Re: 表裏一体 影の深淵 ( No.1 ) |
- 日時: 2011/01/04 14:56
- 名前: セイル
- 誰も知らない遠い、遠い、世界。
山奥にだたひっそりと存在する村。 そんな小さな村で起きた話・・
* * *
人口は約五十人ほどの小さな村。 辺りは山岳地帯で殆ど人の訪れはない。 しかし、この村には神獣がいるという。 狼に蝙蝠の翼。九つの尻尾を持つ。 膨大な妖力、魔力、通力を持ち、その気になれば叶えられない事は無いという。 山を削り作られた巨大な洞穴にその神獣は在していた。 「し、神獣さま・・・」 「・・何のようだ・・?」 その洞穴に一人の人影。 神獣は覚醒し、躯を起こす。 「お、お願いが・・」 「・・その仔の病か・・?」 宝玉の如き紅い狼眼が人間の抱えていた子供を見据え、言葉を吐き出した。 顔は深紅で呼吸は浅く、早い。さらには歯を鳴らし激しく震えている。 かなりの重体・・一刻を争うところだろう。 ここら辺に見られる病には類を見ない。 ・・これは病なのだろうか・・ 「お、お父・・さっ・・・」 「神獣さまっ!」 神獣は溜息混じりの重い息を漏らし、子供の額に前脚を添え・・・・ 「・・酷いな・・これは病なのか?」 「はい・・私どもでは・・」 「打つ手なし・・それで我を頼った。と言う訳か。」 「・・申し訳ありません・・」 「良かったな・・我がいて。な。」 神獣は皮肉にそう言った。 ここの村人は神獣を良く思っていなかった。 特に捧げ物をしているわけでもなく、神獣の力を信仰しているわけでもなかった。 本当に打つ手が無くなった時のみ神獣の力を求めた。 ・・悪い言い方をすればー道具ーのように使っていた。 「滑稽だな。我はお前らに恩を感じたことはない。我はお前らに恩を与えているというのに恩を返す事なく我に縋る。どうやらお前らにー恥ーと言う言葉はないのだな。」 眉間に皺を寄せ、声を荒げ毒づいた。 「っあ・・う・・ぅ・・」 「まぁいい・・今回も面倒は看てやろう・・だが、いつまでも我の忍耐があると思うな。」 「は、はひぃ・・す、すみませんっ・・」 双眸の紅玉が人間を激しく睨みつける。 神獣の前脚が突如輝き、その光が消えると共に子供の容体は回復、安らかな寝息を立てて眠っている。
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Re: 表裏一体 影の深淵 ( No.2 ) |
- 日時: 2011/01/04 16:56
- 名前: リオレイア
- お!
何やら素敵な方が…… 恩返しは僕の体で!
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Re: 表裏一体 影の深淵 ( No.3 ) |
- 日時: 2011/01/09 23:22
- 名前: セイル
- 「っ・・よかった・・」
「・・フン・・」 「ありがとうございますっ・・・」 力一杯に子供を抱きしめ、目に涙を浮かべ人間が何度も頭を下げる。 「お前の為に治した訳ではない。その仔の未来の為に治したのだ。礼儀を知らぬお前らに感謝などされたくない。」 前脚を伸ばし、巨躯を正しくすると神獣は人間を見下す。 「もしや、供物を忘れた訳ではないな?」 「は、はい・・」 代償なしに何かを得ることは出来ない。 人間と神獣の間で交わされる契約。 神獣に願いを叶えてもらう代わりに供物を捧げる。 それが契約だ。 供物は何でもいい。肉でも野菜でも人間だっていい。 「こ、今年は凶作で・・・」 低く重い言葉で重く沈んだ威圧的な空気のなか人間が恐る恐る言葉を紡いだ。 「それで・・・捧げる供物はないと? 嘘をつくな。」 見下す眼光が鋭く、重く。 「い、いえっ!本当なんですっ!私たちの生活のことも考えると・・ですからっ・・」 「分かっている・・大地の実りが少ないのは感知ずみだ。」 「だったら・・」 「我とて力を使うのは疲れる。それ供物で補うのだ。供物がなければ力が振るえない。それは互いに困るだろう?」 「・・じゃあ・・どうするのですか・・?」 「・・お前の命でいいだろう。」 落としかけた子供をどうにか抱き止め、耳を疑っている。 「い、いや・・それでは助けて頂いた意味が・・」 「黙れ。恩を知らぬ愚か者め。我に楯突く気か?」 狼の本能が覚醒、喉を激しく鳴らし、その口元からは涎が滴り落ちる。 「お、お願いします!それだけはっ!」 「と言うのは冗談だ。」 「は?」 重い息を一つ、腰が砕けその場にへたりこんでしまった。 「そんな事をしてはいくら神獣とはいえ神罰を受けてしまう。お前の生気で我慢してやろう。」 「せ、生気・・?」 「生物が自然に発する気だ。生命力とでもいった方が分かりやすいか。」 神獣はその巨口を広げた。 唾液が牙に糸を引き、飛沫が飛ぶ。 「わ、私をた、食べる気ですか・・?」 「そんなつもりはない。大人しくしていればな。」 と、子供を抱きかかえる人間の肩に傷つけないようにがっぷりと食らいつく。 