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Re: ヨーギラス×●●●● ( No.4 ) |
- 日時: 2011/03/15 22:26
- 名前: ROMーLiza
- 2
中に入ってみると、空気がひんやりとしていた。足の裏がやたらと冷たいけど、我慢して進む。
すると、バサバサという羽音が何処からか聞こえだして、段々大きくなってきた。
「おい、そこのチビ」
上から声が聞こえる。その方を見ると、一匹のズバットが忙しく羽ばたきながらこっちを見ていた。 チビとは言うものの、向こうの方が体は小さい。
「何だってヨーギラスがこんな所に居るんだ。肝試しなんかで来るところじゃないぞ、ここは」
「……あんた、ここに住んでんのか?」
向こうの質問には答えず、こっちから質問した。この洞窟の奥に住人が居られては困る。
俺の問い掛けに、ズバットは訝しげな表情を見せた。
「は? いきなり何だよ。……まあいい。俺はこの洞窟の入り口辺りに住んでるんだ。 さっきお前が入ってくのを見たから、こうして追いかけてきたんだよ。 だけど、この先には誰ひとり居ないぞ」
「そうか。じゃあ、心配は要らないから放っといてくれ」
安心した。俺は進行方向に向き直り、また歩き始める。
「だから待てって! 何で行くんだよ」
ズバットは俺の正面に回り込んで、制止した。
「別に、この先に行こうが俺の勝手だろ。何であんたが止めるんだよ」
しつこく付きまとってくるズバットに、声を荒げる。
「……どうしても行くってのなら、本当のことを教えてやる」
急に重々しい声色に変えてきたので、俺はとりあえず耳を傾けた。
「この洞窟の一番奥にはな、それはもうデカい怪物が潜んでるんだ。 そいつはかなり凶暴で、沢山のポケモンを嬲っては喰い殺してきた。 だがある時、突然奴はこの洞窟の奥深くに入り込んで、そこに住み着いた。 だからそれ以来、この洞窟には誰も寄りつかないんだ」
ズバットはおどろおどろしく話すと、一旦呼吸を置く。
「もしこのまま先へ進んだら――お前、喰われるぞ」
ここぞと言わんばかりに、ズバットは顔をずいと寄せてきた。
「……で?」
「……は?」
「言いたいことはそれだけか?」
予想した反応と違ったらしく、ズバットは面喰らっている。
「いやいや、ちゃんと聞いてたか? かなり重要な話だぞ。てかお前、俺の話信じてるか?」
「微妙」
初対面の上、妙に勿体ぶって話すから、何だか胡散臭く感じる。
「まあ、あんたの話が本当でも嘘でもいいんだ。どっちにせよ、俺には都合がいいから」
この先に行けば、俺が人目に付かず死ねることは間違いない。
俺の言葉にズバットは納得行かないようだったけど、今から死のうとしていることをわざわざ説明してやるのも億劫だった。 事情を知ったこいつに、思い留まるように説得されても面倒だしな。
「とにかく、忠告ありがとうな」
それだけ言うと、目の前にいるズバットを避けて、進み始めた。後ろで奴が俺を呼び止める声が聞こえたけど、無視した。 奴もそれ以上は追いかけてこない。あんまり奥に入るのは躊躇われるのか。だとしたら、奴の話も強ち嘘じゃないのかもしれない。
だからと言って、引き返す気なんて更々なかった。
*
奥に入っていくにつれて、空気は更に冷たくなった。 洞窟の中に音はなく、光も全くと言っていいほど届いていない。 それでも、何とか中の様子を見ることはできた。 ヨーギラスは地中深くに産みつけられた卵から孵るので、 真っ暗闇でも今居る位置が分かるほどに目は優れている。
この洞窟の中は単純な一本道になっていて、飽きるほど真っ直ぐだった。 あまりに景色に変わり映えがないので、実は全く前に進んでいないんじゃないかと思えてくる。 この無駄な静けさにもうんざりしてきたし、規則正しい自分の足音もかなり耳障りだ。
苛立ちが募ってきたところで、十歩くらい手前に何かが見えた。 近づいてよく見てみると、随分大きな岩だった。 高さは俺の体長の二倍を優に超えている。群れの大人でさえ攀じ登らないと上に行けないくらいだ。
その隣、そのまた隣にも、大小様々にいくつか並んでいる。
「行き止まり、か」
何だ、やっぱりあのズバットの話は嘘だったのか。ちょっとした期待を打ち破られて、溜息を吐いた。
その時だった。
「誰だ」
低く唸るような声が、洞窟の中に響いた。流石に驚いた俺は、声の主をキョロキョロと探す。
「君の真正面に居る。上を見ろ」
言われた通りに上を見ると、思わず腰を抜かしそうになった。 ギロリとした二つの目が、天井近くから俺を見下ろしている。その目はなんと岩にくっ付いていた。 落ち着いてよく見ると、目の前にあった沢山の岩は一つに繋がっていて、その天辺の岩に目が付いている。 ただの岩の集まりかと思っていたら、頭から尻尾の先まで岩でできた、一匹の巨大な生き物だったわけだ。 岩が繋がり合ったその姿は、まるで大蛇のようだった。
なるほど、こいつが例の怪物か。
「……驚かせてすまない。私は、イワークというポケモンだ。危害を加える気はないから、落ち着いてほしい」
怪物は、恐ろしい姿の割に優しく話しかけてきた。ズバットに聞いた印象とは随分違うのが少し気になる。
「君は確か……ヨーギラスとか言ったか。どうしてこんな所に居る」
