Re: 鎖心 囚われの身体 ( No.1 ) |
- 日時: 2010/12/25 22:27
- 名前: akod
- そのポケモンは見かけによらず温厚で優しい性格だった。
他のポケモンを食べる事も無く、喧嘩や戦いも好まなかった。
この日が来るまでは…
タッタッタ…
「ねぇグラードン、遊ぼぅよ」
まだ小さいリオルがグラードンを呼ぶ。 その声はグラードンが住んでいる森の木に反響する。 「ちょっと待っててね。仕度するから〜」 仕度と言っても水を飲んだり顔を洗ったりするだけ。
「お待たせ♪他のみんなは?」 グラードンが獣道を歩きながら言う。 「広場で君がくるのを待っているよ。」 リオルは早く遊びたいと思っているようだ。 「わざわざ呼んでくれたんだ。お礼に僕の背中にのってよ。運んであげる。」 こんなやり取りが続く。 グラードンはその温厚な性格で友達の輪が広かった。 自分の体で他のポケモンを遊ばせてあげたり、いじめられているポケモンをかばってあげたり。 とにかくポケモンの間では評判がよかった。
「もうそろそろ日も暮れたし、帰ろうかな。」 グラードンが空を見上げながら帰る準備をしている。 「僕も帰ろっかな。」 段々、広場にいるポケモンも減って来た。 「みんなも早く帰らないと闇ポケモンたちにイタズラされるぞ〜」 グラードンが呼びかけ広場にいるのはグラードンとリオルだけになった。 「僕も帰るね。バイバイ、グラードン。」 手を振りながら遠ざかる。 「じゃあね〜リオル〜」 大きな手を振りながら帰路を辿る。
「もうすっかり夜になっちゃった。今日の夕飯何にしようかな?」 食べ物の事を考えながら暗い道を歩く。
突然後ろのほうで気配を感じた。 「ん?誰?」 振り返っても誰もいない。 「気のせいかな…早く帰ろう。」 怖くなって逃げるように進む。 「うっ…」 何かにとりつかれたような感じが全身に走る。 「だ、誰…やめて…」 まるで身体中の神経が切れたように動けない。 (助けを呼ばなきゃ!大声を出したら誰かが来てくれる!)
「・・・・・・・」
(うそ!?声まで出ないよ!) 取り付かれた…いや乗っ取られたと言うべきだろう。 (誰?誰なの?) 思うだけで口に出ない、心の叫びだ。 「俺はビアル。生きていた時はそう言う名だった。」 (びある…?僕の思いが聴こえるの?) 「そうだ。完全に乗っ取ったから心まで見える。) (で?それで僕の身体を何故乗っ取るの?) 「言うと長くなるが…
ビアルはもともと大柄のグラエナだった。 食欲も旺盛、ビアルのせいで滅びた村は数しれず… やがて危険に思った村人が毒入りの肉を差し出しそのまま倒れ亡くなった。 だがあまりに食べ過ぎたため現実の味が忘れられず霊となり他人の身体を乗っ取り食べ続けた。 そして次はグラードンが身体を提供する…
…という訳だ。」 「これからお前の周りにいるポケモンを食わせていただく。」 (って言う事は僕の友達を食べるって事なの?) 「そう言う事だ。お前は今日から捕食者だ。」 グラードンはまだはっきり意味が分からなかった。 「つ・ま・りお前の身体でお前の友達を食うって事だ。」 グラードンはハッキリ意味がわかった。 (うそ…ぼくがリオル達を食べるって事?) 信じられないとでも言うように問いかける。 「そんなとこだ。」 (嘘、イヤだよ…僕の身体を返して。) 「いいや、こんな好都合な身体はどこを探してもいない。他のポケモンが探さなくてもよってくる。それに身体も大きいからたっぷり思う存分食べられる。」 嬉しそうにビアルが言う。 (ヤダ…僕がリオル達を食べるなんて、想像が出来ない。) 涙のでない目で泣いている。 「いいさ。現実を見せてやる。」 と言いリオルの家へ歩いてゆく。
「おお。ぐっすり寝ている。」 ビアルのよだれがリオルの顔に落ちる。 (リオル、逃げて…) 声が届くはずも無く 「ん…やあ、グラードン。こんな時間にどうしたの?」 眠たそうにリオルが言う。 「美味しくいただきに来ました」 「え?寝ぼけてるの?グラード…ぬぺっ!?」 食べたいと言う衝動を抑えきれず、ビアルはリオルを舐め回す。 (やめて、僕の親友を食べないで…) グラードンの声も聞こえないぐらいビアルは食べるのに夢中だ。 「ぐへっ、やめてグラードン…なんで僕を、オエッ舐めるの?」 大量の唾液がリオルにまとわりつく。 「君。美味しいネェ。」 「え?グラードン、気は確か?まさか僕を…」 「イッタダキマァス」 (食べないで…僕の親友を……)
