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【保】だーくさいどふぁんたじー。 1
01
私が祖国に居た頃、この世界で伝承として伝えられてきた竜が、突然襲撃してきたことがあった。
国も軍隊を向かわせたが、人と竜の力の差などたかが知れている。
先陣を切って向かっていった大隊が、竜の吐いた火炎で一瞬にして焼き尽くされたのを見て、逃げ惑う者、恐れ動けずに立ちすくむ者、竜は少し拍子抜けしたような表情のまま、再び口元に火炎が姿を見せ始めた時、俺だけが剣を向けて、言い放った。
「竜よ!この声届くなら、今しばし私の話を聞いてはくれぬか!」
いざ火炎が襲いかかろうとする直前、竜は攻撃を止めて、此方を見据え、
『我に剣を向け、話とは何用じゃ。』
「私がお前に一騎打ちを申し込む!私が勝てば、この国を二度と襲わぬと誓ってもらおう!」
『して、主が負けた時は?』
「我が身、それを対価に。」
『なんとも威勢のいいニンゲンじゃな。……面白い。その条件、飲んでやろう。』
不適な笑みを浮かべ、俺と竜と向かい合う。
逃げ惑う兵士は立ち止まり、立ちすくむ兵士は離れ始め、私は覚悟を決めた。
竜に向け、駆け出すと同時に火炎が飛んでくる。
側転し回避した所に、足首に尻尾が巻きつく。
そのまま持ち上げられ、顔の高さにまで行くと、竜は勝ち誇ったように言った。
『我の勝ち、じゃな。所詮はニンゲンといったところではあるが、立ち向かった覚悟は認めてやろう。』
「……っ、くそっ!」
『さて、お主の身が対価じゃったな。……少し寝てて貰おう。』
そう言うと、竜は人語ではない何かを呟いた時、俺の意識は闇に落ちていった。
…次に目覚めたときは、高級な羽毛布団に包まれ、暖かな感覚の中だった。
『起きたか、若きニンゲンよ。』
そう言われ、飛び起きる。祖国を襲った竜が、隣で俺のことを視ていた。
何故生きているのか。 どうして。
疑問ばかり浮かぶ俺に、竜は心を見透かしたような言葉を紡いだ。
『ニンゲンにしておくにしては惜しいと思ってな、皆も同意した上で……ほれ、今の姿を見てみぃ。』
その話からは、嫌な予感しかしなかった。
顔を動かし、体を見てみる。
紅く輝く、体を覆う鱗。
体から伸びた腕の先、手に生えているダガーのように鋭く、尖った五本の爪。
自分の意識で動かせる大きな両翼に、長い尾。
………
『驚いて言葉も出ぬか。ならば、伝えてやろう。』
やめろ。
『主はもう、人間ではない。』
やめろ! やめろ!
『主の戦友を焼き殺した、』
いやだ、知りたくない!
『我と同じ、竜になったんじゃよ。』
――竜になってから、数日が過ぎた。
仲間が見たこともない稀少な木の実や、高山にしか生息しない生物の生肉を持ってきてくれてはいたが、食べる気にはなれなかったものの、空腹は抑えきれない。が、今隣に居る竜への怒りでなんとか気を紛らわしている。
『そろそろ何か食わねば、死んでしまうぞ?』
うるさい。
『折角同族になったと云うのに、死なれてしまうのは困るからの。』
勝手に困ってろ。
『仕方あるまい、こういうのは苦手なんじゃが……。』
うつ伏せでふてくされている俺の背を、その肉厚の舌で舐め上げる。
体が震え、嫌悪感も現れたがくすぐったいような感じもしてきた。
『力を抜け、と言っても訊かぬじゃろうな。』
何をする、と言う前に首筋を軽く、何度も甘噛みしてくる。
牙が食い込む度、尻尾が小さく反応するのが自分でも分かり、全身が痺れるような感覚が体に残り始める。
気付けば呼吸が普段とは違う状態で、心拍も心なしか早まってきている。
無言のま
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