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特生3課〜東京危機〜
日時: 2010/08/12 01:12
名前: とんこつ

別に呼ばれもしてないのに帰ってきました。
特生3課の続編でございます。
今回は前回よりも長いうえに(捕食に至るまでも長いです)、シリアス色が強くなっております(最初はね)。
その点をご留意していただいたうえでお楽しみください。
それでは、はじまりはじまり。

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特生3課〜東京危機〜 ( No.1 )
日時: 2010/08/12 01:15
名前: とんこつ

どんよりと曇った寒空に、何やら異質な物が見えた。
森林迷彩が施された自衛隊のヘリコプター、OH−1だ。
……なんだか今日はやけに自衛隊のヘリコプターが飛んでるな。
さっきはAH−1が2機だったっけ。
オイラが数えてるのだけでも約20機は見た。
仮に同じ機を重複してカウントしてしまっているのがあるとしても、少し異様だ。

「大きな演習でもやってるのかな。……うぅ、寒い。狭苦しいけど格納庫でおとなしくしてるか」

オイラは身震いしつつ、暖をとろうと格納庫へ向かおうとした。
しかし暖をとることは叶わなかった。
直後にサイレンが鳴り響いたからだ。

『緊急事態発生、緊急事態発生!職員は全員大至急隊長室に集合、コタロウ巡査は格納庫にてスクリーンの電源を入れた状態で待機せよ。繰り返す――』

久々の出動か。
しかも今の放送の佐藤警部補の声色からするとかなり大きな事件みたいだ。
オイラは急いで格納庫に滑り込み、特注の大型スクリーンの電源を入れた。

『――全員集合したみたいだな』

スクリーンに佐藤警部補が映った。
その表情は非常に険しい。

『放送でも言ったように緊急事態だ。簡潔に言うと、東京がテロリストによる攻撃を受ける可能性が非常に高まっている』

息を呑んだ。
まさか、そんな映画みたいなことが。
しかし警部補の険しい表情が、これが現実であるということを示していた。
特生3課〜東京危機〜 ( No.2 )
日時: 2010/08/12 01:17
名前: とんこつ

『今日の早朝、小笠原諸島付近を航行中だったアメリカ軍の輸送船がテロリストに強襲され、新型の戦闘ヘリコプター4機が奪われた。奪われた戦闘ヘリコプターは北に向かって飛び立ったらしい。それだけなら単に闇ルート転売するという可能性も捨てきれない。だがしかし、奴らは武装していなかったヘリをわざわざ爆装させてから飛び立ったとのことだ。以上のことより、テロリストによる東京襲撃の可能性が非常に高まっている』

「ちょっと待ってください。航空自衛隊は何をやっているんです?領空侵犯として海上で撃墜すればいいだけの話じゃないですか。戦闘機と戦闘ヘリなら戦闘機の圧勝でしょうに」

オイラはスクリーン脇にあるマイクに向かって異議を唱えた。

『その新型戦闘ヘリには最新鋭のECM、電子妨害手段が搭載されているらしいんだ。まあ早い話がレーダーを無効化しちまうんだと。だから航空自衛隊はアメリカ側から連絡を受けた日本政府から話を聞いて初めて領空侵犯をしている不届き者がいるという事実を知ったという有様だ。今戦闘機をガンガン飛ばしまくって血眼になって探しているが、発見は絶望的とのこと。おそらく本土決戦となるだろう。しかも更に悪い話がある』

まだ何かあるの?

『内閣は臨時国会を召集し、総理は自衛隊の防衛出動を命じようとした。しかし連立を組んでいる一部の党が猛反発していて自衛隊にはまだ出動が命じられていない。よって対空ミサイルだとかの地上部隊がまだ都内に展開出来てないんだ。今上空を飛んでいるヘリコプターだって、武装していない丸腰のOH−1とAH−1が演習名目で警戒にあたっているだけ。というわけで自衛隊が出動してくるまで警察が何とか時間稼ぎをすることになってしまった』

……イヤイヤイヤ、かなり無理があるでしょ!
警察が所持してる火器なんかで戦闘ヘリに挑んだら蜂の巣だよ!
Re: 特生3課〜東京危機〜 ( No.3 )
日時: 2010/08/12 08:51
名前: リオレイア

ECMによる電波妨害ならレーダーがあれば場所は丸分かりですよ(^o^)/
何しろ、レーダーに靄みたいな物や変な光点が写りまくりますからおおよその位置は特定できます。
それならばアメリカのコマンチ戦闘ヘリみたいなステルスヘリのほうが良いかと…
因みに警察の銃でも「当たれば」、「場所が良ければ」損害を与えられる「かも」知れません。例えば外部に露出した兵装とか…
まあ、まず当たりませんがね(爆)拳銃の有効射程はわずか10mですから。木を一本挟んで撃ちまくった挙げ句全弾外したアメリカ人も居ましたし…
あと、コタロウ巡査に伝言。
多分、対戦車ミサイルを持ってるだろうけど狙われても慌てずにミサイルと太陽を結ぶ線に沿って二、三秒飛んでそれたら回避出来るよ〜。コタロウ巡査を追いかけてきたら多分赤外線誘導だからねぇ。巡査より太陽の方が赤外線放射量が多いからそうなっちゃう(笑)実際の戦闘機でも使われる回避方法だよ。
因みに…OH-1は現在は確か全てがOH-2に更新されてます。卵型から抜け出してカッコ良くなりましたよ。
あと、軍事系列はそれなりに詳しいので判らないのがあればドンドン聞いて下せぇ。
それでは、コタロウ巡査。ヘリパイロットを一呑みしてきてね(`∇´ゞ
Re: 特生3課〜東京危機〜 ( No.4 )
日時: 2010/08/12 21:25
名前: とんこつ

