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神々の戯れ
日時: 2010/10/19 01:00
名前: とんこつ

お久しぶりです。
『とんこつ』でございます。
タイトルがやけに仰々しいですが、主要キャラが守り神の兎と水神の竜(東洋龍ではなく西洋竜なのは私の趣味です)というだけです。
まあこれだけで誰が捕食側が誰が被食側なのか分かりますよね(苦笑)
ちなみに今回は私が過去に投稿した作品と違って、三人称視点になっております。
あと描写も被食者寄りにする予定です。

なんだか前書きが長くなってしまいましたが、それではお楽しみください。

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神々の戯れ ( No.1 )
日時: 2010/10/19 01:03
名前: とんこつ

草木も眠る丑三つ時。
真っ黒なローブを身に纏い、フードを深くかぶって顔を隠している不審者が畑で何やら物色していた。

「あれ?この畑にも何もない。変だな、いつもはたくさんニンジンがあるのに」

その不審者は不満そうに呟くと、首を傾げながら畑から出た。

「おかしいな、どの畑にも野菜がない。私が出かけていた間に何かあったのか?……むっ、話し声が聞こえるぞ」

話し声は淋しい寒村の中では一番大きな家からのものだった。
不審者はそっと家に近づき、聞き耳を立てる。

「……最後に雨が降ったのはかれこれ3ヶ月前。もはや限界だ」

「野菜は全て枯れてしまって全滅。井戸も枯れる寸前。このままでは全員死んでしまう」

「やはり水神様に生け贄を捧げて雨乞いをするしかない」

こっそりと盗み聞きしていた不審者は『生け贄』という単語にピクリと反応する。
そして次の瞬間、不審者の姿が音もなく消えた。
一方家のなかでは三人の男たちが暗い顔をして話し合っていた。
もちろん外で異変があったなど知る由もない。


「となると、誰を生け贄に?」

「それが問題だ。希望者を募ろうか」

「進んで生け贄になりたがる変人がいるものか。となると――」

「ちょっと待ちなさい。生け贄だなんて許しませんよ」

その場には似付かわしくない中性的な声が、突然男たちの会話に割って入ってきた。
当然男たちは激しく動揺してあたふたする。

「だ、誰だ!どこにいる!」

「おじゃましますよ」

男たちから少し離れた場所に、先ほどまで外にいたはずの不審者が突然現れた。

「ば、バカな。扉にはきちんと閂(かんぬき)をしているというのに」

「まさか妖怪か!?」

不審者は肩をすくめる。

「まあ似たようものですね」

すると不審者は顔を隠すようにかぶっていたフードを脱ぎ去った。
隠されていた顔を見た男たちは絶句する
彼岸花のように真っ赤な瞳、雪のように真っ白な毛並み。
それは人間ではなくウサギの顔であった。

「月夜兎(ツキヨト)様……!」

男の一人がガクガク震えながらその場に跪く。
他の二人も慌てて跪いた。
『月夜兎』はこの一帯の守り神として人々から崇められている存在。
男たちがおそれおののいたのも無理はない。

「生け贄だなんておやめなさい。そもそも生け贄を喜ぶのは邪神ぐらいですよ」

月夜兎は優しく諭すように言う。

「しかし――」

「話は外で聞いてました。かなり長い間雨が降ってないようですね。知り合いの水神に雨を降らすように掛け合ってみましょう」

そう言うと月夜兎はローブを脱ぎ捨てた。
Re: 神々の戯れ ( No.2 )
日時: 2010/10/19 12:10
名前: リオレイア

神様みずから人柱に?
ドラゴンは大好きだけに早く雨乞いをして欲しいです
Re: 神々の戯れ ( No.3 )
日時: 2010/10/19 18:33
名前: 名無しのゴンベエ

おお…水の神のお口へgo!!

