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暗闇の深淵
日時: 2010/11/16 21:00
名前: S

自分のMH物を完結させたくなった
ってのは冗談で、3rdが出る前にもう一度だけ元ネタ3が書きたくなっただけだったり
・相っ変わらずぐだぐだです
・多分短編
・3終盤辺りのネタバレ有り


>>1 ― ラギアパート
>>16 ― レイアパート
メンテ

Page: 1 |

Re: 暗闇の深淵 ( No.1 )
日時: 2010/11/16 21:00
名前: S

「あら、リーズさんまた捕獲ですかぁ〜?」
「処分しなきゃならないくらいに溜め込んでやって、在庫処分にされる前に飼うってヤツよ」
「自然に帰すのが妥当だと思いますが(内心)全く相変わらずですねぇ〜w」
「レイジもこんなんだったんでしょ?」
「うん、リーズさんのその装備も☆」

後輩のレイジが街へと移り早一年・・・
こっちはバギィ装備一式をまとい、いつも通りの捕獲クエスト三昧と来たもんだ
相変わらずギルドには何度抗議してもやっぱり飼わせてくれない(当然といえば当然

「で、実はですね、こんな物がッ」
「え?何々・・・大海竜ナバルデウスの・・・」

食事を済ませ、いつもみたくクエストを受注しようと一覧を見てみると、緊急が一件
見辛かったので、手に取ってよく見てみる

これはあの時にレイジが話していたヤツか?
村の大地震はこいつが張本人・・・こいつのせいで、とあるラギアクルスが討伐されそうになった
・・・その時にもっと大事なのは村の未来だが

「・・・なんぞこれ?」
「その通りで大海竜が再び目撃されたんだとか」
「えっと・・・依頼主・・・なっ・・・ハンターズギルド本部?・・・」

と書いてある
過去の私はギルド一のハンターであったが、もう一度一からし始めているので、今は昔のような装備は無い
ギルド認定のハンターにのみ通達と書いてあるから、こっちでも通用するかと試しているのだろうか?

こいつはここの村と周辺一体が破棄ともされる(結局は予定で終わったが)ぐらいにやヴぁいヤツだったはず
そんな事を無視して、そいつと戦ったレイジも充分それだが、今は猶予もあるのか、反逆罪に問われる事は無い
あの時は凄くドタバタしてたらしいからな。今回は○ってもいいのか、撃退か討伐となっている

「でもこいつって、レイジが追っ払ったんじゃないの?」
「さぁ〜?どうでしょうね?片角を折られて、逃げたって報告が有りましたけど」

「撃退という、その知らせを聞いたギルd(ry」
「いぃやったああああああああああ!」
「って、なったんだって?」
「わっしょおおおおおおおおおおおおおおおおおい!とか?」

ディアブロスとかのモンスターも角折られたぐらいじゃ、死にはしないと思うがどうだろうか
その決戦場所はマイハウスもある村の直下との事
今回のクエストは水中・・・しかも海底まで深く来たのだから、夢見たラギアと共に出来るのかも知れない
用はバレなきゃ良いんだし

流石に村にモンスターを紹介すると大混乱しかねない
その上危険度5の超大型で、レイジが調査中だった頃の村では
その原因と思われ、困ったさんとされていたラギアクルスってんだから尚更

あの時のラギアとは村人や状況を報告するギルドのお偉いさんとかには黙って
あの場所でだけ付き合ってるだけだから、今の所問題はなし

・・・元ハンターだった村長や、そのセガレさんも薄々感付いていたって聞いたから
もう大地震の誤解は解けたかも知れないが、印象はどの程度なのかは分からないので
どの程度か聞くのも、紹介するのも、やっぱり色んな意味が混ざり合って都合が悪い

「ん〜、じゃあ、その件は考えとく」
「ちなみにその子は古龍だから捕獲は出来ませんよ〜」
「エ"ッ・・・」

大海竜って御大層な名前なんだから、そんな事は当り前か
という事は閃光弾、罠肉、シビレ罠と言った小細工も聞かないと言う事だ
・・・いつもの麻痺や眠りを仕組んでじっくりと顔を眺めらr(ry

今は海岸へ出かけ、ラギアとその事を相談に行くとしよう
話すときはラギアの背で釣りをしている時になった
水流を完全に無効化する水生獣の背は全く揺れないというのはやっぱ凄い

「え〜・・・本当にあいつと戦うの?」
「うん、そう」
「でもそいつってさ・・・」
「それにあの天然が残してった資料によると雷と龍属性の耐性が成ってないってんだから
 ラギアクルスのあんたは充分戦えると思うし。・・・あ、エサ取られた」

手に持っていた資料をパラパラとめくって、その当りを指差してラギアに見せる
自分がこんな目に遭わせられた身だってんのに、こいつは・・・

「いや・・・そういう訳じゃ・・・」
「何だって?りぴーとあふたみー!くの、しー・おぶ・どらぐん」
「分かった、分かったよ、行くからさ。やっぱり、このままだと悔しいし」
「ったく、大海の王の癖に大海みたいに広大な心も度胸も無いんだから」
「うぐ・・・(照」

一度は私が捕食されたが、レイジの知り合いと知ってからか、すっかり気が弱くなったもんだ
ともあれ、その決意は作り物ではない事を祈りたいとこ

「さっ、もうそろそろ日が暮れてきたし、食べれそうな魚とか沢山釣れたから
 アズールの夕食も一緒に作ったげるかね」
「ありがと・・・」
「おらっ」

「・・・また爆発なんて事になるかと思った」
「心配性かお前わ、火事場力なんて出した事ないでしょ〜?(笑」
「くっ・・・(焦」
「・・・にしても、あれは熱かったな」

焚き火をする時はたいまつが普通だが、私の場合は火炎袋をモドリ玉みたいな扱い方で
地面に投げ付けて火種(?)を作る
モンスターの器官は取り扱い注意ってんだから、たまに暴発して火傷した事もある
♀であろうと♂であろうと、火竜の火力は侮れない
・・・こいつと爆薬を混ぜて大タル爆弾G以上の火力なんて出来るのかな

ちなみに『アズール』ってのは、このラギアクルスに付けた名前で『蒼』って、そのまんまである
ネーミングセンス全く無いな・・・

「え〜と、まずナバルデウスっつったら・・・」
「それね、レイジが折ったのは一番育っていた角だったから、それであの大地震を――」
「でも、折っちゃったんだって?」
「それから――」
「あ、サシミウオと肉焼けてる。あちっ・・・」

「ほれ、あ〜んw」
「・・・よく焼けてる」

その日の半日はアズールとレイジが残してくれていた資料と睨めっこしたり
ここで夕食も済ませて、こっちに来る前に食べた食事スキルが長持ちするようにしておいて、昼の部を終える

「・・・今日も一眠りするの?」
「レイジから聞いた通りで寝心地いいしさ、半日後までまだ時間あるから。・・・駄目?」
「もう・・・」
「せっ」

どすっ

しぶしぶと言っていいやら、アズールは仰向けになり(させた)ベッドで寝る様な感じで背を預ける
時間に余裕がある時はこんな事して時間を潰しているのである

向うでは時間が有ったら戦友達と次の打ち合わせするか、次のクエストの為に備えるぐらいしか
やる事が無かったっけな
こっちに来て、このラギアクルスと出会ってから毎日がとても楽しく感じる・・・
メンテ
Re: 暗闇の深淵 ( No.2 )
日時: 2010/11/16 21:05
名前: S

書いといてなんだが、海竜種は海では揺れない訳じゃ無さそう
こんなスレ立てた割には、最近ラギアの相手してないな・・・
メンテ
Re: 暗闇の深淵 ( No.3 )
日時: 2010/11/16 23:00
名前: リオレイア

ラギアとほのぼの…
アズールさんと言うのですか!これからも宜しくお願いします。「餌」のリオレイアです。
雌火竜のリーナや老山龍のラオ爺、砂竜のサンディが家族みたいな物です。
早速お口に…
メンテ
Re: 暗闇の深淵 ( No.4 )
日時: 2010/11/18 19:42
名前: S

リオレイア氏
返信ありがとうございます

ボス級三体が家族とは羨ましい・・・
さぞかし楽しく、毎日が退屈しないでしょう(笑

「全くだ、これ書いてる作者も上手い感じにキャラ作ってくれないし
 でも、今口に入るのは・・・」



読んで下さっている方々
考えすぎか、自分だけなのか分からないし、こんな事を聞くのもどうかと思いますが

他の制作者様方は素晴らしい作品を作ってなされているのに対し
こんなんでも面白く読んでもらえるように努力はしているつもりですが
自分の場合は書けば書くほど文章力が落ちていっているような感じがしていて
自分のは読んでいて面白いのでしょうか?
メンテ
Re: 暗闇の深淵 ( No.5 )
日時: 2010/11/19 18:01
名前: S

「さーて、着いた着いた〜♪」

ラギアと居る時はクエストを受注していない+孤島でしか遊べないという条件付きだった
しかし今回は、いつものぬこ(またはチャチャ)と違ったラギアと共闘出来るって事でテンションが高い
・・・のか?

「あれがナバルデウス・・・でかいな・・・」

支給品を貰いに青い箱の方へ行こうとすると、海面からターゲットと思わしき姿が表れる
大きな波がその辺り一帯を伝わり、崖にぶつかってしぶきをあげる
僅かな雫が今居る崖の上のキャンプまで届くくらいに激しい

古龍は皆アレくらいの大きさなのか、とにかくでかい
角はレイジに折られたままのようで、再生はしていなく、もう片方は先端が折れていて
太さ的にそんなに丈夫そうではなかった

「よし・・・行くぞー・・・」

今となってはすっかり水中も慣れてしまって、いつもなら普通に飛び込んで水中戦を始めるのだが
こんなに荒れていると飛び込む勇気が要る・・・。携帯食料を口にして、覚悟を決め、大海原へダイブ
・・・携帯食料は相変わらずの不味さだ。一応肉なんだから、もうちょっと味に拘れ

そんな事は置いといて、確かアズールがどこかで待ってるはず・・・

「あー、居た居た」
「何あいつ・・・話は聞いてたけど、めっちゃでかいじゃん・・・あんなのと戦うの?」
「うん、そう(笑」

ナバルデウスを始めて見たのか、アズールは覚悟の方が今一つ・・・
私も古龍を始めて見た時はこんなんだったから無理も無いか

「ところでさ〜、どうよこの装備っ」
「私の一式・・・」
「今日は水中だってんだから、優雅に泳げるようn(ry
 じゃなかった、素早く動けるようにかな」
「今回はクエストで時間制何でしょ?急がないと」
「何お前・・・・・・つまんね・・・」
「?(´・ω・;)」

アズール向かって装備披露
でも、自分の素材を使われた一式を見せられるというのもどうだろう
・・・何だか反応がレイジに似て来たな



   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



ナバルとやらが入っていったキャンプ直ぐの空洞へと進む
大海竜討伐にラギア装備一式で、相棒がラギアクルスか
スイマースキルと言っても泳ぎはアズールには敵わないが、今は共に戦える事が嬉しい

まずは遺跡の奥まで追い詰める事。ってんだから、とにかく攻撃・・・
角ならまだしも、肉質はそんなに硬くは無かった

「リーズ、早く」
「分かってるよ。その前に装備を研がないと」

ナバルはもう遺跡の奥へと入っていっている
今のままだと弾かれまくりかねないので、武器を研ぎ澄ます
お得意の水中だからなのか、アズールはこの程度なら平気のようだった
こっちはナバルの尻尾やヘッドバックを喰らって、そんな無事じゃなかったりする