「あんたにお願いがあって来たんだ」
「何だ」
俺は唾をごくりと呑み込んだ。
「俺のことを喰ってほしいんだ」
そう言い切ると、暫く沈黙が続いた。突拍子もない話だから、当然と言えば当然だ。 イワークは睨んでいるようで、少し怖い。
「……そのようなことを言うからには、余程の事情があるのだろうな。良かったら聞かせてくれないか」
俺はとりあえずここまで来た経緯を全て話した。 瞳の色や居なくなった両親のことで、酷い虐めを受けていること。 群れの大人に相手にされないこと。 他のポケモンからも嘲笑われて辛いこと。 もうあらゆることに疲れてしまい、ここでひっそりと死のうと思っていること。
イワークは俺の言うことを頷きながら聴いて、こう言った。
「君の言うことは分かった。随分と辛い思いをしてきたのだな。 死にたいと思うのも無理はないし、私も止めたりはしない」
イワークは続ける。
「だが、君の頼みを聞くことはできない。イワークの主食はあくまで岩だ。 残念ながら、ポケモンを食べる習慣は私にはない」
同情する様子で申し訳なさそうに断るイワークに、俺は笑って言った。
「ヨーギラスだって土食って生きてんだし、殆ど岩みてぇなもんだ。 ――それに聞いたぜ? あんた昔は散々ポケモンを喰い殺してきたんだってな。 今更一匹二匹喰おうがどうってことねぇだろ?」
その瞬間、イワークがゆっくりと顔を近づけてくる。鼻と鼻がくっ付きそうな近さだ。
「近頃の子供は口の利き方を知らんようだな」
腹の底で煮え滾る感情を押さえつけるような声。 今までの穏やかさとは打って変わって、敵意を剥き出しにした口調に変わっていた。 目つきも獰猛な獣のようで、息の詰まる感じがする。 視線一つで、逃げ場のない恐ろしさを味わわされた。
「……ばれているのなら仕方ない。そう言う君こそ、覚悟はできているのか?」
イワークは顔を離して、口調もいくらか和らげた。どうやら喰ってくれるらしい。 俺もいつの間にか止めていた呼吸を再開した。九死に一生を得た気分だ。
……いや、これから死のうっていうのに、何を言っているんだろうか俺は。
「ああ、頼むよ」
今度は真面目に、そう答える。
「そうか。それでは……」
くぱぁとイワークの口が開き、そのまま近付いてくる。そして中から大きな舌が姿を現した。 見た目は蛇のようなイワークだけど、舌は鈍色に怪しく光る肉厚なもので、それ自体が巨大な生き物のようだった。
ベロ……
「うっ」
俺の腹から顔にかけてをイワークの舌が撫でた。意外にも柔らかくぷにぷにとした舌に、俺の顔は埋められてしまった。 舌が体から離れると、纏わりついた涎が空気に触れて嫌な臭いを放つ。
「ふふ、悪く思わないでくれ。ほんの味見だ」
イワークは怪しげに笑った。穏やかな物言いはそのままなのに、捕食者の雰囲気を漂わせている。 何となく背筋が寒くなった。ある意味、頭のイカれてる怪物よりも、ずっと恐ろしいんじゃないかと思う。
「口の中に入れるぞ」
そう言って、イワークは舌を使って器用に俺の体を絡め取る。 全身が柔らかい舌にくるまれて、息ができない。舌が完全に口内に収まると、その苦しさから解放された。
ゴツンッ
口が閉じられるときに、上唇と下唇にあたる部分の岩同士がぶつかり合って、鈍い音が鳴った。 自分に巻き付いていた舌が離れたので、ちょっとした興味から口内を観察してみた。
真っ先に気になったのは、口内の蒸し暑さと臭いだ。涎の臭いに混じって、少し獣臭さがある。 多分これは喉の奥から立ち昇っているんだろう。色々な臭いがする。 岩だけ食べてたらきっとこんな臭いにはならない。
暗さは洞窟の中と変わらない。だけど、こっちの方が「閉じ込められた」感じは凄くする。 もし俺が健全な心の持ち主だったら、今頃きっとパニックを起こしているだろう。
意外にも口の中は、肉で覆われていた。どうやら岩に覆われているのは外側だけで、 内側は他のポケモンと同じような造りらしい。
外からは隠れてて見えなかったけど、歯もちゃんと揃っている。 その全てが俺の顔よりも大きくて、岩を噛み砕く牙と、岩を擦り潰す奥歯がある。 岩を食べるだけあって、歯はかなり頑丈にできているみたいだ。 あの歯で噛み潰されば、即死するだろうな。
正面に視線を戻すと、俺の居場所を確保するために、あの舌は奥の方へと押し縮められていた。 時々うねるその様子は、口内への久々の来客を喜んでいるように見える。
やがてその舌が、左頬の内側に沿いながらゆっくりと向かってきた。 そして、体の右側から左側にかけてを舐められる。 それと同時にジューッと何かの噴き出る音が聞こえた。下を見ると、涎が足下に溜まっていた。
この一舐めを皮切りに、執拗な舐め回しが始まった。 右から、左から、上から、下から、体の至る所を舐められる。 全身がべとべとになって、下手に目を開けようとすると、涎が流れ込んでくる。 仕方ないので閉じたままにしていると、舌に突き飛ばされ、涎溜まりに顔から突っ込んだ。
口に涎が入った気持ち悪さに顔を顰めていると、すかさず舌が俺の体を掬い上げる。 そして上顎に強く押し付けられた後、急に離されて下に落ちた。 体を起こす暇もなく、今度は頬の内側に押し付けられて――――
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