>リオレイアさん

ご指摘ありがとうございます!
ECMに関してはエー○コンバットでの印象が強かったもので(別名・ゲーム脳)、自分の不勉強でした。
おかげさまで良い勉強になりました。
OH−1は私の趣味で退役してるの承知で出してしまいました(大好きなヘリだったんです)。
他にも多数のアドバイスありがとうございます。
しかしまさかミリタリー好きの人にこんなところで会うとは……。
特生3課〜東京危機〜 ( No.5 )
日時: 2010/08/12 21:40
名前: とんこつ


『しかしどう考えても、警察が戦闘ヘリなんぞ相手に出来るわけがない』

そうだそうだ。
無理に決まってる。

『というわけで、ウチにお鉢が回ってきた』

……はい?
ま、まさか、いや、そんなはずは――

『コタロウ巡査、君ぐらいしか戦闘ヘリと渡り合えそうな奴はいないんだ』

マジで勘弁してください。
そりゃ確かにオイラは凶悪犯罪に対処すべく産み出された。
そのことはちゃんと自覚している。
でもだよ、戦闘ヘリは想定外だよ。
さすがに腰が引けるよ。

『今回は厳重な装備で出動させる。格納庫に【緊急時以外触れるな】と但し書きしてるコンテナが2つあるだろ。それを全部開けて中身を取り出せ』

オイラは言われたとおりにコンテナの上部を引き裂いて中身を取り出す。
最初のコンテナにはオイラサイズのリボルバーと銃を入れるホルスター、次のコンテナにはオイラサイズのヘッドホン(マイクが付いてるやつ)が入っていた。

『120ミリ回転式弾倉拳銃型ロケット砲、ホルスター、マイク付きヘッドホンがあっただろ。それを装備しろ。あっ、そのヘッドホンは骨伝導だから耳に装着する必要はない。と言うか無理だろうからな』

「了解しました」

オイラは一旦格納庫から出て、一式を装備し始めた。
特生3課〜東京危機〜 ( No.6 )
日時: 2010/08/12 23:47
名前: とんこつ


『こちら特生3課。配置完了しました』

ヘッドホンから佐藤警部補の声が聞こえる。
オイラたちは今、羽田空港で待機している。

『特生3課に告ぐ。テロリストたちはどうやら二手に別れたみたいだ。ベイブリッジ上空と海ほたる上空でそれぞれ2機ずつ確認された』

『了解しました。となると、ベイブリッジ上空を通過した連中とどうやら鉢合わせになりそうですね』

『……たった今情報が入ってきた。良い報せと悪い報せの二つだ。まずは良い報せ。政府はようやく有事関連法の適用を宣言、国家緊急権により自衛隊の出動が決定された』

『そうですか。だったら自分たちは――』

『次に悪い報せ。アメリカ側から“最低でも1機は生け捕りにしてくれ。新型なんだから全部壊されちゃ困る。テロリストの方は別にかまわないから”と圧力をかけられたそうだ。それで自衛隊が“生け捕りは警察の得意分野だろ”と押しつけられてしまった。というわけで頑張ってくれ』

プツン、と音がした。
一方的に向こう側が通信を切ったみたいだ。

「佐藤警部補……」

ずっと黙って話を聞いていた僕は警部補に問い掛けた。

『ヘリ相手に日本警察の逮捕術が通用するのかなぁ』

警部補は深いため息と共にぼやいた。

『こちら管制塔より緊急連絡!全機離陸を中止せよ。アプローチ中の全便も違う空港に行ってくれ。日本政府は先ほど、東京への武力攻撃の可能性が高まったとして自衛隊の出動を命令した。よって安全が保障出来ない』

あれれ、これ航空無線だよな。

『佐藤警部補、混線してます』

『分かってる。ちょっと待ってくれ』
Re: 特生3課〜東京危機〜 ( No.7 )
日時: 2010/08/13 07:11
名前: S

コタロウ巡査は、何かを持てる体系とは今知りました(汗
例の戦闘ヘリがどれ位の大きさかは分かりませんが
体調30メートルのコタロウ巡査がビビるぐらいに、危なさそうですね
防弾服なんてのは流石に・・・
マイク付きヘッドホンとかロケランを合わせるのが限界なのでしょうかねw
コタロウ巡査であれば、逮捕術は充分通用しますよきっとw

それから銃は好きだけどバイオとかディノクライシスぐらいしか
やった事無いからよくは分かんないけど、確か拳銃が9ミリぐらいだったはずだから
性能を底上げされた120ミリのリボルバー型のロケラン拳銃とはどれ程の威力に・・・w
↑だとすると、安全装置はついてるのかは分からないが
『無駄撃ち厳禁』とか書いてなければ・・・(苦笑

こんな展開は好きだけれど
いよいよ開幕みたいだから付いていけるか正直不安だ・・・(最初だけだそうですが
それにしてもアメリカ側は何か冷たいな・・・w
犯罪者の方はともかくとして、コタロウ巡査ぐらいしか生け捕りに出来なさそうだから
↓だとすれば、運が良ければプロペラぐらいで済むか(起動中の場合なら痛そうだけど
大きさが激しければ、なりふり構わず握り潰してしまいそうw
となれば、ロボカイみたく      コタロウ「ぶっ壊すコンニャロー」
                  犯罪者 「ギャース!」
って展開になるのか、それとも・・・w

えっと・・・余計な事かも知れませんが、一度だけ『オイラ』から『僕』になってます(汗
と、元々このつもりで書いたのであればすみません
Re: 特生3課〜東京危機〜 ( No.8 )
日時: 2010/08/13 11:09
名前: リオレイア

