Re: 舟の向こう ( No.1 ) |
- 日時: 2011/01/01 22:56
- 名前: ロンギヌス
- 「なにさ…みんなキライだ!」
耐えきれなくて、ボクは家を飛び出した
後ろから聞こえるマスターのこえにも耳貸さず、いつもと変わらない風景の中を、空切って走った
飛び出たところで行くあてもないから、とりあえず海へ…自分の生まれた海へと走った
「はぁ…はぁ…」
目前にひろい海をおいて、ボクは荒い息を吐いた 来てもなにもない、そんなの絶対わかってる でも突然、体が海にいけっていってたんだ 理由は分からないよ?
でも…いざ来てみれば…潮風が気持ちいいや。 最後にこの空気吸ったのはいつだろう…
なにもない、一人っきりの世界だと思ったのに、視界の端にぽつんとたたずむ、黒い「もの」があった。
「もの」はボクにスタスタと近づき、ひざまづいた
「お待ちしておりました」
「きみ…だぁれ?」
「あなたの望みを叶える、あなたの影です」
「ふーん」
「さっそくですが、舟をご用意しました」
「ふね?」
「はい、こちらへどうぞ」
頼んでなんかいない。その「もの」が勝手に用意してくれた舟は、とても小さかった。ちょっと大きめのボート?
「こんなの乗れないよ 小さすぎるもん」
「のれますよきっと。お乗りなさい。」
「本当?」
「はい」
「どこへいくの?」
「先へ…向こうへ」
「なにがあるの?」
「さあ」
好奇心がをさわぐ中で、ボクは舟に手をかけ、勢いよく乗りこんだ。
「の…のれ…るんだ」
「ふふ…では私も失礼します」
「もの」は向かいに座り、木のオールを手にした。
「あ…お金は?」
「もう頂いています…気になさらずに」
舟はゆっくり動きだし、海辺の岸を離れた
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Re: 舟の向こう ( No.2 ) |
- 日時: 2011/01/02 00:02
- 名前: ロンギヌス
「あ、そうだ・・」
いつの間にか周りが地平線だけになったとき、「もの」が語りかけてきた
「知らないとは思いますが・・・ヒトリになれましたよ」
「え・・?」
意味が分からないや・・どういう意味なんだろう。
「私はあなたが望む、ヒトリをつくって差し上げましたよ」
「どういう意味?ひとりって。」
IQ300でも理解できない意味をずっと考えたけど、結局ボクには難しかったみたい。
「意味?そうですね・・・あなたの頭脳なら分かるはずでは?」
「わ、わかんないってば・・教えてよ。」
「フフ・・私にもわかりません・・ただ・・」
「それをあなたが望んだという事です」
「え・・?」
それが引き金になったのかな。ボクの視界は真っ暗になり、ボク自身、その暗闇のなかに落ちていった。
「・・こ、ここは・・」
なにも見えない、暗いブラックボックスの中だった
「どうです?ここがアナタの世界・・エターナル=カイオーガという命が持つ、心の闇ですよ」
「ど、どういう意味なの・・?君って・・誰?」
「まあまあ・・私も二つの質問には答えられません・・」
「もの」は身を翻し、周りの闇と体を混ぜた。
数十秒後、「もの」がいた辺りには、カイオーガそっくりのポケモンがいた。いや、コピーと言った方がいいかもしれない。
「き、きみ・・誰・・」
「私はあなたそのもの・・あなたの裏ですよ」
「裏・・?」
「そう、裏。あなた=私です・・・あなたの心には先程、『みんなキライ、消えろ』という感情が生まれました。大方ロンギヌス達と喧嘩でもしたのでしょうが・・そこでこの部屋でずっとひとりだった私が、代わって差し上げるために接触しました」
「え・・・え・・?」
「フフ・・理解できませんか。この空間は私たちエターナル=カイオーガの心の闇・・どちらかが精神、身体を支配し、どちらかはこの空間に閉じ込められる・・そういうことです。今まで私はこの部屋でずっと・・あなたが生まれてからずっとここに幽閉されていました。」
ボクは後ずさり、迫ってくるもう一人のボクから離れるつもりだった。でもあいつは自分そっくりの舌を伸ばし、ボクの体に巻き付けた。
「う・・ぅぅ・・」
「今度は私の番・・あなたはずっとここで暮らしなさい」
「いやだょ・・そんなの・・ボクはボクだ・・・お前なんか・・」
「ボク=私ですよ。ロンギヌス達は性格が変わって戸惑うかもしれませんが・・・すぐに慣れるでしょうね」
もう一人のボクはそう言い残し、影となって消えた。
多分・・ボクの『表』を侵しにいったんだ・・
〜〜〜〜〜〜
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Re: 舟の向こう ( No.3 ) |