毎日生け贄希望しちゃいますw
Re: 神々の戯れ ( No.4 )
日時: 2010/10/19 18:34
名前: ロンギヌス

あ…上の僕です。(また忘れてる…
Re: 神々の戯れ ( No.5 )
日時: 2010/10/19 21:11
名前: S

兎の知り合いに水の神様・・・w
とんこつ氏の作品は実際にも有りそうなので好きです
期待してますw
Re: 神々の戯れ ( No.6 )
日時: 2010/10/20 23:18
名前: とんこつ

>リオレイアさん

だが月夜兎はこれから待ち受ける偶然が引き起こす悲劇(?)を、この時は知る由もなかった。
といった具合です。

>ロンギヌスさん

毎日だと捕食者側が折れてしまいそうですね。

>Sさん

兎のくせにドラゴンがお友達とはなかなかワイルドな奴ですよ。


返信遅くなってスミマセン。
決して昨日のプレーオフを見て『今年もまた敗退かよ……。プレーオフなんざ消えちまえ……』と寝るまでずーっとブツブツ言っていたせいで執筆が進まなかった、というわけではありません。
……スミマセン、さっさと続きも投稿しますね。
Re: 神々の戯れ ( No.7 )
日時: 2010/10/20 23:19
名前: とんこつ

ローブの下には狩衣をさらに簡略化させたような服を着ていた。
月夜兎の毛並みと同様に真っ白で、どことなく神々しさを感じさせる。

「では今から行ってきます。あともうちょっと辛抱してくださいね」

準備運動のつもりなのか、月夜兎はピョンピョンと軽く飛び跳ねる。

「月夜兎様、本当にありがとうございます。どうお礼をしたらいいのやら」

「それでしたら」

男の言葉を聞いた月夜兎はくるりと振り返った。

「来年のお供え物はニンジンをお願いしていいですか?私はニンジンが大好きなんですよ」

「分かりました。丹精をこめて作ったニンジンをお供えいたします」

月夜兎は満面の笑みを浮かべ、小さく『やった!』と呟いた。

「よーし、じゃあ今度こそ行ってきます」

そう言い残して月夜兎は夜空の下へと飛び出した。

水神は村から少し離れた岩山の洞窟に住んでいた。
とはいってもそれを知っているのは水神と親しくしている他の神たちだけだ。
ちなみに月夜兎は水神とほぼ同い年で、同じ地域出身ということもあって親友同士である。

「ふう、到着っと」

岩山の麓に到着した月夜兎は山を見上げる。
いわゆる小山程度の大きさなのだが、いかんせん岩肌が露出した急斜面ばかりでとても登ることなど出来そうにない。
しかし月夜兎はウサギの姿をした神様。
うまい具合にピョンピョン跳ねながら山を登っていく。

「おっ、ここだな」

岩が迫り出していて足場のようになっている場所へと降り立つ。
だがそこには大きな岩があるだけ。
ところがよく見ると岩の表面には何やら文字らしきものが書かれていた。
それは神たちが使う文字であった。

「なになに、『起こさないでください』だって?……うん、無視だな」

月夜兎の姿がすっと消えた。
Re: 神々の戯れ ( No.8 )
日時: 2010/10/21 00:33
名前: W.WOLF

あっさり無視www
水神様怒るんじゃぁ・・・・
Re: 神々の戯れ ( No.9 )
日時: 2010/10/21 02:01
名前: リオレイア

寝た龍を起こしちゃ駄目ですよ〜
口をこじ開けてこっそり入らないとww
Re: 神々の戯れ ( No.10 )
日時: 2010/10/21 19:59
名前: S

水神様は天然・・・なのかw
気まぐれで雨を降らすのもそれで良いがw
Re: 神々の戯れ ( No.11 )
日時: 2010/10/21 22:48
名前: 名無しのゴンベエ

>W.WOLFさん

『セールスお断り』のステッカーを貼ってあるのにやってくるセールスマン並の暴挙ですよね、これ。

>リオレイアさん

そして起きたときに間違って飲み込まれ(ry

>Sさん

だとするともし失恋なんかしようものなら(((°Α°)))ガクガクブルブル
Re: 神々の戯れ ( No.12 )
日時: 2010/10/21 22:49
名前: とんこつ


「真っ暗で何も見えないな」

月夜兎は真っ暗な空間、水神が住まう洞窟の中に姿を現した。
洞窟ならば必ず入り口があるはずなのだが、この洞窟は先ほどの岩によって塞がれている。
そのため明かりが全く差し込まないのだ。