バクッ…ゴクン。
「久しぶりに御馳走を食ったな。美味かった。」 丸くなった腹を見つめながらビアルが言った。
(リオル…うそだ…うっ…うわぁあぁああん、わぁああぁぁあん) 涙も声も出ない。「悲しい」という感情だけがある。
身体を取られ、友を一匹失った。 自分で操作する事の出来ない身体はもうこの身体は自分の物ではなかったー
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Re: 鎖心 囚われの身体 ( No.2 ) |
- 日時: 2010/12/25 22:27
- 名前: akod
- しばらく取り付かれていろいろな事がわかった。
まず痛みや寒さと言った感覚はビアル、グラードンとも感じる。 また味覚はビアルだけしか分からない。
この後もビアルはグラードンの身体で食べ続けた。 グラードンの心は一匹たべる度深い傷を負った。
「ふぅ食った食った。お前の友達は美味しいな。」 相当な腹を見つめながらビアルは言った。 (・・・・・) グラードンは精神的ショックで言葉が出ない。 「まぁ昨日まで一緒に遊んでた仲間を自分が食ったんだからな。そりゃ悲しいわな。」 グラードンの気持ちを逆なでするような言葉。 (僕じゃない!食ったのは君でしょ…) 「まぁまぁそう怒るなよ。もうお前の友達はいないから大丈夫だろ?」 (………………)
「この森にはもうポケモンはいないな。次の街にいくぞ。」 (次の街って…まだ食べるの?) 「この身体が大きいおかげだな。」
森を出て街に向かうビアル。 途中一軒の店があった。かなり小さい。 ー捕食専科ー 「変わった名前だな。入ってみよう。」 (ううっ…もう捕食って文字を見るのも嫌だよ。) ガラガラガラ…
中には小さな集金箱。ボタンが三つ付いている。 「なになに、お金をいれて好きなボタンを押してねだって?ちょっとやって見ようか。」 ビアルがお金を準備する。 (嫌な予感しかしないよ。) カチャ…チャリン♪ 「よし。赤いボタンを押して見ようか。」
ててーん♪あたりだよ。
「おっあたりだ。何だろう」 いきなり後ろの方から声がした。 「それは幻覚だ!今日こそ勝敗をはっきりさせよう。グラエナ。」 と言う声と共に黒い玉が飛んで来た。 (痛っ!?) 「ぐえっ!?」 もろにその攻撃を受けた。 [君、身体を乗っ取られて困っているでしょ。待ってて今助けてあげる。] ビアルには聞こえない、グラードンだけに聞こえる声で言った。 (誰だか知らないけど、よろしくお願いします。)
「お前もしかして…ルカリオか?」 「そうだ。他人様に迷惑をかけるのもいい加減にしろ。」
ルカリオ…昔グラエナとともに生活をしていたポケモンだった。 グラエナが捕食に狂うまで一緒にいたが狂ったあとは捕食について喧嘩になりそれぞれの道を辿る事になった。 ルカリオはグラエナが他人に取り付くと止めに入りグラエナをその身体から追い出す事を続けて来た。
「お前もしつこいな。そこまで俺が捕食するのいけないか?」 「他人を巻き込むなと言いたいんだ。」 「いいぞ、分かるまで力尽くでも教え込んでやる。」 (どうやら勝負が始まりそうだ…) 「いざ尋常に勝負…と言いたい所だがいくらなんでもグラードンの身体だったら勝ち目は無い。」 「俺には身体がないんだ。お前もわかってるだろ?」 (ちょっと待って、僕の身体を使って戦闘するの?」 「そうにきまってるだr…」 「隙ありっ」 油断しているビアルの脇腹にすかさず攻撃をした。 「いってぇ。話してる途中に攻撃なんてひきょうだぞ!それならこっちだって…」 ルカリオの動きを読み、身体の力を生かした強大な攻撃をしかけた。 「ぐはぁっ」 ルイスは小屋の壁に身体があたり、小屋の屋根が落ちルイスを下敷きにした。 それでも容赦無くビアルの攻撃が続く。 小屋の屋根の上に登り空高くまでジャンプしそこから一気に落ちる。 グラードンの身体の重さで小屋の屋根が壊れる。そして直接ルカリオの背中の上にグラードンの身体が… 「ぐふあっ…」 とてつもない重さと圧力が小さい背中にのしかかる。 「それでも私に逆らうか?」 「さ…さすがに…グラ…ドンの……体では………」 相当ダメージを食らっているようだ。 「まだそんな事を言うか。もう絶対に言わないようにしてやる。」 「ど…どういう……いみ…だ……」 「食べるっていみだ」 と言い舌を出しルカリオを舐め始めた。 「うぅ…や……め………ろ………」 「じゃあやめてあげる。ルカリオってリオルと同じぐらい美味しいね。」 (ふうよかった。もうポケモンが食べられるのは見たくないし…) 「なに言ってるの?食べるよ」 (へ?さっきやめるって言ったじゃん。) 「舐めるのをやめただけ。つまり彼は早く食われたいんだって。 「うっ…ち…がう…」 ルカリオの声も聞こえず、 「じゃあそろそろ美味しくいただくね。」 と言い、ルカリオを瓦礫のしたから引き出し、口の中に…