120mmロケット…
命中すれば吹き飛ぶし、失中すればビルが小破位はするなぁ…
あと、有事関連法案による防衛出動なら戦闘機(F-15JやF-4EJ)や八十七式対空機関砲(レーダー連動の自走対空機関砲)とかが使えるから撃墜はだいぶ楽になるはず。
AH-64Dロングボウアパッチが出てきたら空飛ぶ斥候として使えるし(ローターの上にロングボウレーダーを装備したアパッチ。用は戦闘偵察ヘリだけど偵察能力はOH-2にやや劣る。)空自のE-767ならもっと的確に探知できる。
それにしても生け捕りとは無茶を言う(笑)
実際にやるとしたらトラックを対空機関砲や戦車に偽装したり、無人機を使ってロケットやミサイルを使い尽くさせてほっとくのが一番。ヘリはせいぜい500キロ位しか航続距離が無いから燃料切れでふらふらしだしたり降りた所をガシッと捕まえればおk

因みに、僕は好きなのはドラゴン>>>(越えられない壁)>>ミリタリー=鉄道です。
Re: 特生3課〜東京危機〜 ( No.9 )
日時: 2010/08/13 23:54
名前: とんこつ

>Sさん

説明不足でスミマセン。
コタロウ巡査は基本的に二足歩行で、また幼少の頃から手先を使う練習をさせられたので人間並みに器用です。

>リオレイアさん

撃墜はグッと楽になりましたが、生け捕りとなるとやはりきつそうですね。
Re: 特生3課〜東京危機〜 ( No.10 )
日時: 2010/08/14 00:22
名前: とんこつ

>Sさん

コタロウ巡査の一人称は『オイラ』です。
確かに『僕』と誤表記してしまってますね(汗
ご指摘ありがとうございます。
特生3課〜東京危機〜 ( No.11 )
日時: 2010/08/14 00:25
名前: とんこつ

『ムッ、ここをこうして。あれ?』

ヘッドホン越しに警部補の悪戦苦闘の様子が伝わってきた。

『レインボーブリッジ封鎖完了!』

『増援はこれから?それでは遅すぎると言っているんだ!』

『対空火器が足りない。警視庁前に近SAMを寄越してくれ。87式対空機関砲でもかまわない』

『ええい、自衛隊はまだ来ないのか?』

警察無線に入り交じって自衛隊の無線のやり取りまで聞こえてきた。

『スマン。悪いがどうしてもうまくいかん。それで我慢してくれ。何が警察無線で、何が違うか判断出来るだろ?』

「分かりました」

警察無線ははっきり聞こえるのに対し、他の無線は雑音混じりで不明瞭なので聞き分けるのは難しくない。

『こちらYAL10便より管制塔へ。軍用と思わしきヘリが羽田空港に向かっているんだが、自衛隊か?』

『そんな連絡受けてないぞ。まさか……!』

そろそろ来るか。

『羽田の管制官さん聞こえます?こちら警察です。我々が対処しますので、避難してください』

佐藤警部補は羽田空港の管制官に呼び掛けた。

『……もし聞こえる機がいたら聞いてくれ。羽田空港に向かってきている機に引き返すように指示してほしい。これより羽田空港は閉鎖する。スミマセン、あとはお願いします』

椅子から立ち上がる音とバタバタと走るような音から、管制官たちがちゃんと避難を開始したことが分かった。
さあ、そろそろ来るはずだ。
オイラは手筈どおり、ターミナルビルの陰に身を潜めた。
特生3課〜東京危機〜 ( No.12 )
日時: 2010/08/14 11:50
名前: とんこつ

ヘリのローターの音が聞こえてきた。
無意識のうちに手がロケット砲へと伸びる。
いや、まだだ。
落ち着け。
そして、とうとう招かざる客人がその姿を現した。

「何だありゃ」

オイラの口から驚きの声が漏れる。
流れるような美しい流線型のフォルム。
それは自分が抱いていたヘリコプターの像とは大きく異なっていたからだ。

『噂にゃ聞いてたが、かなり個性的な形状だな』

佐藤警部補も感想をもらす。
すると上空で2機が二手に別れた。
1機はそのまま飛んでいき、もう1機は羽田空港へと舞い降りてきた。
そして

「やりやがった」

機首の下に装備されている機関砲が火を吹き、その延長線上にあった管制塔を蜂の巣にしていった。

『行け!』

「了解しました!」

オイラはターミナルビルの陰から飛び出し、威嚇のためにロケット砲を取り出してヘリに向けた。

「破防法の現行犯で逮捕する!神妙にお縄につけ!」

と格好よく言い放ったはいいが、あることに気付く。
テロリストたちって、何人だろ?
オイラは今、日本語で言った。
しかしもしテロリストたちが外人さんなら通じない。
じゃあ英語か?
でも英語圏じゃない国出身のテロリストかもしれないし……。

『避けろコタロウ!』

「えっ?」

考えることに耽っていたオイラは、あろうことかヘリから目を離してしまっていた。
佐藤警部補の言葉によって我に返ったオイラの目に入ってきたのは、腹に目がけて飛んでくる“何か”。

耳をつんざくような爆発音。

今まで経験したことのない凄まじい衝撃。

「グガァアアァァーーッ!!」

痛みに耐えきれなかったオイラは思わず咆哮を上げ、その場に蹲った。
ああ、対戦車ミサイルを食らったんだ。
視界が霞み、佐藤警部補の呼び掛ける声もよく聞こえない。
クソ、なんて痛みなんだ。
人間に例えるなら――




――速球派のピッチャーのストレートが鳩尾に当たったときのバッターの痛みレベル、といったところだろうか。
Re: 特生3課〜東京危機〜 ( No.13 )
日時: 2010/08/14 21:13
名前: S

対戦車ミサイル・・・だと
あんなの喰らったら、30メートルだって無事じゃなさそうだ・・・
それに最後の例えは分かるような気がするw
Re: 特生3課〜東京危機〜 ( No.14 )
日時: 2010/08/14 23:01
名前: リオレイア