「仕方ない。……我が眷属の月よ。我に光を」

月夜兎がそう唱えると、まるで月明かりのような光を放つ球体がどこからともなく現れる。
それを頼りに奥へと歩き始めた。
すると月夜兎のやや垂れ気味の長い耳がピンと立つ。
水神が発していると思われる寝息を聞き取ったのだ。
一瞬だけ歩みを止めたが、すぐにまた歩き始める。
そうしないうちに広い空間に出た。
そこには何かとても巨大な気配があった。
そう、水神である。
水神というといわゆる東洋龍を思い浮べがちだが、この水神は西洋竜の姿をしている。
真偽は定かではないが、何でも先代の水神がいわゆるプレイボーイというやつで、西洋竜を伴侶に迎え入れたためにその子供である当代の水神がこういう姿になったとか。
まあだからどうしたという話ではあるが。

「おーい、水ちゃん。ちょっと頼みがあるから起きて」

月夜兎は水神に呼び掛けるが、全く起きる様子はない。

「起きろってば。お願いがあるんだからさ」

再度月夜兎は呼び掛けるが、やっぱり反応はない。

「おいおい、いい加減起きてくれよ。頼むよォ」

呼び掛けるだけでは起こせないと判断したのか、月夜兎は実力行使に出た。
顔をペチペチ叩いたり、目をこじ開けて光の玉を近付けたり、鼻ちょうちんを割ったり、体に向かって投石したり……。
しかし起きる気配すらなかった。

「ホント文字通り爆睡状態だな。……しょうがない、ちょっと痛い目に遭ってもらうか」

月夜兎はそう呟くと、腰に差してあった刀らしき物を鞘から抜いた。
それは俗に言う御神刀で、斬るよりも殴り付けるほうが実用的な刀である。
目を閉じ、御神刀を構え、深呼吸をして息を整える。

「どりゃあぁああー!!」

威勢のいい掛け声と共に月夜兎は水神の頭に目がけて跳躍した。

「ジェットストリームアターック!!」

そしてそのまま御神刀を頭に振り下ろす。
鈍い打撃音、そして――

「ワギャアアァァー!!」

それまで一切反応を示さなかった水神の悲鳴が響き渡った。
Re: 神々の戯れ ( No.13 )
日時: 2010/10/21 23:43
名前: リオレイア

コルアァァ!
なにさらしとんじゃぁ!!
80cm砲のサビにするぞ!それともリトルボーイが良いか!?グランドスラム対ダム爆弾にくくりつけて投下してやろうか!?
でなきゃ、さっさと消化されちまぇ!
Re: 神々の戯れ ( No.14 )
日時: 2010/10/21 23:49
名前: ロンギヌス

リトルボーイww

水流様にたてつくとは!(怒)
ドロドロと化すが良い…(うひひw
Re: 神々の戯れ ( No.15 )
日時: 2010/10/22 20:12
名前: S

月夜兎さんノリやすい方なのかな?w

リオレイア氏
出来ればファットマンでw
Re: 神々の戯れ ( No.16 )
日時: 2010/10/22 21:02
名前: W.WOLF

そりゃ刀で殴り付けられたら起きますね・・・
水神様怒るぞー(汗)
Re: 神々の戯れ ( No.17 )
日時: 2010/10/22 23:52
名前: m.t 死刑執行員

月夜兎\(^o^)/
はいはい、消化wwwww
Re: 神々の戯れ ( No.18 )
日時: 2010/10/23 00:43
名前: とんこつ

ちょwww
やけに皆さん消化を希望されてますね。
こんなに言われたらやるしかなさそうだ(笑)
Re: 神々の戯れ ( No.19 )
日時: 2010/10/23 00:45
名前: とんこつ