「さ、行こか」
「体毛が邪魔だな・・・この細さの割にはやけに硬いし・・・」

今回の武器は駆け出しの頃から愛用していた太刀
そっちもラギアクルスの素材を使われた雷属性の武器である

徹底的に切り離されたふっさふさのナバルの胸元の毛が辺りに漂っている
そんな中を掻き分け遺跡の奥へと行くと、頭上から差し込む日の光の中で体を丸め、待ち構えており
見た感じ神々しい・・・こうしてよく見てみると、ナバルデウスって中々・・・

「こんな時までコイツは・・・
 ・・・いつもの双眼鏡持って来てないようだからよかった(内心」
「ふふん、大分古龍っぽくなって来てる・・・(スルー」

体を解すと同時に強烈な水のブレスを放つ
・・・海底なのでヤツがいくら暴れても被害はさほど無いが、なんて水流だ(汗

レイジが残していた資料、この広間に設けられた撃竜槍、お供のラギアの雷撃、自分の装備の雷刀
こっちにはヤツに有効な物が沢山あり、このまま何事もなく行くかと思われたが・・・

「グオオオオオオオオオオオォォォォ!!」
「ひ〜、うっせ〜・・・」

古龍だってんだから、ギギネブラやディアブロスみたく
バインドボイスは瓦礫が落っこちてくるくらい、半端無い
アズールは平気そうだったが、獣人種以外のモンスターは全く効いてなさそうな所が羨ましい

・・・そりゃま、人とモンスターは体の構造が違うと思うからか?

「今度は私の番――、あれ?」

ガン!

「オオオオオオオオオオオォォォォ!!」
「あいたぁ!?」

長い間振るっていたのか、切れ味が落ちており、弾かれたその隙を突かれ
渦が出来るような強烈なヘッドバックで横一閃

「くのやろ――、つ・・・あんだこれ・・・」

反撃にと、振るった気刃斬り
しかし、ヤツの出血が僅かだけ?それから妙に視界がぼやけて狙いが定まらない・・・

「グガッ・・・」

隙だらけの私を援護しようと、ラギアの雷撃がナバルデウスの頭に直撃
雷属性の度が激しすぎたようで、こっちまで微量に伝わった

「え・・・うわっ・・・ちょ・・・」
「危ないっ!」
「うお・・・」

巨大な範囲の噛み付き攻撃
視界が巨大な口で埋まる前に、アズールがくわえ込んで助けてくれた
余裕が無かっただろうが、この際仕方ない

「だ・・・大丈夫?・・・」
「いたた・・・何のこれしき・・・」

攻撃は避けれたものの、それはアズールの助けが有っての物
人間のハンターである私とは違う、長い体の海竜種であるアズールは避けきれず、尻尾を食い千切られてしまっていた

ビーッ・・・

「この音は・・・」
「ちょっと待っ――、いっ・・・」

撃竜槍の使用可能のアラーム音が響き、アズールの口から這い出す
もう早い所追い払って、村で一眠りしてしまいたいのか、それだけを目掛けて、撃竜槍のスイッチまで泳ぐ
アズールが痛がったのは這い出す時に牙を蹴って、泳ぐ速さを強めたせいだろう

「グオオオオオオオオォォォォ!」
「ぎゃあああっ・・・」

背後からはナバルの攻撃を喰らったような声がする
とにかく撃竜槍の方へと急ぎ、アズールには後で礼を言おうと思っていて、泳ぐのをやめなかった
・・・その無慈悲さが災いする

「さぁ早い所こいつを喰らわ――、え・・・」

スイッチまで辿り着いた途端に、再びナバルデウスの噛み付き攻撃
本来ガードなんて出来ない太刀で防ごうと受身の態勢を取る物の・・・

「うあ・・・こっちだったのか・・・あ、刀が・・・」

範囲がでか過ぎる
その上、まだ視界がぼやけていて全く別の方向を防いでしまい(結局は防げてない
突然の出来事に武器を落としてしまい、さらには綺麗にナバルの口に収まってしまう

「ぐっ・・・リ・・・リーズ・・・」
「う・・・嘘・・・あ・・・アズール!助け――」

助けを求めアズールが見える方に手を伸ばすけれど、口が閉じられ、全てが消える・・・
メンテ
Re: 暗闇の深淵 ( No.6 )
日時: 2010/11/19 18:02
名前: S

実際アラームなんて鳴らないけど
3の撃竜槍は再使用可能って事をMH友達に話したら・・・何故あんな展開に・・・


前回の追記
実際に思った事を書いていただけると、今後の参考にしてみます
こんなんですが、自分も読んでくださる方々にご満足してもらいたいからです
っと、一番大事な所を書き忘れてました
自分で改めて考え直せばいい所まで質問してすみません

A「・・・嘘は聞きたくない(キリッ」
メンテ
Re: 暗闇の深淵 ( No.7 )
日時: 2010/11/19 22:56
名前: リオレイア

あああ…食べられちゃった♪
ナバルがどんな姿かは判らないが、お腹でどんなに優しく揉んでくれるか楽しみ…
もちろん、ラギアさんにも食べられたいが…
因みに撃竜槍はMHP2G以前でも再使用出来ますよ〜。蒸気が溜まるまで十分かかるので、事実上一回しか使えませんが…
それにしても、モンハンの世界にも蒸気機関があるとは…ゲーム買って衝撃を受けました。
ああ、ラギアさんのお口に入りたいなぁ…
メンテ
Re: 暗闇の深淵 ( No.8 )
日時: 2010/11/21 22:17
名前: S

「このまま食べられてたまるか・・・えっと・・・とりあえずこっち」

口が閉じられて、真っ暗になったナバルの口内に閉じ込められる
全体に伝わるこの感触からすると、絨毯のように幅広く、こうして這ってみれば
大きな舌というのは沈みそうなくらい柔らかい
アズールとの続きは私を呑み込んでからなのか
それまで逃げているかのような感じがナバルの舌でそんな風に感じる

とにかく、ここから出るまではと、喉の方へ落ちないようにと、大きな舌にしがみ付く
海水もろとも呑み込まれたようで、至る所が潤い

「滑るな・・・掴みにくい・・・」



   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



真っ暗で視界は悪く、あの時と同じようにこの場が現実なのかすら理解し難い
呑み込まれないようにと必死に足掻き、唾液は既に流れてしまって、未だ私だけが口内に取り残されている
・・・物の、掴み所が無いので、もうナバルの舌にはしがみ付く所が、抱き付くってレベルだろうか

唸り声一つも上げず振り払おうとしているようで
のた打ち回って、ナバルの牙や頬といった口内の至る所に体が当る

「ぐっ・・・今は我慢・・・」

より一層舌の暴れ方が酷くなり
それにも耐えようと体に力が加わり、顔で頬擦りするかのように
擦れ合う舌に抱きつき、唾液が頬に纏わり付く・・・

我慢はしようとする物の、体温・・・というやら、それとこの舌の弾力という組み合わせで
海水で冷え切っていた体が急に温められて、凄く気持ちが良い・・・
ずっとこうしていたいくらいに・・・・・・

神経毒といっても全体は侵しきれないで、僅かに機能している神経が捕食される側の快感を感じ取り
アズールに捕食された時も、薄らとこんな事を思った事があった



 ――― この島に来てから、何もかもが変わったようだ ―――



まず自分、大型モンスターの印象、昔と比べ物にならない後輩の成長・・・
過去の全てが変わってしまっている
アズールにはいつか言おうと、また捕食して欲しいだのと言おうと思っていた事もあった

長い間滞在していたのか、それとも自身が浴びていた海水と混ざり合って
中和されたように纏わり付く粘着性という性質を失ったナバルの唾液が水の様に成り始めていた

早い所呑み込んでしまって、アズールを追い払ってしまいたいのか、口も開かないので
もう長い時間になって、息苦しくなっていた
酸素玉は有っても、この状況下ではポーチに手も入れられない

「・・・・・・・・・変になっちゃったのかな・・・私・・・・・・」

大きな舌も抱ける敷き物というか、抱き枕というかそんな感じだ
腰に装備しているナイフで何とかしようとしていた事も忘れるくらいに
いつの間にか、そういう感じ方へと変わっていて
体全体が丁度いい温度で包まれたかのように気持ちが良くなる・・・
・・・対象は鳥竜ぐらいにしかした事が無かったが、ナバルの舌の感触も心地よく感じ、本当に頬擦りまでしていた

「あたた・・・かい・・・・・・あっ・・・」

まるで洗脳されたかのように、快感に浸っていると、再び舌が暴れ出す
自分は呑み込まれないようにと、抵抗しようとしていたのだった

人間と古龍は体格差が激しく、洞窟のような口内はまだ餌が入りそうなくらいに広い
何処を向いても暗く、自分がどっちの角度で落ちているのか、耐えているのか分からない
理解出来そうな事はナバルデウスは上を向いている様で、闇のように暗い中を落ちていっている・・・


何かに体が引っかかったようだが、物ともせず呑み込むような音を立てると直ぐに通り抜ける


通り抜けた所から、落下している速さが遅くなって、とても緩く締め付けられる
それで腹中へと下る道中で目が覚めた

「アズ・・・・・・ル・・・・・・・・・」

ふとラギアの名前を呟き、落ちて行く方向とは逆の方向に手を伸ばす
何も掴めるはずは無く、落とされている下の方を向いても、何処を向いても真っ暗で
伸ばした手も体に感じる感触と変わらない

あの時のように絶望感は感じず、ただ安らぎだけしか感じない



「ごめん・・・・・・なさい・・・・・・・・・」

何を謝ったのか自分でも、分からなかった
理解するのが難しい感情に満たされつつ、そのままナバルデウスの中を下っていく・・・
メンテ
Re: 暗闇の深淵 ( No.9 )
日時: 2010/11/21 22:17
名前: S

彼食側なら度々有ったが、それっぽい感じがしなかったので今回は・・・
女性側というのは、本当に自分も変わってる(汗

「ちょと待て、私の時とは全然違うぞぃ!?なんぞ、あのさらっさらな画写は!?」
ごめん(´・ω・`)
「思われた事世辞無しで全部ぶつけてもよかったんだけどな、いい指導になると思うし」
あの後、ひぐらしのED曲聞いてると、自分の心境に涙した


リオレイア氏
返信ありがとうございます

ナバルクエストは30分なので、二回は使用可能でした
ナバルっすね、キレたら光る体と目がかぁいいです
海竜種と古竜種のいいとこ取りな所がまた・・・
メンテ
Re: 暗闇の深淵 ( No.10 )
日時: 2010/11/22 09:13
名前: リオレイア

ああ…良いなぁ…暖かい舌の絨毯…
アズールさんもそうなのかなぁ…
リーズさんにはナバルのお腹を堪能して貰ってから救出されてアズールさんと幸せに過ごして(呑まれて)欲しいです。
ところで、地形ダメージ無効って胃液にも効くんですか?
あ、アズールさん。リーズさんを救出した暁には僕もお口に…
メンテ
Re: 暗闇の深淵 ( No.11 )
日時: 2010/11/25 20:51
名前: S