うーん…どうだろう…
対戦車ミサイルは「戦車」に対して使う物だからなぁ…
爆発はするけど刺さらないから大火傷と多少、体がえぐれる程度ですむかも。
むしろ、機関砲じゃ無くて良かったね。と言いたい。アメリカの機関砲はだいたい劣化ウラン弾を使っているから。
そんなとこかな?
コタロウ巡査の怪我が軽い事を祈ります。
特生3課〜東京危機〜 ( No.15 )
日時: 2010/08/15 23:43
名前: とんこつ

確かにかなり痛かった。
しかし致命傷になるような大ケガを負ったのかというと、それは否。
鱗に傷が付いて、ヒリヒリして、血が少し滲んでいる程度であった。
だがオイラの怒りの導火線に火をつけるのには十分だった。

「よくもやったな。公務執行妨害だぞ」

オイラは音もなく立ち上がり、空港の破壊活動にいそしむヘリの背後に忍び寄る。
かなり近づいたところでヘリがこちらを向いた。
まさかオイラが生きているとは思っていなかったらしく、ヘリは旋回して逃げようとした。
逃がすか。

「往生せいやーッ!」

オイラは躊躇することなくロケット砲の引き金を引いた。
このロケット砲に使われている弾は120ミリ。
それは近頃の戦車の主砲クラスであった。
戦車の主砲と遜色ない強力な一撃がヘリのテールローターを抉りとった。
テールローターを失ったヘリはぐるぐると回転しだし、徐々に高度を落とす。
かの有名な戦争映画のように。
そしてとうとうヘリは地面に墜ちた。
同時に上部のローターも止まる。
オイラはすぐに墜落地点に歩み寄り、ヘリのコックピットを指でコンコンと叩いた。

「表に出ろ」

オイラはジェスチャーを交えながら言った。
テロリストたちはジェスチャーの意味を理解したらしく、おとなしく外に出てきた。
聞き分けはいいじゃないか。

「どう落とし前をつけてもらおうか」

オイラは出てきた二人を舌で舐め上げた。
フフン、口のなかに放り込んで――

「突撃ィー!!」

後ろからバリトンのきいた大きな声が聞こえてきた。
振り向くと機動隊ご自慢の特型警備車がこちらに向かって走ってきていた。

「ご苦労だった、コタロウ巡査。犯人たちは我々に任せてくれ」

警備車からわらわらと出てきた機動隊は手際よくテロリストたちを取り押さえると、さっさと連行していってしまった。
時間にして1分少々。
まさに早業であった。
Re: 特生3課〜東京危機〜 ( No.16 )
日時: 2010/08/16 07:16
名前: giratina

「往生せいやー!」って…www
懐かしのo田さん…
Re: 特生3課〜東京危機〜 ( No.17 )
日時: 2010/08/16 10:31
名前: S

鱗が焦げる程度なら防弾服なんて元々必要ない・・・かw
残りの一台は、地獄(別に意味で)を見させられそうだw
Re: 特生3課〜東京危機〜 ( No.18 )
日時: 2010/08/17 16:48
名前: リオレイア

テールローター損壊!
ヘリには致命的ですな。不時着した所を見ると低空にいた様ですね。テロリスト達は幸運でしたね〜。機動隊に感謝しなければ(笑)
さて、レインボーブリッジに向かった方は撃墜かな?米軍の要求は満たしたし。
それとも、口に入れただけじゃ収まらない怒りにコタロウ巡査のお腹へご招待かな?
Re: 特生3課〜東京危機〜 ( No.19 )
日時: 2010/08/17 23:02
名前: とんこつ

>giratinaさん

O田さんみたいなトリガーハッピーになったら手がつけられません。

>Sさん

天然の防弾チョッキです。
今回の件で戦車以上の装甲を持っていることが証明されました。

>リオレイアさん

アメリカ側の要求はなんとか達成したので、警察も自衛隊も戦いやすくなるでしょう。
さて、残るテロリストたちにはどんなことが待ち受けてるのやら……。
Re: 特生3課〜東京危機〜 ( No.20 )
日時: 2010/08/17 23:07
名前: 名無しのゴンベエ

「仕返し出来なかったか」

去りゆく特型警備車を見つめながら尻尾を地面にバンバンと叩きつける。
特型警備車と入れ代わるようにして佐藤警部補が搭乗している特生3課のワゴン車型の通信指揮車がやってきた。

『怪我はないか?』

「大丈夫です。まあやり場のない怒りは残ってますけどね。これから我々はどうします?」

『テロリストが狙いそうなところに張り込むしかないな。しかし東京は重要施設だらけだからな……』

うーん、とオイラも警部補も考え込む。
皇居、国会議事堂、東京証券取引所、都庁、各国大使館、霞が関、丸の内オフィス街、各種交通機関……。

『絞れないな』

「そうですね。あっ、皇居はどうです?皇居周辺には重要施設が多い気がします」

オイラがそう提案した時だった。

『警戒にあたっている各員に緊急連絡!フジヤマテレビが攻撃を受けた!繰り返す。フジヤマテレビが攻撃を受けた!』

緊迫した警察無線が入ってきた。
フジヤマテレビって、あのお台場にあるテレビ局か。

『悠長にしてる場合じゃないな。皇居に向かうぞ!』

「ハッ!」

オイラは通信指揮車を掴み上げた。

『えっ、えっ?何してるんだ?』

警部補が狼狽えた声で聞いてきた。

「一緒に飛んで移動するんですよ。おそらく交通機関はパニックに陥っていて、陸路では遅くなります。大丈夫です。いつも出動の時はオイラは空を飛んで移動してますし、オイラにとっちゃワゴン車ぐらい軽い荷物みたいなものですから」