「イデテテテ……。私の眠りを妨げた不埒者はどこのどいつだ!?」

水神は頭を押さえながら吠える。

「あー、スマン。もう少し加減すべきだったな」

「その声は月夜兎か!なんでこんな不意討ちみたいな真似するんだよ?……あっ、さてはこの前の遊びの続きだな」

「いや、今回は遊びじゃ――」

「なかなか効いたぞ、今の攻撃。ふっふっふ、じゃあ次はこっちの番だ!」

水神は笑いながら器用に二本足で立ち上がり、またも頭を強打した。

「ーーッ!!」

「自分の体の大きさと、この洞窟の狭さのことを考えろよな」

あまりにも間抜けな醜態を披露した水神を見て、月夜兎はため息を吐く。

「う、うるさい!その減らず口を聞けないようにしてやる!!」

水神の体に変化が起きた。
ただでさえ大きな体がさらに巨大化し始めたのだ。

「馬鹿野郎!こんなところで元の大きさに戻るんじゃねぇ!」

巨大化する水神の体に巻き込まれないように月夜兎は出口へとダッシュした。
月夜兎は出口の岩をすり抜け、全速力で山を下りていく。
降り注いでくる落石を華麗なステップで避けながら、何とか岩山の麓へたどり着いた。

「月夜兎ォー!」

洞窟を突き破り、すっかり岩山の形状を変えるぐらいにまで巨大になった水神が咆哮を上げた。

「おっ、見ーつけた」

水神は岩山から飛び降りた。
着地の衝撃は地震となって月夜兎を襲った。

「うわっ!」

月夜兎はその場に尻餅をつく。
すると水神は身動きがとれなくなっている月夜兎のことを傷付けないようにそっと摘み上げた。

「遊ぼうと思ってたけど、せっかく元の大きさになったわけだし予定変更」

水神の台詞に月夜兎は嫌な予感がした。

「いやぁ、元の大きさになって月夜兎を見るとさ、真っ白なマシュマロみたいでとても美味しそうなんだよねぇ。というわけで食べちゃうね」

月夜兎は反論の言葉を発する前に口の中へと放り込まれてしまった。
Re: 神々の戯れ ( No.20 )
日時: 2010/10/23 00:57
名前: リオレイア

す、凄く…おおきいです。
摘まれてみたい…勿論、その後にそのままお口に直行で!
Re: 神々の戯れ ( No.21 )
日時: 2010/10/23 02:58
名前: W.WOLF

怒らなかったのか〜。
てか水神様も遊ぶんですね(笑)
Re: 神々の戯れ ( No.22 )
日時: 2010/10/23 07:22
名前: m.t 死刑執行員

遊びワロタ
Re: 神々の戯れ ( No.23 )
日時: 2010/10/23 10:11
名前: S

マシュマロ・・・いいセンスだ(謎
水神の天然ぽさに萌えた・・・w
Re: 神々の戯れ ( No.24 )
日時: 2010/10/23 11:26
名前: とんこつ

ホント一度でいいから体験してみたいシチュエーションであります。
と言うか書いてて月夜兎を少し羨ましく思ってしまいました。

そうなんです、遊びなんです。
まあほぼ不死身である彼らだからこそ成り立つわけでありまして。

圧倒的な力を持っていながら、どこか天然で抜けている。
こういうパターン大好きなんですよ。
Re: 神々の戯れ ( No.25 )
日時: 2010/10/23 11:28
名前: とんこつ

口の中へ放り込まれた月夜兎は、舌の上に出来上がっていた唾液の水溜まりへダイブする羽目となった。

「うげぇ……。初っぱなからこれはきつい。と言うか水神ィ!今日は別件でってうわぁー!!」

今日は雨乞いをしてくれと言いに来ただけだと伝えようとしたが、その前に舌が動き始めてしまった。
まるで吊り天井のように上顎が月夜兎へと迫ってくる。
いや、正確に言うと巨大な舌が上顎に向けて押し上げているのだ。
月夜兎はそのまま上顎へと押しつけられ、完全に舌と挟まれてしまう。
そして間髪入れずに猛烈な圧力が加えられ始めた。
水神からすれば旨味を滲みださせるための行為にすぎないのだろうが、被食者側するともはや拷問であった。
どれほどの力が加えられているのかというと、普通の生き物がやられたならば1秒足らずで圧死するほどである。
そんな身の毛もよだつような拷問から解放されたのはそれから1分弱経ってからであった。
水神からすれば短い時間であっただろうし、月夜兎からすれば相当長い時間であっただろう。