「あ・・ぅう・・」 カタカタと身体を震わせ、か弱い声を絞り出す。 生気を吸い取られる。 それは命を吸われると同等に近い。 「し、神獣・・さ、様っ・・」 声は出さず、眼光で“どうした?”と。 「く、苦しい・・・」 神獣は牙を外し、顎も外す。 服は唾液に濡れ、穴が開いている部分もあった。 「ごちそうさま。」 十分に味を堪能し、口周りを舌舐めずる。 「今度は供物を持ってくるのだな。生気を全部吸い上げてしまうかもな。」 「わ、分かりましたっ・・で、では、私はこれにて・・」 すっかり怯えた様子で人間は身を翻し神獣の前から去っていった。 「行ったか・・フフ・・私も衰えたものだな・・」 生気で力を補ったはずが、神獣の躯がガクリと崩れる。 このような姿とは言え、一応、神なのだ。 信仰が無ければ力は失われてしまう。 そしていずれは存在を失い、何もかもから忘れ去られてしまう。 神とはいえ恐怖はある。その恐怖は己の力ではどうにも出来ない。 毛嫌いする・・・人間の力が必要だった。 が、そのような事を打ち明ければそれこそ人間の言いなりと化してしまう。 人間に“道具”かのように使われる神・・ それはもう堕ちた神・・堕神と同類だ。 神はその地位と神格を維持したまま、適度に共存行しなければならないが、今の神獣には一片も無かった。 人間を毛嫌いし、供物を貰い、素直になれず。 それでも彼が人間に力を振るうのは密かに期待しているのかもしれない。 いつか自分たちの過ちに気づいてくれるのを。 「・・近い未来・・我は消えるのかもな・・」 彼が自嘲ぎみに微笑んだ。
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Re: 表裏一体 影の深淵 ( No.4 ) |
- 日時: 2011/01/09 23:43
- 名前: リオレイア
- 信仰無き神は消える…か…
ならば、僕が覚えていよう… 本音は…食べて欲しいだけですが…
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Re: 表裏一体 影の深淵 ( No.5 ) |
- 日時: 2011/01/12 20:22
- 名前: セイル
- ・・て・・・起き・・起きてっ!
「んぅ・・・むぅ・・」 深く暗い暗黒のなか、鈍重な躯を引っ提げて覚醒した。 「誰だ・・我の眠りを妨げるのは・・」 「神獣さま!」 彼が双眸を開くと目前には少女。 恐怖も不安もない純粋無垢な瞳。 昨日助けた仔ではない別の人間だ。 初めて物を見るようにその瞳を輝かせ、彼を見つめている。 「・・何のようだ・・全く。」 彼の事を“さま”と呼ぶのだから立場は弁えているようだが、急用で訪れたとは考えにくかった。 興味本位で近づくなと言われた此処に入り込んだのだろう。 「遊ぼ!神獣さま!」 「は?・・」 目を丸くし、耳を疑う神獣。 無邪気な笑顔でその前脚に触れようと・・ 「ほざけ!何故我がお前のような子供と戯れなければならない!?何故、お前ら人間と戯れる必要がどこにあるというのだ!?」 牙を剥き眉間に皺を寄せ、喉を鳴らし威嚇の如くにまくしたてる。 「あ、えっ・・っう・・」 驚いた様子で胸で手を組み、その表情に恐怖を宿し、小さく震えている。 彼はハッとして、目を伏せた。 「・・悪かった・・今のは忘れてくれ。少し・・大人げなかった・・」 この仔は大人の都合を知らない。 そんな人間に怒鳴った所で解を得る事など出来ない。 子供に押しつけた所でその仔が可哀想だ。 この仔には何も罪は無いのに。 そう・・彼は心を痛めた。 (・・心・・まだそんなものが我にあるとはな・・) 特に気にとめる事無く小さく鼻を鳴らした。 この仔の未来もいずれは神獣を取り巻く大人の都合に飲み込まれるのだろう・・哀れだ。 「うぅ・遊んでくれないの・・?」 少女の目は潤んで雫が今にも流れそうだ。 「分かった分かった・・遊んでやるっ!」 「本当っ・?」 「ああ。だから泣くな。頼むから・・な?」 神獣は子供の扱いは苦手だった。 狼狽えながらも必死に宥め、どうにか泣くことを回避し安堵する。
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Re: 表裏一体 影の深淵 ( No.6 ) |
- 日時: 2011/01/12 21:57
- 名前: リオレイア
- 神獣さま♪
遊びましょうよ。お腹の中で…
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Re: 表裏一体 影の深淵 ( No.7 ) |
- 日時: 2011/01/18 20:23
- 名前: セイル
- 「お前親はどうしたんだ?我じゃなくとも遊び相手なら他にいるだろう?」