- 日時: 2011/01/02 00:11
- 名前: ロンギヌス
- 登場人物紹介〜補足
裏カイオーガ
カイオーガの反対に位置する人物。カイオーガが生まれてからずっと、心の闇に閉じ込められていた。性格は正反対。
心の闇
片方の人格が身体と精神を支配している間、もう片方の人格が幽閉される空間。名前通り何もないが、支配している方がなにをしているか見る事はできる。
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Re: 舟の向こう ( No.4 ) |
- 日時: 2011/01/02 00:56
- 名前: akod
- そうか…なんかの衝動でその「裏カイオーガ」と本物のカイオーガが入れ替わったのか…
うーむ。毎回ロンギヌスさんの発想には驚かされます。
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Re: 舟の向こう ( No.5 ) |
- 日時: 2011/01/02 01:13
- 名前: ロンギヌス
- >akod様
衝動でというより、裏カイが無理やりそうなるよう仕向けたって感じですね。(ほとんど一緒ですが
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Re: 舟の向こう ( No.6 ) |
- 日時: 2011/01/02 09:32
- 名前: アサシン
- うわぁ…
ちょっと怖いかも…
裏の人格ってホントに怖いね! 今後の展開に期待します!
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Re: 舟の向こう ( No.7 ) |
- 日時: 2011/01/02 18:09
- 名前: リオレイア
- 裏の人格ですか…
「心の闇」は誰にでも有るもの… ひょんな拍子に落ちないように気を付けねば…
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Re: 舟の向こう ( No.8 ) |
- 日時: 2011/01/02 18:11
- 名前: 闇銀
- お・・これはまた深くなっていきそうな・・
名作になりそうな予感・・ (っていうか ロンギヌスさんの小説、全部名作ですけど・・
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Re: 舟の向こう ( No.9 ) |
- 日時: 2011/01/02 19:01
- 名前: ロンギヌス
- >アサシン様
自分の反対ってのを想像すると、背筋が…w
>リオレイア様 そうですよ〜♪何だかんだいって一番怖いのって自分ですからね。
>闇銀様 名作を予感できるってスゴ… (個人的にはどこが名作?って感じなんですけどね
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Re: 舟の向こう ( No.10 ) |
- 日時: 2011/01/02 20:07
- 名前: ロンギヌス
- 今作より再び「ガイアメモリ」が登場します。僕の旧作を読んでくれている人は分かると思いますが、なにそれって方は以外の説明を…
ガイアメモリ〜 様々な力がプログラムされたUSBメモリ型のアイテム。世界中に工場があったが、不慮の事故によって世界中にばらまかれた。
それぞれついている小さなボタンを押すことでそのメモリの名前が読み上げられ、力が作動する。
詳しい画像はgoogle画像で検索してください。 〜〜
とまあ簡単な説明でごめんなさい。
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Re: 舟の向こう ( No.11 ) |
- 日時: 2011/01/02 21:28
- 名前: ロンギヌス
- 裏カイ「ただいまマスター…元気でした?」
ロンギ「さっき出ていったばかりじゃん…っていうかどうした!?その口調!!」
裏カイ「いや…実は先ほど頭を木に強打して…クラクラと。」
ラティ「それは大変ですね…兄さんが狂うと私の調子が崩れます…」
ロンギ「だ…だろうね…まあとりあえず家入れって。」
〜〜〜
カイオーガは裏の自分が仲間に迎えられるのを、悲壮感漂わせながら見つめていた。
…やっぱりあいつ…ちゃんと溶け込めてる…ずっとこのままだったらボク…
…捨て…られる?
「いやだぁ!!ボク…ぃゃ…!!出してよおっ!!」
自分が自分に奪われていく…あの舟に乗らなければ…こんなことにならなかった…!!