「ゲホッ、ゲホッ!こ、殺す気か!?」

「ほんははんはんひひふはへはいはほ?(訳・そんな簡単に死ぬわけないだろ?)」

悲しいかな、これは水神の言い分の方が正しかった。
神が死ぬときというのは、人々から完全に忘れ去られてしまったとき。
それ以外で死ぬことはまずない。

「この大怪獣め。ん?」

なんとか立ち上がった月夜兎は、水神の口内の唾液の量がどんどん増えていることに気付いた。

「今度は一体何なんだ?」

そんな言葉を洩らした月夜兎であるが、実際は次に水神が何をしようとしているのか予想はついていた。
舌が再び動き始めてしまった。
しかし今回は先ほどと違って、舐め回してきたのだ。
月夜兎は為す術もなくまるで飴玉のように舌の上でコロコロと転がされる。
ここまで一方的に弄ばれているのを見ると月夜兎はかなり弱い神様のように思われるかもしれないが、決してそんなことはない。
むしろ可愛い見た目に反してかつては軍神(いくさがみ)として神様の世界においても一目置かれている存在であった。
しかし今回は相手が悪すぎた、と言うか大きすぎた。
Re: 神々の戯れ ( No.26 )
日時: 2010/10/23 22:33
名前: リオレイア

はうう…
食べて下さい…凄い羨ましいです…
Re: 神々の戯れ ( No.27 )
日時: 2010/10/25 17:51
名前: とんこつ

コロコロと舌の上を転がされること約5分。
不意に舌の動きが止まった。

「ひぇっ、ほうひょっひょへいほうひへふへはほうははへほはへはふほひ。はあいいは、ほひほんはひょ(訳・ちぇっ、もうちょっと抵抗してくれたほうが食べ応えがあるのに。まあいいや、飲み込んじゃお)」

水神はぐっと頭を上げた。
半ば意識が混濁していた月夜兎はそのままポッカリと開いた大穴へと落ちていった。
食道を揉まれるようにしてゆっくりと下っていく。
そしてとうとう胃の中へ運ばれてしまった。

「うぐっ!」

月夜兎は胃へ落ちた衝撃と、左足が何らかの液体に突っ込んだ感覚により、意識が覚醒した。

「うえー、ここって胃だよな?だとするとこの独特の匂いは胃液?」

月夜兎は洞窟でしたように光の球を作り出した。

「ありゃま、左足が溶けてるわ。どんだけ強力な胃液なんだよ」

左足が突っ込んだ液体というのは、どうやら胃液だったようだ。
体の一部が溶けているというのに、月夜兎はいたって呑気だった。

「ま、体なんざあとで再構築すればいいだけの話だし。それよりもせっかくここに来たんだから、あれを楽しむか」

月夜兎は溶けていない右足を使ってピョンと跳ねると、背中から胃壁へと飛び込んだ。

「あー、フカフカで気持ちいい。この感触は水神の胃壁でしか感じられないんだよなぁ。静かだし、寝心地はサイコーだし、ここを寝床にしたいもんだよ」

その時、水滴が月夜兎の頬の上に落ちてきた。

「……まあここはあくまでも水神の胃の中ってことが悔やまれるなぁ」

どこからともなく胃液が湧き出てきて、胃自体も動き始めた。
月夜兎の体は胃液の中へドブンと浸かり、瞬く間にドロドロに消化されていった。
Re: 神々の戯れ ( No.28 )
日時: 2010/10/25 18:42
名前: リオレイア

い、良いなぁ…
消化されても大丈夫なんて!
そして快適な胃袋万歳ww
ドロドロに溶かされたいです…
Re: 神々の戯れ ( No.29 )
日時: 2010/10/26 20:33
名前: S

ふっかふかな胃壁・・・w
再構築出来るとは神様はやっぱし違うw
Re: 神々の戯れ ( No.30 )
日時: 2010/10/27 05:24
名前: ロンギヌス

