PC用眼鏡【管理人も使ってますがマジで疲れません】 解約手数料0円【あしたでんき】 Yahoo 楽天 NTT-X Store

無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 ふるさと納税 海外旅行保険が無料! 海外ホテル

【保】5日間の気まぐれ − 旧・小説投稿所A

RSS | 感想 | TOP
【保】5日間の気まぐれ

|<< < 2 / 2 > >>|

〜第1日〜

四方が窓のない茶色い壁。
床は木張り。少し古くなっている。でも一応頑丈だ。
天井には、これまた古くなった窓があり、そこから光が差し込んでいる。

「ここどこ?」
「部屋です。」

分かってるって。

「レオンの気まぐれなんて、珍しいじゃない? レオンって欲が無いから。」
「私だってたまにはありますよ。今みたいに。」

分かってるって。

「んで、既に嫌な予感はしてるけど、この部屋で何をするの?」
「当ててください。」
「僕を食べたい。」
「正解です。」
「それ、絶対、気まぐれじゃなくて、欲望だと思うんだ…。」
「人のこと言えないですよ。」

分かってるって。

「ルールは、5日間。この部屋で過ごします。 それだけです。」
「…はぁ。」
「嬉しそうですね?」
「僕を食べる前にはいつもそう言ってるじゃん。」

何気にしょっちゅう襲われている。

「さて、そろそろ始めますよ。 今日から5日間です。」
「5日間終わったらいいことあるの?」
「何もないです」

ですよねー


今のレオンは龍姿。僕は猫姿。

…圧倒的。


普段僕の我が儘に付き合ってもらってるから、お礼はしなきゃならない。
でも、普段食べられてるのに加えて5日間も…。

そんなことを思ってる内に、レオンは長い尾を僕の後ろに忍ばせていた。 

そして、僕がそれに気づいた途端、僕はもう尾に縛られていた。

「ルールはもう一つ。 1日の内、1回しか私は食べません。 逃げても同じですよ。」
「はっ、、 離せって!!」
「よろこんでますね?」
「だからそれも毎回言ってるって。」

尻尾から抜け出せぬまま、自分ごと高く持ち上げられる。

「知ってますよ? 胃の中に入ると、気持ちいいって思ってること。 喉もいいなぁ とか、 口の中も〜 とか、 あとは・・・」
「わーーっ! 黙っといてえ!!」
尻尾から片腕が抜けたので、その片手で尻尾を叩く。
「例の微妙なプライドですか?」
「…///」

図星。

確かに、食べられるのは大好きだし、胃の中も気持ちいいし・・・
でも、それを認めたくない意思がある。
恥ずかしいから… なのやら…?

「とっ・・・ とりあえず嫌だからっ!!」
すぐに空間移動を使って尻尾から抜け出す。

「ふふふ。 ツンデレですねツンデレ。」
「うっさい!! 余計なこと言うなっ!!」

図星・・・ なのかな…?
あんまし認めたくないかも。

「さっき、斜線3本引いた時点で…」
「いやそこじゃねえだろ。」
それは言わない約束。


「それはともかく、逃げたら体力の無駄ですよ? 食べられに来るのが一番正しい選択ですよ?」
「嫌なんだってば!!」

レオンの尻尾が追いかけてくるので全力で逃げる。
レオンは楽しそうに尻尾で追う。



…5分後…

「諦めないですね。」
「そりゃあ・・・ もちろん・・・  嫌だもん…」

そんなこと言いつつ、もうあきらめるべきだと頭の隅で言っていた。

レオンは尻尾を振るだけ。 僕は術まで駆使してとにかく逃げる。

しかし、もう決着がついた。

僕は、レオンの上手い話術によって、気力を削がれ、もう術など使える状態じゃなかった。
体力も限界だったので、レオンの尻尾に再び捕まった時には、もうぐったりと、抵抗することもできなかった。

「おしまいですか?」
「うぐ・・・  好きにしてよ…。 何とでも言うがいいし、どう食べたってかまいやしない。。」
「フフフ。 1日は長いのです。 楽しんでいきましょう…?」
レオンは、尻尾の束縛を解き、地面に僕をおろした。

逃げる気は起こらなかった。

レオンは、大きな足を僕に向かってゆっくりとおろす。

まさか・・・

「レ・・・ レオン・・・? いや、捕食欲はあっても、 破壊欲というか、グロ系は・・・  前まで無かった…   よね…?   ぐはっ!!!!」
僕の話など全く聞く気はない様子で、足で僕を踏み潰してしまった。
地面は堅い。 レオンは加減してるんだろうけど、僕はもう半分死にかけている気分。 いや気分じゃなくでマジで・・・。

「苦しむ姿を見るのも、楽しみの一つだったりします♪」

人姿で踏み潰されたらとっくに骨が何本も折れているだろうが、猫姿の場合は、さすがに柔軟性にたけている。 骨は折れることはなさそうだが…。 結局、痛いことに変わりはない。

