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漆黒のいる毎日 − 旧・小説投稿所A

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漆黒のいる毎日

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それから何事もなく、時は経ち、その日の夜。


「眠れない・・・むぅー。」

ファウストは中々寝付けずに、自分の部屋のベッドで寝返りを打っては唸っていた。

「ちくしょー・・・ん?」

ふと窓から外を覗くと、暗く広い中庭の真ん中で、クロとジェットが話しあっているのが見えた。

「ん?何でこんな時間に?」

窓をゆっくり開き、耳をすます。

「なぁ・・・わかるか・・・クロ。」

「うん・・・近いね。」

ファウストにはわからないが、何かが近くにあるらしい。


と、その時・・・!


「クロ・・・。」

何処からか、何かの声が聞こえた。

「来た・・・ね。ジェット。」

「うん。心の準備は出来てる。」

ファウストは窓から辺りを見回すが、声の主は見付からない。

「クロ、頼むよ。」

「うん♪」

クロがジェットを背中に乗せ、宙に浮かんだ。

ファウストはそれをひたすら気づかれないように見ていた。

「何をしようとしているんだあいつら・・・。」

クロが館の屋根の上に乗った。すると・・・。

「久しぶりだな・・・クロ。」

「はい・・・。」

クロの前に、白いポケモンが現れた。ファウストはアルセウスを見たことはないが、ポケモンであることは何故かわかる。

「ふむ。それで、何の用だ?」

白いポケモンが喋った。

「今日は・・・話があって・・・来ました。」

クロが敬語になっている。反転世界の王のクロより偉い立場なのか・・・?

「良かろう。話してよいぞ。」

「スクエアのことなんですが・・・、アルセウス様、申し訳ありませんが・・・諦めてもらってもよろしいでしょうか・・・?」

クロから若干恐れの魔力が伝わってくる。ってことはクロより強いのか・・・?

「・・・諦めろ・・・と?それはまた何故だ?」

「アルセウス様はもう相当な支配力を持っています。これ以上支配を広げれば、他の神々との争いになりかねません。なので・・・」

白いポケモン・・・アルセウスはクロを睨んだ。が、すぐに優しい目付きに変わった。

「やはり・・・そうか。争いはもう、こりごりだ・・・。しかし、クロ。仮に支配のリーダーのが他の神々に取られたとする。しかしそれではポケモンの立場はどうなる?下手をすれば、ポケモンは恨まれる可能性もあるのだとぞ・・・?」

アルセウスは続けて話す。

「もし、ポケモン達が問題を起こし、他の神々にとって邪魔な存在になれば、ポケモンの滅亡も考えられる。ポケモンは他の種族に比べ、戦闘力は強い方ではあるのだが、精神力はそれほど強くはない。脅されれば、利用されてしまうこともある。リンの・・・様にな・・・。」

クロは視線を満点の星空に移す。星がこれでもかと煌めいている。

「アルセウス様、それを防ぐ為にスクエアを吸収し、『力を持とう。』とお考えになられたのですね?」

アルセウスは下を向く。

「ああ・・・まあな。」

「アルセウス様」

クロがアルセウスに歩み寄る。ジェットは背中に座り、アルセウスを見ている。

「私達神々は星のようなものです。星は、精一杯、明るく、光っています。しかし、その明るさを求め、一つの星が周りの星を消す事はありません。争いなど、もう起こりませんよ。」

アルセウスは不安な様子でクロに詰め寄る。

「何故そう言い切れる?昔、神々が戦争を起こし、世界が消滅しかけた事は知っているだろう?」

「もう、ポケモンは戦争をしません。何故なら・・・」

クロは一息つく。

「ポケモンは世界中の者に愛されているから・・・です。」

「・・・そう・・・か。」

ジェットとファウストはなんのことだかさっぱりわからない様子。

「ポケモン達の使命は、これからの争いの火種を、消すことなのです。」

クロはそう言うと、ジェットを頭の上に乗せた。

「ぬ・・・?クロよ、このバクフーン・・・。」

「ええ、彼は魔力を・・・アルセウス様?」

アルセウスはジェットをじっと見つめている。普段テレパシーがあるため使わない口からは涎が・・・。

「え・・・?な、何・・・?」

クロが困っている。これからアルセウスがジェットを喰おうとしているのは、目に見えている。

「ジェット・・・か。ジェット、私に喰われてはくれぬか・・・?」

「え・・・ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええっ!?!?」

夜の反転世界に、ジェットの悲鳴が
響いた。


クロ「えへへ〜、よかったね♪ジェットぉ♪」

ジェ「よ、良くない!!!」

ファ「見つからなくて良かった・・・。」

<2013/01/24 21:08 ファウスト>
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