『いや、でも心の準備が――』

「じゃあ、行きますよ」

オイラは思い切り地面を蹴り、空へと羽ばたいた。

『……飛んだ』

「あーあ、もっと飛ぶ訓練をしておけばよかった。そしたらヘリ相手に飛んで戦えたのに」

オイラはこのように一応空は飛べる。
だったらさっき空を飛んでヘリと戦えばよかったじゃないか、と言われるかもしれないがそれが出来ない理由があった。
Re: 特生3課〜東京危機〜 ( No.21 )
日時: 2010/08/18 01:12
名前: リオレイア

まあ、チェーンガン(主に旋回機銃に使われるもの。単装またはガトリングみたいな銃身と帯状の弾帯からなる。撃つときは弾帯を巻き取って給弾する)で翼膜を撃たれたら墜ちちゃいますもんね。
佐藤警部補は大丈夫かな?車ごと空を飛ぶなんて一般人には刺激が…
そしてテロリストさんよ。テレビ局を破壊してどーすんの。もっと重要な目標があるだろうに。第一、テロなら声明を出すのにテレビ局を壊しちゃそれも出来んじゃないか(笑)
Re: 特生3課〜東京危機〜 ( No.22 )
日時: 2010/08/18 10:58
名前: S

30メートルが飛ぶのなら、それ相応の巨大な翼が必要だしそれを広げたら
凄い大きさになって、いい的になりそうだからかな(汗
もしも、そうなら街中をコタロウ巡査が飛べば日が暮れたように暗くなりそうだw
今まではともかくとして
そもそもその巨体が着地出来る場所なんてあるのだろうか・・・w
ワゴン車には待機中の警部補だって居るから心配はないと思うが、飛行中に追撃されない事を祈ります
一機は捕まえたからもう手加減無しなのか、それともやっぱり捕まえるのか・・・w
Re: 特生3課〜東京危機〜 ( No.23 )
日時: 2010/08/19 22:10
名前: とんこつ

>リオレイアさん

佐藤警部補の空飛ぶ車、といったところでしょうか(笑)

>Sさん

出動の度にビルに翼をぶつけて壊すか、着地の衝撃が強くてアスファルトを陥没させるかのどちらかが発生しています。
特生3課〜東京危機〜 ( No.24 )
日時: 2010/08/19 22:13
名前: とんこつ

オイラは旋回が下手くそで大味な飛び方しか出来ないうえに、スピードもあまり出ない。
これでヘリ相手に空中戦を挑もうならいい的にしかならない。
翼膜ってかなりデリケートだから、ちょっとでも攻撃を受けるとシャレにならないんだよね。

『フジヤマテレビの被害状況は?』

『アンテナ部分に機銃が何発かたたき込まれて破損、電波の発信が出来ないとのことです』

ということは今テレビをつけるとフジヤマテレビは砂嵐しか映らないのか。

『敵の狙いは何だ?無差別か?』

「テロリストの考えることはよく分かりません。……やっと品川駅だ」

眼下に見える品川駅は人で溢れ返ってる。
おそらく鉄道は完全にストップしてしまっているのだろう。

『浜離宮庭園にて敵のヘリ1機と交戦中!大至急増援求む!』

これは自衛隊の無線だな。
頼むから撃ち落としてくれ。
オイラは翼に力を入れてなんとかスピードを出そうと努力する。

『近SAMが命中!撃墜したぞ!』

戦果をあげたことを知らせる自衛隊の無線が入ってきた。
これで残り2機だ。
ヘッドホンから時折聞こえてくる自衛官たちの会話から戦況が徐々にこちらに傾きつつあることが分かった。

「……皇居が見えてきました」

灰色のビルが立ち並ぶ中でかえって存在感がある緑、皇居がオイラの視界に入ってきた。

『やっと降ろしてもらえるのか』

「空の旅はどうでした?」

『まあ悪くはないな。よし、降下してどこか適当なところで張り込むぞ』

「分かりました」

オイラは周りのビルに気を付けつつ高度を落としていった。
特生3課〜東京危機〜 ( No.25 )
日時: 2010/08/19 22:17
名前: とんこつ

■ある自衛官が見たテロの終局


『残るはこの1機だけだ』

レーダーに映る機影を見て私は呟いた。
東京を襲撃してきたヘリは最初は4機いた。
しかしうち2機はパイロットの練度が低かったらしく、あっさり撃墜出来た(何かの間違いだろうが、1機は警察が撃墜したとか)。
ところが残るもう2機に苦戦を強いられ、東京証券取引所、日銀、渋谷駅、国営放送局、都庁など多くの被害を出してしまった。
指揮系列の混乱が被害拡大に拍車をかけたのだ。
だがこの悪夢ももう終わりだ。
先ほど私が駆るこのF−15Jが残る2機のうちの1機を撃墜した。
今ごろ神田川の底にいるだろう。

「レーダーコンタクト。交戦を許可してくれ」

私は空中管制官に交戦の許可を求めた。

『ミサイルは使用は許可できない。さっきみたく機銃を上手く使ってくれ』

「ラジャー」

確かにこんな市街地でミサイルをむやみやたらに発射するわけにはいかない。
私は素直に指示に従い、速度を上げた。

「敵は皇居あたりを飛んでるな」

私は今ちょうど上野動物園上空に到達したところだった。
急げばテロリストが皇居上空にいるうちに追い付けるかもしれない。
天皇陛下たちは既に避難されてるとのことだし、後々のことを考えるとビル街に墜落させるより皇居内で撃墜したほうが被害も少なくて済む。

「見えた……!」

敵のヘリを視認した。
しかしヘリは皇居を抜けつつある。
ここから機銃を撃つか?
しかしちょうど延長線上に警視庁があるのが見え、撃つことを躊躇してしまった。
が、結果的にこれは吉となった。