「グオオオオオオオオォォォォ!」
「リーズ・・・」

一人のハンターを体内に宿して、月の光も満足に届かない海の深淵に古代の海竜の咆哮が木霊する
ここでこんな事が起こっている事は誰も知らない

リーズはモンスターの咆哮はとてもうるさそうにしていたが、私には何も感じない
ナバルの咆哮で見えた口はもう何も残っていなかった

「はっ・・・ぐあっ・・・」

つい上の空に居ると、ナバルの体当たりをくらってしまう
巨体での体当たりは凄く痛い
跳ね飛ばされて激突した設置型ボウガンが、その地形ごと崩れ落ちた

覚悟を決め、先程の咆哮をナバルに返すように私も咆哮を上げる
全く物ともしないようだった

背中の背電波から電磁波を発する
これでハエのように集って来るハンターを蹴散らして来たものだ
体中に電気のような感覚が這いうねるような感じを覚えた後

「ゴアアアアアアァァァァァ!」

渦状の水流と電波を共にまとって、ナバル目掛けての体当たりを食らわすものの



・・・リーズと同じように顔からくわえ込まれる
一飲みにするくらいに巨大な印象だったが、本当にその通りだった
だが、これも作戦の内・・・

「助ける・・・必ず助けるからね・・・」

そのチャンスが訪れるまで大人しくナバルに喰われ逝く・・・



   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「えっと・・・双眼鏡、双眼鏡・・・」

ボウガンの特殊な弾でリオレウスを眠らせ、ポーチから双眼鏡を取り出そうとする
いつもは太刀か片手剣だが、遊びの際はボウガンで出撃していた
剣士系装備とガンナー装備は防御力が違うので、近づくのは不味いので、距離を置いてから鑑賞

かれこれ、これで何回目だろうか
今回のクエストは捕獲なのだが、ただ眠らせて、寝顔を鑑賞する
こんな時は契約金何か気にせず、それだけでいくらか吹っ飛んでいくのだが、気にしてない
その弾が尽きたら、それでクエストをリタイアして帰っていくだけで
この為だけに双眼鏡を改造し、撮影機能を持たせた

リオレイアの場合は起きる寸前に我慢出来ずに首元に抱きついて
そのまま幼竜の餌代わりに持ってかれそうになった事もあったな

あの時は、レベ3の散弾を顔面目掛けて、撃ったので脱出は出来たの物の、その下は海で
あれで決まってなければ今頃どうなっていたのだろうか
そんな時は孤島ででもアズールに助けてもらってたっけな



・・・あれ・・・

・・・そういや、あの時はもうあれで終わった事・・・

・・・向うには居なかったはずの海竜のアズールにも助けを求めたりしていた?・・・

・・・今頃って事は今の私は一体何をして・・・



「はっ・・・」

目覚めたのは真っ暗の空間だった
さっきのは現実逃避・・・というのか、ナバルデウスに喰われてここに・・・

・・・舌の方よりも胃壁の方が柔らかい。全身が沈んでしまいそうだ
古龍と一つになるというのは、伝説の一部となる事にもなるのだろうか

まだ捕食者側から締め付けられるというより、自分から抱きつこうとするような感じから変わっていない
今のこの空間も寝袋のように全体から温もりが感じ、どこもかしこも柔らかい

どうせこのままなら・・・、そう思おうとした時

「何だろう・・・この声・・・」

眠気がナバルその物に溶け込もうかのように、あふれ出てくる中で
そんな感情を妨げるかのように、何かの声が聞こえてくる
・・・私の名前を呼んでいる?

「リーズ・・・お願い、返事をして・・・聞こえる?」

アズールの声だった
この暗闇ではどっちから聞こえているのか分からない
とりあえず、目覚めた時の体の向きからして、呑み込まれた側は確か・・・

巨体差が関係しているのか、腹中での身動きはし辛くも無い
ナバルの体内ででも、泳ぐようにしてその声に誘われるように、進んでいく

このままでは気がおかしくなってしまいそうな、感覚が一つしかない暖かい空間とは不釣合いに
進んでいる時に何かが手に当り、それは比較的硬い感触だった

「ん・・・あれ・・・アズール?」
「あぁ、よかった。見つけてくれて・・・そう、そこは私の鼻先かな」

片手も伸ばし、両手でその感触を確かめると返事をする
長い間一人にされていた空間で誰かの声、もしくは仲間の声を聞くと言うのは
嫌んなるくらいに、意識がはっきりとしてくる

「どうしたのアズール。自分からナバルに食われたの?」
「うん、自分からね。でもリーズみたく食べられたくて、わざとやったんじゃないから」
「あ・・・そう・・・」

こんな所で、こんな感じで言われてみれば
どうして、あのような気分に浸っていたのか疑問に思うくらいだった

アズールにも喰われたままで、こうしていれば分かる・・・何て言える物じゃない
人によっては快楽というのか、それとも悪夢というのか、そんな中をアズールに引きずり出されたようだった

「そんな事はさておき。リーズはまだ動ける?」
「まぁ、動けない事は無いけど・・・」
「じゃあ、私の体を伝って、尻尾の当りまで移動して」
「え?どうして?」
「・・・いいから、早く」

最後は何か考えているような僅かな沈黙だった
深く考えもせず、言われるがままに、アズールを伝って、尻尾と思う方へと向かう

「・・・ここでお別れね、リーズ」
「は?」
「黙ってたけど、このままだと二匹もろ共、ナバルの糧になってしまう
 まだ全身は呑み込まれてない今ならどうにかなるのかもしれない」
「えっと・・・つまりはどういう・・・」

「私が大電流を流すから、それで痺れているナバルから脱出して」
「えっ・・・」
「大丈夫、そのラギア装備なら雷撃には耐えられるから」
「そ、そういう問題じゃなくて、アズールはどうするの?」
「・・・・・・・・・」

アズールの尻尾の付け根当りまで来ると、口を開く
反論が混じった返答にアズールは黙り込んでしまうが

「じゃあね、リーズ。長いようで、短い間のようにも感じるけど、私はとても楽しかった
 海の神様もただ自然の摂理に従ってるだけだから、恨んじゃ駄目よ」
「ちょ・・・ちょっと待って!勝手に話を進め――」
「もし、帰って来れたらレイジにもよろしくね
 それじゃ、さよなら・・・」
「私の言うことが聞けないの!?レイジにあんたの事――」
「海の支配者は海の神様と一つになるだけ、それから・・・」


   ・・・逃げずにこのままナバルと再戦なんかしたら、枕元に立ってやるからね・・・



「グオオオオオオオオオオオアアアアアアアアアァァァァァ!!!」
「わあっ!!?」

アズールの力一杯の雄叫び、吹っ飛ばされるかのように
ナバルの体と、命綱のように伸ばされたアズールの尻尾を滑るように昇っていく

「グッ・・・・・・ガッ・・・・・・・」

すっかりナバルの体内に慣れていたのだろう
吐き出された直後に凄く冷たい海水が体を包み込んで来る
苦しそうな唸り声が海底に消えつつ、アズールの雷撃にナバルは悶えている

人が暮らしていたような痕跡がある海底遺跡に張り巡らされたロープがある
苔をまとうその姿からとても長い歳月が流れている事を思わされる
なんてのは置いといて、その内の一つに違和感

「ごめん、アズール・・・あなたを置いて、逃げれない・・・」

特徴のある太刀の鍔が引っかかっていた
刀を掴み取り、ナバルを振り向いた時

「ズルッ・・・ゴクン・・・」
「あっ・・・やろっ!・・・」

痺れが解けたナバルは、私から僅かに見えるアズールの尻尾を引き込み
腹中に収めると初見とは一回りかそれほど大きく見える
怒りが収まらず、気刃斬りがいくらでも放てそうな気が高まってくる・・・

「ガアアアアァァァ・・・」

稲妻をまとった気刃にナバルは海底の暗闇の深淵に消え逝く悲鳴を上げる
いつもなら、激痛に泣いているようなモンスターに同情しているようで、振るう剣も止める

だが、今回はそんな気は感じない・・・気刃所か、鬼人って感じだ

「あ・・・待っ・・・・・・・・・ぐっ・・・ごぼっ・・・息・・・がっ・・・・・・」

長い間ナバルの体内に滞在、交戦で息も上がってしまっていた
酸素玉を取り出す余裕も無かった

握る力も失い、雷刀が海底へと落ちていき、体の力が抜けていき、宙に浮く・・・
無意識の中で、アズールが収められたまま逃れようとするナバルに手を伸ばすが届くわけも無い・・・
メンテ
Re: 暗闇の深淵 ( No.12 )
日時: 2010/11/25 20:51
名前: S

「で、久々に私とも交戦したかと思えば、睡眠中に大タル爆弾Gで爆死させた挙句に
 毎度お馴染みのBADENDの道も歩ませる気かお前わ」
目覚ましの火力が高すぎたか、本体もそれまでに買わないと・・・(スルー

「それから、3rd発売まで一週間切ったけど、コレほんとに完結出来んの?
 目覚ましの方は二度寝しようとする作者に丁度いいかと(内心」
ちゃんとするつもりだす・・・
昨日学校帰りに会ったぬこが一週間くらい前に遊んだ事覚えてたようで、地味に心打たれてた

「私より、ぬこの・・・方が・・・ぐすっ(涙」
無い無い、ポイ ノ==ぬこ(愛瑠)



リオレイア氏
返信ありがとうございます

前作の場合も今回の場合も差ほど変わりは無いですね
さぁ?どぉでしょうかね?w
言われてみれば、何時までも滞在出来るので、お食事券くらいで発動して欲しいです
あ、そうそう 〜NABAL・IN・LIVE〜 を中継致しm(ry

ア「これで出られたら、いくらでも〜
  今更だけど、実際にナバルの舌そんなでかくなく、巨体でそう認識していた事をお詫びします」

との事らしいです
メンテ
Re: 暗闇の深淵 ( No.13 )
日時: 2010/11/28 21:18
名前: S

波の音と、船やら人の声も聞こえる
海底に沈んだ遺跡に居たはずだが、この音といい、何なのだろうか

「う・・・・・・」

レイジが置いていった物や、自分で手に入れたインテリアなどが飾られている
目が覚めると、そこは村のマイハウスだった

近くでは生け簀の魚を整理・・・とか餌やりでもしているのか、そんな音が聞こえてくる
ベッドでラギア装備のまま寝かされていた

「あ、やっと気付いた」
「レイジ・・・」

よく出しているおふざけばかりの手紙とは全く違った内容が届いたようで
溺死かも知れないという知らせを聞いて、戻って来たんだろう
たまに真面目な内容を送っても戻ってこないのに・・・

「どうして私――。てっ・・・いった・・・」
「まだ動くのは無理が有りますって。あばらの二、三本はイってるかも知れないんですから」

上半身を起こそうとすると激痛が走る
ナバルの横一線のヘッドバックが思ったより効いていたようだった

「時間になっても戻って来ないから、街のハンターに頼んで、救出してもらおうって予定があったけど
 狩猟船の船乗りが見つけてくれたんだそうですよ」
「ナバル・・・は?」
「ナバルデウスね・・・見てないそうだけど」
「そう・・・」