黒い地面にヒレをつき、カイオーガはうつむいた。どんなに強い技を放っても、この空間は破れない…理由はないのにそう感じた。
赤い瞳から涙が…出てこない。二度と会えない悲しさのためか、涙は一滴も落ちてこなかった…
「あ、あのー…ここは…いったい…」
「やあ…どうですか調子は」
「……!!」
今は異常に憎たらしく聞こえる…自分の声。顔を上げるとそこには、外界に出られてご満悦の裏の自分が、無邪気な笑いを浮かべていた…
「出し…っ…出して。」
「お断りします。いつまで言わせるんです?私はただ様子を見にきただけですよ…」
「ボクは…ボクはボクだけのものだ!それに勝手に入らないでよ!」
「ほう…この体はあなたの物…支配者はあなた…証拠でもありますか?」
「…っ……」
「たまたまの二重人格かもしれませんが…それも運命は運命…ではこれにて。」
裏の自分が消えようとしたのを、カイオーガは見逃さなかった。いや…見逃せなかった。瞬発的にヒレを掴み、地面へと叩きつける。
ドガッ…!! 「…!!や、やってくれますね…流石は私…」
裏は大した表情はせず、すっと飛び上がってカイオーガと向かい合った。
「君はボクの裏返し…戦闘力だって同じはずだ!」
「同じ?…ええ、そうですね…これが無ければ。」
裏は暗闇の中に手を入れると、どこか見覚えのある…銀色の巨大アタッシュケースを取り出した。
「そ、それ…なんで君が…?」
「フフ…あなたには関係ありません。あなた自身消し去って…裏も表もなくしましょう!」
カチリと蓋を開けるとそこには、もう見たくもない…色とりどりのガイアメモリが綺麗に収まっていた。裏はそこから漆黒のメモリを取り出し、残りはケースごと地面に投げ捨てた。
「私を司るこの力……あなたにもたっぷり見せてあげましょう…」
「………?」
カチッ…「SYADOU(影)!!」
〜〜〜〜
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Re: 舟の向こう ( No.12 ) |
- 日時: 2011/01/02 22:02
- 名前: sou850
- いつも読んでいます!今回は、すこしホラーな感じですねw続きを早くみたいです!
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Re: 舟の向こう ( No.13 ) |
- 日時: 2011/01/02 22:31
- 名前: ロンギヌス
- >sou850様
ありがとうございます! いやーホラーというか…心理的にカイオーガが食われそうですw
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Re: 舟の向こう ( No.14 ) |
- 日時: 2011/01/02 22:38
- 名前: 闇銀
- お、ガイアメモリ 久々の登場ですね
表カイオーガ君は 無邪気さが可愛い・・・ 裏カイオーガ君は クールな感じでかっこいい・・・ ど、どちらを応援すれば・・・ いや、ボクはずっとカイオーガ君のファンだヨ!(orz
今、サスケ見てま〜す(関係ねぇw クリア者は 外国人が多いみたいですね・・(見てなかったらすみません・・・
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Re: 舟の向こう ( No.15 ) |
- 日時: 2011/01/02 23:03
- 名前: アサシン◆ov3nBiFvR3E
- ガイアメモリ…だと…
表カイオーガを助けたいが心の中入れないジャマイカ!
頼むから消えないでくれ〜…!
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Re: 舟の向こう ( No.16 ) |
- 日時: 2011/01/02 23:48
- 名前: ロンギヌス
- >闇銀様
どちらも応援してあげて下さいw 負けた方は恐らくもう出演しないかと…
>アサシン様 応援は心の中だけにお納めください… というかカイちゃん消えられたら僕困りますよw
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Re: 舟の向こう ( No.17 ) |
- 日時: 2011/01/02 23:50
- 名前: 名無しのゴンベエ
- 15>ジャマイカとかwwつまらんww
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Re: 舟の向こう ( No.18 ) |
- 日時: 2011/01/03 01:21
- 名前: リオレイア
- うーん…
裏のままで良いんじゃww でもあまりおいたが過ぎるとトマホーク巡航ミサイルが飛んでいくからね〜 え?サイコキネシス?ならポセイドン戦略核ミサイルだ!