「お母さんはいないし、お父さんは相手にしてくれないしお友達もいないもんっ・・・」 「・・・・」 母を幼くして亡くし、父は仕事で構ってもらえず、友達は上手く作れず・・ 恐らくはそうだろう。 ハクッ・・ 彼は少女の襟を咥え、背に乗せる。 「最近はこの洞穴に籠もりきりだったからな。ちょうど外に出ようと思っていた。良かったな。」 「うん!」 少女は元気に頷いた。
* * *
小さな雪が天から降り落ちる。 細かな雪の結晶が太陽の光に反射し、涙のように煌めく。 外は白銀の世界だった。 「っう!?」 「あはははっ!」 神獣の顔面に雪が舞う。 少女の投げた雪玉が命中したのだ。 「やったな!」 雪を妖力て操り無数の雪玉を生成、通力でそれらを飛翔させた。 「嘘ぉ!?」 もちろん少女は躱す事叶わず全弾食らう事となった。 命中した玉でバランスを崩し真っ白になってしまう。 「神獣さまぁ〜狡いですっ!」 「我の特権だ。卑怯ではないぞ。」 「ぶ〜・・」 両頬を一杯に膨らませ不満を露わにする少女。 「ハハッ・・悪かった。大人げなかったな。」 「も〜!」 「ベタベタに濡れたな。今日はもう帰れ。風邪をひくぞ?」 自分の濡れた服を摘み周りを確認すると少女は舌を出した。 「そうする。神獣さまっ、ありがと〜。バイバイ〜」 「ああ。バイバイ。」 彼に手を振り、笑顔でその場から去っていく。 腰を降ろし、彼もまた笑顔で前脚を振っていた。 「・・・はぁ〜、疲れた・・」 少女が見えなくなると長い溜息を一つ。 「子供は気楽なものだな・・現状を知らずに生きてゆけるのだからな・・・」 それと同時に先ほど笑った事に気づいた。 「笑ったのか・・・久しいな・・」 彼もまた洞穴に去ってゆく。 ただ、いつもと違うのは少し嬉しそうだったからである。
* * *
「ひいぃ!お、お助けを!」 「黙れ・・」 闇夜の銀世界に命乞い。 表情に恐怖を張り付けた哀れな人間。 神獣の逆鱗に触れたようだ。 「お、恩なら返します!な、何でもしますから・・い、命だけはっ!」 「それなら・・我に大人しく喰われろ。」 「そ、それは出来ません!」 「何故だ?何でもすると言っただろう?いきなり約束を反故にしてもらっては困るな。」 「ほ、反故にしてはいませんっ!命を取らなければ何でもしますと言いました!!」 「黙れ!我は腹が減って今にでも満たしたいのだ!丸呑みにしてやるだけ感謝するがいい!」 ガパッ!ハグッ! 神獣は唾液の飛沫を撒き散らしその巨口を開いた。 そのまま有無を言わせずに人間を咥え込む。 ニチャ・・ヌチュヌチュ・・ ムググッ・・・アグッ・・ 口内に収め舐め回し、牙を立て甘噛む。 瞬く間にべったりとした唾液を塗り込まれ、生臭さに包まれ吐き気を催す。 シュルッ・・ギュムゥ・・・ さらに神獣は舌を隙間なく巻き付け絞め上げる。 肉厚の舌が体を絞め付け味を搾り取る。 「っあっ・・んぅっ・・や、やめ・・」 ズルッ・・・ズズッ・・ 舌・・口内に次第に傾斜がついていく。 唾液で摩擦のない体は神獣の体内に滑り落ちていく。 胃袋という地獄に続く片側通行の肉道に。 にゅるりと沈む喉肉に足が引き込まれる。 肉厚の舌に顔が埋まる。 体が・・心が神獣に呑み込まれる。 柔らかく、獣臭い肉たちに呑み込まれる。 「い、嫌だ・・死にたくない・・」 ゴクン・・足が呑み込まれる。 ゴクン・・腰が呑み込まれる。 ゴクッ・・胸が喉に取り込まれる。 「だ、誰かっ・・たすけっ・・」
ゴクン
人間は生々しい膨らみとして神獣の喉を、食道を下ってゆく。 「我の胃袋で泣き喚くがいい・・ククッ・・」 腹を十分に膨らませ彼は涎を啜る。 ペロリと紅い舌が口を舐める。 「ゲフッ・・」 死臭の如きゲップを一つ。
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Re: 表裏一体 影の深淵 ( No.8 ) |
- 日時: 2011/01/18 20:36
- 名前: S
- 神獣さまの怒りをどうやって買ったのやら・・・
というか自分も口にされたい・・・w
Re:あの時は偉そうな口叩いてすみませんでした・・・
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Re: 表裏一体 影の深淵 ( No.9 ) |
- 日時: 2011/01/19 08:08
- 名前: リオレイア
- あらま(汗)
神獣さまお怒りで…… あ〜でも羨ましいZE!にゅむり、と喉肉に舐めまわされ、ごくり、と呑み込まれる!肉洞とその先に待つ胃袋はパラダイス♪ 神獣さま!僕の命と引き換えに静まり下さい!
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Re: 表裏一体 影の深淵 ( No.10 ) |
- 日時: 2011/01/19 19:59
- 名前: セイル
- s様
いえいえw 温かいお言葉ありがとうございます すごくうれしかったです これからもがんばっていきます 僕のところの黒狼さんも出番まってますよ〜 s様の小説の方が僕的には上手いと思うのですが s様は小説経験はありますか?