体の力を抜いて、天井を仰ぐ
机上にはポーチや装備品などが置いてあった

「それから――」
「え?何です?」
「あ、いや・・・何でも・・・」

ラギアの消息が断ったのかもしれない事をレイジに話したらどうなるだろうか
私がラギアとツルんでいる事はレイジしか知らない
折角街からはるばるこっちまで戻って来たのだから、こんな話を聞かせる訳には行かない
頼めるのはレイジだけなのだから、この際伝えた方がよかったのかもしれないが

「こっちにはいつまで居るの?」
「ん〜とね・・・」

アズールの話を出さない様にレイジと会話する
傷の方は思ったより大した事がなさそうとの事で、今日の晩には帰るらしく
その時に丁度良く、交易船が村から出航する時間で一緒に乗っけてもらうとか言っている

レイジの方はハンターランクが順調に上がってきており、上位にもう直ぐ挑めるとか
昔の癖は治らなくとも、捕獲で点数を稼いでる・・・だの、昔と全く変わって無さそうだった
イビルジョーに噛み砕かれる寸前まで受けた傷で、今は休業中という事らしく、やっぱりドジ踏んでいた

そんな話に付いていこうと、苦笑いを続ける自分が何気に痛々しい、みっともない・・・

「そういや、あのラギアはどうしてます?」
「えっ・・・」
「次会う時はこの三匹でって、先輩言ってましたし?w
 少しくらいは動けるのなら、俺もこれくらいの傷、先輩を背負うくらい訳無いですわw」
「それは・・・」
「鈍クサそうなあいつの事だから、先輩と同じくして、まさかの重傷とか?」

「え・・・えと・・・・・・悪いけど、この体じゃ動けそうに無いや
 流石の私も今回は凄く痛いし・・・」
「ありゃ、俺楽しみにしてたけど、そりゃ残念・・・」

レイジからラギアの話を持ち出した
そりゃレイジがラギアに私を紹介し、私が出している手紙も大半がアズールの事
その約束も私が言い出したのだから、話さない訳も無い

アズールも相手をしてくれるヤツがこの場所には私くらいしか居ないのだから
勝手に海を泳ぎまわらないようになっている
そんな事だから、言い訳が迷ってしまった

「それじゃ、俺は街に帰りますんで。コレに懲りたら先輩も無理しないように」
「はいはい、あんたに心配される私じゃないっての
 いつかその街にまで、出向いたげるから」
「待ってますから・・・」

何だかんだでレイジと話していると、直ぐに船の出航時間が来た
会話している内に、内心で何度か苛立ってしまい、顔にも僅かに出てしまったが
結局アズールの事は話していないので、レイジに悪気は無い
もう顔に出さないように・・・何も思われないようにと、ひたすら自分に言い聞かせている

最後の会話も終わって、船の方にレイジは歩き出す
そんな私は目線で助けを求めているようだったが、何か言わなければ向こう側には分からない
そのまま帰ってしまうのかと思っていれば

「・・・・・・・・・」
「・・・どしたの?」

レイジの歩む足が止まると、私の方へと振り向く
少し考えるような沈黙

「・・・・・・何か有ったんですか?」
「え?」
「何だか、元気無いっていうか、俺との会話も相槌を打っているっていうか、そんな感じだったから」
「さぁ・・・気のせいじゃない?」
「いつもの感じがしない」

既に見抜かれているようだった
この様だと話した方がいい物かと思ったが
この場で私がラギアクルスと一緒にクエストをしていたって事を話せば、大混乱になるかもしれない

「俺が出来る事なら――」
「自分の事は何とかするからさ、後輩の手を借りるまでも無いよ
 気持ちだけ受け取っておくから」
「信用・・・出来ないんです?」
「そういう意味じゃ・・・」
「どうして、俺に話せな――」

「じゃあ、昔はいつも自分の事を責め立てていたくせに、どうしてあの時に居ないの!?
 もう私の事はいいから、あんたは街に帰って、色んな所を出歩いてくればいいわ!
 今日限りで私の事は忘れてちょうだい!!」
「ちょっと先輩!その傷なのに、どこに行――」

何としても聞き出そうとしてまで、力になってくれようとする所は嬉しかったが
この場ではもう手遅れだった
本当ならすがり付いて助けを求めたかったが、素直に自分の心を表せなかった

何も聞かず、傷の痛みも心の傷と同化しているように何も感じない
この場を振り切って、武器も持たずに森の方へと走り出す
辺りはすっかり夜になっていて、月明かりが照らし出していた

道中にはアプトノスやケルビが水や草を食んでいたり
ジャギイが狩りでもするのか、獲物を探している
何も知らないこいつ等やレイジが羨ましかった

視界に何も映らない
ひたすら闇の中を走り続けているようだったが、体力が落ちている様で
走る足に力が入りにくくなってくる

「ウゥー」

中腰で少し休んでいれば、ドスジャギィがおちょくるかのようにして、横から顔を出して来る
獲物を探して、ほっつき歩いていて、丸腰のハンターが居れば狙うのは無理もない

「ちっ・・・」
「ギャウン!」

今の自分の前に無神経に表れたせいなのか、腹立って、ドスジャギィの顔を殴る
ハンマー以外の殴打は以外にも大分効く物だ
怯んだ挙句にノびてしまっている
その場も済ませ、再び走り出すが・・・

「ぜー・・・ぜー・・・」

ついには体力が限界に来て、足を止めてしまう
顔を上げてみれば、いつのまにかアズールと二人で身の内を話した場所に着いていた
雲が解けて、満月が海面や地面を照らし出している
あの時のようにエピオスが群れて、親子で海水浴をしている

「はぁ・・・はぁ・・・」


どうして私はこう後悔ばかりするのだろうか

人目ばかり気にして、自分の事を第一に置いておいて、アズールを見捨ててしまった

とても長くなるだろうが、ちゃんと話せば直ぐに終わるのに


「うぐ・・・ぐすっ・・・」


あんな自分の様子を見て、レイジにはどう思われたのだろうか

未熟さが再び現れ、その結果がこれか・・・

もうこの場所で余暇を過ごしたあの時の時間は永遠にやって来ない


「ごめん・・・ごめんなさい・・・」

目を閉じて、この場所での思い出すと、涙が零れ落ちる
あの時も、この時の謝罪も訳が分からない意思が込められていた

押しつぶされそうなくらいの何とも言えぬ罪の感情が溢れ、その場で力尽きるかのように地に伏せる
悲鳴を上げる暇もない、泣けども、泣けどもずっと止まらない涙を流しながら・・・・・・



   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



もう何日目だろうか・・・

こうしていてもアズールが戻ってくるわけでもない
雨が降っても、雷が鳴っていても、この場から離れられない
涙は治まった物のこの体勢からも戻りたくない
海水を含んだ地の匂いと、砂利や小石が混ざった地面の感触しか伝わらない

レイジが追って来なかった所から、帰ってしまったのだろう
こういう時はそっとしておく・・・。今は私の色んな所を真似ているのはそれでいて良い

波の音や、水生獣が泳ぐ音とは全く違う
背後から海水を掻き分けてこちらへ迫ってくるような音が聞こえて来た
ここ等辺一体は海だから飛竜は来ないし、鳥竜種や牙獣種も来ないのだから
きっとロアルドロスか何かの海竜種だろう

音からすると結構の大物みたいだ
レイジには悪いが私はここ等辺でおいとましよう
もうこの際どうだっていい・・・



自分の近くで足音が止まると体を浮かせたようで
伏せている自分の体にどすんとボディプレスを叩き込まれる
足元が浸かる程度の海水もそれ程の重量で圧し掛かられれば全身に浴びるくらいだった
全身の力を抜いていれば痛みも全く感じなかった



「・・・どしたの?元気無いね」
「えっ・・・」

聞き覚えのある声・・・暗闇の深淵という心的状況から助け出すような救いの声に自分の耳を疑い
乗っかかられたままの体勢で乗っかっている方へと振り向く
前足くらいしか見えなかったが、蒼い体・・・

「戦ってたようだから、こうして枕元にちゃんと立っているのに」
「そ・・・そんな馬鹿な話が・・・」

声がする方に振り向けば、片角を折られているラギアクルスだった
初対面でこんなに馴れ馴れしい喋る海竜なんて居る訳が無い
しかし、アズールならあの時に・・・


海竜の巨体から抜け出して、もう一度そのラギアクルスを見てみる
尻尾が切られていて、背電波など尖っている部位の先端は少し丸みを帯びていた
そんな事になるまでの状況下に居たのはアズールくらいしか居ない

「言葉も出ないか、まぁあんな様をさらけ出してしまえば、無理ないね」
「え・・・えっと・・・」

初めて会った時のように、自分の別の方が落ち着かない

「どうして・・・こんな所まで?」
「ナバルのお腹の中ででも、もう一回大放電すると気絶したから、その隙に抜け出した」

いや、あんなんだから、そのまま見逃してくれる訳が・・・
意識が飛ぶ前に見たナバルも溺死のようだったから、有りえるのだろうか

「抜け出している最中で、胸元から上まで入っている時にナバルが目覚めたけど
 もう敵意は感じなかったよ?」
「どゆこと?・・・」
「数百年ぶりに表に出て、あんな手応えのあるハンターと戦えたから
 つい夢中になってしまったんだってさ」
「え・・・ぇ〜・・・」

そう言う物なのだろうか・・・アズールの過去もこんな感じだったような気が・・・

「ちょ・・・ちょっと、いきなりどうしたの?」
「よかった・・・生きていて・・・和解したい願いがあんたで叶ったんだから・・・
 そんな友が居なくなるなんて認めたくなかった・・・」
「えっと・・・私とナバルはどっちかっていうと?」

「もう会えないかと思ったじゃないの!
 自分で何とかして抜け出そうかなんて思ってたのに、無茶しゃがって!この馬鹿!」
「ははは・・・ごめんリーズ・・・あの時と言ってる事が矛盾してると思うけど」
「うるさいっ!」
「何だかリーズっぽくないよ?」
「こっちの台詞だいっ!」

さっきの衝撃でしぶきをあげて、自身も濡れていたので、濡れるのはそんな気にはしなかった
胸元に抱き付いたままの私を抱き締めるかのように、アズールの首や前足が被さる

「リーズの攻撃が激しすぎたから、ナバルは私と話がしたくなって
 あんな歯応えの良い柔らかい物を口にしたのは初めてだったから、呑み込みたくなったんだとさ
 私はリーズより長い間閉じ込められてたから、背中とか少し溶けちゃった」
「あの野郎・・・あれで悪気が無いってのか・・・」
「また相手をしてくれって伝言。通訳なら私がやったげるけど、どう?」
「クエストには当分行かない・・・」
「また食べられに行k(ry」
「もうあんなの結構・・・それに一度で充b(ry。あ・・・」
「それに、海底遺跡なんだから、あんな風にリーズがどんな事思っても、遭わされても誰も知らないから
 プライドなんてのも傷付かないs(ry」
「だぁれ!お前もう喋んなっ!」
「はいはい・・・もうリーズから離れたりしないから・・・」

ようやく今日で付き合い始め一年を迎えた・・・それなのにアズールとのこんな会話は初めてだった
いつもとは立場が別になっている

「あ、ナバル」
「こんな所まで・・・」

アズールの目線をなぞる
その先は水平線の向うでナバルデウスと思わしき巨大な海竜が遊んでいるように姿を表していた

声を上げて、直ぐに大海原へと消えていくその姿は変わっていないのだが
海底遺跡で初めて見たよりも、こっちで見た方が何故か印象が強い
荒ぶる神・・・だったか、アズールのおかげで和解したような物か