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Re: 舟の向こう ( No.19 ) |
- 日時: 2011/01/03 08:28
- 名前: ロンギヌス
- >名無しのゴンベエ
去れ
>リオレイア様 か、核は困りますって…w(肉片になっちまう
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Re: 舟の向こう ( No.20 ) |
- 日時: 2011/01/03 10:07
- 名前: アサシン◆ov3nBiFvR3E
- >名無しのゴンベエ
ウケ狙ってないんで突っ込まなくて結構。 あんた場違いだな( ^▽^)ケケケ
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Re: 舟の向こう ( No.21 ) |
- 日時: 2011/01/03 10:15
- 名前: アサシン◆ov3nBiFvR3E
- >名無しのゴンベエ
ちなみに、「とか」の用法間違ってるぞw 「とか」は二つの言葉を並べないと意味が成り立たないんだよ? 例) 勉強とか遊びとか 海とか川とか
「とか」の用法間違えてどうすんの?w恥ずかしいねw
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Re: 舟の向こう ( No.22 ) |
- 日時: 2011/01/03 10:28
- 名前: ロンギヌス
- 戦況は凄まじいものだった。シャドウメモリは影から色々生み出せるらしく、裏はダークポケモンを大量に作りだして攻撃してきた。
「うわあっ…」
カイオーガの実力からして、それらのダークポケモンは簡単に倒せた。しかし数が圧倒的に多く、この部屋の彼方までそれらで埋め尽くされていた。
「えへ…でも…負けない!」
ハイドロポンプでは追いつかず、とうとう奥義を繰り出すカイオーガ。
「オーシャンウェーブ」…彼だけが使える最強の技だ。なみのりとは比較にならない大津波が、一撃で全てのダークポケモンを倒した。裏はまもるを使い、難なくその攻撃を回避した。
「あーあ…これじゃキリが無いですね…なら一発で倒してあげましょう…」
裏は投げ捨てたケースから、赤茶けたメモリを抜き取る。
カチッ…「RANS(槍)!!」
ドシュ…ドドドドド…!!!
裏の手から無数の槍が飛び出し、カイオーガにドスドスと突き刺さった。
「ううっ…なら…ボクだって…!!」
血を流しながら水球を作り、目くらましに裏の足元に撃ってから、カイオーガはメモリケースごと奪い取った。
「なっ…か、返しなさい!」
「やだね…これだ!」
再び槍が飛んできたが、その前にカイオーガはメモリのボタンを押していた。
カチッ…「TIME(時)!!」
ゴォーーーーーーーン…
「な、なに…!!」
時計台のような音が鳴り響き、向かってくる槍の動きが鈍くなった。タイムメモリはカイオーガ以外の時間を遅くしたのだ。
「くそっ…か、体が…」
「はぁ…はぁ…うっ…」
カイオーガは傷を押さえ、地面に手をついた。ダメージが、雪崩のように襲いかかる。
「はぁ……ぐっ…ボクは…」
滴り落ちる血をこらえながら、1本の赤いメモリを手にとり、カイオーガは立ち上がる。
裏は時間が止まって動けないため、うんうんと唸り続けていた。迫ってくるカイオーガを罵倒し、ののしった。
「来るな…私は…私だけのものだ…あなたに奪う権利はない!」
「それはキミもじゃないか…負けたら終わり…多分それがここのルールなんだ。だから…」
向かいあう2人のカイオーガ。その片方の手には…
カチッ…「VORE(捕食)!!」
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Re: 舟の向こう ( No.23 ) |
- 日時: 2011/01/03 14:32
- 名前: アサシン◆ov3nBiFvR3E
- かっこいい…かっこ良すぎるぞ!
そのまま喰らっちゃえw
ふとした疑問なんですが 裏が無くなるとどうなるんでしょうね…w
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Re: 舟の向こう ( No.24 ) |
- 日時: 2011/01/03 14:48
- 名前: ロンギヌス
- >アサシン様
裏が無くなると表のみとなるので、『普通』になります。 (要するにカイオーガの心は一人が受け持つことに
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Re: 舟の向こう ( No.25 ) |
- 日時: 2011/01/03 15:55
- 名前: リオレイア
- うおおおぉぉ!
カイオーガ頑張れ! あ、トマホークの発射スイッチ押しちゃった…
瀬戸大橋線は暇だー!(運転中) やっぱり海は海ですねww 15分かかる…
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Re: 舟の向こう ( No.26 ) |
- 日時: 2011/01/03 21:49
- 名前: ロンギヌス
- >リオレイア様
ぎゃああトマホーク飛んできt… ドゴオオオン!!
けほ、けほ…う、海ですか…
僕瀬戸内海と太平洋しか見たことないんですよね…w(日本海まだ
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Re: 舟の向こう ( No.27 ) |
- 日時: 2011/01/03 23:32
- 名前: 闇銀
- トマホークってミサイルじゃなかったっけ・・
「けほ、けほ」で済むって ロンギヌスさん すg(殴
うおお、カイオーガ君頑張れー!! ん?VOREってことは カイオーガがカイオーガを食べるのか・・?
