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魔女にかかれば − 旧・小説投稿所A
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魔女にかかれば

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「っ…どうして私の名を?」

カレンは小さく息を零して驚いた
彼女の名を知る者は少ない
けれど、初対面であるはずのトレゾアが彼女の名を知っていた

「お前の噂も有名だからな
 フフ…詳しい事は中で話そうか」

紅い目を細めて笑うトレゾア
やはり魔女と呼ばれているせいか、不思議な雰囲気は消えない
カレンは彼女を家の中に入れた
シャドウがその後をついて行き、入ろうとする

「お前はもう少し、外で遊んで来い」

家の中に入って、すぐにトレゾアが立ち止まる
そして、右手を横に振った

「っ!シャドウ!」

すると扉が閉まり、シャドウは強制的に外へ放り出されてしまう
その様子に思わずカレンも声を出してしまった
だが、トレゾアはそんな彼女の背中を押して無理矢理奥へ進んだ

先程まで彼女が一人でいた部屋
そこに、本物の魔女が一人加わる

カレンが座っていた席の向かいにある椅子にトレゾアが腰を降ろす
それに続いてカレンも席に着く

「北の森に棲む人喰い魔女カレン
 …最近よく聞くぞ」

一瞬の沈黙
それを先に破ったのはトレゾアだった
カレンを見据え、面白そうにしている

「私は魔女ではないわ」
 
それとは対称的にカレンは無表情のままだ
彼女は自分が魔女だという事を決して認めようとしない
自分は他人より少し魔力があるだけだと言い張っている

実際彼女の前で魔女という単語を出せば、すかさずシャドウが牙を向く
今は彼がいない為か、トレゾアは遠慮無しに話している

「それに…人喰いでもないわ
 あんな不味い…っ!」

「何だ、喰った事あるのか」

「ち、違う!」

口が滑ったとカレンは急いで右手で口を塞いだ
トレゾアの言葉に首を振る
少し動揺する彼女にまたトレゾアがニッコリ笑う

「人間の子供の肉は美味いぞ…♪
 柔らかくて、良い声で鳴く…しかも体力が少ないから喰いやすい」

その笑顔から放たれた言葉は、恐ろしい内容だった
彼女の普段の食事についての話
そこにカレンがある事に気づいた

「子拐いの魔女って貴女ね!」

「ん?そんな呼び名が増えたのか…」

「貴女のせいで私が子拐いの魔女って呼ばれてるんだけど?」

彼女は人喰い魔女と呼ばれている
森に入った人間を片っ端から喰い殺す恐ろしい人物だ
最近は町に入っては子供を拐い、地下室に閉じ込めているらしい
子拐いの魔女と言われるのも当たり前だ

それにカレンは静かに不満の言葉を告げた
町で聞いた噂は銀髪の魔女と言われている
完全に濡れ衣を被せられている状況だ

それで何もないなら、まだ気にはならないだろう
けれど、子供は未来への可能性を秘めている
そんな宝を次々と奪われてしまったら親も含め、国全体が黙ってはいない

シャドウと二人だけの平和な時間が減ってしまう
自身の命の危険より、カレンはそちらの方に彼女は不安を覚えていた

「おっと、悪かったな…♪
 でも別に良いではないか?“クォーター”も魔女も大して変わらないぞ」

謝るが全く反省しているようには見えない
むしろ、楽しんでいるようだ

「だいぶ違うわ」

この二つは似ているが、僅かに違いがあるそうだ
魔女と言うのは強大な魔力をもつ女性を表す
更にその体を巡る血までも特殊なものらしい

クォーターはその魔女の一歩前と言ったところ
この言葉は、日本語にすれば四分の一という意味だ
祖父母のどちらかが外国人だとそう呼ばれる
カレンの場合は魔女、あるいは魔法使いになる

つまり魔女と人間の間に生まれたハーフ
更にハーフと人間の間に生まれた人間…それがクォーターと呼ばれるカレンだ

魔力を継いでいるのは確かだが、それはほんの僅か
オッドアイと呼ばれる左右の色が違う目も、それが関係している

そうとなれば、彼女自身が言った普通の人間より少し魔力のある人間という言葉は正しい
世間では魔女と呼ばれても、彼女は否定し続ける

変わらないのに。素直に認めれば良いのに
そう思ったトレゾアは溜め息を零す

「まぁ良いか…
 とりあえず、同じ魔力を持つ者同士…仲良くしようではないか?」

そう言って片手を差し出す
いかにも何かありそうな笑みを浮かべているが、カレンはゆっくりと彼女の手に自分の手を重ねた
ただの握手だった為、カレンは少し力を抜く

だが、次の言葉に衝撃を受けた

「フフ…そうやって力を抜いとかないとな
 怖いままでは、好きな人も逃げてしまうぞ?あっ、人ではなくて狼か…♪」

「…え?」

カレンは手を握られたまま固まってしまった
言葉を失い、内心では込み上げてきた熱い何かに襲われ動揺していた

それもそのはず、彼女は自分の抱える一番大きな悩みを当てられてしまったのだから…




こういう、のんびりとした場面の描写って意外と難しいw

<2012/11/19 18:45 ミカ×どんぐり>
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