなく詩的なことを考えてしまった。 河川敷の方を見れば子どもがわいわいはしゃいで遊んでる。いいもんだな、こういう景色も。 歩くのも疲れてきたから、ちょっと一休みといくか。河川敷の方に少し足を入れ、斜面になってるところで寝転がる。 時間は昼前だから陽も良い感じに射してて、気持ち良くなってくる。
「…ちっとだけ、寝てもいいよな…誰の邪魔になるわけでもないし…」
どうせ暇なんだから…そう思って目を閉じたら、案外すぐに寝れた…気がした。
「……い…さ……おに…ん………お兄さーん?」
「………?」
いつの間にか寝てたようだが…というとおかしいが、まぁ気付かず寝てたところだが、何か声が聞こえてゆっくりと目を覚ます。 眠いながらも目を開けてみると、1人の狐獣人の顔が視界に飛び込んできた。
「あ、やっと起きたんですか」
「……誰だ?お前…」
見覚えのない顔だったので疑問を投げかけながら体を起こす。 見てみれば狐獣人は俺より年下の、青少年…といったところか。 河川敷で1人、暇だからのんびりと寝てたちっぽけな何でも屋という名を背負ってる賞金稼ぎの俺に何の用だってんだ? ちなみにそんな名、本当に背負ってなんかないからな。
「そういえば自己紹介しないといけませんね。と言っても名を知ってもらうほどでもありませんが…」
「なら、用件から聞こう。人が寝てるってのに起こして来たんだから、ちゃんとした用はあるんだろ?」
あくびを1つしながら頭を掻き、一応話を聞く姿勢は取る。 寝てるとこ起こされるのは正直好きじゃないが、用があるっていうのなら聞くのが礼儀だ。それぐらいはきっちりするぜ。 まだ眠気が残ってる頭を覚まさせようとしてる間に相手は俺の前に動いていた。
「お兄さん、賞金稼ぎだったりする?」
「…だったらどうするんだ?」
「ちょうど良かった!お兄さんに依頼を頼みたいんだけどなぁ」
「依頼…?」
まぁ依頼自体、酒場だけじゃなく直接頼みに来る場合も少なくはないからおかしいことはない。 主に他人に知られたら困るようなこととかを頼む時とか、が当てはまる。 ということはこいつもそのケースに当たるのかもな…。
「そうなんだよ。こいつはちょーっと公の場に出すには大きすぎるもんなんでねぇ」
「ご託はいいから依頼内容を聞かせてもらおうか。暇ではあったけど、依頼となれば俺も本気になる」
「ちょっとぐらいいいじゃないか…」
「こっちだって生活かかってんだ。それなりに腰入れてやらないと死活問題になりかねない」
「まぁいいや…話は聞いてくれるんだよね」
「受けるかどうかは、内容を聞いてからだ。ここで話すのもなんだ、場所を変えて話そうぜ」
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Re: 易すぎる依頼 ( No.10 ) |
- 日時: 2011/02/26 22:04
- 名前: U
- いよいよ、本題・・・
金は使いたくない、その上色んな所が閉まっていれば・・・あぁ・・・その暇さというのは凄くよく分かるw
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Re: 易すぎる依頼 ( No.11 ) |
- 日時: 2011/02/26 22:13
- 名前: suit
- 依頼自体が罠なのか…この人物はなんか企んでいるのか…わからずじまいですな…
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Re: 易すぎる依頼 ( No.12 ) |
- 日時: 2011/02/27 00:25
- 名前: リオレイア
- さて、クエスト失敗のハンコを用意せねば(笑)
いや、クエストクリアーかな? 目的・竜に捕食される とかだったら最高なのに…
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Re: 易すぎる依頼 ( No.13 ) |
- 日時: 2011/02/27 00:46
- 名前: ヴェラル
- >Uさん
わかりますかw 書いてる俺自身そんな日々ばかりなんでちょっと嬉しいw
>suitさん この時点ではまだ何にもわかりませんねぇ ですが次ではいよいよ大事な依頼の話となるので、少しは進展があるかも?
