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守る物
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「…タイムリミットね。ウル…結局来れなかったじゃない。」
「まぁ、いいだろう。さっさと消化して、別のエサ場探しにいくか。…いや、待て…。…ティア、お前は隠れてろ。」
「ふふ♪了解。」
****
ザッ!
「約束通り来たよ。さぁ早くアルトを返してもらおうか。」
「よくここまで来れたな。少しは誉めてやるぞ。…だがもうあの娘は俺の腹ん中だぞ?もちろん吐き出す気もない。」
「…!話が違う!来たら返す約束だ!」
「くくっ。そんなの覚えてねぇなぁ。それよりお前自分の身を案じたほうがいいぜ。」
そう言ってリンドは上を指差した。
「…うえ?」
ウルの頭上には電気のエネルギーを最大限に貯めたティアの姿があった。
「ふふ♪それっ!」
ドォォォォォォォン!!!
高電圧のエネルギーが一気にウルに降り注いだ。
神とはいえ、これはひとたまりも無く消し炭に………はならなかった。
…だが
「う…ぐ…。体が…動…かない。」
ティアが放出したのは、麻痺用の雷であった。
「…どう…するつもりだ。」
「くくっ。直に分かる。…おい、ティア。気が変わった。あの小僧を吐き出せ。」
「えええ!嫌よ!ライム君は私のごはん!」
「…俺の言うことが聞けねぇのか。それなら…」
リンドの手から一気に魔力が放出された。
「…!分かったわよ…。」
「ふっ。余計な手間取らせるな。」
「う…ぐっ…。おぇ…。ごほっ……。……うっ!」
……ドシャ!
「きつい…。」
ティアは食べたものを自ら吐き出すなど経験したことのないものだった。
「くくくっ。後で美味いガキでもご馳走してやるよ。……これは、ぐっ…」
ティアから吐き出された粘液の固まり…否、ライムは気を失っていた。1日も竜の胃の中にいたのだ。形容しがたい臭気がライムから漂う。
「…ライム!ライム!」
「くくっ。再会出来て嬉しいか。…ぐっすり眠ってるな…。どれ。」
そう言うとライムを救い上げ、
ドンツ!!
地面に叩きつけた。
「…ぐぁ!…いたっ。え?ここは?天国?」
「違うな…。…地獄だよ。」
…ぐぐっ。リンドは体制を整えた。
「ライム、あぶない!」
「え?」
バクッ!
目にも止まらぬ速さでリンドはライムを口に収めた。
粘液と唾液が飛び散る。
「ふむ。小僧もなかなかの味じゃねぇか。ほとんどティアの唾液の味しかしねぇが。」
「え?どこ?ここ?」
一瞬のことでまだ自分に起こったことが分からないようだ。
「お前…。ライムを吐き出せ!」
「くくっ。お前は何出来ないままそこで小僧が喰われる様を見届けな。…。そろそろ味が出てきたな。もぐっ。歯ごたえは小僧の方がいいな。」
ガリッ!
ライムの太ももから出血している。
「おっと!噛んじった!すまねえな。お前歯ごたえ最高だぜ…。喉越しにも期待してるからな…。」
リンドの口からは赤い唾液が流れていた。
そしてリンドはゆっくりと上を向き…
「……美味かったぜ。じゃあな。」
……ごくっ!
ウルに見せつけるように小さな存在を呑みこんだ。
<2012/11/13 12:16 ピヨ助>
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