「異型の友をありがとう、神様・・・」

そう呟いた言葉はアズールには聞こえていなかったようだった
ナバルが満月を飾られた夜の黒いステージで泳いでいる
今度もあの時のように、その光景をアズールと黙って見ていた

『次会う時はこの三匹で・・・』
次に再会する時を面倒な事にしてしまった自分が情けない
その願いが叶う時は、少し先に回されていたのであった

この出来事は暗闇のステージに立っている者しか知らない・・・
メンテ
Re: 暗闇の深淵 ( No.14 )
日時: 2010/11/28 21:18
名前: S

と言う事で、ラギアパートは終了(自分の危険物取り扱いの試験も終わった所

完結予定でBADENDとは何事かねってのもどうかと思って、こんな結末に
用はMHみたいなああゆうのが居て違和感無いのが元ネタなら、こんなENDしか書いてないな・・・
『自分の振る舞いは、知らない内に誰かを追い詰めてしまったその一人なのかも知れない・・・』
自分も何度そう思った事やら

今更だが、ドスジャギィの顔出しはギャラリーから
時と場合によるが、あんな風にいきなり横から『ばぁーっ』って顔だされちゃ・・・

次パートはどうするか・・・
メンテ
Re: 暗闇の深淵 ( No.15 )
日時: 2010/11/29 07:59
名前: リオレイア

あうう…良かったぁ〜…
でも、ナバルの無邪気さがかあいい!
良ければ…僕もお相手しますよ?多分、柔らかいと思いますし…要は呑まれたいんですが…ナバルさん。
メンテ
Re: 暗闇の深淵 ( No.16 )
日時: 2010/11/30 23:44
名前: S

・新規作ろうと思ってたが、とりあえずこっち
・あの時とは多少展開が変わってます
・同じくしてぐだぐだです


故郷へと帰る大分前の事・・・このフィールドで自分の運命がとあるハンターによって変えられた
崖の上に着地すると、翼を畳んで、近くの洞穴へと入る
聞こえの悪いような場所だが、巣とかがある訳でも無い

ここは日当たりが良く、森、海、ハンターが使うキャンプなど様々な道へと続くエリアである
でも、この場は洞穴なので日の光は全く差し込まないが

「今日は来るかな・・・」

もう一度だけ彼に会いたいと思って、よくこの場所に来て
腹が減れば、何か食べにいったり、喉が渇けば、潤しにいったりと
一日の大半がそんな事ばっかりになっている

自分は飛竜リオレイアの類で、実際に目的のその者とも何度が出くわしているのだが

「ん・・・足音・・・」

こそっ・・・

「――で、ここ等辺で鳥竜に食われそうになって、それから?」
「いや、だからそれは油断してただけなんですってば・・・」
「相変わらずのその癖が治んないと、この先ギルドで生きていけなくなってしまうよ?
 捕獲ならともかくとしt(ry」
「うるさいっすよ・・・(怒」

洞穴から覗くようにして、彼等を確かめる
ハンターキャンプへと続く道から二人のハンターが話しながら、歩いて来ていた
男性の方は剣士、もう一人の女性の方はガンナーで装備が新入り向けのようだった

「は・・・はぅ、鳥竜・・・」
「あっ・・・やヴぁい・・・」

勇気を出せず、岩陰に隠れてしまって、未だ姿を見せた事がない
とはいっても、飛竜の姿で怖がらないで、相手などしてくれるはずも無いのだが・・・

暴走寸前の一人を抑えようとしている方のハンターが鳥竜のボスに食われかけた時か・・・
そんな事も有ったっけ・・・確かあの時は・・・・・・・・・
メンテ
Re: 暗闇の深淵 ( No.17 )
日時: 2010/11/30 23:44
名前: S

短い・・・毎回冒頭辺りが苦労する
最初も、最後までの勢いもどっちにしろ悪いが・・・


リオレイア氏
毎回の如く、返信ありがとうございます

Na「ガオー」
La「食券と引き換えで、呑んでくれるそうです
  それから寝れるように、胸元の体毛もベッドぐらい柔らか〜くしておくとの事とか」
Na「ウー」
La「噛み付き攻撃で口が開いた所に緊急回避するといいらしいです」
Na「ラ・・・ラギ、ラギ・・・」
La「はいはい、通訳ね。道中で気が変わったらすみません(笑
  それから心配してくれてありがとうっ!w」
メンテ
Re: 暗闇の深淵 ( No.18 )
日時: 2010/12/01 07:59
名前: リオレイア

おお!ではアイルー食堂へLet's GO!
さあ、アイルー共、アイルー食券・上を出せ!でなきゃ89式自動小銃の露にするぞ!ん?155mm自走榴弾砲の方が良いか?

ナバル様、アイルーから食券巻き上げてからゆっくり…
それと、新シリーズですな。今回は飛竜が主眼の様で…
何だろ?リオレイア、リオレウス……密林に生態系が似てそうだしなぁ…(ムービーでレウスとラギアが獲物を巡ってバトルしてた気が…)
いかん…密林の飛竜ってリオ夫妻しか思い付かねえ…
メンテ
Re: 暗闇の深淵 ( No.19 )
日時: 2010/12/03 20:36
名前: S

「・・・もうその辺でやめておいたらどうだ?
 そんなに心配しなくたって、ちゃんと夕飯ぐらいなら取ってきてやるから」
「やだよ、これでもそこそこ戦えるから手伝いたいんだもん」

飛竜のとある夫妻、その幼竜の長女にあたるのが私
とはいっても、空をようやく羽ばたけるようになったのはつい最近で
成体にも成っているとも言い難い過程で、体も鳥竜のボスの一回りか、二回り程大きいぐらいである

リオレウスのエマルフ、母は巣に帰って来なかったあの日から行方知れず
かつては一族の巣で過ごしていたらしいが、物心ついた時にはこの家族構成だった
エマルフが私を含め、残されていた幼竜の世話を今までずっとしてきたのであるから
私も父の為に何かを手伝いたく、共に狩りに来ているのだが、アプトノスすら満足に狩れずにいる

「巣に残っている子が心配だから、お前はもう戻っていろ
 このまま怪我なんてしてくれたら、元も子も無いから無理しなくてもいいんだぞ?」
「わ・・・分かったよ・・・・・・んしょっ・・・あ、あらら?・・・」

どしゃっ!

「う〜・・・いたたたた・・・」
「ほらみろ、まだ満足に空も飛べないだろ?
 それにそこそこなら居ても足手まといだ。だから、今日はもう帰れ」

羽ばたこうと翼に力を入れるが、力任せに羽ばたいても上手く飛べない
飛び方のコツが上手く掴めないのだから、たまにこんな感じで墜落する事もある

エマルフからも厳しい口調を浴びせられるが、それは私を思ってのこと
黙って言う事を聞いて、もう巣へと帰る事にする



空を飛べる飛竜の類とは、こうやって大空を羽ばたくのは実に気分が良い
今の私は長時間の飛行は難しいので、休み休みしないと飛べ続けれないから
そんな気分をいつまでも満喫出来る訳ではない

巣の付近まで来ると、失敗しないように気を付けて着地する
火竜と言う種族だからなのか、羽ばたいて来た大空とは違って自分の巣は春のように温かった

「さっ、お父さんが帰って来るまで待ってようね・・・」

私とは極端に年の差が離れているので、まだこの幼竜達はとても体が小さく、人間のハンターぐらいの大きさである
帰って来るのを待っていたのか、群がってくる物だから
翼で包み込みつつ、座り込んでレウスの帰りを待つ事にする

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「まぁ、こんな物だろ・・・さて、帰るとするか・・・」

アプトノス二匹・・・対した草食種ではないのだが、持っていくとすれば、結構手間がかかる物だ
一匹を両足でがっちりと掴み、もう一匹は噛付いて持っていく
今まで一人で育てて来たせいか、大分足腰の力が強くなってきているような感じがする

「あいつは一体どうしている事だろうか・・・」

沈みかけている太陽が薄っすらと紅く染めている大空の道中
ふと、母の事を思い出す

子育ての楽しさを知ったのは失踪してからだった

悩みなんてのも有るようには思えなかったが、どうして帰って来なかったのかが未だに疑問だった
たまに狩りもする事が有るが、ハンターに出くわすような場所で狩りなんてのもする訳が無い
そんな簡単に、捕まる訳でもなければ、狩られてしまうようなヤツでもなかった

「何にせよ・・・必ず戻って来てくれるはず・・・」

今思っても、もう終わった事
親は子は手放さないと自分も感じているように、そう信じて今を生き続ける
残された幼竜達のため、エリフのため・・・
エリフもそう思って、何も言わず母の帰りを待っているのかもしれない

「あ、お帰り」
「ん?あぁ、ただいま・・・」

エリフが迎え入れて来た事に気付き、気付かない内に巣へと着いていた
噛付いたり、吊り上げたりしているアプトノスを降ろす

無意識で巣の中に入れるくらいに、いつも通りの日々となっている
だが、何も感じずに子育てをするようになっているというのは義務的にやっているみたいだった
子に対する自分の愛情は所詮こんな物か・・・

「じゃあ、こっちは幼竜達にあげといてくれ。もう一匹はお前の分だ」
「お父さんはいいの?」
「戻って来る前に一匹喰ったから」

エリフも未熟な癖に、一丁前に手伝おうとしてくれる所や
自分が幼竜やエリフを支えるように、こいつ等も今の自分を支えてくれる

「だけど、やっぱもう一匹」
「じゃあ、一緒に・・・」

我が子と晩餐、エリフとの会話、いつもは疲れ果てて寝てしまうのだが今日は少し違った日々だった
今日はやけに腹が空いていたので、エリフの一匹を一緒に喰らい出す

自分を含め、それ等全てが明日で潰えるとは知らずに・・・・・・
メンテ
Re: 暗闇の深淵 ( No.20 )
日時: 2010/12/03 20:37
名前: S

子育てするレイアしか見た事無いが、レウスなんて居るのやら・・・
名前の元ネタは火のスペル『Flame』と『Fire』を逆さにしただけです
前スレにて誤字が少々あったので修正


リオレイア氏
返信ありがとうございます

『そのお肉寄越せぇ・・・』
『だが、断る!』的な感じで、3のOPで初見は軽く吹いた
自分は密林=ナルガって印象が強かったが・・・リオ夫妻ですとは・・・w
見たまんま(謎)新パートは飛竜主観で、MHお馴染みの女王様だから、肉食の頂点に立たせt(ry
「お前が同族を使うなど十年早い。鳥竜で我慢しろ」
気品をしっかりと備えてるリーナ様みたいなキャラは作れませんけれども
今後の展開も含め、ここはどうかお戯れを・・・(汗
恐竜っぽいから獣竜種も対象だったりしm(ry
「うぬぬ、そろそろ我が怒りの炎も限界に近し・・・(怒」
アッ・・・すみませんっ


Re;

Na「アウー」
La「気合入ってるっぽいです
  てか食券に階級有ったんだ(多分)・・・やっぱ3からだと分からない所あるな・・・」
Ri「苛める程では無いが、ぬこも可愛いけど(現実で)やっぱ自分の対象は爬虫類だった」
Na「スネ・・・ス・・・ネーク・・・・・・」
La「えっと・・・それから3rdも出たし、今回の私達(海竜種)のターンも終わってるから
  ここ等辺にしとかない?(焦」
Na「モ・・・モットデサセr(ry」
Ri「駄目(KY・KSC」
メンテ
Re: 暗闇の深淵 ( No.21 )
日時: 2010/12/06 21:58
名前: S