>リオレイアさん そんなクエストあったら最高じゃないですかww みんな飛び付いて抽選になったりとかしますよ、きっとw
「言っとくが俺はそんな依頼キッパリと断るからな!」
あら残念…
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Re: 易すぎる依頼 ( No.14 ) |
- 日時: 2011/03/02 22:32
- 名前: ヴェラル
ということでいきなりだが場面は変わり、俺の家へと移る。 俺が住んでる家は…たいした家でもない普通のアパートだ。 内装もいたってシンプル。キッチン、風呂つきトイレ、あと部屋2つ。それだけだ しがなく日常生活を送る独り身にとっちゃ、生活スペースがあるだけで十分だ。贅沢なんて言うもんじゃない。 と、与太話はさておき…
「ちょっと汚いけど依頼の話を聞こうか」
「素直に言えば随分汚いよね。服とか畳んでないし、ゴミもちらほら見えるし…」
「話するだけなんだからいいだろ!いちいち文句言うな!」
クライアント(依頼者)だからって少しはマナーって言うかなぁ…いいや。 とりあえず話を聞こう。本腰入れて行かないとな。
「んで、本題だ。依頼の内容を詳しく教えてもらおうか」
「あぁそうだった。依頼の内容は実に簡単で、ある洞窟に生えてる花を採ってきてほしいんだ」
「花?それなら自分で採れると思うが…どういった理由で俺に頼もうと?」
「洞窟に生ってるんだけど、どうも生ってる場所が悪いみたいで…僕みたいな一般人、ましてや子どもが行こうとしたら止められちゃうんだ」
「なるほど…つまり、その代役で行ってきてほしい、というわけか。それなら仕方のない話だな」
「でしょ?じゃあ受けてもらえる?」
んー…内容自体は悪くない。というよりはいつもしてるようなものと似てるからそれを拒否する理由もない。 それに代役なんて多々あるわけだ。町の外には少なからずモンスターがいる。戦いの術を持たない奴が外に用があるけど出れないから、頼むと言うのも結
構多い話だ。 となればこの話を拒否する理由はほとんどない。だが、かといってすぐに受理というわけにもいかない。 依頼を受けるからには重要なものがもう1つある。
「内容は良しとして…報酬は?」
「あ、そうだ報酬があるんだった」
「…普通依頼するなら報酬のことが先に出ると思うが」
「僕は初めてなんだからいいでしょ!」
余計な言い合いはなしにして、依頼を受けるに至って報酬ってのは重要だ。それ相応の対価をもらわないとこっちもやってけない。 特に俺なんかこれで飯食って寝てるわけだから報酬は本当に大事。だから依頼を見る時も報酬の部分は第一に目を通す。 内容が良くても報酬が雀の涙でした―、なんてシャレにもならない。
「つーことで、どれくらい出してくれるんだ?」
「そうだね……ちょっと大きな声で言えないから、紙に書くけど…」
「?…別に構わないが…」
こんな依頼内容のくせに、報酬が大きな声で言えない?…まさか、ろくなもの持ってこないんじゃ…。 流石にそれは依頼を受ける受けない以前に馬鹿にしてるとしか思えないな。わざわざ寝てるとこ起こされて依頼聞いてたってのにそれじゃあな。 と言ってもまだ報酬の中身見てないし、変な期待するだけしてみるか…。
「えっと…合ってるね。これが報酬だよ」
「変なものよこしたりすんなよ?…って、なんだこの額!?」
渡された紙を軽い気持ちで目を通してみたら、文字通りけた違いな数字が飛び込んできた。 依頼内容にもよるが、大抵この手の依頼は最高でも1万程度。そこまで行く依頼は滅多にないが。 それがどうだ、今俺が手にしてる紙に書いてある桁は1万どころじゃない。 それこそ大型モンスターを複数討伐する依頼に出されるような金額だぞ。花を採りに行くだけの依頼でこの金額は、普通じゃあり得ない。
「ね?大きな声で言えないでしょ?」
「そ、そりゃ確かに大きな声で言えないが…なんで花なんかにこんな金出して来るんだよ。第一、お前みたいな奴がそんな金持ってるのか? 見たところこんだけの金額払えるような風には見えないが。金ぴかの装飾品をびっしりと身にまとったオッサンだったらまた別だが」
「出せないものを報酬として出すわけないだろ?」
「んっ、まぁ、そうだな…」
「それで、引き受けてくれるの?」
「…………」
予想外過ぎる…。まさか報酬にこんな金額を提示されるとは…。 ちまちまと依頼こなして金溜めて、毎日家計簿みたいなもん付けてやり繰りしてる俺にとっては、手に余るような大金だ。 こんな簡単な依頼内容で馬鹿でかい大金を手に入れられるのなら、誰でも飛びついてくるだろうな。けど…
「…わりぃ、ちょっと考えさせてくれないか?」
「えー?いい条件だと思ったんだけど」
「条件にケチつける気はない。ただ…いろいろ心の整理がな」
「ふーん。じゃあいいよ、別に急いでるわけじゃないし」
「なら連絡先を教えて欲しい。受けるとなったらまた細かく聞かないといけないだろうから」
その日は向こうの連絡先を教えてもらい、一度引き取ってもらうと言う形で済んだ。 しかし…こんな誰もが飛びつくような大金、いきなり目の前に出されてもどう言っていいものか…。 俺は大金を手に入れたくてしてるわけじゃなから、どうもこれほどの金に対しての意欲ってのは薄くてな。 けど考えてみれば、これだけの大金があれば賞金稼ぎをしなくてもかなりの間楽に過ごせる。遊びだって豪遊出来る。 出来るんだが…その裏で今のままが良いって言う自分もいるし、なぁ…。
「…今日は結論、出せそうにないな…」
数十分と悩んだものの、結果は出ない。やっぱり見たことのないもん見ると、どうしていいかわかんなくなるんだな。 だとしても、いずれは結論を出さないといけないんだよな。依頼として話を聞いたんだし、受けるにしろ辞めるにしろ、ハッキリとさせないと。 とは言え出せないのなら、明日に持ち越すしかない。明日酒場に行ってマスターと相談するのもいいだろ。そうしよう。
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Re: 易すぎる依頼 ( No.15 ) |
- 日時: 2011/03/02 23:01
- 名前: U
- そんな感じに何も知らないで、お馴染みの女王様にお手玉されて、ボコられた事を思い出す・・・
そしてそんな物を選ぶ時は分析力とか判断力が大事だと思い知らされた・・・w
Re;ただゲーム機没収されたからというくだらない理由です(笑
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Re: 易すぎる依頼 ( No.16 ) |
- 日時: 2011/03/02 23:29
- 名前: suit
- 洞窟に花を取る依頼だとー!?
洞窟には奴が存在する…!! これはやばすな依頼ですな…
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Re: 易すぎる依頼 ( No.17 ) |
- 日時: 2011/03/03 01:29
- 名前: リオレイア
- 実は洞窟に花を採りに行くのでは無くて、洞窟に餌になりにいく依頼(笑)
だから有り得ない高報酬。ハイリスクハイリターン! でも我々にはノーリスクハイリターン!