リオレイア様 いつも僕の作品をご覧になりコメントして頂いて ずっと頭をさげてばかり、感服の至りです(ぺこり リオレイア様の作品にはコメントしていなくてすみません。 リオレイア様はいつもたくさんのコメントを貰っていて話題作・・みたい? でとても羨ましいかぎりです。 どうしてですかね? まぁ・・それはいいとして これからもよろしくお願いします。
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Re: 表裏一体 影の深淵 ( No.11 ) |
- 日時: 2011/01/19 20:05
- 名前: セイル
- 「神獣さまっ!」
少女の声が彼を眠りを妨げる。 「っく・・またお前・・ん?」 と、彼は気付く。 何かを喰った気はないのだが腹が膨れ、力が満ちていた。 「神獣さま・・?」 「な、何でもない。どうしたのだ?なにやら村が慌てている様子だが・・」 「昨日から帰ってこない人がいなくてみんなで探してるの。」 「探している?なら、お前はこんな所で油を売っていていいのか?」 「私は・・いい・・」 少女の顔が沈む。 深くは尋ねないほうが良いと判断した彼は再び口を開く。 「途方にくれた奴らは恐らく我を頼るだろう。その時にお前が見つかれば面倒な事になるだろう・・隠れておいた方が良いぞ。」 「・・うん・・」 少女の表情は沈んだまま。 相当な事情がない限りはこのような表情はできない。 特に彼は知ろうとしてはいないが、いずれは少女のほうから話してくれるだろうと彼は気に留める。 「神獣さま・・」 「今日も遊べというのか?」 「うん。」 「・・ほら、行くぞ。」 短く溜息を漏らし、微笑みを浮かべた。 この微笑みは意識したのではなく、心から自然に生まれた物だった・・
* * *
「行方不明な者がいることはご存じですか?」 「あぁ・・知っている。」 「どこに行ったのかは分かりませんか?」 「知らん。我とて知らんことはある。」 「・・そうですか・・それじゃ・・私の子を知りませんか?」 「いないのか?」 「はい・・どうやら家出してしまったみたいで・・」 この人間の子供・・彼の所に訪問する少女の事だろう。 彼女はいま神獣の尾に巻き取られ眠っていた。 「・・・・・・」 彼は答えに詰まる。 このまま返せばこの仔と人間の為になる・・ が、それと同時に彼の信仰を高める手段が無くなる・・ 「・・見ていないな・・もし、見つけたら我からも言っておく。」 「はい・・ありがとうございます・・」 その礼も心からではなく畏怖を持った態度だ。 素直に礼をすることも叶わないのか・・ 彼は人間が去ったのを見届けると、尾を前面に運び巻き取っていた少女を地面に優しく降ろした。 「う・・ぅん?」 「起きたか?」 小さな呻きを上げ少女が重い瞼を開き、目を擦る。 「どうして家出した?」 彼は話してくれる事を待っていたのだがあんな話を聞いた後だそれは叶わない。 どうして? と言うような表情を浮かべた彼女は思わず目線を逸らす。 「神獣さまに会いに行ったからって・・酷く怒られて・・・それで・・」 「そうか・・なるほどな・・」 ー我への信仰は乏しいー 彼がそう納得するのには十分だった。 それなら力の衰えと供物や生気で力を補っても回復しないのにも合点が行く。 もう・・消えかかっているのだ。 「くっ・・我は・・屈するものか・・」 それと同時に本能が理性をねじ伏せる。 “生きたい”という本能が叫んだ。 生気や供物では足りない。 もっと高純度のエネルギー・・命、魂そのものを喰わなければ生きられない。 失われる命を繋ぎ留めるにはそれしかない。 だが、彼にそうすることはできなかった。 神獣であるが故に命を弄ぶようなことは許されていないのだ・・ 命を簡単に奪う事は出来ないのだ。 「くぅ・・少し・・出かける・・」 「・・?私は?」 「家に帰るのが嫌なら・・ここに・・いろ・・」 彼は苦しそうに言葉を吐き出すと洞穴から去っていった。
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Re: 表裏一体 影の深淵 ( No.12 ) |
- 日時: 2011/01/20 18:29
- 名前: リオレイア
- 神獣さま・・・
僕じゃ駄目ですか・・・?
セイル氏 いえいえ、何時も楽しませて貰ってます。 アドバイスですが、「」は前後一行を開けてやると読みやすくなりますよ。あと、段落を作ってはどうでしょうか?話の流れがつかみやすくなるので・・・
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Re: 表裏一体 影の深淵 ( No.13 ) |
- 日時: 2011/01/20 19:44
- 名前: S
- ん・・・神獣さまは一体何を考えて・・・(焦
Re;本当にあんな事言える立場じゃなかったし、傷付けてしまったのならどうしようかと思ってました・・・ 小説経験・・・ですか このサイトに出入りするようになってから、詩的な物を作るようになりました(捕食物だけだけど 冒険物とかのRPG系や、ちょっとした世界観のあるゲームが好きなので、そういう系ばっかですがね どうだっていいけど、最近PSP没収されたからよく来るように・・・(笑
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Re: 表裏一体 影の深淵 ( No.14 ) |
- 日時: 2011/01/24 17:59
- 名前: セイル
- グロ注意です
