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プレデターハウス 番外編 − 旧・小説投稿所A

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プレデターハウス 番外編

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「なっ…あの…え…!!」

飴玉のように惜しげもなく手渡される福沢諭吉達。カイオーガは驚いている僕の方が可笑しいようだ。

「いっ…いったいお前なにやって…!!」

「マスター…ここ大都会だよ?」

呆れられた口調で、カイオーガはやれやれと首を振る。

「都…会……って理由になってない!」

カイ「都会といえば犯罪。犯罪といえば麻薬。麻薬といえば裏取引。」

にやりとほころんだ顔に、僕は恐怖心を抱いた。


「ま、まさかお前…そういうのに手を染めて…!!」
「あ〜ちがうよ…惜しいけどね。」

カイオーガは淡々と述べると、謎の5分間について話し始めた。


〜〜〜



〜裏通り〜


「へへ…ありがとよ。」
「とんでもない。コカイン1kgでこれ程頂けるとは…」
「また頼むぜ?金に糸目はつけねえからよ。」
「もちろん…」

ひそびそと繰り広げられる麻薬市場。カイオーガは不気味に笑う2人の背後から、そっと近づいていた。2人は白い袋と札束に釘付けで、気づく気配は無い…


ガチャン…

「ん……?誰だ!!!」
カイ「あっ?」

物音に気づき、さっと袋を隠しながら振り向く取引相手。その彼の目には、今まさに自分にかぶりつこうとしているポケモンが映る。

「なっ…!!なんだてめぇ!?」

カイ「あれれー?見つかっちった。」

買人は即座に飛びのき、閉じられる鋭牙をかわす。カイオーガは悔しそうに唸ると、一歩下がった。


カイ「ま、用があるのは君じゃらいけろね?」

買人の背後に隠れながら、そっと立ち去ろうとしている商人に向けて舌を伸ばし、ぐるぐると絡めとる。

喚き散らす商人を餌に、買人は隙をついて逃げ去っていった。



「待っ……!!ちっ…なんだお前は!?」

カイ「さあねー♪それちょーだい?」

カイオーガはきつく握りしめてある万札を指す。商人はキッと睨むと、あらんかぎりの罵声を轟かせた。


「ふ、ふざけんな!!なんで見ず知ら…」
「言い方が悪かったかな?死.に.た.くなかったらちょうだい♪」

グニグニと自分の体を這う舌と格闘しながら、ギャーギャーと叫び続ける商人。カイオーガは反応が面白くなったようで、彼の口に舌を突っ込む。

「ぐっ…おっ…うおぅぶ…」
「聞こえなかったのかな?ちょーだい♪」

蹂躙を緩めないまま、手を差し出す。窒息死or万札………

商人はガクリと降参し、しぶしぶ金を手渡した。


「えへへ…ありがと。」

舌はあっという間に口へと吸い込まれ、カイオーガはスキップ調で帰っていった…




〜〜〜




カイ「と、いうわけ。」

「おま…それって立派な犯s…むぐふっ!?」

カイ「気にしない気にしない。だーれも見てなかったんだもん、大丈夫だって。」

その商人と同じ状況にされ、全身がぷにぷにの舌に捕らえられる。慣れているためか、口だけは何とか出す事が出来た。


「ぶはぁっ……!でも僕がそれ聞いちゃってるんじゃ…」

「ん?いわないよね?」

穏やかに、しかしドスの効いた睨みが飛んでくる……舌の締力も危険になってきた。


「は……はい……」

「さすがマスター!分かってるね。」


ちっとも賞賛には聞こえないが、取りあえず「さすが」だけ受け取っておくとしよう。

舌は糸を引きながら退却していき、ご主人様の下へと帰っていく。


「いやーでも、お前の事だからその商人食べちまうかと思っ……え?」

食べ……食べる?そういえば……







「ねえカイオーガ。」

カイ「なぁに?」

「お前プレデターハウスで……誰か食べたんだよな?」

「当たり前じゃん。だから行ったんだよ?」

「じゃ、じゃあその喰った奴……………出した?」


カイオーガは目をパチクリさせ、自分のお腹を触った。しばらくして、再びぴったりと目が合う。






………










「……てへっ♪」

「てへっじゃないだろ!!お前なんて事…!!」

「えー忘れてたんだもん、勘弁してぇ〜。」


さぞかし気持ち良かったであろうが、命を消したのは事実。カイオーガは今日、二つも罪を犯した事に……



カイ「ぅぅ……ごめんなさい。」

ペコリと頭を下げる。ちょっと仕草に可愛気があったので、一瞬許しそうになる。

なんとそれを見抜いたのか、カイオーガは顔を上げると、怒涛のような舌と共に抱きついてきた。


<2011/05/15 15:12 ロンギヌス>消しゴム
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