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1人と8体(仮称) − 旧・小説投稿所A

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1人と8体(仮称)
− 朝の光景 −
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突然、どこからともなく現れたその者は、
天才とも言える才能を発揮し、他のハンター達をどんどん追い抜いていった。
そして、最年少でありながら、No2の強さを誇るソロ・ハンターとなった。

ーーその者が現れてから、約1年後・・・

「すみませーん!いつもの朝食セットはありますかー?」

酒場に響く、まだまだ若さの残る声。
ここは、この世界で「ハンター」という職業を持った者が集う酒場。
中には他にも、沢山のハンター達が飲み、食べ、そして語り合っている、とても賑やかな場所だ。
その中で、最も若いハンター・・・ライト・マクレイは、毎朝のように厨房に声をかけた。

「おおぅ!いつものぼうずか!来ると思って作っておいたぜ。」

その声を聞きつけ、厨房から現れた男・・・ここの酒場を経営している男、マックスは、
ライトが目当ての料理を盆に乗せて運んできた。

「お前さんの噂は聞いてるぜ。『最強の天才』だって?あんなに小さかったお前がなぁ・・・」

「ハハ・・・天才なんてそんな。僕はまだまだですよ・・・」

顔を赤らめながら、ライトは盆を受け取って、空いているテーブルへと向かう。

彼は、1年前この町に現れ、ここで生活してきた。
始めは町の人のお手伝いといった感じの雑用をこなしていたが、
とあるきっかけからこの町に居た唯一のハンターの下で手伝いを始めた。
そこで素質を見抜かれ、訓練を開始。1ヶ月で戦いに同行出来るようになり、2ヶ月で単独でのハンターを開始。
4ヶ月で教わったハンター以上の実績を上げ、10ヶ月もしないうちにNo2にまで上りつめた。
この酒場の賑やかさも、彼の名が知れわたったおかげである。

「あ、こんにちは!」

「おお、天才君。今日も忙しいのかい?」

「ええ、僕のところにはほぼ毎日のように依頼が来てしまって・・・たまには休みが欲しいですよ。」

「羨ましいものだ。まさか俺の教え子が、俺以上に困難な依頼を受けるなんて・・・羨ましいぞコイツぅ!」

「ちょ、ちょっと!止めてくださいよ師匠!!」

今の会話からも分かる様に、彼の席の隣に座った男こそ、彼の素質を見抜き、
「ハンター」という職を与えたハンター・・・ジル。
明るく大胆なその性格から、町の人からも好かれる存在である。

「師匠か・・・今じゃお前の方が師匠だなぁ・・・弟子になって教わりたいもんだ。」

「いえいえ師匠、僕の強さは精霊達のお陰なんですよ・・・僕は大して強くはありません・・・」

この世界において、物が自我を持つことは決して珍しい事ではない。
自然に存在する力や魂が宿り、霊体のような形を作り出す・・・
これをこの世界では総称して、「精霊」と呼んでいる。

「俺にも付き精霊は居るさ。精霊のお陰で強いのはみんな一緒だ。
 ・・・でもお前は、8体もの精霊を操っているじゃないか。それが凄いんだ、天才って皆が言う所さ。」

大抵、ハンターは自身の守護者たる精霊と行動を共にしている。
出会った精霊と交渉し、契約することで戦いを楽にしている。
基本的に、ハンターが契約出来る精霊は1体のみ。
たまに2体と契約しているハンターも居るが、かなり珍しい方である。
・・・だが、ライトが契約している精霊は8体。常識的にはあり得ない数である。

「いやいや・・・元から一緒でしたから・・・と、それじゃあそろそろ行きますね」

「おう。頑張ってこいよ!」

食事が終わったライトは、依頼書を取り出しながら、依頼場所へと出発していった。


とりあえずここまで!
一気に第2話まで投稿してしまいましたw
次回、VOREが入る予定です。
<2012/12/06 00:37 想西>
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