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Re: 易すぎる依頼 ( No.18 ) |
- 日時: 2011/03/03 01:39
- 名前: ヴェラル
- >Uさん
その気持ち、ちょっとだけわかりますよw 自分も経験したことあるのでw
>suitさん よくおわかりでw 一応控えておきますが、奴がいますよw
「クク…我のことか。呼ばれたようなので顔だけは見せに来たぞ。出番はもう少し先のようだからな」
向こうも楽しみにしてるようですw
>リオレイアさん 俺「報酬はいらない。洞窟で受け取るから」 そんなことを言いながら餌になりに行けるのなら行ってみたいですねw
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Re: 易すぎる依頼 ( No.19 ) |
- 日時: 2011/03/03 22:41
- 名前: ヴェラル
「……ん‥んぅ…朝、か…」
何だかんだで寝たらぐっすりと不安なんて感じないくらいに熟睡してたようだ。 そう言うものの…やっぱり何か目覚めが悪いと言うのだろうか。心の中のモヤモヤみたいなのが取り除けてないから、複雑な目覚めだった。 とりあえず目覚めが悪かろうと顔洗ってサッパリとしてくるとしよう…。
「さーて、飯も済ませて歯磨いて、服もキッチリ整えて、心の整理もつけて酒場に来てみたってわけだが…」
起きてから1時間ぐらいで酒場に来ていた。どうせ暇だから朝一で開店時間から行くか、と思って来たのに…さぁ。
「今日も休みってのは、どう解釈すれば自分の中で満足したものになるんだろうな…」
苦笑しながら昨日と同じ扉に貼ってある張り紙を見てる。 理由がないにしろ、連日はないんじゃないかなーって思って来たらこれだよ。 せめて理由ぐらいは書いてくれないと、心配だけじゃなくて、なんて言うか…ああもう!ゴチャゴチャしたのは嫌いなんだよ。 それはそうと、酒場が開いてないってなると相談が出来ないな…。 とりあえず…と相談相手がいないので懐から財布を取り出し中を見て代わりに相談。 見る限りは明日まで保つってとこか。逆に言えば明日も…なんてことになってたら、相談なんて余地はないわけだ。
「…迷う余地は、明日まで…か。今日は昨日買えなかったものでも買いに行くか」
半ば自分自身を言い聞かせ、誤魔化すように言いながら歩きだす。 買い物して、適当に時間潰して、明日に持ち越し…そんな感じかな。
「随分時間食ったな…もう夜か。買い物してちょっと寄り道しながらぶらついてたらこんな時間になるなんてな」
と言っても、ゲーセンで立ち見してたのがほとんどだが…。 金使えない時に外でブラブラする時の有効な手段として、ゲーセンで他の奴のプレイを見て勝手に楽しむってのがある。結構いいもんだぜ。 今は帰るついでに寄り道で酒場に寄って来てみたところだ。開いてないとは思うが一応…としてな。 案の定開いてないわけだからこのまま帰るか…。
「…なぁおい、最近噂になってるあの話知ってるか?」
「ん……?」
帰ろうと歩みを進めようとした時に、酒場の近くにある空き地で数人の賞金稼ぎ、らしき奴らが屯(たむろ)している。 ちょっと気になってみたが、多分噂ってのは賞金稼ぎが消えてるとかって話だろうからさっさと帰るか。
「噂って、あの賞金稼ぎが云々の話か?」
「違うよ。洞窟の話だ、洞窟」
「……洞窟…?」
予想してたものと違う単語が耳に入ってきて、進みだした歩みはすぐに止まる。
「なんだよ洞窟って。そんなのいっぱいあるだろ」
「いや実はな…ここだけの話、面白い洞窟があるって最近噂になってるんだよ」
「面白い洞窟?洞窟に面白いもつまらないもあるかよ」
「それがさ、その噂になってる洞窟はどうも普通の洞窟とは違うって話だ」
「どう違うってんだ?」
「確かに気になるな…」
いつの間にか足は空き地の近くへ動き、姿を見られずに話が聞ける場所にまで来てた。 何だかんだで俺も人だ。噂ってのは気になるもんなんだよ。
「なんでも、人の手が加わってないのにも関わらず、あたかも誰かが踏み入って手を施したようなほどに綺麗な洞窟なんだってよ」
「そんなのどこにでもあるだろ。自然の関係で人口のものより綺麗なものが出来るってのはテレビでもよくやってるぜ」
「いやそうじゃなくてさ、人じゃ作れないようなものまであるのは当然だけど、誰かがそこに入って何かやらかした、とかってのもないらしいんだ」
「んでそれが?」
「ここまで聞いて感じねぇか?ロマンってのをよ!」
「……お前のそういう話、聞き飽きたんだよ。今日は帰るぞ」
「あ、ちょっと待て!もう一つその洞窟には話があってな、噂だから真偽は知らないけど、めちゃくちゃ寒いらしいぞ」
「あーそうですか。んじゃ暖かくなるように炎魔法でもぶっかけてやるか」
「ちょ、ちょっと待て!噂話をしただけだろうが!マジ待てって!」
「…興味はあったものの、最後の方は騒がしいだけだったな」
がっかり感を抱えながら空き地を離れ、帰路を歩いてる。 しかし心の中じゃ気になってるっちゃ気になってる。あの洞窟の話。
「この時期にそういう話が出るのも変な感じするけど…出るもんなのかもな。だとしても、何か関わりあるような気がするような…考えすぎかな」
あの賞金稼ぎの話もあってか、どうも結びつきがあるんじゃないかと考えてしまう。 考えすぎなんだろうなとは思ってるが、タイミングが良すぎるって言うか…依頼も、あるんだよな。 よく考えればだけど…あいつの依頼も洞窟にある花をって内容だった。それも考えすぎかもしれないが…。
