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光を広げる輝き − 旧・小説投稿所A

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光を広げる輝き

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「待ってバクフーン。話が違う!」

「…………分かってくれ、イーブイ」

そう呟かれた一瞬の後、バクフーンから放たれた業火が辺りを包み込んだ。









――数日前。

「バクフーン、むぐ、この果物……どこに、もぐ、あるの?」

「飲み込んでから話せ」

はち切れんばかりに太った果実を、これまたはち切れんばかりに口に放り込んで喋るイーブイにバクフーンは目を細め、口を半開きにした。

「むぐぐ……ふぅ、それでどこにあるの?」

「まず、それを聞いてどうするんだ?」

それを口にした後、まるで親みたいな言い方だなと自分でも思った。
隣ではバンギラスが「ククク」と面白そうに笑っている。

「えっと、たまには僕が食料調達に――」

「ダメだ、危険すぎる」

間髪容れずにバクフーンは言い放った。
それを聞いて、イーブイは顔を曇らせる。

「大体、今はまだ食料のことは心配しなくてもいいだろ」

バクフーンが指差すその先には、山積みにされた果物やらの食料があった。
量からして、この先一週間は申し分ないはずである。

「それともなにか、今日は魚の気分か?」

腐れやすい魚は食べるその日か、もしくは塩漬けにして保存するかなのだが、生憎とここには塩などという高価なものは置いていない。
つまりその日に採取の選択肢しかないのだ。

「違うよ。ただここ最近、僕外に出てないからそのついでにと思って」

なるほど、とバクフーンは思った。
実を言うとここ数日、急に森の治安が悪くなったことに気づいたバクフーンは、イーブイが外に出ることを拒んでいた。

しばらく日の光を浴びていないイーブイが外に出たくなるのも当たり前の事だろう。
しかし、危険というのもまた事実だ。

「……もう少し、森が静かになったらな」

過保護だと言われるかもしれないが、イーブイに何かあったらと思うとそうするしかなかった。

案の定、イーブイはまたもや沈んだ表情を見せてしまう。

しばらく黙々と食事の音が鳴り響いていた。
バクフーンも「フゥ……」と息を吐き出し、果実に手を伸ばす。

「というか、お前が一緒にいてやればいいんじゃないのか? バクフーン」

バンギラスの何気ない一言に、ぴたりとバクフーンの手が止まる。
なるほど、確かにそうだ。

「そう言われればそうだな。そうするか、イーブイ」

「ほんと? やったぁ!」
さっきまでの曇り空はどこへやら。
イーブイは満面の笑みで顔を起こした。
まったくこいつはいつまでたっても子どものままだ。

単純な性格が少し羨ましい。
そう思ったバクフーンも、思わずつられて微笑んでしまう。

「オレは一人で留守番か……」

今度はバンギラスがつまらなさそうに呟いた。
さすがにここまでくると、少々めんどくさい。

「……冗談だよ」

にんまりと笑い、バンギラスが言う。

「それを聞いて安心した」

「まぁ、しばらく二匹でゆっくりしてこい。その後はオレがたっぷりいたぶってやるがな」

最後の一言は余分な気がする。
バクフーンは伸ばした手で果実に触れる。
そして射るような視線で、尚且つ舌をちらりと見せながらバンギラスにこう言った。

「一昨日来やがれ」


<2012/09/28 13:16 ミカ>消しゴム
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