薄暗い雲が空を覆う。 白銀の世界が暗闇に包まれていた。 純白の雪に紅が舞う。 積雪に深紅が広がってゆく。 何かが裂け、何かが散らばる。 肉が裂け、潰れる。 筋も裂け鮮血が白に飛び散った。 「・・っ!?わ、我は・・?」 彼の目前に広がる光景。 積雪に広がる無惨な死体。 腹が裂かれ、血で溢れた体内が晒けだされていた。 喰い散らされた内蔵。肉片が辺りに飛散。 体を巡る血管も見えれば、骨を見えていた。 「我は・・もう・・生きられないのか・・」 無意識のもとで人間を貪り喰った。 それはもう神としての力を失いかけている・・残り僅かという事を悟る。 俯くその瞳は潤んでいる。 「神が命を奪うなど・・決してあってはならない・・」 深紅の血に濡れ染まった口元を前脚が拭う。 彼は神ではなくなる・・堕神となる・・ 神が己の欲望で命を奪えば、神は堕神となり現世で苦しみむ獣となってしまう・・・ 「グウゥゥ・・わ、我は・・」 神と堕神は表裏一体。 彼は陰の自分の姿・・陰の深淵に立たされていた。
* * *
「神獣さま・・?」 「やめろ・・我はもう神獣ではない・・・」 重い何かを宿した表情を貼り付け足取り重く彼は住処に帰った。 少女は何も知らない。日常と変わらない笑顔で彼に接する。 「神獣・・」 「やめろ・・・我は楓(かえで)と言う・・もう、“神獣さま”と呼ばないでくれ・・」 普段なら怒号を放つはずの彼は双眸を閉じて腰を降ろしながら疲弊した表情を浮かべた。 「か、楓さま・・疲れたの?」 「“さま”はいらない・・もうやめてくれっ・・我は神獣ではないのだ・・」 その“役目”から逃げるように首を振り、畏れに唸る。 彼は恐怖していた。“神獣”という自分自身の存在、価値を失うのを酷く恐れていた。 膨大な力も神獣であってこそ。堕ちれば力は失われただの怪物・・人間を本能のままに貪る化け物になってしまう。 それが・・彼にはたまらなく怖かったのだ。 「楓さまはどうしてみんなの願いを叶えてくれないの?いつも困り果ててからじゃないとダメなの?」 「それはお前には分からないだろう・・大人と我の間である契約があるからな。」 まだ“神獣”である自分を見たくない。 必死に心を抑え、双眸を閉じ少女から視界を隠す。 いや・・純粋に自分を信じてくれている彼女を直視出来なかったのだ。 「楓さまが怖いから?怖いからみんな楓さまを頼れなかったのかな?」 「これでも我は普通だ。そんな事を我に聞いてどうするのだ?答えは出ないだろう?」 「いいの・・私は親に“神獣さまには近づくな”って言われた。でも楓さまはとても優しかった。どうしてみんな怖がってるのか分からなかった・・・」 「何?・・それは本当か・・?」 「うん・・」 「なんと言う事だ・・」 驚嘆の声が漏れると同時に彼に答えがもたらされた。 人間たちが恩を返さないのではなく、彼自身が恐怖の対象となり恩を返す事が出来なかったのだ。 人間への毛嫌いは無意味だったのだ。むしろ彼らを受け入れ力を振るえば現状には至らなかったかもしれないかったのだ。 「原因は我か・・・」 楓は自嘲気味に鼻を鳴らした。 ビキッ・・・・ 全身を裂けるような激痛が駆け巡った。 「ぐがぁ・・・」 「楓さま?」 “生命の疼き”だ。 消えかかっている楓が他者の信仰を糧に生きており、その生命エネルギーが消えかかると生じる。 陰に潜めている本能が一度に解放され理性を飲み込む。 生きたいという生存本能が掻き立てられる。 「に、逃げろ・・・っ・・」 「ぇ・・?」 「グガァァァァアアッ!」 楓の巨躯がのたうつ。 その躯に少女は弾かれ壁に激突する。 「きゃ・・ぅ・・」 と同時に轟音が鳴り響いた後に洞穴の入口が塞がれてしまった。 「か、楓・・さま・・っ・・」 「今宵の晩餐はお前にしようか・・光栄に思うがいい・・ククッ・・神の糧になれるのだ・・」 「楓・・さ・・ま・・?」 彼は陰の深淵から落下してしまった。 今の彼は堕神・・生存本能の“神獣”楓だ。 目前の命を“餌”としてでしか見れなくなっていた。
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Re: 表裏一体 影の深淵 ( No.15 ) |
- 日時: 2011/01/24 19:38
- 名前: ロンギヌス
- うっひょー♪羨ましい(ちと怖い)展開。
とうとう堕神と化してしまったか…楓さま、できれば僕を丸呑みに…
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Re: 表裏一体 影の深淵 ( No.16 ) |
- 日時: 2011/01/24 23:02
- 名前: S
- 楓さまというのですか・・・
理性を失うというのは、神様としては痛いが、それはそれでいていいw その際には自分もまとめて・・・w
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Re: 表裏一体 影の深淵 ( No.17 ) |
- 日時: 2011/01/25 08:05
- 名前: リオレイア
楓さま…… 僕も…御身の一部となりたいです。
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Re: 表裏一体 影の深淵 ( No.18 ) |
- 日時: 2011/01/27 19:16
- 名前: セイル
- ピシッ・・ギリギリギリッ・・