「…やっぱり、明日だな…。自分一人でどうこう考えても結論なんて出やしない。こういう時こそ思いきってぶちまけてみるもんだ」
これ以上考えると頭が疲れるから、一旦その考え全部しまい込んでおこう。 明日マスターに話してみれば案外スッキリするかもしれない。開いていれば…の話だが。 まぁそんなマイナス思考でいても無駄だし、気楽にしていこうか。
「それじゃ、依頼内容を詳しく説明するね」
「あぁ、頼むぜ…」
結論から話そう。予想通り開いてなかった。昨日、一昨日と同じだ。 ということで有無を言わず依頼を受けることとなった。これ以上は引っ張れないからな。
「えっと…あった。この花だよ」
そう言って出してきたのは一枚の写真。そこには依頼の対象となってる花が写ってる。 見る限りはいたって普通の綺麗な花。毒々しいとか神々しいとかってわけでもなく、ごく普通の花としか言えない。 どうあれ依頼は依頼。受けたものはちゃんと完遂するのが礼儀。
「この花を採ってくればいいんだな。じゃあ今日のうちから向かうか」
「場所は地図に書くからちょっと待ってね」
話によれば場所は町から少し離れた洞窟。町の外には少なからずモンスターがいるから、力がない奴は出ないのが普通。 だから詳しい位置まではわからない、とのことで地図に大体の位置を書いてもらう。まぁ行けばわかるさ。 洞窟なんてそんなにあるもんじゃないから行ってある程度探索すれば見つかるもんだ。
「場所はこの辺だよ。あと、何か必要なものは…」
「これで十分だ。あとは現地で確認して動くから」
余計なもの持ち込んでも邪魔になるだけだからな。対象、場所、それだけあれば後は見て動く。 実際事前の情報があてにならないことなんて頻繁にある。大事なのは今起こってる状況を把握すること、だから。 あとは準備して現地に向かうとしよう。今日のうちに終わらせて少しでも財布の中温めたいし…。
|
Re: 易すぎる依頼 ( No.20 ) |
- 日時: 2011/03/03 22:54
- 名前: suit
- ふむむ…
洞窟はめちゃくちゃ寒いとな… 何かしらの能力を備わってそうですな…
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Re: 易すぎる依頼 ( No.21 ) |
- 日時: 2011/03/03 22:57
- 名前: リオレイア
- 財布の中が寂しいのならば竜のお腹で温めればおk
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Re: 易すぎる依頼 ( No.22 ) |
- 日時: 2011/03/03 23:47
- 名前: U
- ついに出陣・・・
寒い洞窟と今回の依頼は一致している・・・のか ともあれ、何処となくヤバそうな感じがするな・・・
Re;前回の余談はMHの方です(付け忘れてた
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Re: 易すぎる依頼 ( No.23 ) |
- 日時: 2011/03/04 00:38
- 名前: ヴェラル
- >suitさん
ジャンルとしてはファンタジーみたいなものですからね、何らかの力は持ってますよ それが何かは次回…でしょうかねw
>リオレイアさん その手があったか…! 俺も今財布の中乏しいので今すぐ行ってきますっ!
>Uさん 洞窟がどうかは次でわかりますよ それにしてもどうなることやら…
MHでしたか…それはまたw
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Re: 易すぎる依頼 ( No.24 ) |
- 日時: 2011/03/04 09:02
- 名前: 名無しのゴンベエ
- マスター確実に敵じゃうわなにをするはなせ
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Re: 易すぎる依頼 ( No.25 ) |
- 日時: 2011/03/04 23:17
- 名前: ヴェラル
- >名無しさん
さあどうでしょうかね…w それは話の最後にでもw
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Re: 易すぎる依頼 ( No.26 ) |
- 日時: 2011/03/07 23:07
- 名前: ヴェラル
…それで今町の外、言っちゃえば目的の場所付近まで来た。 準備自体は時間がかからないからすぐに出てくることが出来た。ある程度身を守るために護身用の短剣とか持ってるけど、これでも俺は拳で語るタイプなんでね。剣に頼る気はないが、念のためってやつだ。 それはそうと、地図を見る限りこの辺だってのはわかってる。あとは少し目を配って探してやれば…。
「…お、あれか?目当ての洞窟は」
1つの洞窟が目に入り、入口にまで立ってみる。 辺りを見渡しても他に洞窟は見当たらないし、第一洞窟自体そうないからここで合ってるだろ。 そうとなれば早速依頼を終わらせるために向かうとしますか。
「んじゃ、お邪魔するぜ…って寒っ!なんだこの寒さ!」
数歩踏み入れたところですぐに足は止まった。 寒さが尋常じゃない。確かに洞窟は外より気温が低くて寒いとか感じることはあるかもしれないが、今の体感温度だと寒冷地帯にでもいるんじゃないかと思うほどの寒さだ。洞窟でこんなのあり得るか?