「えっ……?」

眼下から緑っぽい色をした“何か”が飛び出してきたかと思うと、ヘリを捕らえてそのまま引きずり降ろしていったのだ。

「な、何なんだ一体」

私は思わず日本語でそう言ってしまったが、それどころではなかった。
旋回しつつ下の光景を見る。
そこにはヘリと格闘している怪獣のような生き物が暴れていた。

「あれが噂の特生3課か……」

特撮映画のようなワンシーンが眼下で繰り広げられている。
私は任務中だというのにジーッとそれに見入ってしまっていた。
特生3課〜東京危機〜 ( No.26 )
日時: 2010/08/19 22:21
名前: とんこつ

■時間は少し遡って再び視点はコタロウ巡査


ヘリの音が聞こえてきた。
オイラは今、皇居のお堀に身を埋めるようにして待機している。
カムフラージュのために青いビニールシートをかぶった状態で。

『来たぞ!』

「ガァァアアァーーッ!!」

オイラは咆哮を上げてビニールシートを払いのけ、上空のヘリに目がけて跳躍する。
そのまま何度か羽ばたき、ヘリと同じ高度に到達。
ローターに巻き込まれないようにヘリを掴み、羽ばたくのをやめた。
オイラの巨体にヘリの推力がかなうはずがない。
ヘリとオイラは一緒に落ちていった。

「捕まえたぞこの野郎!」

オイラは必死でヘリを掴み、逃がさないようにする。
しかしローターが危なっかしい。
そこで近くにあった街路樹を引き抜いて、それをローターに突っ込んだ。
バキバキと凄まじい音を立て、しばらくするとローターは止まった。
それを見計らってヘリを乱暴に地面に置く。
オイラはコックピットのガラスを叩き割り、中にいたテロリスト二人を器用につまみ上げた。

「散々暴れ回ってくれたねぇ」

オイラは二人を舐め上げた。

「色々と大変だったんだよね。あんたらのお仲間さんに対戦車ミサイルで攻撃されるわ、このクソ寒いのにお堀に身を浸からせて長い時間待機させられてたオイラの苦労分かる?分からないよなぁ」

テロリストたちを口の中に放り込もうとしたとき、オイラの鼻がいい匂いを捉えた。
匂いを辿ると、オイラの足元でぺしゃんこになっていた小型トラックからだった。
おそらく民間の運送屋のトラックだったのだろう。

「ケチャップ?」

どうやら大量のケチャップを積んでいたらしい。
潰れた荷台からケチャップが滲み出ている。

「あっ、そうだ」

オイラは満面の笑みを浮かべながらテロリストたちに荷台から滲み出ているケチャップを擦り付ける。

「ますます美味しそうになった。じゃ、いっただきまーす」

今度こそオイラは二人を口の中に放り込んだ。
Re: 特生3課〜東京危機〜 ( No.27 )
日時: 2010/08/19 22:44
名前: S

まぁ、テロリストはどうなっても構わないらしいからな・・・うんw
それにしてもケチャップとは・・・それもそれでちょっと恐ろしい響きw

飛ぶに飛べない理由は翼の羽ばたきで生じる風で
何もかもふっ飛ばさないようにかとも思ってましたw(結局は書き忘れだが・・・
これじゃ、怪獣映画もいい所か・・・ゴジラとかと共演して色んな所壊しまくってそれから・・・w
こんな感じで変な妄想膨らましてれば、量産化されてメ○コタロウなんて出そうだな・・・(開発費用が問題だが・・・w
Re: 特生3課〜東京危機〜 ( No.28 )
日時: 2010/08/20 13:44
名前: リオレイア

ケチャップ漬け…
最早テロリストではなくただの餌ww
良いなぁ…
でも上空にF-15Jが居るのに良いのかな?
Re: 特生3課〜東京危機〜 ( No.29 )
日時: 2010/08/21 00:00
名前: とんこつ

>Sさん

そんなもの作ったら周辺国からの反発は必至ですね。

>リオレイアさん

見ているのはF−15Jだけとは限りませんよ。
特生3課〜東京危機〜 ( No.30 )
日時: 2010/08/21 00:02
名前: とんこつ

まず二人を舌で包み込み、唾液を馴染ませる。
うん、ケチャップが良い感じだ。
続いて今度は口の中で転がし始めた。
時折上顎に押しつけたり、牙の裏に押しつけたり、さらには甘噛みする素振りを見せたりして弄ぶ。
いつもならそろそろ吐き出してやっている。
が、今日は違った。
オイラは出動前の佐藤警部補とのやりとりを思い出した。

「コタロウ巡査。今回は今までとは違う。何せ相手は大量破壊を目論むテロリストだ。強硬手段(テロリストの殺害)も大目に見る」

「強硬手段(呑み込む)ですか。分かりました、視野に入れておきます」

ちなみに佐藤警部補が言った強硬手段の意味合いはきちんと理解していた。
しかしここは都合よく誤解させてもらおう。
オイラは斜め上を向く。
テロリストたちが舌を滑り落ちていくのが分かった。しかし二人はなかなかタフで、唾液で滑りやすくなっているはずなのに器用に舌を掴んで食道に滑落するのを防いだ。
もう少しいたぶるか。
オイラは頭を上下に振って舌からテロリストたちを剥ぎ取り、舌の下へと押しやる。
そしてぎゅうぎゅうと舌で圧力をかけた。
ケチャップと人間の旨味がほんのりと滲み出てくる。
一瞬本当に噛み砕いて食べたい衝動に駆られたが、さすがに自分はそこまで悪魔ではない。
オイラは二人を舌の上に出してやり、再び斜め上を向いた。
今度はテロリストたちも抵抗することなく、食道へと滑り落ちていく。
そしてそのままゴクリと呑み込んだ。
オイラの胃袋へお二人様ご案内〜、っとな。
特生3課〜東京危機〜 ( No.31 )
日時: 2010/08/21 00:38
名前: とんこつ