こらぁ!その場所をよこs…

再構築って…ただの獲物と次元が違いますね。
Re: 神々の戯れ ( No.31 )
日時: 2010/10/28 23:36
名前: とんこつ

>リオレイアさん

まさに反則技です。

>Sさん

そりゃもうふっかふかです。

>ロンギヌスさん

まあとりあえず神様ですからね、一応。
Re: 神々の戯れ ( No.32 )
日時: 2010/10/28 23:37
名前: とんこつ


「おい、大怪獣」

体を再構築した月夜兎が水神の尻尾をおもいっきり踏みつけた。

「ん?ああ、もう復活したんだ。早いねぇ〜」

水神はのほほんとした口調で答える。

「早いねぇ〜、じゃないよ。だいたいな、今日はそもそも遊びに来たんじゃない」

「えっ、違うの?」

ポカーンとした表情を浮かべる水神。

「今日はお前に雨を降らせてほしいって言いに来たの」

月夜兎はようやく今日来た理由を説明することが出来た。

「雨?降ってないの?」

水神は巨体を四つんばいの状態から起こし、二本足でピンと立って辺りを見回す。

「うわっ!川とか池とか全部干上がってる。なんで眠ってるときに限って旱魃(かんばつ)が起きるんだよ……」

「まあそういうことだ。とにかく雨を降らせてくれるか?」

「いいよ。ちょっと上に行ってくる」

水神は翼を広げ、空へと飛び立った。
……凄まじい風を巻き起こし、月夜兎を吹き飛ばして。

「ったく、自分の巨体のことを考えたことあるのかアイツは?」

月夜兎は思わず愚痴をこぼす。
しかしなんだかんだ言って水神の力は凄いもので、数分もしないうちに真っ黒な雲が空を覆い始めた。

「村に帰って報告するかな」

月夜兎は村へ戻ることにした。

村へ帰ってくる頃にはもう雨がザーザー降っていた。
それにも関わらず村人たちが外にいるのを見た月夜兎は驚いた。

「月夜兎様が帰ってこられたぞー!」

誰かが叫んだ。
するとあの時の男たちが月夜兎のところへやってきて、その場に土下座した。

「ちょ、ちょっと――」

「月夜兎様、よくぞご無事で……」

「はい?」

「実は心配になって村の者に月夜兎様のあとを追わせたのですが、月夜兎様が巨大な竜に食べられたと……」

どうやら月夜兎と水神の一部始終を見てしまっていたらしい。

「ああ、そうなんですか。それは心配をかけてしまいましたね。でもご安心ください。あれは言わばお遊びみたいなものなんですよ」

「そんな馬鹿な!あれが遊びだなんて」

確かに人間から見れば『遊び』には到底見えない。

「まあ人間の皆さんからすると信じられないでしょうが、ホントにあれは悪ふざけの範疇なんですよ。『神々の戯れ』程度に思ってください」

月夜兎の説明に、村人たちは信じられないという顔をする。

「では失礼しますね。来年のお供え物、楽しみにしてますよ」

月夜兎は手を振りながら村人たちに背を向けた。

「さてと、帰って久々に寝る――」

「月夜兎ー、こんな感じでいいのー?て言うか力使ったらお腹減ったからもう一度食べていいー?」

慌てて上空を見ると、水神が月夜兎に目がけてグングンと降下してきていた。

「ふざけんな!1日に二度も食われてたまるかー!」

月夜兎は文字通り脱兎の如く逃げ始めた。

「あっ、待てってば!」

水神は月夜兎を捕まえるために地面スレスレまで高度を落とす。
どうやら神々の戯れはまだまだ終わりそうにないようだ。

お し ま い
Re: 神々の戯れ ( No.33 )
日時: 2010/10/29 00:07
名前: ロンギヌス

水神様かわいい〜♪
のほほんと食べてくださいw
Re: 神々の戯れ ( No.34 )
日時: 2010/10/29 08:21
名前: リオレイア

水神さまの可愛いさは違法だと思う。
内のセルモスと良い勝負だなぁ〜

セルモス
「呼んだ?」

うん、水神さまと仲良く出来そうだと思ってね。
それはそうと、遊び相手なら是非僕を…
Re: 神々の戯れ ( No.35 )
日時: 2010/10/29 19:39
名前: S

