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ゴクッと日常
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〜ヒウンシティ〜
「ついた〜!! 悲運シティー♪」
「『ヒウン』よ・・まずはどこ行きたいの?」
道中珍しいポケモンと竜が並んで歩いているというのに、道
行く人々はまるで空気のように興味を示さない。それもそのはず、
二人は『インビジブル』という特殊なメモリを使って、姿を
一般人に対して消していたのだ。どうやら体内にいるロンギヌ
スにも効果はあるようだが、透明な胃壁に揉まれるのは何とも不思議な状況だ。
「れ、レムリアそろそろ・・出して・・」
「いいけど…反省したの?」
「反省って・・お前もメモリ使ってるじゃないか!!」
「あら♪ 平和利用は別に私も嫌いじゃないわ? それにこうでもしないと私、人前に出られないじゃない」
巧妙に追及をかわされ、ロンギヌスは胃の中でうなだれた。
レムリアはやれやれと面倒そうに呟くと、胃壁をぎゅっと押し
上げ、20分ぶりにロンギヌスを吐き戻した。
「ったく…タ、タオル持ってない・・?」
「ふふ…お生憎様♪ たまたま持ってないの」
「この…!! 綺麗好きのくせに…」
「マスター早くいこぉ〜…? ボクお腹減っちゃた・・」
まさに『お腹が減って力が出ない』状態のカイオーガが、
だらんとロンギヌスに倒れかかる。巨体の下からギブアップの
サインを出すとともに、ロンギヌスは目的地を問いただした。
「んで何処行くんだよ・・やっぱりメモリ屋しかないだろ・・?」
レムリアの視線が悪魔のように笑ったので、慌てて目を逸ら
す。カイオーガのお菓子への執着は未だ消えないようで、屋台
で販売しているアイスに目が釘付けになっていた。
「とりあえずメモリ買いに・・大丈夫大丈夫! ちゃんと『平和利用』するから・・」
「・・・・まあいいわ。 はいお財布」
ようやくレムリアの口元が緩み、財布は真のご主人様の元へと
返ってきた。ロンギヌスは即座に立ち直り、運良く近くにあっ
たメモリ専門店へと足を運ぶ。もちろん、アイスをねだる子供を引っ張りながら・・
〜『高級ガイアメモリ専門店 骨董品から最新まで』〜
店内は高級感の演出のためか、薄暗い照明でメモリが鈍く光り輝い
ていた。カイオーガの滑らかな青色の体が、妙に白っぽく見え
るのもそのせいだろう。ロンギヌスは透明化を止めた。
「レ、レムリア様にお願いがございます・・どうか私めのメモリを売却するのはお考え直して頂きたいのですが・・」
「ふふっ、おもしろい喋り方ね。 冗談なんだから気にする事無いわ」
ロンギヌスは安堵の呻き声を漏らし、ほっと息をつく。
あのメモリ達は全て彼が長い年月を費やしてかき集めたもの
で、優秀な力をもつ物しかない。エターナルメモリも、その中
からカイオーガに授けた物なのだ。
「これはマスターがくれた僕の宝物だもん♪ レムリア売らないでね?」
「そんなことしないわよ・・」
客もぽつぽつとしか居ない店で談笑するのは気が引けたが、
どの客も自分が買おうとしているメモリしか眼中にないよう
だった。レムリア達は透明なので、ロンギヌス一人で馬鹿笑いして見えるというのに・・
そんな精神異常者の接客をするためか、一人の店員が音も無しに近づいてきた。
<2011/05/15 16:03 ロンギヌス>
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