「ふう、満足満足」

テロリストたちが胃に納まったのを確認したオイラはポンポンとお腹をたたく。

『だぁー!こ、コタロウ巡査!』

佐藤警部補が珍しく怒鳴ってきた。

「警部補殿、強硬手段もオッケーなんですよね」

『意味が違う!なあ、吐き出せるか?』

「もちろん。さすがにテロリストを食べるほど食い意地は張ってませんよ」

ただすぐに吐き出す気はさらさらなかった。

『……あのな、ちょっと周りを見てみろ』

「へっ?」

オイラは言われたとおりに辺りを見回す。
……たくさんの警官と自衛官が遠巻きに見ていた。

「いやいや!あとでちゃんと吐き出しますからね!いくら凶悪犯だからといっても食い殺したりしませんよ」

オイラはあわてて周りに釈明する。
しかしオイラが視線を向けた途端、自衛官たちは号令もないのに一糸乱れずに回れ右をしてオイラと目を合わせてくれなかった。
警官たちも盾に隠れてしまっている。
もしかして人間からするとインパクトが強すぎたのだろうか。

『あとな、君は色々と壊してしまっているんだ。まさか運送屋のトラックだけとは思っていないよな』

えっ、ウソ!
オイラは今度は下を見た。
そこにはぺしゃんこになったウチの通信指揮車と交通課ご自慢のスカイラインのパトカー、お堀に視線を移すと逆さにひっくり返っている10式戦車。

『目の前に警視庁があるから、今から謝りに行こう。私も一緒に行くから。あと自衛隊の方もこの場にいるから、今のうちに謝罪しておこうな。虎の子の新型戦車壊しちゃったんだから』

「悪乗りしてすみませんでした」

オイラはその場で頭を下げた。
こうして前代未聞のテロは、あまりにも多くの被害と引き換えに終結を迎えたのだった。
Re: 特生3課〜東京危機〜 ( No.32 )
日時: 2010/08/21 01:31
名前: リオレイア

あ〜あ。
10式はまだまだ配備開始だから高いのに…
90式で一台8億だから少なくとも同じか、それ以上…
只でさえ仲の悪い警察と自衛隊の溝をさらに深めたな…
もし、F-15に翼でも引っ掛けたりしたら一機100億円がパア!
軍隊ってのは金がかかるんです。多分、テロリストよりコタロウ巡査の方が被害額は高いだろう(笑)
Re: 特生3課〜東京危機〜 ( No.33 )
日時: 2010/08/21 10:15
名前: S

自分はあんまし、知らないけど、高そうな物を沢山壊しちゃった事は大体は分かったが
リオレイア氏の返信から考えると・・・100億は凄いな・・・w
Re: 特生3課〜東京危機〜 ( No.34 )
日時: 2010/08/21 17:30
名前: リオレイア

米軍のF-15Eストライクイーグルはもっと高いですよ〜。
と言うより、イーグルが高すぎて破産するからF-16ファイティングファルコンが作られました(笑)
でも、高いだけあって未だにF-22と並んで現役ですが。
Re: 特生3課〜東京危機〜 ( No.35 )
日時: 2010/08/22 22:50
名前: 名無しのゴンベエ

>リオレイアさん、Sさん

特生3課の予算が年末を迎えずに吹っ飛ぶ見通しです。
特生3課〜東京危機〜 ( No.36 )
日時: 2010/08/22 22:53
名前: とんこつ

■エピローグ

「やっと謝罪行脚が終わった……」

オイラは首の辺りに乗せていた佐藤警部補を地面に降ろし、その場に寝転んだ。
あー、精神的に疲れた。

「……よかった、まだ生きてるぞ。頼むからさっさと新しい通信指揮車来てくれ」

オイラの耳元で警部補が呻いていたのが分かった。

「これでも安全に安全を重ねて飛んだんですよ」

「そりゃ分かるが、命綱一本で君に乗っかって空を飛んだこっちの身にもなってくれ」

「竜騎士みたいでいいじゃないですか」

「竜騎士という職業はファンタジー世界でしか成り立たないということがよく分かったよ」

フラフラとした足取りで警部補は詰所へ向かっていった。
あのテロから一週間。
奇跡的に日本人の死者は0(テロリストは八人のうち四人が死亡、残る四人は逮捕。あの後ちゃんと吐き出してやったんだよ)だったが、被害はかなり甚大なものだった。
出来ることなら全てテロリストの仕業にしておきたかったのだが、そうは問屋が卸してくれなかった。
というわけでこの一週間自分が引き起こしてしまった破壊により損害を被ったところへ謝罪しに回っていたのだ。
交通課に行ったら笑顔で請求書を突き付けられ、運送屋に行ったらやっぱり請求書を突き付けられ、陸上自衛隊の駐屯地に行ったら74式戦車に付き纏われてまた壊しそうになり(佐藤警部補曰く『わざと壊させて10式戦車を買ってもらう口実を作ろうとしてたに違いない』とのこと)、とにかく散々だったのだ。
自分がまいた種とはいえ、ちょっとしっぺ返しがきつい。
特生3課〜東京危機〜 ( No.37 )
日時: 2010/08/22 22:55
名前: とんこつ

あと佐藤警部補がオイラに乗って空を飛ぶ羽目になったのは、通信指揮車を壊しちゃったのと、テロリストたちがご丁寧にも道路も破壊したらしくあちこち補修工事をしていて大渋滞しているからである。
人を乗せて飛ぶというのは初めてだったが、意外と楽しかった。
まあ当の佐藤警部補はそれどころじゃなかったと思うけど。