「…とにかく立ち止まっても依頼は終わらない。さっさと奥に行こう」
こんな寒い洞窟に花が自生してるのか?という疑問を頭に思い浮かべながらも、行ってみるしかない。百聞は一見にしかず、とも言うし。
どれくらい歩いたんだろうか。寒いから歩みも遅く、寒さのせいかどうも感覚が鈍ってる。 だとしても相当奥まで来たんじゃないかと思う。長年の勘でしかないが…。
「……この洞窟、やっぱり昨日聞いた噂の洞窟なのか……?」
ここを歩いていながらそればかりをずっと考えていた。普通こんなにも寒い洞窟があるはずない。 となれば昨日聞いた噂は本当だったということか?いや、本当なんだろう。現に俺が今いる洞窟がそうなんだから。 だとしたら…この寒さは何者かの仕業か?あの噂だと人が手を加えてないのにも関わらず、何か施されている…と言ってた。 言い換えれば、人以外の奴がここにいる…と考えることも出来るわけだ。そうなればこの寒さもある程度納得は出来る。 そうなると、これは…ただの依頼だけで済むか怪しくなってくるな。
「何はどうあれ、進むしかないな…」
それから数分…ぐらいだろうか。ようやく広い場所に出た。一言で表せば大きな鍾乳洞といったところだろうか。 これ以上先に道は見えないから、多分ここで終わりか。となれば目当ての物があるとしたらここになるが…。
「問題は、依頼のものが「本当に」ここにあるのか…ということだ」
あれから考えてみたが、こんな依頼であの報酬金はおかしいし、普通なら何かしら裏があると考えるべきだ。 それで来てみたらこんな極寒の地のような寒さがする洞窟と来た。疑わない方がおかしい。 そこにさっき考えてた「何者か」という要素が加わると…今まで一本道だったこの洞窟でそれがいる場所は、もう決まってる訳だ。
「…いるならいるで返事して欲しいな。俺そういう気配とかわかんねぇから、出来ればこの呼びかけで出てきてほしいんだが」
意を決してこの洞窟にいるであろう何者かに声をかける。いなければ俺としては嬉しいんだが…そう簡単にいくものかどうか。 だが結果は、案外すぐ返ってきた。
「ククク…まさか、我を自ら呼ぶとはな。此度は面白い客が来たようだ」
「…やっぱり何かいるのか…」
いつ何が来てもいいように構える。短剣ごときじゃ敵わないだろうから、しっかりと拳を構えて。 しかし出てきたのは俺が予想してたものを遥かに超えるものだった、
「竜…だと…!?」
「クク…何を驚いておる?よもや竜を見るのは初めてか?」
俺の目の前に現れたのは竜。それも馬鹿でかい。俺なんか平気でぺしゃんこにされるだろうくらいでかい。 見た感じ、体色は水色で様相は一般的に言う竜と変わりはないが…。
「っ…この寒さを生んでるのはお前か?」
「そうだ…というより、我しかいないとわかってるのだろう?」
「まぁな…この一本道で道中何もないとなれば、ここにしかいないわけで、出てきたのはお前だけってなれば、お前しかいないんだよな」
「それぐらいはわかってもらえんとなぁ」
「んで、だ…お前にいろいろ聞きたいことがある。気になることがたくさんあるんでな」
「呼んで早々に質問と来るか…まぁ良かろう。久しい来客となるわけだ、それぐらいは許さねば」
まだ俺にも猶予はあるってことか…なら聞きたいこと聞いて、スッキリしておかないと死に目が嫌なものになりそうだ。 それに、大型のモンスターと遭遇することなんて滅多にない。しかも竜と来たもんだ。内心は落ち着いていられないぞ。
「ならまず…お前、あの狐野郎と手組んでるだろ?」
「狐、と申せば我の元に餌を手引きしてるあの者のことか」
「やっぱりな。あいつの依頼受けてここに来たんだ。そうとしか考えられないよな」
「しかしここに来たものは皆そう聞くものだ。必然とも言えるだろう」
「…なら次だ。どうして被食者である狐野郎と手を組んだんだ?普通ならバクッと食うもんだろ」
「それは予想外の質問だ。では答えてやろう。我はあ奴と手を組むことで、効率のいい利益を双方に与えてるのだ」
「効率のいい利益…?」
「我はあ奴を食わない代わりに、餌を持ってくると言う条件を課した。そうしてる間はあ奴の身の安全を保障するというものでな」
「……なるほど。つまりあの狐野郎を使うことで、自分は楽に餌にあり付ける。それで向こうは責められてもお前がいるから安全ってわけか」
「物わかりが良い客だと良いものだの。ではそろそろ、我も腹の虫が黙っていないようでな…」
「話はここまでか…なら、やるしかねぇ!」
グッと拳に力を入れ、改めて構える。俺だって簡単にやられるつもりはない。出来ることならここから逃げて帰りたいもんだ。 けどそれが出来るかは自分次第だ。全力で挑むっ!
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Re: 易すぎる依頼 ( No.27 ) |
- 日時: 2011/03/07 23:52
- 名前: ロンギヌス
- 勝つか負けるか…(負けたら天国?
戦闘描写に期待しますw
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Re: 易すぎる依頼 ( No.28 ) |
- 日時: 2011/03/08 00:06
- 名前: suit
- ふえ…依頼自体が罠だったのか!
?「ふむ…生け贄と言った所か…」
でもあなたはやらないでしょ?
?「我はそれを好まぬからな…」
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Re: 易すぎる依頼 ( No.29 ) |
- 日時: 2011/03/08 07:49
- 名前: リオレイア
- まさに生け贄だなぁ…
僕もその依頼受けたいです!というか…マスターが店を開けないのは狐に騙されたから?