「っ!?・ぁあぁぁあぁぁぁぁっ!」 彼女の体が宙に妖力で縛り付けられ通力が体を潰すかのように圧迫する。 「そうだ・・泣き喚け!もっと・・もっと・・苦痛に歪むが良いっ!!」 「ああああああああああっ!・・っあああっ!」 シュルルルッ・・ 九つのうち四つの尾が彼女を飲み込む。 顔だけを覗かせ尾は体を不規則に絞めつける。 「簡単に喰って貰えると思うな。」 「んぁっ・・ぅうんっ・・ゃぁ・・」 尾の柔らかさと温もりが絞め付け、苦痛がそうでもなくなり彼女は自然に喘いでいた。 苦痛から快楽。体への疲弊が大きかった。 「どうだ?苦しいか?ん?」 視界だけを除いた尾の隙間から楓が少女を見下す。 今度は尾の戒めを首だけにし、その体を解放させる。 「もっと声を上げたらどうだ?我慢するのは辛いだろう?声を上げて苦痛に歪め。」 だらりと嫌らしく煌めく舌が涎を滴らせ少女を舐める。 ベロォ・・ジュルルゥ・・グチュグチュ・・ ニチュゥ・・ネチャァ・・ジュブッ・・ジュブゥ・・ 「あぅ・・んんっ・・」 服と体に粘液を塗り付け彼女をただの餌に変えていく。 基礎体温が高く熱湯に近い唾液が生臭さと共に少女を拷問する。 「美味いな・・ククッ・・」 「か、楓・・さ・・まぁ・・」 「フフ・・まだそう呼べるか?どれ・・もっと苛めてやろうか・・クク・」 彼が不敵に笑い、牙を覗かせると溜まる唾液を啜り舌を巧みに操る。 ニチュゥ・・グチュゥ・・ヌチャニチャ・・・ヌリュゥ・ ニチュゥゥゥゥ・・ 「ぁんっ・・んぅっ!や、やめっ・・・」 少女の性感帯を的確に舐め上げ喘がせる。 その怯んだ隙にその肉厚の舌をじっくり這わせ味を堪能し快楽という苦痛をなじませる。 「フフッ・・どうだ?気持ち良いんだろう?どれ、今度は口でも楽しませてやろう。」 尾を使い、餌を頭上に持ち上げ上を向く。 にちゃぁ・・と粘液糸を無数に引いて巨口を開く。 餌を待ちわびて舌と粘液が生々しく蠢いている。 「我の体内で存分に可愛がってやる。」 ヌリュッ・・ハグッ・・・ 首の尾が唾液で滑って解放され、重力に従って落下を始める。 墜ちるのは地面ではない。楓の巨口だ。 多量の唾液と肉厚の舌が待つ地獄の部屋。 下半身がそれに収まると楓は彼女を咥え込む。 ヌリュリュゥ・・ニチャニチャ・・ 長く肉厚な舌が体に蛇の様に巻き付き、先端が少女の口に進入する。 「ん!?んぅ〜〜!!」 “黙れ”とでも言いたそうに表情を歪め舌を深く突っ込む。 先端が喉を塞いだ状態で口内を楓が犯す。 グチュ・・グチュ・・グチュ・・グチュ・・グチュ・・グチュ・・グチュ・・ 「んんんんんんんんんんんんん!?」 粘液を纏った舌が口内を犯し廻り粘液を飲ませ吐き気を誘発させる。 ニチュッ・・ヌチャニチュ・・グチャグチャ・・クチャクチャ・・・ 銀線を引いて舌が抜かれたかと思うと今度は口廻りを激しく舐めたてる。 「んぅ・・ぅんっ!」 「まだまだだぞ?我の戯れはまだ序章だ。」 ジュルッ・・バクン・・ 舌を巻き付けたまま器用に言葉を並べると舌で少女を口内に引き込むと口を閉じた。 彼女を可愛がり苛め通す楓の体内。 その入り口、出口が暗闇に閉じられた。
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Re: 表裏一体 影の深淵 ( No.19 ) |
- 日時: 2011/01/27 22:45
- 名前: リオレイア
- い、良いなぁ・・・
楓さまぁ、僕もお願いしますぅ! アソコをぺろぺろってしてから肉厚の舌で蹂躙してくだひゃい!
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Re: 表裏一体 影の深淵 ( No.20 ) |
- 日時: 2011/01/27 23:57
- 名前: ロンギヌス
- うおお…羨ましい!!楓さま好きなだけ僕をもてあそでください…できればその胃袋へと入りたいのですが…
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Re: 表裏一体 影の深淵 ( No.21 ) |
- 日時: 2011/01/28 19:51
- 名前: セイル
- グニィ・・・アグゥ・・・アグアグッ・・
ムグゥ・・モグモグ・・・ 楓が涎を滴らせ少女を甘く噛み締める。 顎を忙しく動かせ今度は歯ごたえを堪能する。 クチュゥ・・ムグゥ・・ニチュゥ・・アグアグっ・・ 甘噛み、舌で舐め転がし反対側で甘噛み。 噛まれ舐め上げられるとまた噛まれる。 グニュ・・ヌチャヌチャ・・ モグモグ・・ベチャッ・・ アグゥ・・クチャクチャ・・ ムグムグッ・・グチャリ・・ヌチャリ・・ 「あんぅ・・ひぎぃ・・やぁん!・・」 そのコンボを何十分、何十回と叩き込まれ少女の体は牙と唾液によって噛み解され味も随分と薄くなっていた。 過剰に分泌された唾液によっても彼女は唾液の一部と言っても過言ではない状態でもあった。 「そろそろ呑み込んでやろうか?」 ズリュゥ・・・ズル・・ズルッ・・ 彼は上を向き口内に傾斜をつけて彼女を喉に滑り落としてゆく。 唾液に濡れた体と舌の間に摩擦は発生しない。 いとも簡単に体が舌の上を滑っていく。 「あ・・あっ・・やっ・・・」 滑って喉に落ちていくのは少女自身も分かっていた。 体はすっかり疲弊しきって全く動かない、断末魔でさえ存分に上げられない。 喘ぎ声の様な悲鳴を上げた。 ズリュッ・・ゴクン。 体が喉に滑り込み、喉肉が彼女の足を捕らえる。 蠕動で一気に引き込み全身を呑み込む。 楓の喉を鳴らし、生々しい膨らみに姿を変える。 「クフフ・・・」 ズブゥ・・グジャグジャ・・・グジュルゥ・・・ ズリュズリュ・・グジュ・・・ニチャァ・・ 唾液と体液に絡み合い擦れ合い、泡を立てながら少女は楓の食道と言う名の肉洞を燕下されていく。 「おっと・・胃袋にはいかせんぞ?」 ゴポッ・・グムムゥ・・ グルルルゥ・・ジュムゥ・・グジャ・・ 燕下されていた膨らみが胃袋に落ち込む寸前に逆流。 