パクン…ゴクッ…
「砂の味がする…」
(ルカリオ…ごめんね……でも僕からはどうする事も出来ないんだ……)
グラードンの心の傷を癒せる事も無く、数々の命が自分の身体で失われる現状に心はどんどんボロボロになって行った。 そんなグラードンの真意も知らずビアルは数えきれぬほどのポケモンを食べていった…
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Re: 鎖心 囚われの身体 ( No.3 ) |
- 日時: 2010/12/25 22:29
- 名前: akod
- 公開するのが恥ずかしい・・・
(だったら公開するなよ)
いや僕はコメントをもらうのが好きなんだ。
と言う事でコメントお待ちしております。
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Re: 鎖心 囚われの身体 ( No.4 ) |
- 日時: 2010/12/25 22:54
- 名前: 闇銀
- シナリオはとってもいいと思います!!
友達たちをむりやり食わされるとは・・ 続き楽しみです!!
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Re: 鎖心 囚われの身体 ( No.5 ) |
- 日時: 2010/12/25 23:14
- 名前: akod
- 闇銀さん
ありがとうございます! 順次更新して行きたいと思います。
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Re: 鎖心 囚われの身体 ( No.6 ) |
- 日時: 2010/12/26 02:10
- 名前: ロンギヌス
- ポケモンで最も重いグラードンが上に…(ヒャ〜恐ろしい
グラドン様……(ビアル)是非僕の家に…
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Re: 鎖心 囚われの身体 ( No.7 ) |
- 日時: 2010/12/26 07:42
- 名前: suit
- グラエナ•••なんて奴だ! グラードンはめっちゃ優しいのになんてことを!グラードン諦めちゃダメだ!
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Re: 鎖心 囚われの身体 ( No.8 ) |
- 日時: 2010/12/26 07:46
- 名前: suit
- コメント変な風になっちゃいました。akodさんすみません。グラードンめっちゃかわいいです!グラエナ倒せるかな?
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Re: 鎖心 囚われの身体 ( No.9 ) |
- 日時: 2010/12/26 09:00
- 名前: won
- おお、乗っ取られたグラードンか
その発想はなかったwww これから頑張って下さいね^^
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Re: 鎖心 囚われの身体 ( No.10 ) |
- 日時: 2010/12/26 19:03
- 名前: akod
- ロンギヌスさん
グラードン、ロンギヌスさんの家にいってらっしゃい〜 グラードン(こっちの小説はどうすんのよ!?) あっそうかすっかり忘れてた… いつでも持っていってください~w
suitさん こういうhtmlだとすぐ文字化けするんですよね。 解読したんで大丈夫です。 グラードン(ぐすっ…僕の事を心配してくれるひとがいたんだ・・・) コメントありがとう!
wonさん 言われなくても頑張ります! 応援ありがとう!