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Re: 易すぎる依頼 ( No.30 ) |
- 日時: 2011/03/08 10:40
- 名前: U
- こんな場面は、結果は見えているかも知れないのに、最後の最後まで諦めないZEッw
なんて事をよく言う自分は諦めが悪いってよく言われます(苦笑
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Re: 易すぎる依頼 ( No.31 ) |
- 日時: 2011/03/08 15:00
- 名前: ヴェラル
- >ロンギヌスさん
今のうちに言っておきます。戦闘描写はあまり期待しない方がw 戦闘は苦手な部分があるので最悪グダるかもしれませんが、それでも良ければ見てくださいw
>suitさん 軽く説明をしましたが、詳しく言うと狐が命乞いした時に変なこと吹きこんだと言ったところですね どちらにしろ生贄ということに変わりはありませんが
>リオレイアさん
狐「あっ、もしかしてこの依頼受けてくれるんですか?ちょうど良かった、受けてくれる人探してたんですよね」
マスターがどうなってるのかは話の最後にでも書くつもりですので、それまで終始捕食劇をお楽しみくださいw
>Uさん 諦めが悪いと言うよりは不屈の精神と言った方が褒め言葉になるかな? そうだとしてもこの状況だと多分食われちゃいますがw
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Re: 易すぎる依頼 ( No.32 ) |
- 日時: 2011/03/10 21:55
- 名前: ヴェラル
こんな奴相手で、しかも完全にアウェイとなれば…長期戦はどうあっても不利。なら答えは1つ!
「短期決戦で決めるっ!」
拳に力を込め、足をばねのように使い相手の懐…もとい腹に跳びこむ。 大型との戦闘経験なんて皆無に近い。なら何かされる前にこっちが片づけるしかない!
「だからって怖気づくわけにはいかねぇ!」
足を踏み込み、勢いを腕に乗せて振りかぶる。 相手がでかかろうとやる時はやるんだよ!
バシィンッ!
「よしっ!このまま…!?」
続けて連撃をしようと考えた時、腹に食い込んだ手が凍るような感覚が走った。 反射的に手を引き距離を取る。その手を見てみれば少しばかり青い。手の温度が冷えて青ざめてるのか。
「ククク…自己紹介がまだだったの。我は氷竜だ。名の通り氷を司る。故に我の体を伝い、汝(うぬ)の体を凍らすなど造作もないこと」
「ちっ…迂闊に殴りも出来ないってことか。どこを見ても勝てる要素は少ない…」
本音を言えば、勝ち目なんてないと言いたい。けど今からそんなこと言ってられない。 やるだけやって無理なら無理。逃げられる可能性があるならそいつを意地でも掴み取る。 それが俺のやり方のようなもんだ。粘るとこは限界まで粘る。それが俺のスタイルだ。
「かと言って、殴れば俺の手がどうなるかわかんない。しかもこんな短剣であの巨体に傷つけるなんて到底無理な話だ」
「もう万策尽きたと言うのか?ならば我の番といこう」
身を構えて何が来ても対応できるように構える。 氷竜となれば攻撃もやっぱり氷。さっき殴った時もそうだったが、手が凍るような感じだった。なら…
「こういうのは如何かな?」
「っ!ブレスぐらいなら予想はついてたぜ!」
氷のブレスを吐くのを見て後ろに跳ぶ。落ち着いてから自分がいたところに目をやれば、そこには氷が出来あがってる。 あんなの直撃したら、凍傷ってレベルで済みそうじゃないな。第一、そういうことを言える余裕すらないかも、な。
「クク…そうでなくては。久しい客人でもある。楽しませてくれんと我も満足出来ぬ」
「久しいってことは、ここ最近は誰も寄りついてないってことか…」
「大方予想はつくがの。汝らの住むところで、噂と言うものが流れてるそうな」
「あぁ…俺のような賞金稼ぎが消えるって話だ。多分その噂があったから、怪しんでこんなおかしすぎる依頼に手つける奴がいなかったんだろ」
「それがどうだ?汝のような者が今我の目の前に現れているではないか。汝からは見えぬかもしれぬが、我はこれでも嬉しく思うてるのだぞ?」
「そいつはどうも…俺は早いとこお暇したいってもんだ。帰してくれないかな?」
「何を言うとる?久しい客人を見す見す帰すなど。我は飢えてるのだよ。それこそ心身ともに、底が見えようとも思えるほどにのぅ」
「なら俺よりも、もっと飢えを満たしてくれる奴はたくさんいるってんだよ!」
そう言い切り、もう一度地を蹴り跳びこみ、腹を殴る。 さほど効かないってのはわかってる。けど何もしないのは好きじゃないんだよ。 たとえ無理とわかってても、無駄な足掻きだとわかってても、俺は往生際が悪いって、昔から言われてるほどだからな。
「汝も少しは体で覚える方が…ぬ?」
「…体で覚える、か。覚えることはキッチリ身に学んでるぜ」
少しの間も置かず離れ手を見るが、今度は手に異変はない。 俺はそれを見て確信を持った。小さい、小さすぎるが、決して無理と言えるわけでないという可能性を。
「魔法石、みたいなもんだ。火の魔法石。こいつは一欠けらだからたいした効力を持たない。だが俺の手を守るくらいの力は発揮してくれる」
「…ククク。小賢しい、と言えばそれで一蹴してしまうが、面白いものだのぅ。そこまでして生に執着すると申すか。実に面白い」
「悪いけど俺だって生きてんだ。生きたいために戦うことの何が悪い?」
「クク…それもそうだの。ならここで、汝の問いに答えたのだから、我の問いにも答えてもらうとしよう」
「問いだと?別に問うよなことなんてないだろ」
「我にはある。汝らと違う我だから」
「…………」
とりあえず、聞くだけ聞こう。構えは解かないぞ。仮にもアウェイだ、変に油断したとこ見せたらそれこそ負けを認めたも同然。 話を聞くにしろ俺は諦めたわけじゃないからな。
「では問おう。汝らが持つものの中で、最も醜いものとは何ぞ?」
「俺たちが持つ、最も醜いもの…?」
「先に言うが、これは我の偏見のもとでの問いだ」
「どちらにしろ、俺なりの答えを聞きたいんだろ?」
「この問いは今までにも幾度としてきたのでな。汝なりの答えを知りたい」
「そんなの知ったところで何かが変わるわけでもないだろ…」
それでも聞かれたのなら一応答える。 変なこと言って問答無用で食われるってのも嫌だからな。
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Re: 易すぎる依頼 ( No.33 ) |
- 日時: 2011/03/10 23:00
- 名前: トマート
- 初めまして、トマートという者です。
ヴェラルさんの物語はとても完成度が高くて、すごいと思います! まあ、こんな馬鹿者は無視して頑張ってください!