「ん・・・朝・・・」

朝を告げる小鳥の鳴き声と、頭上から差し込んでくる日の光を浴びて朝を迎える
幼竜はまだ眠っていて、エマルフは朝早くから朝食を探しに行っているみたいで
巣はとても静かだった

身震いして、体に付いた土や埃を落していると、エマルフが帰ってきたのだが

「あれ?手ぶらなんて珍しいね」
「出歩いているヤツは居たが朝早くからじゃ本調子じゃないから引き返してきた
 お前も腹が減っただろうが、もう少ししてから行って来る」

寝起きでは誰だって調子は良くなくてダルいのも仕方無い
それから2、30分程経ってから再出発する事になって、いつもみたく
私も同行する

早朝から出かけたのは、面倒な事にならない内に持って来ようとしていたのだろう
そんなに私は足手まといですか・・・

「・・・昨日と同じなら、もう戻っt(ry」
「あ、あとちょっとだけでも・・・」

いつもの狩場に来たが、昨日と同じで致命傷を負わせる事が上手く出来ない
静かなエマルフの殺気が伝わってくるので、声が微妙に震えていた
これはいつかは巣立つであろう私なりの今後の為だったりするのだが・・・

「いいから帰れ、子守りを頼むから」
「もう・・・・・・」

再び注意されて、巣に帰ろうと翼に力を入れる
進行方向を決めるとそのまま帰るつもりだったのだが
今日こそ一匹は狩りたくて、エマルフの姿が見えなくなった当りで直ぐ近くへと高度を下げる

逃がしてしまったアプトノスが姿を消し、あの場所には見回しているエマルフが居たが、気付かれていなかった
それに巣の近くでこんな事していても、散歩でもしていると思われるから問題は無いだろう

着陸して辺りを見回すが、それっぽい物は見当たらない
確か生肉が普通に置いてあったりするのはハンターが仕掛けた罠だと聞いたか
麻痺が仕込んである肉は見分けが付き難いとも聞いた

エマルフが居ないとなると、教えてもらっていた知識を今の状況で活かして
自分の身も自分で守らなければならないと言う事だった



   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「あれリオレイアか?」
「こっちは念の為の重装備ですしやってしまいます?」
「でもあいつまだ何も私達にしてないよ」

エリフが居るエリアの岩陰で、とあるハンターがチームで話し合っている
クエスト外で大型モンスターを討伐、捕獲したりすると資源へと変える事が出来るのである
それはギルドの通貨とは違った効果なので持っておいても損は無い

「それに罠も持ってきてないし、倒してしまったりしたら、可愛そうだしさ」
「対象が肉食なら、近くの地域のためになるかと」
「自惚れるなお前わ」

その内の二人は賛成だったが、一人は断固として賛成しなかった
彼は大型モンスターと戦う場合は必ず捕獲で終わらせていたのだから
これは自分のやり方に反すると思ったが、チームの足を引っ張るわけには行かないので、賛成せざるを得ない

「じゃあ俺とリーズで突っ込む、お前は援護を」
「へい」
「何か気が乗らないな・・・」
「お前直リーダーだろ?俺は今月末に異動だから、もう少ししっかりしろ」
「はいはい・・・」

「この後は腰抜けが一人逃げ出したから補充が一人居るがな」
「うるせーよ馬鹿」
「悪かったな、ちゃんと分かっているつもりだ」

何気に怒りを買ったようだが
リーズと呼ばれるハンターは太刀を抜いて、チームのリーダーとゆっくりとリオレイアに忍び寄る
後方支援を任されているガンナーはボウガンに弾を込める

「あれくらいならいけそうか・・・」

背後にしているリオレイアは彼等に気付いていない
ケルビを見つけ、それに向かおうとした時

「ん?・・・・・・いっ!?・・・」

背中に何かが刺されたような痛みが走ると、そこからカミソリのような細かく鋭い刃が弾けた
・・・斬裂弾を撃ち込まれたのだろう
彼等へ振り向くと直ぐに別の方向にボウガンの弾丸がすれ違う

「あ、外れた」
「ボウガンは攻める物じゃないって事をいい加減に分かれ」
「これも仕事だから、悪く思わないで・・・っていうのも無理があるか
 あら、あいつ何して・・・」

ドゴォン!

着弾後に爆発するタイプの微甲榴弾ってヤツのようだった
その場所は巣のある洞窟、爆破されて崩れ落ちていくその様を呆然と見ていた・・・

倒れたままの体制で静かな怒りを乗せて彼等を威圧する
同種族間でのみでしか話せないので彼等との会話は叶わない
ただものじゃないハンター達のようで、全く動じなかった

「グルルルル・・・」

「レイアか、クエスト外での狩猟は久しぶりだな」
「言っとくけど、討伐なんてしたくないからとどめは任すわ」

「・・・何か聞こえません?飛竜の鳴き声ような・・・」
『え?』

「わっ!?何!?」
「レ・・・レウスか・・・」
「あっ・・・やばい、早く弾込めないと・・・」

飛竜の声が轟くと3発程の火球が落ちて来る
突然の出現なのか、ハンター達は少しパニくっているようだった
火球、レウスその物の羽ばきで生じる風圧で怯んでいる

「・・・・・・・・・」
「な・・・何を・・・」

口から炎が漏れている所からして怒りが伝わってくる
目配せをするように私の方を見ると、何も言わずにハンターの方へと向き直る

『グオオオオオオオオオォォォォォ!!!』
「んなっ!?」
「うあ、うっせぇ・・・」
「・・・これがレウスかいな」

大地が震えるほどのバインドボイスが轟く
軽装のガンナーなんか吹っ飛ぶくらいだった

もう一度私の方をレウスが見る。・・・よく見ればエマルフだった
迫力が段違いだったので、よく分からなかったのだろう
目配せを二回もされ、逃走を勧めていると悟って、上空へと逃げる

「くそっ・・・待てっ!」
「うぐっ・・・」

「今はレイアの方は放っとけ」
「まずは目の前片付けてからだし」
「ギシャアアアァァァ・・・」

巣を破壊した同じ弾で背中を撃ち抜かれたが、痛みに耐えて何とか飛行は出来た
エマルフも無駄な殺生はしたくないのか、彼等を威嚇していても種族が違うせいで伝わらない
・・・これをハンターが分かってくれたら、エマルフは生きていた

爆破された巣は完全に崩れ落ち、瓦礫の山となっていて
岩と岩の間からは、幼竜の小さな翼のような物が見え隠れしていた

「くくっ・・・中々やるな・・・」
「・・・久々に熱くなってしまいそう」

ハンター達とエマルフはまだ戦っている
その最中でまだ目配せをしているように、私の方をよく見る

   ・・・・・・・・・・・・・・

「でやらぁ!」

リーダー格のようなハンターのハンマーが気を失わせる程の一撃で勝敗が決まる
長い交戦の末、ハンターにやられ、決着が着いた・・・

「ふ〜・・・まいったか・・・」
「お手柄・・・」
「グ・・・ガハ・・・」

女性のハンターに視線を浴びせられて、我に返る
まるで息耐えるその間まで傍観していたかのように再び翼に力を込める
だが、リーズだったか、そのハンターは太刀を片手に持ったまま、帽子のような頭装備を外す
ずっとその場を去りゆく私を見ていた

そういえばあの女性のハンターは度々私に視線をやっていた
それはエマルフもあのハンターもずっと私を逃がそうとしていたのだったのかもしれない

「どうしたんです?先輩」
「え?いや、何も。ただ私のやり方に反した終わらせ方しちゃったもんで」
「討伐って言ったら、息の根を止めるまで終わらない
 ・・・このレウスにも帰りを待っているヤツが居たんだろうな」

ズズ・・・ドガシャッ!

戦闘が終わり、緊張が抜けた場に大きな音が響き
突然崩れ落ちた巣に三人が振り返る

「・・・幼竜か?という事はこれは巣か・・・反れた弾があの飛竜の巣を爆破していたとは・・・」
「すんません・・・俺のせいで・・・」
「私はこんな事に手を・・・・・・」

この場には崩れたとある飛竜の巣と力尽きたリオレウスが
そして三人は飛び去っていったリオレイアの後を、この事を懺悔するような小言を呟きながら眺めていた

「――何してるんだ?」
「この子達を埋葬してやらないと・・・
 私があのリオレイアに出来るせめてもの罪滅ぼしになるかと思うから」
「・・・元は俺のせいだから、俺も手伝います」
「じゃあ俺も・・・」
メンテ
Re: 暗闇の深淵 ( No.22 )
日時: 2010/12/06 22:38
名前: リオレイア

あ…………

リーナ
「仕方あるまい。力あるもの、考えられる者が生き残るのだ…」

 うん…まぁ、飛び去ったレイアに期待しよう…
メンテ
Re: 暗闇の深淵 ( No.23 )
日時: 2010/12/06 23:00
名前: ロンギヌス

レ、レウスがああああ!!!!(悲)
大好きを超えて大好きなのに……

まあ、それがハンターの仕事なんですけどね。
メンテ
Re: 暗闇の深淵 ( No.24 )
日時: 2010/12/08 23:47
名前: S

・捕食がハードとなってます
・今更って感じですが、最初のヤツはおまけで喋らせただけで、こっちでは喋らない設定です
・二回目ですが、あの時とは展開が変わっています(多大に


捕まったら、同じようにやられてしまうと思えば、凄い力が出るものだ
大分羽ばたいて来て、もう水平線の向うに見えている
下は海岸で、今居るこの場所はその近くの崖に着陸して休息していた

「どうしてこんな事に・・・」

ほんの数分程前まではこんな事になるなんて思っても居なかった
昨日のようにしばらくしたら、エマルフが夕食を持って戻って来て、幼竜の子守りをしながら寝に入る
・・・そんないつも通りの日になると思っていた

ただケルビを狩ろうとしていただけで、彼等に不快に思われるような事なんてしていないはず
何もしていないのに、エマルフ所か、巣に残っていた幼竜もろ共帰る場所を壊され
どうしてここまでされなくては・・・

火炎袋の器官がまだ発達していない私は火球を放つ事が出来ないので
肉弾戦でしか仕留める事が出来ないから、あの時にエマルフの援護は出来なかった
でも、元はといえば素直に言う事を聞かなかった自分の自業自得・・・

「もう私は何処へ帰れば・・・」

とても悔しくて、一筋の涙が零れ落ち、そんな事を座り込んで呟いた
地に伏せると、絶望にまみれ、そのまま眠ってしまう・・・



   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「――仲間を一匹失っただと?」
「申し訳ございません・・・」
「仰る通りですが・・・」

火竜のある一族の会議が開かれる
私の失態でハンターに仲間を一匹狩られてしまった事が原因だった

「捕獲されて・・・か、直ぐに命までは取られないとは思うが」
「下手すりゃ、普通にやられるより酷い事にもなるらしいが」
「でも、あのレウスがやられるなんてなぁ」

狩られてしまった仲間は討伐まではされなかった物の、捕獲された
その後はどうなるか分からない・・・

そんな事をざわざわと他の皆も密かに話している
長たる火竜を前に対して、こんな事を口走るのを躊躇いもなかった

「処罰はどうす――」
「勝手ながら、それは私が決めます」
「・・・何だって?」
「私が一族から離れるから、エマルフは見逃してあげて下さい」
「お前何言って――」
「付いて来ないで・・・一匹でも充分やっていけるから」
「待っ――」