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Re: 舟の向こう ( No.28 ) |
- 日時: 2011/01/03 23:57
- 名前: ロンギヌス
- ハハ…そういう事に気にしちゃだめですw
流石にカイオーガも同じ大きさの「裏」を食べるのにはメモリの力を借りる必要があるようですよ。(共食いw
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Re: 舟の向こう ( No.29 ) |
- 日時: 2011/01/04 08:42
- 名前: suit
- 裏の自分を捕食するとは…これで元のカイオーガに戻れるのかな?
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Re: 舟の向こう ( No.30 ) |
- 日時: 2011/01/04 08:46
- 名前: ロンギヌス
「触らないで下さい…偽物ォ!!」
「………」
カチッ…「VORE!!」 カチッ… カチッ… カチッ… カチッ…
「あ…ああ……」
ムッとしたのかカイオーガはボタンを連打し、体を6倍に巨大化させていた。スイカ程もある涎の雫が垂れ、小さな水たまりを作る。
「一応ボクなんだから…騒がないでね?」
「くっ…くそっ…!!」
「…!」
裏はその巨大さを利用したかったのか、カイオーガの腕下をかいくぐって、打ち捨てられているメモリケースへと手を伸ばした。
グルッ…ぎゅううっ!!!
「あ…がああああっ!!!」
ケースに触れるまでに体は舌に巻き取られ、雑巾のように絞られる。全身の骨が潰れそうになり、裏はズルズルとカイオーガの前へと呼び戻された。
「くぁ…ぁ………ぅ…」
「さてさて…どうやって呑み込んであげようか…?」
自分を痛めつけているようで、あまり気持ちの良いものでもない…しかしカイオーガには、その「自分」を取り戻す必要があった。
小さな自分の前で、ゆっくり口を開けていく。沢山の唾液が柱のようにたっており、口蓋から舌の上にポタポタと滴り落ちていた。
「んあ…」
「ひ…やめて下さい……あなたなんかと1つになる理由は…!!」
「…やっぱり君はボクじゃないや…」
バクッ…ごく…!!
「うわああああああああああああ」
食道の中で暴れているのが、外からたっぷり見てとれる。自分=膨らみはズンズンとその管を降りていき、胃と思わしき部分で止まった。
当然胃袋についたところで、裏は抵抗を止めていない。カイオーガの胃壁を必死に攻撃しているのか、膨らみはぐよぐよと蠢いていた。
「残念だけど……こうだ!」
カイオーガは意を決して、思い切り地面にお腹を押し付ける。裏はそれでも暴れるのをやめなかったが、潰しっ放しにしているとしばらくして動かなくなった。
抵抗が消えて10分……漸くカイオーガは押し付けるのをやめ、ピクリとしか動かない膨らみを見つめた。
やったー♪…って喜んでいいの?これ…
しかし考える間もなく強い眠気に襲われ、カイオーガはコテリと眠りこけた。
〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜
「……あっ…」
ロンギ「やっと起きた…ずっと固まってたから死んだのかと…」
ラティ「兄さんはあなたより長生きですよ♪」
「…も、戻った…の?」
ロンギ「え?なにから?」
「あ…ううん…気にしn…」
ぐううううぅ……
「あはは…お腹へっちゃった♪なにか食べていい?」
ロンギ「性格も戻ってるし…なにがあった?」
「ずっとペコペコだったんだ…今も。」
白いお腹に膨らみは無く、彼の胃袋は低く唸っていた。
ラティ「ご飯ありますよ。食べましょう。」
ロンギ「あんまりガツガツ食うなよ…?食費ってもんが…」
「じゃあねマスター…ガツガツ食べてくる♪」
ロンギ「あいつ…悪魔か。」
やっぱり……普通が一番いいや♪
the end
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Re: 舟の向こう ( No.31 ) |
- 日時: 2011/01/04 08:50
- 名前: ロンギヌス
- suit様
どうやらそのようですね。 仕組みは僕にもイマイチ分からn(自重
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Re: 舟の向こう ( No.32 ) |
- 日時: 2011/01/04 14:01
- 名前: 闇銀
- いやぁ、ハッピーエンドでよかった〜・・・
やっぱりいつものカイオーガ君が一番ですよね! 今回のもかなり良かったです!!
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