水神様の所に来た理由は自分も忘れかけてた(汗
戯れは当分は本当に・・・w
Re: 神々の戯れ ( No.36 )
日時: 2010/10/31 00:03
名前: とんこつ

>ロンギヌスさん

まさか水神がこんなに人気者(?)になるだなんて……。

>リオレイアさん

水神
「セールモースくーん、遊ぼうよー。あとリオレイアさんもー」

>Sさん

多分死ぬまで同じようなことを繰り返すかと思います。
果たしてそれがいつのことになるやら。
Re: 神々の戯れ ( No.37 )
日時: 2010/10/31 00:04
名前: とんこつ

■あとがき

月夜兎
「作者の『とんこつ』は今だにプレーオフの悲劇から立ち直れていないので、我々があとがきを担当することになりました」

水神
「職務怠慢じゃん」

月夜兎
「そう言うな。つーかお前が言うな」

水神
「この『神々の戯れ』は言わば冒険作でした」

月夜兎
「いきなり真面目に始めるなよ。まあ冒険といっても一度もしたことのない三人称視点に挑戦しただけだけどな、とんこつが」

水神
「あと『特生3課』がSF寄りだったのに対して、今回はファンタジー寄りってのも含んでいいんじゃないの?」

月夜兎
「最終的には食っちまうんだからSF寄りもファンタジー寄りもクソもないと思うんだが」

水神
「そうだねー」

月夜兎
「まあコタロウ巡査の方が遥かに理性があるように見えるけど」

水神
「何か言った、月夜兎ォ?」

ガシッ(←水神が月夜兎の頭を掴んだ音)

月夜兎
「なんでもございません。しっかしそれにしても水神は予想外に人気出たよな」

水神
「うん。もうネーミングがまんまな点からして手抜き感があふれてるもんねー」

月夜兎
「私の名前なんか月見バーガーのCMを見たとんこつの思い付きが由来なんだぞ」

水神
「月見バーガー食べたいなー。ねえ月夜兎、今度街に行こうよ」

月夜兎
「お店ごとテイクアウトでもしなきゃ水神の腹を満たせやしないだろうな」

水神
「お店そのものをテイクアウト……。そうか、その手もあったか!」

月夜兎
「やめろ!本気にするな!自衛隊が出てくるぞ!」

水神
「大丈夫だよ。だって私は平和主義だもん」

月夜兎
「……頼むから一度でいいから自分の巨体のことをわきまえてくれ」

水神
「ちぇっ、じゃあ月夜兎が買ってきてよ」

月夜兎
「断る。保健所に追い掛け回されるのはもうごめんだ」

水神
「分かったよ、あきらめる」

月夜兎
「……というわけで時間になりましたのでこの辺で失礼します」

水神
「そういえばこれあとがきだったんだね。すっかり忘れてたよ」

月夜兎&水神
「じゃ、そういうことで」
Re: 神々の戯れ ( No.38 )
日時: 2010/10/31 00:07
名前: ロンギヌス

保健所wwww

月見バーガーになりたい・・
Re: 神々の戯れ ( No.39 )
日時: 2010/10/31 22:09
名前: S

月夜兎さん実は訳有り?w
それから自分は月見バーガー毎年食べてっから、店ごと頂かれたらもう喰えない(笑
でも水神様のためなら・・・w
Re: 神々の戯れ ( No.40 )
日時: 2010/11/03 01:14
名前: とんこつ

>ロンギヌスさん

早まっては駄目です!
私が先に(ry

>Sさん

月夜兎
「私はただアイスクリームが食べたくて街に行ったんだ。それなのに奴らは現れて……」
Re: 神々の戯れ ( No.41 )
日時: 2010/11/03 10:48
名前: リオレイア

ならばお土産は大量の月見バーガーで!
あ!コラ!セルモス!それは水神さまの!
セルモスも一緒に行くので…回し呑みして下さい!
Re: 神々の戯れ ( No.42 )
日時: 2010/11/08 00:58
名前: とんこつ

>リオレイアさん

いつでもバッチコイです!

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