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鏡
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− ときの歯車は回る −
「パキア♪」
『どうしましたか?』
「お菓子の城・・・一緒に、食べようね♪」
『ウガビア様が望むなら・・・喜んで』
私は彼女の笑顔を見れるだけで良い。
私には、彼女以外はどうでもいい。
彼女の幸せを・・・笑顔を護るためならば、私はこの身を血で紅くも染めよう。
魂を悪魔にでも売ってやろう。
そして、悪にでもなってやろう。
私のこの命・・・全ては、ウガビアの世界のために・・・。
「パキア・・・人がいっぱい♪」
彼女は小さな声で近くでうつ伏せに寝ている私に話しかける。
その表情は嬉しそうだが・・・声が、少し震えている気もする。
そう、彼女は嬉しくもあるが、それ以上に緊張しているようだ。
しかし、それもそれで・・・可愛いと、私は思ってしまう。
『はい、人がいっぱいですね。・・・全員、ウガビア様のために来たのだから』
「うん♪・・・そろそろね・・・パキア、お菓子の城よ♪」
彼女の瞳は、嬉しさに輝いていた。
それさえ見れれば、私も嬉しい。
お菓子の城が運ばれると、訪れた来客も仰天していた。
中には呆れているものも見られるが・・・。
「パキア・・・美味しそう・・・いえ、甘そうね」
『ウガビア様の好みだあれば、私は嬉しいです』
「ん?これって、パキアが作ったの?」
『!?・・・え、あ・・・その』
「・・・わぁ・・・凄いわぁ・・・ほら、食べましょう♪」
私はつい言ってしまう。
彼女が気がつかないことを祈っていたが、どうやら・・・今日は、気づいたようだ。
どんな顔をするのかと心配もしたが、必要では無かった。
彼女は今までで、最高の笑顔を・・・幸せそうな顔をしていた。
私はそれを見れるだけで、良かった。
しかし・・・私は・・・笑顔だけでは、足りなくなっていた。
彼女が・・・全てが、欲しかった。
欲求があふれ出すのだ。
日に日に大きくなっていく欲求は、いつまでも抑えられているものでもない。
「パキア・・・どうしよう・・・」
彼女は泣いていた。
■作者メッセージ
終わりも近いです。
<2013/02/09 19:57 ヘリオス>
▼作者専用
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