呑み下された食道を吐き出されてゆく。 ゴパァ!ドチャドチャァ・・ 大量の体液と共に少女が吐き出された。 体を小さく震わせ体液の彼女は呻く。 よく見れば服が一部溶けていた。 「おっと・・胃液が混じっていたようだなぁ?・・ククッ・・」 堪えきれずに僅かな笑みが顔に浮かぶ。 「これからお前を我の気の向くままに呑んでは吐いてやる。胃袋に落ちればお前は死ぬ。」 シュルルルッ・・グイッ・・ 楓が舌を巻き付け空中に放り投げる。 「せいぜい落ちない様に足掻くがいい!」 落下する餌にタイミングを合わせ・・ バクンッ!ゴクリッ・・ 矮小な人間を口内に閉じこめ有無を言わせず呑み下す。 ズブッ・・ニチュニチュっ・・グジュルゥ・・ ゴプッ・・グジャリ、ジュブゥ・・ 胃袋の直前、噴門をこじ開ける前に食道の筋肉が蠕動で戻しあげる。 きつめの蠕動が体を絞め付けながら逆流させた。 ゴパッ!・・ハクッ・・ゴクリ。 吐き出した少女をもう一度咥え、呑み込む。 ズブッ・・ヌチュ・・ズリュリュ・・ グチュ・・・クチャ・・ グムムゥ・・コポッ・・・ゴポリ・・ ゴポォ・・ドチャリ・・ ハクッ・ゴクン・・ 咥えて呑み込み、吐き出す。 何十回と繰り返してようやく終わりを迎えようとしていた。 「・・・飽きたな・・お前の喉越しも十分に味わったしな・・そろそろ喰ってやろうか。」 楓は尾や舌を使わずに前脚で器用に少女を摘み上げ目前に。 「随分と汚らしい姿になったな。クフフ・・お前ら人間にはふさわしい姿だな。」 「・・・・ぁ・・う・・・」 「喋ることも叶わないか・・まぁいい・・お前もいずれ忘れ去られる・・我とともにな・・それならば我の血肉になるほうが価値があるだろう。」 トンッ・・・ゴクリ・・ 舌の上に優しく落とし、少女が小さく跳ねて・・ 小気味のいい音で呑み込まれた。
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Re: 表裏一体 影の深淵 ( No.22 ) |
- 日時: 2011/01/29 00:16
- 名前: リオレイア
- 楓さま……
なんと素晴らしい事を!幾度となく呑まれ、肉壁に押し包まれ、吐き出される… 嗚呼、なんと心地良きかな♪ 少女の次は僕を是非とも!
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Re: 表裏一体 影の深淵 ( No.23 ) |
- 日時: 2011/01/29 19:54
- 名前: S
- 自分なら狂信ってなるぐらいまで崇めますとも
こりゃそっちの神様としても、やっていけそうではないですかw
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Re: 表裏一体 影の深淵 ( No.24 ) |
- 日時: 2011/01/30 13:09
- 名前: セイル
- 異臭を放つ蒸し暑い楓の胃袋。
少女・・花梨(かりん)は肉床に四肢を投げだしただ頑なに閉じられた噴門を見つめていた。 「っ!?」 グギュゥゥゥゥゥ! 大人しくしていた胃壁が突如として動き出し花梨を潰しにかかったのだ。 グジュグジュ・・クチュ・・ニチャ・・ニチュ・・ グチャグチャ!ブチュッ・・グチャッ! 粘液を分泌しそれらと激しく混ぜ合いながら花梨を胃壁が揉み潰す。 「っぁ!ぁんっ・・ぇぅん!・あぁん・・」 胃袋という死の淵に立たされているにも関わらず喘ぎ声がでてしまう。 艶のある本能の声。 「おやおや・・随分と色っぽい声だな?ん?まだ消化するとは言ってないからな。眠れると思うなよ?意識のあるまま溶かしてやる。」 グジュグジュ・・グシャ・・グシャ・・ ジュブッジュブッ・・ニチャニチャ・・グチャグチャ・・ 胃壁の責めは激しくなるばかり。 クチュっ・・ジュゥゥゥゥ・・ 「っ!?あぁっ!」 それどころか忙しく蠢く胃壁から少しずつ色のある粘液・・胃液が分泌されていた。 その少しの胃液が蠢く胃壁によって拡散し、花梨の体に容赦なく塗り込んでくる。 ゆっくりではあるが快楽を塗り込まれると同時にとけていっているのだ。 「ああっ・・ぅんっ!あんっ!」 「ククッ・・さぁ、苦しめ・・我に悲鳴を聞かせろ!」 ゴシュっメキュっ・・グチュグチュッ・・ ニチュゥ・・ヌチャヌチャ・・ブチュッ・・グチャッ ジュブッ・・ジュゥゥ・・ 「か、楓・・さ・・ま・・」 もう感覚が・・痛覚が失われてきた・・ 胃壁に揉み解され、強酸に溶かされ白んでゆく意識の中、花梨は必死に言葉を紡ぐ・・ 「・・わた・・し・・信じ・・てる・・よ・・・」
* * *
だらしなく涎の滴る舌を垂らし、楓は生々しく膨らんだお腹を妖しく弄った。 「げふっ・・腹は満たされた・・」 大きなゲップを吐き出し腰を降ろす。 楓の首周りは粘液でべったりと張り付くように濡れ異臭を放っていた。 地面も吐き出した粘液でぬるねばになっており、胃液が混じっているためか無数の泡が立ち、若干、花梨の衣服の色が混じっていた。 「・・溶けたか?」 次第に胃袋から悲鳴が聞こえなくなり、手応えも感じられない。 意識を失ったか・・それとも完全に消化されたか。 「クククッ・・ハハハハハッ・・」 楓は声高らかに笑いを上げた。 堕神・・人間を喰い殺す堕神として・・
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Re: 表裏一体 影の深淵 ( No.25 ) |
- 日時: 2011/01/30 17:40
- 名前: リオレイア
- 楓さま……
是非とも神戸へ! 堕神?関係無い!