いつのまにか涙を流しながら
静止も聞かずに飛び出すようにして、一族が集まっている広場から抜け出す

「これでいい・・・一族の問題は去るしかない
 所詮自分はリオレイアの類のおちこぼれなのだから、居ても居なくても変わらないか・・・
 ごめんねエリフ・・・私を許して・・・・・・」

覚悟の上だったが、もう見られていないとなると、感情が溢れてくる
止まらない竜の涙が雨のように地に降り注いでいた
行くあても無く、暗い闇の中へと飛び込む
その闇が溶け込んで、視界に何も映らなくなるまでただひたすら飛び続けていた


   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「はっ・・・」

夢の空間から目が覚める
空の王者、または陸の女王たる口調がそこまで成っていない火竜

一族で過ごしていた事はあったが、物心も付いていない時だから、会議には出席するまでもなかったはず
内容は一匹のレウスを失った事だったが、エマルフの事と思えば、もう居ないはずなのに隣にいた?
火竜たる口調を持ち合わせていないのは私も自覚があるが、どうして私の事を・・・

「ちっくしょー・・・あの野郎・・・縁起上手すぎだろ全く・・・」

水中から上がって来るような音に混じって、何かを愚痴る声がし、飛び跳ねるぐらいに驚いてしまう
それはハンターのようだったが、あのハンター達とは違って傷だらけで
武器も防具も全くの入門向けのようだった
念のため見えなくなる所まで後ずさる


そのハンターは大剣を引きずりながら、上がってきていた
今まで生きていて、このハンターによって倒されてしまった
・・・と考えれば装備がたいした事は無さそうだ
母もエマルフと共に狩りをした事があるってんだから、こんなヤツにやられる訳がない

となればこの海に身投げでもして、自分を終えた母の最後の言葉だったのだろうか
さっきの夢は私を誘うかのようなタイミングで見てしまったから不気味だった

「あと15分くらいか・・・クエストは失敗みたいだし、キャンプで手続き取って早い所帰るか・・・」

片手に持っていた大剣を背負うが、傷が効いている様で上手く走れそうではない
道の沿ってそのハンターは進んでいく
どうせ私もここ等辺で今日を終えるのだから、寝る前の暇つぶしには丁度良い

崖の上を歩き、そのハンターを追っていくと、何かを見つけたようで慌てて岩陰に隠れた
様子を伺うと、何故か回復薬を作って、直ぐに使うとその何かに忍び寄っていく

その先を確かめてみると鳥竜だけれども、雑魚の割には大きな物がある
先程言っていたクエストとはボスの討伐だったのだろう
・・・本来ならさっきのハンターの一味だから、私が仕返ししてやりたい所

「たったあれだけだったのに随分と手間がかかったな・・・」

まだ倒してもいないのに、もう終わったような言い方をしている
下っ端も居ないので邪魔が入らなく、そのまま終わるかと思っていたが


「あら・・・ぐっは!・・・」

振り上げる時に切っ先で僅かに傷を付けてしまい、それで鳥竜を起こしてしまったようだった
尻尾の薙ぎ払いぐらいでダウンしてしまうほど体の方は限界だと覗える
慌てて大剣を取りに向かうハンターにも応戦するようで、鳥竜は歌のような鳴き声で仲間を呼び出す

「かくなる上は・・・片す!」

傷だらけの割りにはよく言うハンターだ
そのくせに刃もボロボロで、斬る対象が鳥竜の下っ端だから、辛うじて弾かれていないって感じだ
しかも斬れ味がその程度なんだから、鳥竜はダウンはしている物のやられたヤツが居ない
・・・あんな重そうな剣をあっちへ振ったり、こっちへ振ったりと中々忙しそうな事

今更だがこんな鳥竜は見た事が無い
ランポスとは違って紅や赤に近い色で、襟巻きみたいな飾りがある
ボスの鳴き声で雄雌関係無く集まって来ているようだが、どっちが雄なのか分からない
随分と遠くまで飛んで来たのだと実感する

意外にもハンターが戦う様を見るのも面白かった
・・・諦めの悪いハンターか、もうあの様じゃ勝負はついていそうなのにどうしてあそこまで戦うのやら

「ぐわっ!?・・・うわ・・・ちょ・・・おま・・・」

背後に回られて、体当たりをされて、ついにダウン
大剣も手放してしまい、鳥竜攻めにされ、自分もその世界の住人だからなのか
まさに弱肉強食の世界が改めて思い知らされる


鳥竜のボスがハンターまで近づいていくと、下っ端は道を空ける
分けようと噛み千切っても、量が少なさそうな場合は親玉が頂くというやり方か

「く・・・くそっ・・・確かポーチにあれが・・・」

取り囲まれているので、逃げ出せそうに無い
ハンターはしっかりと掴み込まれても抜け出そうと抵抗しているが、限界の体で本当によく頑張る
最後まで抵抗するというのは彼食される側の反応と言えば、当然といえば当然


今の体の状態が影響したようで、閃光玉を痛みに耐え切れずに落としてしまって
目晦ましという抵抗も空しく終わり
挙句の果てにはそんな事を警戒されて、ポーチも剥ぎ取りナイフも切り離された

「なっ・・・嘘だろ、やめr――」

喰われるという目の前の現実に怯えるハンターの前で、鳥竜が舌なめずりをすると
頭から喰らい出す

人間と鳥竜のボスでは力量の差が結構現れてるのか、それともこのハンターが新人だからなのか
抵抗にも動じずにむしゃむしゃと食われていく

捕食されて、下半身でもがき苦しんでいる様を私も下っ端達に混じって見ていた(これぞ高みの見物ってヤツか
こき使われているという立場が分かり、一部の下っ端は独り占めの食事の光景が始まると
すごすごと帰っていくヤツも居る

・・・諦めが悪いから、死ぬ最後まで抗おうとするハンターか
中身の方はともかくとして、死ぬ寸前の最後まで戦おうとする姿が何だかエマルフに似ている

内心では何処となくあのハンターを助けたくも思っていた
だが、ハンターは何もかも奪い去ったギルドの組織の一員
あいつも何もかも奪い去ったハンターの一味なのだから、あのまま喰われてしまえば・・・
・・・など複雑な感情がすれ違う

もう喰われているハンターの下半身ぐらいしか見えない
徐々に抵抗する気力も弱弱しくなってきている下半身からは唾液が滴って水溜りが出来ていて
鳥竜の口から下は喰われゆくハンターの膨らみがあり、下っ端の数は半数くらいにまで減っていた

・・・そんな事を思っている今も、餌としてゆっくりと呑み込まれていっている
このまま夕食とされて満腹の鳥竜の姿を見る方を取るか、それとも・・・

「グオオオオオオオオォォォォ!!」

考えていると無意識の内にバインドボイスが出てしまう
助けたいと言う気持ちの方が高かったのだろうか

そんな突然の咆哮で鳥竜の動きが何かを警戒するような感じに変わる
ボスの方は喰ってる物が、つっかえないようにと丁寧に取り出していたが

「ギャウウゥーン・・・」
「ぐふっ・・・ごほっ・・・ド偉い目に有った・・・な、なんだあれ・・・目が霞んでよく見えな・・・」

翼に力を込め、鳥竜のボス目掛けて急降下
やっておいてなんだが、獲物を蹴ったくるなんて技は久しぶりだ
まだ成体に成ったばかりで体格差も差ほど無いはずなのだが
鳥竜と飛竜では人間と比べれば、もっと力の差が現れているのか、ダウンした所を踏んづけて足下にしてやる

さっきまで捕食されかけていて、鳥竜の唾液で全身ずぶ濡れのハンターもこの状況を理解すると
慌てる下っ端と同じくして、飛竜の登場に驚いている様だった
こんな自分を驚いているのが信じられない

「グルルルルル・・・」

遊び半分で唸り声を上げながら、見回すと下っ端も面白いくらいに逃げていく
2、3匹くらいは頂いてしまいたかったな

グシャッ

「グガッ・・・」
「ん・・・」

何かが砕けたような音で、痛そうな声を上げる鳥竜の方を向く
逃がさないように踏ん付けていただけだったのだが、気づかない内に骨を折っていたようだった
抵抗がかなり弱弱しくなっている所からして、足の付け根の骨含め、アバラの方も数本イかせたみたいだ

・・・何だか一気に展開が変わった
今日は色んな事があって、朝から何も口にしていないので
飛竜にとっては餌に過ぎない物がここまで暴れてくれると、活きの良さと感じてしまい

「ギャウ・・・ガッ・・・」

空腹に我慢しきれず、襟巻きに噛付いては噛み千切っていく
鳥竜の瞳には今の自分の姿があり、顔を近づけると大きく映る
薄く柔らかい食感、千切られる微かな音が肉食である自分の本能を駆り立てていく

「アギッ!・・・ギャガッ!・・・」

胴体の方も喰らい始めれば、溢れ出す肉汁・・・じゃなくて流血が広がり、地面を真っ赤に染めていく
肉質はアプトノスとは違ってやや硬いが、歯応えがあると思えばそれでいていい
鳥竜の皮膚の内の骨までも噛み砕いていき、肉にも段段と血が滴っていく歯応えになる
悲鳴もさらに激しくなっていく内に捕食という本能を抑えられなくなっていく

「グ・・・ガ・・・・・・・・・」

こんな感じに言うのも何だが、ただ捕食しているだけなのに
鳥竜はすっかり沈黙してしまっていた

硬い歯応えの骨ばかりでちょっとばっかし嫌になって来たので
舌で舐めまわして、柔らかそうな場所を探し出すと、そこから再び喰らい出す

「あ・・・」

ちらりと横目で周りを見れば、下っ端の方は一人残らず逃げてしまっていたが、まだあのハンターが居た
そういえば捕食しにこの鳥竜を倒したんじゃなかったっけ

ギギッ・・・ブチッ・・・

引き千切ると同時に鳥竜からの最後の流血
食事も終わりそうな所で、そいつと話でもしてみようと思い
最後に貪れそうな所の鳥竜の尻尾を食い千切って、ハンターの方に向く

「ウゥー」
「く・・・来んなよ!・・・噛み千切られるなんて、何でこんな拷問みたいな最後を・・・」

すっかりパニくっている
まぁこんな風に口元を血でべっとりと染めて、くちゃくちゃと喰いながら寄ってくれば
ただ会話でもしてみようというつもりでも、次は自分の番だと思われるそんな反応も当然といえば当然
背後にはさっきまで腹を空かせていた亡骸の原型が
鳥竜なのかすらも考えるくらいに食い漁ってしまっていたようだった

どうせ逃げられもしないのに、後ずさりしていて、そんな展開に持っていけそうにも無い
こっちは喋ろうとしているのだが、人間の言葉にならないので通じていない
・・・その前に会話も同種族間でしか通じなかったっけ
鳥竜の言葉も訳分からなかったし、エマルフと戦っていたハンターとも通じて無さそうだった
でも見逃そうとは思っているが、このまま帰ってしまうのは面白くない