「僕は… これは僕はムリっ…」
「フフフ。いいですよ…。」
そう言うと足をどける。
意思は残っていたものの、もう体は動かなかった。
荒く息をつく事しかできない。

レオンを視界の隅に捉えた。

舌なめずりをし、恐ろしい顔で笑う。
ただのニヤリという笑いだったのだろうが、僕にとって、体中の毛が一気に逆立つような笑いだった。

今度は、尻尾を使わなかった。

地面に横たわる自分にむかって、首を伸ばしてくる。

見たくなくなって目を強く閉じた。



このまま意識が途切れればどんなに良かったことか…。

僕は意識は強く保たれたままだった。


「ハァ・・・・」
レオンの生臭い息吹きが体を包む。
逃れようと体をひねると。痛みが体を走る。

「私はまだ物足りません。 あなたの苦しむ顔がもう少し見たいのです。 食べられるときの苦痛の顔が一番いいのですが、食べてるのは私ですからそんな顔見たくても見れないのですよ。。。  ならば…。」

僕の体に、先ほどの痛みとは比にならないほどの痛みが走る。
「あ"あ"っ!!… ぐぅ・・・・・ うわああああああっ!!!!」
しかも一瞬ではなく、痛みは継続し続ける。
逆らいきれず、目を開く。

レオンの目が目の前にあった。

レオンは僕に牙を立てて僕を咥えているのだった。
噛みつく力を強めるたびに、僕の体に牙が食い込む。

僕は悲痛な叫びを繰り返す。
「その声、その顔が私の求めていたものなのです!! もっと叫んでください。。 もっと。。」
レオンは顎の力を強める。 僕はさらに叫ぶ。

顎の力が緩む。

僕は痛みに涙を流している。
苦しすぎて気が付かなかった。





「・・・死にたい。」
僕は自分の呟きに耳を疑う。

僕は、こういった言葉は絶対に言いたくなかった。
何もかも、すべての事は、乗り越えられるもの。
自ら死を望むなんてことは、僕の中ではとてつもない恥であった。


視界が涙か、苦しみかでぼやける。
レオンの口の中。 思考が素早く巡る。

その時初めて、レオンが魔法を使っていたことに気付いた。

レオンは僕に、気を失わないように、そして苦しみを増幅させるように魔法を使っていた。
苦しみが増幅しすぎて、「死」の苦しみを超えてしまったのかもしれない。
そして自分が無意識にそれを呟いたのだろう。。。


これは…。



……りま…た…? ……目。………しみ………るこ…。



頭の中に言葉が響くが、意識が遠のき始め、聞きとれなかった。
誰の声かも分からない。

「では、私のものになってください…。」
レオンは、口を開き、咥えていた僕を口に落とした。


龍の舌。
別の視点から考えるのなら、舐め殺すための部位ではないか…。
そんな死に方は大いに御免だが。


その舌が、僕を味わい、楽しむかのように僕の体を這い回った。
唾液はご馳走を前に無限に湧き上がり、僕はその唾液を何回も飲んでしまう。 もちろん不味い。
レオンの口の中は広い。
その中を、飴玉のように転がされ、動くたびに僕は体の痛みに悲痛な声を上げる。


しばらくすれば、僕はもう粘液の塊となっていた。

「ほら。 私の吉祥。 私のものになりなさい。。」
その声は優しい。
母親のような温かさ。(間違っても、肉壁による温かさではなく。)
その度に、眠りそうになるが、体の痛みで急に現実に引き戻される。


そしてついに、感覚が遠のくのを感じた。

体の痛みが離れていき、温かい言葉と、肉壁の生々しい感覚だけを感じる。


アタタカイ。 ネムッテシマイタイ…。



レオンは舐めるのをやめた。

そして、飲み込もうと顔を上に傾ける。


レオンのかけた力。 気を失わないようにしている力が残っているようだ。
感覚が麻痺して、体の痛みは感じなくなったが、意思は残っている。



舌の上で力尽きる僕。

それを弄び、仕舞いに自分の物にしようとするレオン。


僕は舌の上をズルリと滑り、喉の穴に落とされた。

グチュウ… ブチュリ…

喉の肉壁によって、体内へと運ばれる。


そして、ついに少し広い空間に出た。


胃袋だ。。


胃袋に落とされ、僕は夢想と現実の狭間を彷徨っている気分だった。

頭はまともに回らず、体も動かせない。


ただ自分の毛皮から、胃壁と胃液を感じるだけ。




頭の奥で、プチンと音が鳴り、僕はすぐに気を失った。


レオンが気を失わないように使っていた力を解いたのであった。



<2011/11/23 23:19 吉祥>消しゴム
|<< < 2 / 2 > >>|

TOP | 感想 | RSS
まろやか投稿小説すまーと Ver1.00b