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アナザークレイジー − 旧・小説投稿所A

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アナザークレイジー
− 如月の章 その一 −
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 気付いたら、私はココに居ました。
 ココとはどこなのか、自分は誰なのかもわからない。思い出そうとすれば全て把握しきれない膨大な量の知識郡に阻まれて、大事なことが思い出せない。
 頭の中では高度な数式と理論や法則、誰かが書いたtxt形式の論文が流れている。そんな中、かろうじて何か重要度の高いデータを発見できた。そのデータの中には自分の体となるオブジェクトの原案があった。兎の獣人というもので、腕まで隠れる無駄にでかいコートのような服を着てシルクハットを被っている。



そして一緒に入っていたデータに従い行動に移す。
 自分と同一ファイルにいる私の体となる圧縮されたオブジェクトを解凍する。今の自分は脳だけの状態である。そして次にそのオブジェクトに入り込み、体を動かすための信号を伝達するバスを全て開き、私の制御下に置く。
 体が正常に動くことを確認する。
 体は無駄な当たり判定付きの服のせいで手が出せない。が、原案に描かれていたように意識を集中してみると、宙に黒い幽霊のような手が浮かんだ。
 
 どうやら自分は感情を持つAIのようだ。しかもここはパソコンの中。全て自分の脳内に記されている。
 知識も人間が言う大学という物を既に卒業しているレベル。いやそれ以上と言っても過言では無い。そして自分で自分が存在してはいけないという考えも脳内で浮かび上がったりしている。
 そんな考えをすぐに否定して、またデータを読み直す。
 自分の製作者はB・Cとなっており、自己起動が済んだらインターネットに接続してこのチャットルームに来なさいと、座標と入室用パスワードが書かれている。座標とは人間が言うURLの事だが。
 とりあえず、私はそのチャットルームへと向かった。

 案の定、そのチャットルームには先客がいた。B・Cだ。
私にはまだ名前が無いので名無しとしてチャットルームに入る。自分の生みの親との初対面に自然とドキドキしてきた。この時点で私は、自分は人間でもないのに機械らしくもないとすこし落ち込んだが。

>お腹をすかせた名無しが現れた!

 ……先程から思っていたが、やはり自分の親は変態という部類に入っていると自分の知識が告げている。が、自分自身もそんな願望が今生まれたので私も変態ということになり落胆する。そんな考えをすぐに沈める。

B・C > 初めまして。僕の分身。これから話す事がいっぱいあ るけど、まずは君に名前をつけていなかったね。

名無し>名前…ですか?

B・C>君の見た目は兎だし、僕の分身であり代理だから代え兎でいいかな?

 そんな見た目そのままのような名前で思考能力が大人の人間と変わらない私でも、初めて付けてもらえた名前は大変嬉しいものだった。もうそんな機械らしくない感情はどうでもよくなった。















<2012/04/15 19:54 代え兎>消しゴム
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