「あれでいいか・・・せっ!」
「わっ!?」

食いかけの尻尾を口にしまい、あのハンターの装備だった大剣の柄をくわえて
側に放り投げる

・・・つもりが、ハンター擦れ擦れに通り過ぎ、背後の岩に突き刺さる
大剣の柄に自分の口元から付いた血がハンターとすれ違った時に頬を汚していた
人間向けに力加減って難しい
そんな事もこの状況下に居るハンターにとっては
自分の怖がる様を見て、楽しんでいるようにも見えてしまっただろうが・・・

バサッ・・・

ようやくその場を飛び去る
まるであのハンター達みたいに飛び去っていく私を腰が抜けて座り込んだ体制で見つめたまま動かなかったが
あの時とは何かが違っていた
空中で尻尾も食べてしまうと、さっきの海岸へと舞い降りる

「不思議な感情・・・どうしてあんなに恨んでいたハンターを助けたのやら・・・」

何処となく家族を守ろうと体を張っていたエマルフに似ていて
それが人に模したようなエマルフの姿に被さったのだろうか
ただ助けただけなのに、何だか体の内側で熱い感情が溢れてきていた

「もう帰る場所も無いんだから、今度はこっちに住み付いてみるか
 この地・・・じゃなかった、あのハンターから離れたくなくなってきた・・・」

こんな事を思っても、自分を誤解されているあのハンターにとっては良い迷惑なのかもしれない
子は新たな世界へいつか巣立つであろうが
今の私はまだ親元から離れたくないと願う幼竜のままのようだった・・・・・・・・・
メンテ
Re: 暗闇の深淵 ( No.25 )
日時: 2010/12/08 23:48
名前: S

リオレイア氏
惨劇ばっかに遭わせてしまってますが、リオ夫妻が決して嫌いって訳ではありません(むしろ大好きです
微(?)ネタバレですが、生き残ったレイアがテラカオティックになってしまってます
んで、そこはどうか・・・(ここもだが

ロンギヌス氏
自分も火竜の男の子の方は特に大好きです(でも、鳥竜も捨てられない
ハンター何だからこんな事するのも仕方無い=そんな仕事してるから、狩られる方にむしゃむしゃされるのも仕方無い
って捉えるのもアリなのかなぁ

ファーストアターック!って感じに真っ先に喧嘩を売っている自分を考えてみれば、自分が恐ろしい・・・
飛竜って体格が良ければ、頭も良いって考えて、人間みたく様々な感情もある
・・・なんて思ってるのは自分だけなのか

以上の方々返信ありがとうございました
メンテ
Re: 暗闇の深淵 ( No.26 )
日時: 2010/12/09 00:06
名前: リオレイア

うーむ……
ハンターが羨ましいかも…鳥竜(ドスジャギィですか?)に呑まれかけたあげく、レイアに救われるなんて…
レイアさま!ぜひ僕をお口に…
メンテ
Re: 暗闇の深淵 ( No.27 )
日時: 2010/12/29 19:16
名前: S

「それにしてもあれから最近来なくなったな・・・」

ロアルドロスにさらわれた挙句に、食われかけたリーズとかいうハンターを助けてからというもの
見かける事が全くなかった

あの時は家族の仇とばかり思って、さらわれた所を辿っていけば、絶好のチャンスが到来
だが、ここで始末してしまえば、レイジとかいうハンターが・・・しかし、助ければ報いる事が出来ない
様々な思いがすれ違って、散々迷ったその結果は手を下す事も無く、ロアルドロスから開放しただけで終わった

「今頃レイジどうなってるやら・・・」
「さぁね、もう昔とは違うみたいだったし。負け犬みたく帰って来ないから、上手いようにやってるんじゃない?
 今度クエストやる時私はみっとも無い所を見せないようにしないと・・・」
「・・・釣りしながらだと、説得力に欠けるよ?」

巣を作っていたエリアによく日光浴に来ていたラギアクルスの背にのって釣りをしているリーズの姿がある(海岸で
にしても、あの海竜喋れたのか・・・
鳥竜のボスならともかくとして、飛竜や獣竜種などの大型モンスターと遭遇したら
逃げる行動が大半のハンターがやるから(討伐なら別だが
もし来たとすると、面倒な事になるかもしれないから、追い返してたっけ
何度も喰らったのに、それでも来るなんて、結構タフな海竜な事

「次の本業は街になると思うけど、帰るまで退屈はしないと願いたい所
 ここって海竜種や獣竜種だの、見たこと無い種族ばっかしだったからな〜」
「そんな遠い所で仕事してたんだ・・・w」
「派遣された中でもココット村って所はもー凄い所だったけどね」

街・・・とか、帰るまで、という事はきっと街の方に異動する事になったのだろう
入れ替わるように姿を見かけなくなったのは、それだったからか

そんな過去もあったのか・・・私と同じか
長い月日をかけて傷跡を癒し、ギルドのハンターという本職へと帰った
親元から巣立っていく雛なら私もいい頃合なのかもしれない・・・

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「人に牙を向けた者は誰であろうと成敗されてしまう
 では、『牙を向けなければ狩られなくていいのか』とか思った事はあるか?」
「う〜ん・・・何だか人間って神様も越えてるみたいな存在・・・」
「何にせよ、飛竜と人間とでは分かり合えない
 我等が居るだけで害と成すと思われてしまって、人間と同じくして生きる資格を得ていても
 姿のせいで害虫のように扱われるなんてな・・・・・・笑えない冗談だ」
「じゃあ、私もいつかはそのハンターってのに、倒されてしまうの?」
「そんな事はさせやしない。ザルブが帰ってくるまで・・・じゃなかった
 人間が我等を裁くのなら、我等にも裁く事が出来る権利があるはず
 実在する物は全ての者が手にする事が出来るのだから、我等が使って悪いはずがない」
「負けない自信は?」
「親は子の為なら、何だって出来る
 ・・・まぁ子育てして、そう感じてどの道ザルブから教わったんだけどな」

「・・・だが、生きる資格をひったくる事だけは、誰がしても許されざる行為なのだから
 どんな理由であれ、殺めてしまう事は本来許されないし
 火竜とはこの姿だから、怯えてしまうのも無理はないから、そんな相手でもて遊ぶ事も我等のやり方には反する
 そんなヤツは一匹でも充分生きていけるだろうが、自惚れていれば遅かれ早かれ自滅する」
「えっと・・・ひったくるって?」
「早い話は恨みと憎しみを手にギルドと戦うような子に育ててしまえば
 帰ってきた時にザルブに怒られてしまうからな・・・ははは」
「そういえば、お母さんの顔ってどんなんだったっけ・・・覚えてないな・・・」
「・・・・・・いつか私達の元へ帰って来てくれる。今も何処かで生きていると信じよう・・・」
「うん・・・」

エマルフの狩りはアプトノス・・・いや、狩られる側に同情していたのだろうか
度々落す涙を見た
あの時の私はエマルフが火竜としての見本と感じていた

・・・今滞在している島、巣があるエリアで
よく日光浴しに寝に来ているあのラギアクルスは母の生まれ変わりだったのかもしれない
あの海竜にそんな自覚が無くとも
静かに、そして知られないようにと私を見守っていたのに追い払ってしまっていた

「どんな事が有っても彼等を恨むな
 全てを敵に回してしまうからって事ではなくて、戦ったって終りもしない無駄な事をして欲しくは無い
 母の顔が見たいのなら、どんな事があっても私達が生きてなければならないのだから・・・
 だからきっと分かってくれるから、二人でやり直そう・・・」

あの時にハンター達へと通じたのなら、そんな事を言っただろう
自分の気持ちを表さないように、どんな事があっても、私を別の道に進ませようとなんかさせなかった
そんな思いも分かって上げられなかった

・・・知らず知らずに見本と思っていた父との約束を沢山破ってしまっていた
エマルフも含めて、家族の許しを貰うのは何時になるだろうか・・・
これからは私の懺悔の旅・・・今こそ色んな思い出のあるこの地を巣立とう
どうか火竜として、多大な許されざる行為を犯し続けた私に見合う天罰を・・・


「あ、火竜」
「そういや、ロアルドロスに食われかけた時は、リオレイアに助けてもらったっけ・・・
 もうレイアを討伐するなんてやめよ。あの時はあんな酷い事したから、♀だけに雌の呪いは激しいらしいし
 ・・・あれ、どったの?」
「あ・・・いや、あのレイア見る度に、何処となく懐かしい感じに囚われて・・・
 そんな私は痛い思いまでして、いつもあの場所で日光浴してたし・・・
 どうして海竜に火竜の知り合いなんか居るのやら・・・」

行くあても無く、水平線の向うへと飛んでいく雌火竜
その下の海岸では海竜と一人のハンターがその様を眺めていた
メンテ
Re: 暗闇の深淵 ( No.28 )
日時: 2010/12/29 19:17
名前: S

って事で自分のTriのMH物はこれにて完結の予定ですが、結局母との対面は無かったとか
完結させてしまった事が名残惜しい気がするので、前言取り消して、こいつ等はこの次で本当に最後
それから今年の最後に〆た作品がこれとは・・・

その前にスレを二つも消して、予定も一部飛んで、かなり強引に終わらせてしまってます
それにただでさえ、ぐだぐだだったし
天空の王者リオレウスってんだから、心身立派にしてみたつもり
母の方の名前の元ネタは『Blaze』ですが、捻り入れて一字取ってます(捻る所が間違ってるけど

ラギアパートはラスボスの噛み付きが何とか、とか沢山書いてた割りに出さなかったのは、何事かと思って捕食されてみる
レイアパートは本編の裏側と過去って事で『Anather Order』的な展開を書いてみる
なんて感じですが、意外性が無かったり

返信して下さった方々、毎度お馴染みで大半がぐだぐだでしたが、ここまで見て下さってくれた方々も本当に有難うございました
メンテ
Re: 暗闇の深淵 ( No.29 )
日時: 2010/12/30 20:02
名前: リオレイア

レイア様〜お達者で〜!
あ!狩りをしなくても良いように1日に一回B-2ステルス爆撃機を派遣しよう。勿論、積んでるのは爆弾……






では無く、アプトノスの肉で!
リーズとアズールもお元気で〜
たまにはナバルとも遊んであげてね〜。その時に呼んでくれたら一緒に行くから!
メンテ
Re: 暗闇の深淵 ( No.30 )
日時: 2010/12/31 19:37
名前: S

レ「ナズチと間違えて撃墜したらすみません」

「サ・・・3rdばっか・・・しゃがっt(ry」
あ、ナバルすっかり忘れてました(汗
暇な時相手してあげないと・・・w


本当に最後まで返信ありがとうございましたw
メンテ
Re: 暗闇の深淵 ( No.31 )
日時: 2011/01/01 16:37
名前: ロンギヌス

そ、そういえば僕もサードばっかりやってる気が・・(2ndGホコリ被ってる)

おもしろかったです。ありがとうございました!
メンテ
Re: 暗闇の深淵 ( No.32 )
日時: 2011/01/01 17:46
名前: S

そうっすよね
毎度お馴染みだったランポスやらイャンクックとか、次第に忘れ去られて・・・w
リメイク版とかは面白いが、やっぱり古い子は思い出の中で生きていく定めなのやら・・・(汗
でも完全に生まれ変わってたTriからやり始めてた自分は一体・・・

面白かったのは自分としても何よりです
ロンギヌスさん最後に返信ありがとうございますw
メンテ

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