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Re: 表裏一体 影の深淵 ( No.26 ) |
- 日時: 2011/01/30 17:49
- 名前: セイル
- リオレイア様
「それはお誘い話か?供物があれば行ってやろうか? もちろん人だがな。」 んーはい どうぞどうぞ連れて行って下さい
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Re: 表裏一体 影の深淵 ( No.27 ) |
- 日時: 2011/01/30 19:39
- 名前: S
- 落ちた神様なんて・・・
ええではないかw
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Re: 表裏一体 影の深淵 ( No.28 ) |
- 日時: 2011/02/01 17:04
- 名前: セイル
- 堕神・楓はその本能に従った。
毎晩、毎晩、老若男女関わらず喰い殺していった。 自らの命を繋ぎ留めるために他人を容赦なく犠牲にした。 喰い千切り、喰う。噛み砕き、喰う。 尾で絞め上げ、喰う。とにかく喰らった。 必ず一人は花梨のように苛めながら喰らっていた。 その村はすでに・・壊滅状態に近かった。 家もほとんどが倒壊。人影も少なかった。 そんな彼が神獣・楓として彼自身を取り戻したのはそれから数日後だった。 「・・・っ・・頭が・・」 前脚で頭部を押さえ彼が覚醒する。 躯はかなり疲弊しており、胃もたれを起こしている。 「何か・・喰いすぎたのか・・?」 と、彼はハッとする。 自分が神獣としてではなく堕神に堕ちて意識を失っていたことに気付く。 「っく・・動け・・我の躯・・っ!」 疲弊しきった鈍重な躯を引きずり洞穴から身を出す。 目前に広がる光景・・・ 「ここには村があったのでは・・ないの・・か?・・我は一体・・どこへ・・?」 人影は無く、建物は倒壊、無惨な爪痕を残している。 所々には雪が覆っているものの微かに血痕も見られた。 「これは・・我・・なの・・!」 彼は気付いてしまう。 自分の口周りと爪に付着していた血痕を。 すでに酸化し、黒ずんで爪に付着した村人たちの血痕を。 「・・そうか・・我は・・堕神に・・」 ー楓さま・・・信じてる・・ー 「!? 花梨!」 楓は触れた者の名を知ることができた。 この様子から花梨を喰らってしまった事も用意に悟っていた。 「花梨・・我はなんという事を・・」 それと同時に彼にもう一つの心が生まれた。 後悔と償い。花梨を蘇生したいと。 「・・この躯だ・・蘇生は一人・・他の者は怨まないでくれ・・我も悪ければお前らも悪いのだからな。両成敗というやつだ。」 彼は身を翻し、洞穴に還る。 たとえ神とはいえ、命を弄ぶ事は許されない。 その戒めを破った者は堕ちる事を余儀される。 ・・堕神に成ることを意味しているのだ。 「失われしその御霊よ・・・神獣の力を以てこの現代に御霊を再び光臨せよ。」 彼はただ花梨を願う。 目前に小さな光の粒子・・魂が収束してゆく。 骨格が再構成・・続いて肉体が。 内臓・・血管・・筋肉・・細かな所まで精密に花梨が構成されていった。 彼が双眸を開く頃には・・蘇生は完了していた。 「・・・花梨・・っ・・ゴホッ!ガハッ!」 堪えきれない何かを咳き込んで吐き出す。 血と肉片に骨・・さらには内臓まで混じっていた。 蘇生の代償だった。 堕神に堕ちる事とあらゆる半分を持っていかれる事だった。 現に彼の姿はすでに代償を払っていた。 尾は五本、翼は片方を失い、耳も無い。 左目も視力を失い虚ろであり、疲れはてた表情をしていた。 内臓も半分。骨も約半分持っていかれている。 生きていくのに必要最低限だけが残されていた。 「流石に・・躯は大・・丈夫・・なのか・・」 どさり・・と重い躯が地に落ちる。 「楓・・さま・・」 「・・・おぉ・・花梨・・」 「・・私・・信じてました・・」 「すまない・・我の欲望で・・」 花梨は特に気にする様子もなくただ首を横に振るだけ。 「・・楓さま・・もう・・喰べませんよね・・?楓さまはずっと・・楓さまで・・いられるんですよね・・?」 「・・あぁ・・もう大丈夫だ・・」 お座りの状態で花梨を楓は抱き取り、腹に埋める。 彼の彼なりの愛情・・初めて人間に見せた心だった。 自分の全てを見据えてくれる相手を心配していたからこそ自然に出来た事であった。 「・・暖かい・・」 「・・ずっと・・離さないからな・・」 その双眸に一つの煌めき。
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Re: 表裏一体 影の深淵 ( No.29 ) |
- 日時: 2011/02/01 17:08
- 名前: セイル
- いやーはい終わりました
今回は更新が遅めでどうもすみません 次回作は裏で 闇夜の黒狼 十六夜の章 です ぜひお読みください
ではでは 黒狼さんと共にお待ちしています・・
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Re: 表裏一体 影の深淵 ( No.30 ) |
- 日時: 2011/02/01 19:57
- 名前: S
- 楓さま・・・やっぱかっちょ良すぎです・・・w
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Re: 表裏一体 影の深淵 ( No.31 ) |
- 日時: 2011/02/01 21:46
- 名前: リオレイア
- 楓さま……
良かった、救いを、安らぎを得られて… もし、また「喰らいたい」衝動に襲われたなら僕を……
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Re: 表裏一体 影の深 ( No.32 ) |
- 日時: 2011/03/03 19:49
- 名前: サバラン
- 初めまして サバランです。
楓さまかっこいい!! 僕をその胃袋に入れてください!
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