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Re: 鎖心 囚われの身体 ( No.11 ) |
- 日時: 2010/12/26 20:00
- 名前: akod
- …いつの頃か、まだグラードンがリオル達と友達になる前の事か。
「やめろっ」 昔から大柄だったグラードンが言った。 「またこいつか。俺たちの捕食を邪魔するな。」 「うるさいっ!僕のいない所でこそこそと他のポケモンをいじめるな!」 普段のグラードンとは違い凛々しい目つきで言う。 「うるせぇ、俺たちが嫌ならココを出ていけ!」 「僕が出ていったら他のポケモンをいじめない?」 半信半疑、グラードンが聞く。 「いいだろう。もうお前に邪魔されないと考えると、それぐらいの事は・・・」 「じゃあ行くね」 グラードンは支度をしてその場から離れていった…
(あいつら今なにしてるかな〜。こそこそ他のポケモンいじめてたらゆるさないよ。) 過去を思い出したグラードン。 「あいつら?」 いくら身体を乗っ取れても思い出までは乗っ取れない。 (僕が住んでた村の隣町のいじめっ子。) 「どこの村?」 グラードンの昔事情にしつこく首を突っ込む。 (どこだっていいじゃないか。ミンタス村だよ。) 「・・・・!?」 「み…ミンタス村!?お前あそこに住んでたのか!?」 (そうだけど…なにか?) 不思議そうにグラードンが聞く。 「知らないのかその村の伝説。」 (伝説?なにそれ、美味しいの?) 伝説についてなにも知らないグラードン。
ミンタス村…そこは昔、海の神『ルギア』が消息不明になった所だった。 ポケモン達の噂ではルギアは亡くなった、や魂がねむる場所など根拠の無い噂が飛び交っていた。 またそこに足を踏み入れると魂を奪われると言うポケモンまでいた。
「その村ってどんな村だった?」 ビアルの質問攻め、いつもの事だ。 (お花が一杯さいててとてもいい所だったよ。しばらくそこに住んでた。) 「お前は魂、奪われなかったか?」 (僕は身体を奪われてるよ。) 「おっと。」
その会話を木の影で聞いている物がいた。 「フフフ。私は死んだ事になっているのか。今後が楽しみだ。」 青く大きい腹、身体の二倍はあるだろう大きさの翼…その姿は間違いなくルギアだった。 「まぁ五十年は洞窟にこもってたからな。色々な噂が出るのは仕方ない。」
(ん?なにか気配を感じるな…) 取り付かれてから気配にだけは敏感なグラードン。 「気配ってなんだよ。怖くなるからやめてくれ。」 自分が霊のくせに怖がりなビアル。
「さてこの後、どうするか。」 この先の進路に迷うルギア。
(まあいっか。もう取り付かれてるから、どおって事ないし。)
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Re: 鎖心 囚われの身体 ( No.12 ) |
- 日時: 2010/12/26 20:09
- 名前: akod
- 会話からみると相当慣れてきたようですね。
でもグラードン君の心の傷は消えないよ、ビアル君。 「うっ、もうそろそろ消えると思ってたのに。」 (あれ?ビアル君。僕の心軽視してる?) 「し、してねーよ。」 (僕の身体が戻ったら君を心の傷分、痛めつけてあげるからね。)
ほらそこっケンカしない!
このあとのルギアさんの進路をコメントで決めたいと思います。 (前のように全部書く事はもうありませんのでごめんなさい)
1 ビアル達と一緒に捕食。(もちろんグラードンは猛反対。) 2 先回りしてビアル君とバトル。 3 その他
自分でも決めにくい所ですので投票お願いしま〜す。
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Re: 鎖心 囚われの身体 ( No.13 ) |
- 日時: 2010/12/26 22:15
- 名前: 闇銀
- 「伝説?なにそれ、美味しいの?」に吹いたw
・・っと 取り乱しました・・すみません・・・
ボクは1かな・・・うん、なんとなく。
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Re: 鎖心 囚われの身体 ( No.14 ) |
- 日時: 2010/12/27 00:23
- 名前: suit
- ルギアがビアルを倒すというのはどうですか?(グラードンは無事でいてほしい!)というわけで2で!
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Re: 鎖心 囚われの身体 ( No.15 ) |
- 日時: 2010/12/27 22:31
- 名前: akod
- やばい。最近忙しすぎる…
更新が遅れそうですが必ず書きますんで気長にお待ちください。 闇銀さん 狙った訳じゃ無いんですけどねw なんとなくですか!?投票ありがとうございます〜 suitさん それでもいいですね。でも体にダメージを与えるとグラードンまで攻撃を受けちゃいますから、どうやって追い出すか…
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Re: 鎖心 囚われの身体 ( No.16 ) |
- 日時: 2010/12/27 22:54
- 名前: suit
- グラードンが傷つかない方法は何かないですかね•••例えばルギアがビアルを浄化するというのはどうでしょう?(ルギアがグラードンの異変にきずいて助けてあげる)ちょっと無理があるかな? グラードン!元に戻ってね!!
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Re: 鎖心 囚われの身体 ( No.17 ) |
- 日時: 2010/12/28 20:37
- 名前: akod
- ログサイト作成中につき更新ができなくなります。
作成が終わったらやろうと思うんですげど・・・ しばらくロックいたします。
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