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Re: 易すぎる依頼 ( No.34 ) |
- 日時: 2011/03/10 23:10
- 名前: U
- 自分の答えは人間としたら裏の顔だの、色々と(ほんとに色んな意味で)ありそうです・・・w
・・・そ、それとホット○○ンク飲んでいいすか?(恐る恐る
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Re: 易すぎる依頼 ( No.35 ) |
- 日時: 2011/03/11 00:37
- 名前: リオレイア
- 醜いもの…
それは己自身だ… だから…君の胃液で浄化して欲しい
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Re: 易すぎる依頼 ( No.36 ) |
- 日時: 2011/03/11 22:36
- 名前: ヴェラル
- レス返しと共に生存報告とさせていただきます。
自分が住んでる地域は関東なので地震が起きた当時はかなりの揺れに襲われましたが、なんとか無事です。 雑談スレの方にも書き込みがありますが、震源地に近い地域に住んでる方、また揺れが襲った地域の方々、今後再度揺れが襲ってくるかもしれませんので、どうか気をつけてください。
ではレス返しに移ります。
>トマートさん 初めましてトマートさん いえ俺なんかまだ見直す部分もたくさんありますし、上には上がいるとも言いますからね それでもこの小説を読んで楽しんでもらえたなら幸いです。ありがとうございます
>Uさん まぁ答えは一概にあるわけではないですし、どれが正解というわけでもないですからねw ホットドリ○○飲んでも構いませんよw
「そのようなものを飲んで我の寒さをしのげると言うのなら、やってみるがいい」
と、向こうも言ってるのでw
>リオレイアさん
「それが汝の答えか。ならば良かろう、その穢れを我が浄化してやろう」
穢れが消えるよ!やったねレイアさん!
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Re: 易すぎる依頼 ( No.37 ) |
- 日時: 2011/03/12 13:33
- 名前: ロンギヌス
- ヤバい…この小説音楽聴きながら読んだらムチャクチャかっこいいです…(俺だけ?
あと戦闘描写すごい上手ですよね! (何としても見習いたいものだ…
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Re: 易すぎる依頼 ( No.38 ) |
- 日時: 2011/03/12 17:11
- 名前: suit
- 最も醜いもの…?
例えば裏の底に隠された自分とか? う〜ん…難しい…!!
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Re: 易すぎる依頼 ( No.39 ) |
- 日時: 2011/03/13 21:33
- 名前: ヴェラル
- >ロンギヌスさん
そう言ってくれると本当嬉しいですw 戦闘自体は苦手なので自分ではどうかわからないのですが、上手いと言われると素直に嬉しいですねw
>suitさん 難しいと思いますよ。けどここで出てる問いに正確な答えってのはありませんからね 実際、氷竜も偏見で決めたと言ってますので
あとUさんに氷竜からコメント来てます
「先程は少し言葉が過ぎたな。寒いのならそれをしのぐ場所は少なからずあるぞ?…なら、我に委ねろ。今すぐ我の中に取り込んでやろうぞ」
と言ってますw
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Re: 易すぎる依頼 ( No.40 ) |
- 日時: 2011/03/16 23:39
- 名前: ヴェラル
- 「そろそろ答えは出るかの?」
「…答え、か。特に思いつくものがないな…」
しばらく考えたものの、結局自分の中でこれと言った答えはなかった。 醜いものがないと言えばウソになる。けどそれは俺が持つものであって「俺たち」が持つもの、とは考えられなかった。 屁理屈かもしれない。だが向こうの質問通りに答えるならそうなる。
「つまり、俺はそれを答えること自体を放棄する」
「愚か…というべきか。それが汝なりの答えか」
「どうせ答えたとこで助かるわけでもないだろうが」
「フン‥まぁいい。それなら我の答えを聞かせてやろう」
あんまり聞いても得になるとは思わないが…隙を狙う意味でも聞くか。
「我が思う、汝らが持つ最も醜いものとは…「欲」だ」
「欲…?」
「と言うても一概に言うと語弊がある。我が言う欲は卑しい欲だ」
「卑しい欲…か」
「そうだ。欲と言うのは生きる上で必ず求めるものでもある。食欲、物欲、性欲…そう言ったものは誰しも欲するだろう。 しかしだ。生きることとは関係のない欲を、汝らは欲する。たとえば金。生きる上で必要な金があるにも関わらず、 それ以上のものを求めようとする者が多い。我はそう言った欲を「卑しい欲」と称し、最も醜いものと考えている。 何故生きるための必要以上のものを求めるのか、我にはわからん。そしてそのようなものを持つからこそ何かが起こる。 事実、我のところに来た者の大半はそうである」
「…狐野郎が出してきた依頼の、報酬金のことか。ということは、お前は俺たちが持つ卑しい欲を利用して自分の欲を満たしたってことか」
「そういうことだ。実に効率のいい欲の満たし方。そして害を消す方法とは思わないか?」