「すいませーん、お届けものです!誰かいらっしゃいませんかー?」

んー、誰か来たな。
オイラは埋め立て地の入り口を見た。
そこには運送屋(オイラが壊しちゃった会社ではない)のトラックと、配達のお兄さんがいた。
あれ?
入り口には職員が一人いるはずなんだけど。
トイレにでも行ってるのかな。
しょうがない。
オイラは立ち上がり、入り口に向かった。

「わっ、あっ……」

運送屋のお兄さんはオイラが入り口のところへ来るとその場にへたりこんでしまった。

「取って食べたりなんかしませんよ。今門を開けますね」

犯罪者以外には優しいんだよ、オイラは。
お兄さんの反応に少しショックを受けつつ、門を指で器用に開けた。
トラックに乗り込んだお兄さんはエンジンをかけると、詰所に向かって走りだした。
……お届けものか。
一度でいいから受け取ってみたいなぁ。

「ま、オイラに何か送ってくれる人なんていないけどね」

オイラは大きなあくびをしながら格納庫に向かった。
特生3課〜東京危機〜 ( No.38 )
日時: 2010/08/22 22:58
名前: とんこつ


「えっ?もう一度言ってもらえますか?」

格納庫でパソコンでネトゲにログインしようとしたところを、佐藤警部補たちに呼び止められた。

「だから、君にたくさんのプレゼントが届いたの」

佐藤警部補はあっけらかんと言う。

「まさか。誰が送ってくるというんです?」

知り合いといったら特生3課の人たちくらい。
親の顔も知らない(まあ遺伝子操作されまくって生まれてきたんだから当然といえば当然)。
そんなオイラに誰が送ってくるというのだろうか。

「君の獅子奮迅の働きを理解してくれた国民の皆様方からだ。見てみろ。君からしたらどれも小さくて感覚がわかないだろうが、相当な量のプレゼントだぞ」

警部補の言葉と共に三人の職員が台車を押して中に入ってきた。
どの台車にもたくさんの段ボール箱が山積みになっている。

「君にとっては一口二口程度の量だろうが、これらに込められてる心はそんなもんじゃない。メッセージカードも何枚か付いててな。読むぞ」

オイラは黙って耳を傾ける。

「『今回のテロにおけるコタロウ巡査の活躍に感謝してもしきれません。陰ながら応援してます。これからも日本の治安をお願いします』『コタロウ巡査の獅子奮迅の働きに感銘を受けました。世間はやたらと批判していますが、私はそうは微塵も思いません。本当にありがとうございました』」

オイラの頬を熱い何かが伝う。

「コタロウ巡査も泣くときがあるんだな」

「……これでも、人間の遺伝子、混じってますから」

胸の奥から熱いものが込み上げてきた。
佐藤警部補はなおも手紙の朗読を続ける。

「――これで終わりだ」

全て読み終えたとき、オイラはただ嗚咽をもらしていた。
純粋に嬉しかった。
今まで批判されたことは山ほどあっても、誉められた経験はほとんどなかったからだ。

「実はアメリカ側からもヘリの生け捕りの謝礼として、ウチにそりゃもう膨大な量の肉を送ってきたんだ。というわけで今日はみんなで焼き肉パーティーとしゃれこもうじゃないか」

「……はい!」

涙を手で拭い、大きな声で答えた。

凶悪犯罪に対抗するために作られた特生3課。
彼らがこうして存在するかぎり、日本の治安は安寧のようです。

お し ま い
Re: 特生3課〜東京危機〜 ( No.39 )
日時: 2010/08/23 02:10
名前: リオレイア

74式か(笑)
コンピューター戦車と言われたのはいつ頃までか(爆)
因みに10式は90式と74式を足して2で割ったような戦車です。車体傾斜システムは74をベースに、残りは90をベースにして、新たにC4Iシステムを導入しました。サイズ的には貨車さえあれば有楽町線などで鉄道輸送できます。そう、貨車さえあれば…
多分、普通のコンテナ車じゃ重量オーバー(笑)使うとしたらシキ1000あたり以上の大物車ぐらいかな?あれなら50t積みから最大200t積みがあるし、でも最高速度35キロ(火暴)

良かったね!コタロウ巡査!
しかし、竜騎士か…良いなぁ。いっぺんで良いから竜の背中に乗ってみたい。降りたら、そのまま胃袋に直行でww
Re: 特生3課〜東京危機〜 ( No.40 )
日時: 2010/08/23 09:13
名前: S

あの後、コタロウ巡査は色々と大変だったんだな・・・w
笑顔で突きつけられたら、流石に吹くw
それに最後のエンドとっても良いw
Re: 特生3課〜東京危機〜 ( No.41 )
日時: 2010/08/24 01:52
名前: とんこつ

>リオレイアさん

仕方なく首都高を疾走する10式戦車たち。
胸が熱くなりますねw

>Sさん

まさかギャグで終わらせようとしてたなんて言えませんよw
特生3課〜東京危機〜 ( No.42 )
日時: 2010/08/24 02:01
名前: とんこつ

■あとがき

張り切って書いた『特生3課』の第二弾。
私の知識不足を露呈するなど不手際が多々あったことを先にお詫び申し上げます。
当初の構想より長くなったり、プロットと大きく違う展開になったり、最後をギャグで締めようとしてたのになんだか良い話になったり、想定外尽くめでした。
それでいて一応書き終えることが出来たのですから、不思議なものです。
またどこかでお会いしましょう。
Re: 特生3課〜東京危機〜 ( No.43 )
日時: 2010/10/25 22:54
名前: ケイル

ゴジラvsテロリストですねw
ケチャップのくだりが好きでした。
調味料をかけて食べるパターンって少ないですが、こういうの好きですw

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