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傭兵団の休暇
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レシラムは大きな翼を羽ばたかせ、地面に風を叩き付けながら降り立った。
背中から降りると、俺は周りを見渡した。
近隣の内戦の戦火を逃れて来た人々が集まる避難キャンプは、大小、形も様々なテントが所狭しと軒を並べている。数から考えて、避難している人の人数は数千人弱くらいはいる。
多少ながら支援が行き届いているため、まだここは恵まれてる方だ。倍近く難民を抱えた上に支援が全くないと言う、酷いキャンプを俺は見た時がある。
まだ日が高いのに、近くにはちらほらとしか人が居なかった。どうしてだろう?
とにかくあいつに会って、近況を聞こう。内戦事情がわかれば、依頼を受ける事になるかもしれないし。
「レシラム、ついて来て」
「嗚呼」
後ろを確認すると、俺は知り合いに会うためにテントの間を歩いていく。周りからを指さされたり、ひそひそと話したりしている人たちはスルーって事で。
少し行くと、一際大きなテントが避難キャンプの端に当たる所に建っていた。
そのテントの横には、大きく赤十字が描かれている。ここのはずだ。
「ちょっとここで待ってて」
「何処へ行くんだ?」
「知り合いがここにいるから、話をつけてくるよ」
心配そうに顔を寄せてくるレシラムの頬を撫でてやると、少ししてやっと納得してくれた。
まだ微かな心配の眼差しを受けながら、俺はテントの入り口をくぐる。
中には簡易的な診療台にベッドが置かれ、微かな消毒の匂いが立ちこめていた。
「クロスー!いるか!」
会いに来た知り合いの名前を呼ぶと、テントの奥から声が返ってきた。
「ハーイ!ちょっと待って今手が離せないから〜」
返事と一緒に、瓶かなにかを整理しているらしい音がうるさく響く。それが止むと、そいつは奥からひょこっと顔を出した。
癖っ毛の目立つ髪に眼鏡、白衣を纏った男。名前はクロス。因みにこれはよく呼ばれるあだ名だ。本名は俺も知らない。
「おっ、タツヤ君久々〜。調子はどう〜?」
「まあまあさ。相変わらず元気そうだな」
「そうか〜い。こう見えても結構ハードなんだよ?僕」
へらへらとおどけたような喋り方がこいつの特徴の一つだ。
そう言うクロスは、ふと俺を見て、何か気付いたように顔をのぞき込んできた。
思わず俺は後ずさる。予想出来ない行動も特徴…て言えるのか…?これ。
そしてなにか確信したように頷くと、ニヤリとクロスは笑った。
<2012/01/30 20:11 黒猫>
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