「…別に俺はそういうの気にしないし、知ったところでどうとも思わない。けど1つ言わせてもらう…。 たとえ卑しい欲を持ってようと、たとえ醜いものを持ってようと、どんなに汚い心を持ってようと、どんな奴だって生きてる。 普段はそんなこと考えないかもしれない。卑しい欲にばかり目が眩んでるかもしれない。けどなぁ!! みんな生きるためにこうしてるんだよ。お前だってそれぐらいわかってんじゃないのか?お前が生きるために俺たちを食うのは 俺たちが生きるために肉を食うのと同じだ。同じだけど、お前に食われるために生きてるわけじゃないってことは覚えておけ!!」
思ったことを流れのままに怒鳴り散らして拳を構える。 こいつはただ食うためにしてるだけじゃない。俺たちを完全に見下してる。そんなの俺にはどうってことない話だ。 なのに、何故か凄く腹が立つ。まるで生きることに意味がないと言われたようで…。 いてもたってもいられなくてもう一度殴りにかかる。感情に任せて行動するのみ。
「汝はもう少し我を楽しませてくれると思ったが、期待するのも悪いというものか…」
「っ……!」
殴ろうと瞬間に後ろから大きな手が俺を捕まえる。感情に任せ切ったせいで周りが見えてなかったか…! こうなったらどうしようもない。体を動かそうにも力が強すぎて何も出来ない。まさに手も足も出ないっていうことか。 どうにかしようと考えてると、氷竜の顔の前に持ってこられた。
「汝もここまでということか。楽しませてもろうたから良しとするかの」
「俺は全然楽しめる気がしないけどな…!」
「どちらにせよ、汝はもう我の腹に収まることは揺るがぬ」
「まだ諦めたわけじゃ…!」
「なら汝に絶望を見せてやるかの…」
「なっ……!」
そう言って俺の視界に飛び込んできたのは、赤い肉で埋め尽くされた大きな口内だった。
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Re: 易すぎる依頼 ( No.41 ) |
- 日時: 2011/03/17 02:34
- 名前: ヴェラル
- やっぱり今回のいまいちだな…orz
とりあえず、次の捕食シーンで挽回しようと思います ちなみにあの問いの答えは正解というわけでもないので、そこに関してはあまり深く考えないでほしいです。自分なりの答えを見つけてください
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Re: 易すぎる依頼 ( No.42 ) |
- 日時: 2011/03/17 12:43
- 名前: トマート
- いえいえ…
今回も、素晴らしい出来だと思います! 氷竜さんが異常にお強いですねw 僕と戦ったら…瞬殺されますっ
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Re: 易すぎる依頼 ( No.43 ) |
- 日時: 2011/03/17 19:45
- 名前: U
- 自分だって食わなきゃ死ぬなら、この際逆に食われるのを覚悟して、戦tt(ry
なんて展開になるか(汗 いかん・・・VSウカム○○スBGM聞きながらだと、ソイツに被ってしまう・・・w
Re;ホットド○○クポイw、この際それに尽きる(笑
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Re: 易すぎる依頼 ( No.44 ) |
- 日時: 2011/03/18 01:10
- 名前: リオレイア
- ぬは…
いかん…飛び込みたくなって来た… 氷竜さま…僕をお口とお腹で無茶苦茶にして下さい…
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Re: 易すぎる依頼 ( No.45 ) |
- 日時: 2011/03/18 08:34
- 名前: suit
- うひゃ〜
いけない…自分も口内で弄ばれ…最後にお腹の中で遊ばれたいもの…
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Re: 易すぎる依頼 ( No.46 ) |
- 日時: 2011/03/18 09:20
- 名前: ロンギヌス
- いやいや、十分楽しめる出来だと思いますが・・
ト、トロトロにして頂きたい!!
音楽聴きながらの効果がすごいw
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Re: 易すぎる依頼 ( No.47 ) |
- 日時: 2011/03/18 14:20
- 名前: ヴェラル
- >トマートさん
ありがとうございますw 氷竜も列記とした竜ですからね。それに比べて戦闘経験のないスクルじゃあ強さの比が違うってものなのでw
>Uさん 逆に自分から飛び込む人もここにはいそうな気がしますが…w ウカムも氷ですからね、それは合うでしょうねw ドリンク?そんなものなくても中に入れば万事解決っ!
>リオレイアさん
「我のところに来れば快く望みを叶えてやれるぞ?」
とりあえず脳内補完のような形で捕食シーンを読んでもらえると良いかとw 氷龍はじっくりたっぷり愛でていくのでw
>suitさん たくさん遊んでもらえるように俺も頑張って書いていきますのでそれなりにご期待をw
>ロンギヌスさん そう言ってもらえると嬉しいですw トロトロにする前にベチャベチャになると思いますよ。唾液でw 音楽そんなに合いますかね?俺としてはそういうの意識してないんですがw
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